著者
仲道 隆史
出版者
電気通信大学
巻号頁・発行日
2015-03-25

思考ゲームの研究では強い AI を作ることを目的とした研究が主流であったが,様々なゲームでトッププレイヤを上回るパフォーマンスを示すようになってきて,対戦して楽しいという方向性のゲーム AI の研究が注目されている.これらの研究では人間から見たゲーム AI の不自然さの解消を課題とし,人間的な振る舞いをゲーム AI に実装することが試みられている. 本論文では思考ゲームの将棋を題材に不自然さの原因について考察し,観測者の棋力によって不自然に感じる手が変化することを棋譜の評価実験から示した.この結果から,不自然さの知覚は棋力の差によって生じるのではないかという仮説を立て,「ユーザと同程度の悪手を指す」「勝敗の確定が遅いシーソーゲームを演出する」という二つを実現する将棋AI の作成を行い,この AI を多くのプレイヤに利用し,評価してもらうことでこの仮説の検証を試みた. 実装した将棋 AI は,現局面の候補手の中から最も評価値が 0 に近い手を着手として選択するアルゴリズムを採用した.形勢が均衡している評価値 0 の状態を継続する事で悪手を咎めず拮抗した勝負が続くことを目指した.AI 同士の自己対戦実験によって提案手法導入前後での AI の振る舞いを比較した結果,本来は勝率 99%を上回る弱い AI に対して勝率を5 割程度に抑えられたこと,互いに悪手を指しあうなどの評価値の乱高下が観測され,2 つの目標に有効なアルゴリズムであることを確認した. また,この将棋 AI をインターネット対局場の bot として公開し,自由に対局してもらい,アンケートによる評価を行った.対局結果からレーティング 1200 以上の対局相手に対して勝率 5 割以上の成績を残すことができており,アンケートの主観評価から負け越したユーザであってもシーソーゲームが演出できていること,同程度の棋力と感じていれば楽しいと評価していることが確認された. しかし,一方で不自然さの抑制という点では新たな課題も見つかった.ユーザが自分の能力において本来指さない悪手をヒューマンエラーによって指した場合に,着手した直後に自分のその手を悪手だと気付く.このとき,これを咎めない将棋 AI の振る舞いが「必然手を指さない」不自然さとして回答されていた.この不自然さを解消するには,その着手がヒューマンエラーであるか判定して咎めるかを決定することや,咎めない着手の中でヒューマンエラーと感じさせる手を選ぶなど,将棋 AI にヒューマンエラーを生成・判定させる取り組みが必要になる.
著者
樋口 尚吾 Shogo Higuchi
出版者
電気通信大学
巻号頁・発行日
2016-03-25

公営競技等の賭事では,勝負事の結果に関わる有利な情報を持った参加者による特異的な投票行動を,他の参加者が垣間見ることのできる場合がある.本研究では,競馬での時系列オッズデータに基づき,競馬予想について優れた情報を持った投票者の意思決定を窺い知る(知識察知する)ことで,競馬市場参加者のための合理的な投資を行うことを目指す.競走結果に関わる有利な情報であり,なおかつ多くの競馬ファンに知られていない情報を持った投票者(インサイダー投票者)がオッズの変化を促した可能性が高い勝馬投票券を抽出する既存手法を,パリミュチュエル方式でのオッズデータに用いる際の課題を明らかにしたうえで,投票券抽出に係る新たなパラメータを考案した.投票行動データが豊富なものとして,日本中央競馬会(JRA)に許諾を頂いた上で,JRAが主催した競走への競馬市場参加者による投票データを解析対象とした.評価実験ではSimulated Annealingを適用することで勝馬投票券抽出に係るパラメータの最適化をおこない,1着賞金2000万円以上のレースに関して収益率が最大3000%以上となる条件が存在することが判明し,これより知識察知の可能性が明らかとなった.比較実験では,決定木を用いた分類モデルの構築により,知識察知を行わない場合での投資判断も併せて行い,提案手法の有効性を評価した.評価実験で得られた結果に基づき,インサイダー投票者の投票行動についての考察および,よりコンスタントに利潤を得るための投資戦略について議論を行った.最終的に,投票行動が公に利用できる代表的なドメインである株式市場への適用をおこない,株価予測に関わる有利な情報を持った投資家による株の売買の痕跡を検知する知識察知を目指すことで,本手法の一般性について考察を行った.
著者
清水 祐一郎 Yuichiro Shimizu
出版者
電気通信大学
巻号頁・発行日
2016-09-30

