著者
石川 智治 冬木 真吾 宮原 誠
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J80-A, no.11, pp.1805-1811, 1997-11-20

音質評価語の調査・収集を行い,それらをKJ法によりグループ化し,30語の代表評価語を得て既に発表した.その後,評価実験の結果を踏まえて,再整理と追加による改善を行い代表評価語を35語に集約した.本論文は以下のことについて示す.1.その改善の内容,2.得られた代表評価語(35語)の心理的距離のMDS法による解析と四つのクラスタへの分類,3.クラスタ化とは独立に行った,衆目評価法による代表評価語のランクづけ,4.分類した各クラスタと衆目評価法で得られた結果をつき合わせて総合音質に重要な代表評価語の選出を行った.
著者
八木 嵩大 宇都 雅輝 Shudai YAGI Masaki UTO
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18810225)
巻号頁・発行日
vol.J102-D, no.10, pp.708-720, 2019-10-01

近年,受験者の実践的かつ高次な能力を測定する手法の一つとしてパフォーマンス評価が注目されている.しかし,パフォーマンス評価では,得られる能力測定値が評価者の特性に依存する問題が指摘されてきた.この問題を解決する手法の一つとして,評価者特性を考慮して受験者の能力を推定できる項目反応モデルが多数提案され,その有効性が示されている.他方で,これらのモデルは測定対象の能力に一次元性を仮定する.しかし,高次な能力の測定を目指すパフォーマンス評価では,複数の能力尺度で構成されるルーブリックを用いて採点を行うことが一般的であり,この場合には能力の一次元性は必ずしも満たされない.そこで,本論文では,評価者特性を考慮した多次元性項目反応モデルを提案する.提案モデルは,データから推定した最適な次元数の能力尺度上で,評価者特性を考慮した高精度な能力測定を実現できる.本論文では,提案モデルのパラメータ推定手法としてマルコフ連鎖モンテカルロ法に基づく手法を提案し,シミュレーション実験と実データ適用を通して提案モデルの有効性を示す
著者
羽山 徹彩 難波 英嗣 國藤 進
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J92-D, no.9, pp.1483-1494, 2009-09-01

近年の電子化プレゼンテーションの普及により,講義や会議などの多くの場面で電子的なプレゼンテーション資料(スライド)が利用され,蓄積されてきた.蓄積されたスライドデータは知識資源として膨大となりつつあるため,その高い利活用性が求められている.その有用な方法のひとつとして,レイアウトや視覚的効果など人間の理解を促すための有意な構造情報を利用することが挙げられる.しかしながら,そのような構造情報は,スライドデータの中で明確に定義されていないため,計算機で直接的に扱うことが困難である.そこで,本研究ではスライドに含まれる情報からその構造を抽出する手法を提案する.提案手法は,まずスライド上のオブジェクトを“タイトル”,“図”,“表”,“本文”,“装飾”といった機能的な属性の纏まりに組織化し,それら纏まりをトップダウン的に木構造へ組み上げる構造化を行う.評価実験では人手で作成した正解データをもとに,標準的な手法と比較することで,提案手法の有効性を確認した.
著者
小泉 昂也 折原 良平 清 雄一 田原 康之 大須賀 昭彦 Takaya KOIZUMI Ryohei ORIHARA Yuichi SEI Yasuyuki TAHARA Akihiko OHSUGA
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18810225)
巻号頁・発行日
vol.101, no.9, pp.1363-1371, 2018-09-01

人や企業は様々な条件下で最適な行動を取るのだろうか.取らないのであればそれはなぜか.その原因を求めることは,実際の個人・企業等の理解を大きく助ける.また,ゲーム理論はスポーツや経済学そしてその他の社会科学の理解に大きく関わってきた.本研究は比較的データが集めやすく混合戦略を適用できるサッカーのPK戦に注目し,独自の確率を考慮した利得表を作成した.その利得表を用いてPK戦におけるキッカーの最適戦略を求め,最適戦略と実際の戦略とのズレを明らかにした.そのズレの原因を求める為にデータセット内の各データ項目についての確率分布を比較するというアプローチをした.データはインターネット動画サイトより収集した,プロ選手による2001年〜2017年の間の世界各国のPK戦150試合(計1539人分)を使用した.実験結果として,最適戦略と実際の戦略との間にズレが存在することが分かった.またそのズレには国籍・スコア差の関与が示唆された.その結果から,サッカーPK戦における最適戦略と実際の戦略との間におけるズレの原因を推定した.本手法はスポーツ分野以外への応用も期待できる.