著者
坂野 秀樹 武田 一哉 鹿野 清宏 板倉 文忠
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J81-A, no.2, pp.261-268, 1998-02

スペクトル包絡と音源の独立操作により, ある話者の音声を別の話者へと連続的に変化させる音声モーフィングを提案する.本手法では次の手順で音声モーフィングを実現する.1)時間領域におけるDPマッチングにより単位波形の対応をとる.2)単位波形をスペクトル包絡と音源に分離する.3)周波数領域のDPマッチングにより周波数軸を非線形に伸縮し, スペクトル包絡間の対応付けを行う.4)スペクトル包絡および音源の補間を行う.5)位相情報を付与し, 単位波形を得る.6)PSOLA法により合成する.この手法を用いることによって自然音声の時間的変化に比較的近い補間が可能となり, 音声の調音結合部分をモーフィングにより生成する実験を行った結果, ケプストラム距離において従来法に比べ1.9dBひずみを減少させることができた.また, 対比較試験では男性から女性へのモーフィングにおいて89%, 女性から男性へのモーフィングでは93%の割合で本手法の方が品質が良いと判断されており, 本手法の有効性が示された.
著者
砂原 悟 金 勇 飯田 勝吉
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.122, no.306, pp.99-100, 2022-12-05

DNS の通信においてプライバシー情報の保護の重要性が高まっている.現在標準化されている DNS over TLS (DoT) や DNS over HTTPS (DoH) の規格では,DNS の通信を暗号化することによって改ざんや直接漏洩を防ぐことは可能であるが,DNS の通信を暗号化したとしても通信ヘッダの送信元 IP アドレスと送信先 IP アドレスまで隠蔽することはできない.そのため,たとえ DNS の通信が暗号化されていたとしても,送信元のクライアントがどのようなサイトに興味を持っているのかを推測できる可能性がある.本研究では,クライアントから権威 DNS サーバ間の DNS 通信の匿名性を維持し,照会されたドメイン名の推測リスクを軽減させるための手法の提案と手法の検証結果について紹介する.
著者
飯田 勝吉
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.117, no.187, pp.25-30, 2017-08-21

現在、ETSI MEC, Open Edge Computing Initiative, Open Fog Consortiumなどでエッジコンピューティングに関する研究開発が盛んにおこなわれている。本稿ではその最新動向と、今後の研究開発課題を紹介する。
著者
岡野 浩三 北道 淳司 東野 輝夫 谷口 健一
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.76, no.7, pp.354-363, 1993-07-25
参考文献数
9
被引用文献数
4

本論文では代数的手法による順序機械型プログラムの階層的設計法について提案する.我々の階層的設計法では要求仕様から実現プログラムまで同一の詳細化法に基づいて段階的に順次詳細化していく.各レベルでは,そのレベルでの関数,処理の性質等の要求記述が行われ,そのレベルで閉じた記述になっている.我々は,プログラム設計技法の共通問題として提供された在庫管理問題に対し本手法を適用し,他の文献では見られなかった入出力関係のみを指定した要求記述から,5段階にわたって逐次詳細化し,プログラムを開発した.本論文では記述の概略と共に,要求記述や詳細化の際に一般的に生じる問題点,解決法を述べ,また,他の方法論との比較も行っている.「拡張射影」と呼ばれる単純な枠組で最上位の満たすべき入出力関係を記述できること,記述は完全に階層的であること,各レベルの要求記述はいわゆるオーバスペックにならないように必要なことのみ記述していること,各レベルの要求記述に抜けがないよう記述スタイルを工夫していること,正しさの形式的な証明が可能であったこと,実現プログラムの実行時間はCプログラムのそれのたかだか2倍程度であること,等の結果より,本設計法および処理系の有効性が確かめられた.
著者
堀田 昌志 鶴成 哲也 三宅 芳昭 小野 和雄
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.98-100, 2000-01-25
参考文献数
9

2段階拡散法によりガラス製チャネル光導波路を作製する際に、使用する基板ガラスの組成や特性によっては埋込み型チャネル光導波路を作製することが困難な場合がある。このような場合でも、あらかじめガラス基板表面にナトリウムイオンを拡散させ、組成の異なる領域を形成(前処理)しておけば、チャネル光導波路が作製できることを示している。
著者
田坂 修二 深谷 和義
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B 通信 (ISSN:09135715)
巻号頁・発行日
vol.70, no.7, pp.p780-790, 1987-07
被引用文献数
1