日本語には,現実の具体的な音声や,様子,心情などを音で表現する語であるオノマトペ(擬音語・擬態語の総称)が豊富に存在する.オノマトペは多様な概念を感覚的かつ直接的に表現することができ,生き生きとした臨場感のある描写を実現する上で,不可欠な言語要素である.また,オノマトペには新しい語形を次々と作り出す力が備わっており,より創作的・独創的なオノマトペ表現のほうが,聞き手・読み手にとってイメージがより具体的に喚起されるため,効果的であるともされる.一方で,オノマトペは本人の感覚経験と強く結びついているために,あいまいで主観的な表現でもあり,客観的にその印象を扱うことは難しい.多様な感覚を表し,新奇性のある表現が作られうるオノマトペの感性的な印象を,客観的に評価する手法を確立することには大きな意義があると考えられる.ゆえに,そのようなオノマトペの創作および活用を有効に支援することができれば,社会および文化の発展に大きく貢献できるものと考えられる.したがって本論文では,オノマトペの創作活動を支援するために,主観的なオノマトペごとの微妙な印象や,相互に似通ったオノマトペの差異を客観的に評価する「オノマトペの印象評価システム」と,広告やネーミング,漫画などの制作の現場において,制作者の所望する印象を与えるオノマトペを探索する「オノマトペの生成システム」の2 つのシステムを設計・開発することを目的とした.言語学においては一般に,言語の音とその語によって表される意味の間の関係は必然的なものでなく,恣意的なものであるとされてきた.しかしオノマトペにおいては,言語の音韻と意味との間に何らかの合理的・感覚的な結びつきが見られる場合があり,このような現象を音象徴という.すなわち,オノマトペのもつ基本的な音象徴的意味を,その語の構成する音から予測することができるとされる.近年,言語学分野や心理学分野において,音象徴に着目した従来研究があり,オノマトペにおける体系的な音象徴性が論じられてきた.一方で,オノマトペが感覚に直接結びつく特性に着目した工学的研究が近年多く存在する.しかしこれらの工学的研究のうち,オノマトペに内在する感性的な印象を,音象徴性に基づいて直接的かつ客観的に扱っている研究事例は少ないのが現状であった.そこで,本論文においては,心理学的手法によって音と意味の間の対応関係を調査し,オノマトペを構成する個々の音韻から印象を予測する手法を考えた.そして,この音象徴に基づく印象予測モデルを用いて,オノマトペの印象評価システムとオノマトペの生成システムを設計・開発した.本論文は全5 章から構成され,各章の概要は以下の通りである.第1 章では,研究の社会的背景として,オノマトペの社会における利活用の事例を取り上げ,オノマトペのもつ創作的な特徴と,創作活動における課題について述べる,本論文の目的として,感性的な印象を客観的に扱う手法を確立し,オノマトペの創作支援を可能にするシステムを設計・開発することと定める.第2 章では,まずオノマトペの分類と定義について述べる.擬音語や擬態語など多様な概念を含むオノマトペの分類についての概要を示し,本論文で扱うオノマトペの範囲を定義する.次に,オノマトペに関連する文理両分野における従来研究を取り上げる.オノマトペの特徴である音象徴性について概説し,20 世紀の欧米言語学と欧米心理学,日本語学における研究の流れに加え,オノマトペの感性的側面を工学分野に取り入れた近年の研究についても概観する.ここで,オノマトペの音象徴に基づいたシステムの設計・開発の背景となる知見を共有し,本論文の意義と位置づけを明確にする.第3 章では,オノマトペの印象評価システムの設計・開発に関する研究について述べる.あいまいとされるオノマトペの意味を客観的に推定するために,オノマトペの特徴である音象徴性に着目する.オノマトペを構成する個々の音韻の要素からオノマトペ全体の印象を予測するモデルを構築し,辞書データベースに頼らない印象評価手法を試みることによって,新しく創出された新奇性のある表現についても,客観的な印象評価を可能にする.第4 章では,オノマトペの生成システムの設計・開発に関する研究について述べる.第3 章で述べたオノマトペの印象評価手法を応用し,ユーザがシステム上で任意に入力した印象評価値を目的として,遺伝的アルゴリズムによるオノマトペの探索・最適化手法を実現することによって,ユーザの直感的な印象に合致したオノマトペを生成する手法を試みる.また,生成システムと印象評価システムとを統合し連携させることによって,ユーザの印象により適合したオノマトペを探索する活用法を可能にする.第5 章では,本論文の総括として,オノマトペの印象評価システムおよびオノマトペの生成システムの設計・開発に関する研究を振り返り,明らかになった課題について議論する.そして,両システムの活用や新たなシステムの設計,オノマトペの工学的応用に関する今後の展望についても論じる.
著者
佐々木 啓子
出版者
電気通信大学
雑誌
電気通信大学紀要 (ISSN:09150935)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.26-35, 2021-02-01

After the Meiji Restoration the Japanese government started to establish a modern system of bureaucracy and an education system. Also it organised the system for professional qualifications, such as lawyers and medical doctors. The government at first shut women out from these specialised professions. However, some women’s activities enabled them to obtain professional licenses, particularly to become medical doctors. Kei Okami entered the Woman’s Medical College of Pennsylvania, USA, in 1885 and graduated as a Doctor of Medicine in 1889, becoming the first Japanese female to obtain a degree in Western medicine from a Western college. After returning to Japan, she was registered as a certified doctor in 1890, and became the head of gynaecology at Jikeikai Hospital. In 1900, Yayoi Yoshioka, Japan’s 27th female doctor after Ginko Ogino, applied to the Governor of Tokyo for accreditation to establish the private Tokyo Women’s Medical School. The school was promoted to a medical college in 1904, and graduated about 700 female medical doctors from 1908 to 1933. The aim of this article is to discuss how to build up women’s status as professions such as medical doctors.
著者
新井 健生 小嶋 勝
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

液体内における微小生体対象の非接触6自由度マニピュレーションを実現し,その原理の解明と限界値を究明し,応用を示す.駆動原理は,微小旋回流が生ずる回転運動と並進運動に基づく.微小旋回流は高速回転する針状棒を駆動源として生成される.6自由度の運動は,この単一旋回流を複数組み合わせて生ずる複合旋回流による方法と,単一駆動源の方向を直接制御して多様な回転や並進を生成する方法の二者を提案する.駆動源の回転速度や振幅等が微小対象の運動に及ぼす影響を実験と理論より解析し,非接触マニピュレーションのダイナミックスを解明する.単一細胞の高速高精度位置決め制御と,スフェロイド3Dモデル構築の応用に資する.
著者
新井 健生 小嶋 勝 前 泰志 小椋 利彦
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

局所刺激計測を実現する可搬型マイクロハンドシステム,渦流を用いた非接触マニピュレーション,連続的力学刺激を与えるマイクロ流路,長時間追尾可能な観察システム,並びに蛍光画像と明視野画像を同時に取得できる顕微鏡を実現し,以下の新たな生物学的知見を見出した.細胞と細胞核への力学刺激応答計測により,細胞核は剛性が高く,複数の細胞内骨格の存在が示唆された.核刺激の強弱にともない遺伝子の発現パターンが変化することを見出した.線虫移動時の各部位の曲率を計測し,運動パターンの相違を定量的に明らかにした.連続的な力学刺激を正常細胞とがん細胞に与え,細胞変形能の相違を定量的に明らかにした.
著者
園部 雄万
出版者
電気通信大学
巻号頁・発行日
2015-03-25