衛星パケット通信網の性能評価に関しては,既に多くの研究が行われている.しかし,そのほとんどが送達確認応答パケット(ACK)の存在を無視している.本論文は,衛星パケット通信用多元接続プロトコルの中でも,比較的実用性が高いと考えられるスロット付アロハ予約チャネルを用いた予約プロトコル(アロハ形予約プロトコル)を採用したシステムにおけるACK問題を解析したものである.本システムでは,ACKと予約パケットは同一のサブフレームで送信される.ACKの衝突が生じうる通常のACK伝送方式の解析に加えて,無衝突ACK伝送を実現する一つの優先ACK方式を新たに提案し,その解析も行っている.解析には,平衡点解析の手法を用いている.非優先および優先の両ACK方式について,スループットと平均応答時間を求め,システムの安定性も評価している.また,ACKトラヒックの存在が最適フレーム長の決定に及ぼす影響について考察し,その影響は低負荷では小さく,高負荷になると大きいことを示している.更に,ACKに優先権を付与することによって,システムの安定性は増大し,性能全搬が改善されることも示している.
著者
宇都 雅輝 植野 真臣 Masaki UTO Maomi UENO
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18810225)
巻号頁・発行日
vol.J103-D, no.5, pp.459-470, 2020-05-01

近年,学習者の実践的かつ高次な能力を測定する手法の一つとしてルーブリック評価が注目されている.ルーブリックは評価者の主観による評価基準をより客観的にするためのツールであるが,それでも評価がパフォーマンス課題や評価者,ルーブリックの評価観点の特性に依存してしまうことが指摘されてきた.この問題を解決する手法の一つとして,これらの特性を考慮して学習者の能力を測定できる項目反応モデルが近年多数提案されている.しかし,既存モデルは学習者・課題・評価者・評価観点で構成される4相の評価データに直接には適用できず,課題・評価者・評価観点の特性を同時に考慮した能力測定は実現できない.また,ルーブリック評価の評点は一般に段階カテゴリーとして与えられ,各カテゴリーに対する評価基準は評価者と評価観点の特性に依存する.しかし,既存モデルでは評価基準は評価者と評価観点のいずれか一方にのみ依存すると仮定している.以上の問題を解決するために,本論文では,評価観点と評価者の評価基準を考慮して,ルーブリック評価の4相データから学習者の能力を測定できる新たな項目反応モデルを提案する.また,シミュレーション実験と実データ実験を通して提案モデルの有効性を示す.
著者
山根 健 蓮尾 高志 末光 厚夫 森田 昌彦
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.90, no.3, pp.933-944, 2007-03-01
参考文献数
10
被引用文献数
2

シンボルグラウンディング問題やフレーム問題に起因する古典的人工知能の限界を超えるには,もともとパターンで表現される外界の情報をパターンのまま処理するパターンベースの推論が有効だと考えられるが,シンボルやそれに類するものを全く用いる必要のない推論エンジンはこれまでなかった.本論文では,非単調神経回路網が構成する大自由度力学系のダイナミックスを利用して,完全なパターンベースの推論を行うモデルを提案する.このモデルでは,情報はすべてパターンとして分散的に表現され,適切な推論結果を表すパターンへの状態遷移が生じるよう,力学系のある部分空間に軌道アトラクタを形成することが知識の学習に相当する.簡単な推論システムを構築したところ,全く未知の問いに対しても類推によって適切に答え,非単調推論も自然な形で実現できるなど,従来の推論方式にはない特徴が示された.まだ研究の初歩的段階ではあるが,本モデルは推論方式や性質が脳に似ており,大きな可能性をもつと考えられる.
著者
本庄 勝 牧戸 知史 山里 敬也 岡田 啓 片山 正昭 小川 明
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.214-230, 2002-02-01
参考文献数
15
被引用文献数
5

無線環境での動画像通信では、動画像符号化器の要求品質を満たすために、誤り訂正符号等によって符号化データを保護する必要がある。しかしながら誤り訂正符号は、一般に、訂正能力が高いほど処理能力が必要で、ビデオホンのような即時性を要求する動画像メディアでは利用が困難となる。そこで本論文では、誤り訂正復号と動画像復号を統合した、低遅延、低劣化を可能とする即時型動画像並列復号方式を提案する。この方式の最大の特徴は、一つの誤り訂正符号に対して処理時間と訂正能力の異なる二つの復号化器を用意して、動画像の並列復号を行う点である。暫定処理で得られた訂正復号結果で画像(出力画像)を復元する一方、十分な訂正処理をした信頼度の高い結果で画像(参照画像)を復元することで、フレーム間の誤り伝搬を防ぎ、画像品質の劣化を抑制する。この特性を、3次元DPCM予測符号化器を使用して解析的に明らかにする。そこで参照値に誤りがなければ通信路雑音による画質劣化は最小になること、予測フィルタの相関値が高いほど、参照画像での雑音の影響が大きく、またこの場合でも参照画像に誤りがなければ、通信路雑音の影響は復元画像にはほとんど影響を与えないことを示す。具体例として、H.263と連接符号のモデルを用いて計算機シミュレーションによる評価を行っている。この結果、並列復号方式は、グレースフルデグラデーションが実現され、特にレイリーフェージングチャネルではその効果が大きく現れることを示す。また低ビットエネルギー対雑音電力比においても画質はアナログライクな劣化になり、同じ客観評価値であっても主観評価に与える影響は小さいことを示す。