マイクロマウスは、迷路の探索を行う小型の自律移動ロボットである。IEEEによって提唱され、日本では1980年より毎年、競技会が開催されている。ロボットは16×16区画からなる迷路を自律的に走行し、スタートからゴールまでに要した時間を競う。競技時間の制限のもと、効率的に迷路を探索し最適な経路を見つけ、素早く走行することが求められる。このようなマイクロマウスにおいて本研究では、迷路の最短経路を見つける探索(最短経路探索)を扱い、これを効率的に行う方法を明らかにする。本研究ではまず、最短経路探索の検証に備えて迷路の生成を行った。マイクロマウスの迷路は独自の特徴を多く持ち、それらは探索の検証結果に影響を及ぼすことが考えられた。実際の競技会で用いられた迷路には限りがあったため、類似性のある迷路を生成する方法を提案し、数を補うようにした。なお、実際の迷路との類似性を評価する指標を導入し、これによって生成した迷路に類似性があることを確認した。効率的な最短経路探索を実現するために、本研究では、2つの提案を行った。1つは、見つけようとする迷路の最短経路とはならないような、探索の必要がない区画を判別し探索から除外(枝刈り)するというものである。もう1つは、探索が必要な区画を順に辿る際にその巡回路を最適化するというものである。これは、計画的に巡回することによって、探索が必要な区画の見過ごしを抑えることを目的としたものである。10,000種類の迷路を用いた検証の結果、探索の効率化として、枝刈りによる効果は確認できたが、巡回路の最適化による効果はわずかであった。上記2つの提案に関連して、通常は探索の必要がある区画を見過ごすと再探索のために余計にコストが掛かることになるが、枝刈りを行うようにしておくと見過ごした区画が枝刈りされ、結果的に探索しなくても良くなる場合がある。つまり、枝刈りを行うことと見過ごさないことは、二律背反の関係にあると考えられた。そのため、どの程度の見過ごしによって探索を最も効率的に行えるか検証したところ、見過ごしは極力行ったほうが良いという結果を得られた。ただし、枝刈りを多数発生させる必要があり、この検証ではその方法も見出すことができた。以上のように、最短経路探索を効率的に行う方法をいくつか明らかにすることができた。
著者
椿 美智子
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

サービス・サイエンスの考え方に基づき,学生の学習の異質性(個人差)を考慮した上での教育効果を測るためのモデルや方法論を色々な角度から提案し,実際に先生方が教育効果を分析できるシステムを開発した。具体的には,タイプ別教育・学習効果分析システム開発,学生の学習の異質性に基づく1対多の教育・学習コミュニケーションの効果とトレードオフ,T法(1)の教育効果測定のモデルへの拡張,自己調整型問題解決力向上支援システム開発,理工系大学生の就職・生涯キャリア支援システム開発,及び有用性の検証を行った。
著者
志賀 幹郎 竹田 ゆう子 史 杰 所澤 潤 李 明玉 田中 亜子
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

韓国、中国、台湾で実地調査を行い、報告書にそれぞれ論文、調査報告として公表した。韓国に関しては、英語教育の早期化に関連する英語村についての調査報告、および日本語教育の実態についてのインタビュー記事を掲載した。中国に関しては、中国東北部朝鮮族自治区における外国語教育動向を詳しく紹介した。台湾に関しては、現地語教育の実際を収集資料を駆使して明らかにすることができた。いずれも、実地調査による最新の情報をもとに論じたもので、外国語教育が国・地域の実情と複雑に関連し合う状況の一端を示せたと考える。また、国内外の研究協力者の寄稿を報告書に多数収載することができた。研究協力者は、本研究のテーマに関心を寄せ、様々に意見交換や情報提供を行ってくれた。寄稿原稿には、韓国における初等英語教員養成の問題を扱った論文、韓国の日本語教科書の内容分析を行った論文、日本の英語教育改革動向の概論、日本のバイリンガル英語校に関する論考、日本の小学校における外国語教育実践の報告等があり、本研究のテーマを様々に掘り下げている。報告書以外に、本研究の成果は平成18年度に「海外の外国語教育(韓国の場合)」(日本語教育学会主催研修会)(志賀)の題で公表したほか、同年度に「韓国の英語教育早期化動向-初等学校第1学年からの英語必修化計画」(志賀)、「中国における外国語教育の政治過程-建国初期から文革期のコリアンチャイニーズを中心に-」(李)の二編の雑誌論文としても公表した。本研究により、各国・地域の英語教育早期化の現状は、国際的動向の一様な現れというよりは、それぞれの国・地域の固有性の中でよく理解されるという了解が得られたと考える。また、英語教育および第二外国語教育の早期化の大きな課題は、言語教育の公共性をいかにして確保するかであり、各国・地域の取り組みは、そのための奮闘の軌跡として興味深いものであることが分かった。
著者
伊藤 毅志
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、5五将棋と呼ばれる小路盤の将棋を題材に知識を直観的に記述できるシステムKIDS (Knowledge Intuitive Description System)を構築した。現在のところ、システムは完成し、実用に足るレベルに到達した。ユーザの直観的知識記述が可能で、ユーザが記述した知識ファイル通りに、自動的に対局できるシステムが構成され、ユーザの期待通りの指し手が生成されることが確認された。電気通信大学において、5五将棋の大会を数回開催し、5五将棋に関心を持つプレーヤーが増え、KIDSをネット上で公開することにより、KIDSを用いた大会も行われた。
著者
三浦 清美
出版者
電気通信大学
雑誌
電気通信大学紀要 (ISSN:09150935)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1-2, pp.59-88, 2006-01-31

This paper is the second part of the work of the present author, which aims to bring into light themedieval Russian folk cult, which was mentioned in several preaches by the medieval Russianauthors as the Cult to“Rod i rozhanitsa”. The first part, printed in the previous volume of the samebulletin, was intended to acquaint readers to the materials and trace the history of the research ofthe cult. The second part is bound to analyze the religious aspects of this cult, try to reconstruct itand depict its real mentality. About this cult, the present author draws a conclusion that this cult isthe fusion of the worship of ancestors and that of the Great Mother of the Earth in the form ofhierosgamos.
著者
松原 好次
出版者
電気通信大学
雑誌
電気通信大学紀要 (ISSN:09150935)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1-2, pp.117-128, 2006-12-25

This paper is an attempt to assess the achievements of the struggles for survival of the indigenouslanguage in Haw‘ai i. The ongoing revitalization movement of the Hawaiian language is regarded asone of the most successful models for rejuvenating minority languages. This movement, however,faces a number of problems that might hinder its development. One of the problems is thatgraduates of Kula Kaiapuni (Hawaiian language immersion schools) have much difficulty inmaintaining their ability in the minority language. In order to assess Hawaiian language use amonggraduates, interviews were conducted with three graduates of Ke Kula‘ ONa-wah okalani ‘o - pu ‘u, a Hawaiian language immersion school in Hilo. The findings show thatNa-wah graduates, some of whom have started working as Hawaiian language immersion teachers,generally suffer from little availability of career opportunities in which they can make the most oftheir ability in the Hawaiian language. Meanwhile, the interviews have also revealed that some ofthe Na-wah graduates are endeavoring to raise their children with the Hawaiian language. This factis expected to rejuvenate the indigenous language as the“mother tongue”in the Hawaiian speakingcommunity. This paper concludes with a recommendation that the Hawaiian model play a key rolein revitalization and perpetuation of minority languages in other parts of the world.
著者
赤澤 紀子
出版者
電気通信大学
雑誌
電気通信大学紀要 (ISSN:09150935)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.54-61, 2020-02-01

In the New Course of Study from 2020, all elementary school students will experience programming and all high school students will learn informatics. Previously, the importance of informatics education has not been recognized in Japan. However, with this educational reform, it is expected to start to change society's attitude toward informatics education.Attention has also been focused on university entrance examinations using informatics.Therefore, in this paper, we survey informatics in high school, and university entrance examinations using informatics.In addition, we analyze the content of "high school informatics" and the university entrance exam questions.
著者
若月 裕樹
出版者
電気通信大学
巻号頁・発行日
2021-03-25

ゲーム人工知能の性能は人工知能研究の達成度の指標となっている.これまで,様々なゲームの人工知能が開発されてきたが,開発が未発達のゲームも多々ある.そのようなゲームの1つであり,一般的に難易度が高いゲームとして知られるローグライクゲームを題材に本研究では2つの目的で大規模ニューラルネットワークを用いた強化学習を行った.1つめは既存の人工知能が獲得する収益の期待値の推定を行う学習,2つめはランダムプレイヤを開始点とする人工知能の強化学習である.ここで既存の人工知能には著者が卒業論文執筆のときに制作した人工知能を用いた.大規模ニューラルネットワークには残差ネットワークと呼ばれる構造を用いた.多くの畳み込み層を構造に持つ深層ニューラルネットワークが様々な分野で成果をあげたことは有名だが,畳み込み層を重ねすぎると学習が安定しなくなってしまうという欠点があった.この残差ネットワークは非常に多くの畳み込み層を重ねても問題が起きにくいという画期的な手法である.また,このニューラルネットワークにはローグライクゲームの特徴ともいえる非常に多くの値を特徴として入力しており,マップなどの平面的な情報だけでなく,時間方向も考慮した3次元畳み込みなども行った. 結果として,既存人工知能が獲得する収益の期待値推定に関しては,ニューラルネットワークは学習によって高い推定精度を獲得した.推定精度を決定係数にして計測したところ,おおよそ0.97に達していた.一方で,ランダムプレイヤを開始点とする人工知能の強化学習については学習がうまくいかなかった.ランダムプレイヤよりも良いプレイヤは強化学習によりもたらされなかったが,ハイパーパラメータや学習手法の比較検討を行い,著者が試行錯誤した過程で得た大規模ニューラルネットワークやQ学習におけるいくつかの知見をまとめた.
著者
佐藤 美弥子 丸山 裕輝
出版者
電気通信大学
雑誌
電気通信大学紀要 (ISSN:09150935)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1-2, pp.167-181, 2009-01-15

In preparing presentations in English, graduate students must concern themselves first with the logic behind their arguments and then with their English. Without good logic, ones argument will be neither understood nor accepted. We shall discuss ways in which we make a presentation in English logical and thereby understandable. This paper presents a case study to illustrate how a UEC graduate student struggled to prepare a presentation in English.
著者
三浦 清美
出版者
電気通信大学
雑誌
電気通信大学紀要 (ISSN:09150935)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1-2, pp.73-96, 2005-01-31

This paper aims to bring into light the medieval Russian folk pagan cult, which was mentioned inseveral preaches by the medieval Russian authors as the cult to "Rod i Rozhanitsa". The presentauthor has collected all the materials about it and analyzed them, using the method of "theprospective and retrospective way", proposed by B.A. Uspenskii. It has been proved that this cultwas associated with the worship of the Earth-Great Mother, retrospective to the Indo-Europeanarchaic religious views. This paper is composed of two parts, the first part of which analyses andinterprets the materials, is printed in this bulletin. The second part, which analyses the religiousphenomena, will appear in the next issue of this journal.
著者
美馬 のゆり
出版者
電気通信大学
巻号頁・発行日
2010

備考:http://id.nii.ac.jp/1438/00001568/
著者
島内 景二
出版者
電気通信大学
雑誌
電気通信大学紀要 (ISSN:09150935)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.55-82, 2003-07-31

Kako Tsurudo (1855-1931) was a bosom friend of Mori Ogai (1862-1922). They were in the same class of the medical department of Tokyo University, and both became army doctors.Kako had the confidence of Ogai and therefore he took down Ogai's deathbed injunctions.Why was Ogai deeply attached to Kako? The friendly feeling between Ogai and Kako is the same as the feeling between Ariwara-no-Narihira and Ki-no-Aritsune in " Ise-Monogatari"Kako and Ogai were both tanka poets. They organized "Tokiwakai", a tanka association headed by Yamagata Aritomo.First, This paper showed a complete list of Kako's tanka works from "Tokiwakai Eiso".Secondly, it found several distinctive features of Kako's tanka.Lastly, in analizing many letters Ogai sent to Kako, it indicates Ogai and Kako's great literary accomplishments.
著者
仁木 國雄 冨澤 一郎 金子 克己 石井 明
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

雪の融点近くで、短いモデル・スキー(長さ20cm)を用い、遅い滑走速度(0.001~1m/s)における摩擦係数を斜面滑走法およびトライボメータ法を用いておこなった。その結果、摩擦係数(μ)が、滑走速度と雪の温度に依存することが解った。そして、-10℃程度の低温で、速度が極めて遅い場合に最も小さなμ値を示す事を見出した。今回の実験結果で最も注目すべき点は、モデル・スキーの低速度における摩擦係数の温度依存性が、高速度で滑る実際のスキーの温度依存性と反対になった点である。また、モデル・スキーの摩擦係数に荷重依存性が測定されなかったことから、低温、低速度における小さな摩擦係数は摩擦融解による解け水の潤滑摩擦では無いと考えられる。すなわち、低温では凝着力が小さくなるために良く滑ると考えられる。