著者
田中 一男 大竹 博 大竹 博 WANG Hua
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

近年,ロボットの多機能な複合動作実現のニーズが高まっている.本研究では,多機能複合動作を有するロボット系のための統一非線形制御アプローチの方法論を構築した.とくに,非線形ダイナミクスを多項式表現モデルに変換し, Sum of Squares手法を理論的核とした効果的に制御系を設計する方法の開発に成功した.さらに,飛行ロボットのホバリング制御,軌道安定化制御に適用し,本研究の有効性を明らかにした.
著者
清水 紀芳
出版者
電気通信大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

本年度は,身体性を有するユーザインタフェースに関する研究における最終年度に当たり,初年度及び次年度の研究成果を用い,ユーザインタフェースが身体性を持つことの意義に関する調査と,人型ロボットの動作生成や運動を指示するための操作方法の検討を行った.情報世界内の人と同様の身体性を持つCGアバタを操作する際に,それと同形状のロボットをユーザインタフェースとして用意する.そして,ロボットとCGアバタの動作を同期させることで,ユーザは直感的にCGアバタを操作することが出来る.この身体性を有するユーザインタフェースでCGアバタを操作するシステムを,日本科学未来館にて4ヶ月間展示を行い,ワークショップも数日間開催して一般の人々に体験してもらうことで,人型ロボットをユーザインタフェースとして使用する意義に関して知見を得ることが出来た.また,人型ロボットの動作や運動を指示する操作手法として,カメラ画像内に映るロボットに対して直感的にペン入力で操作を行うシステムを作成した.これは拡張現実感技術を組み合わせる事により,モニタ上にペンで移動方向を指示することにより,実世界のロボットを直感的に指示した方向へ歩行させることや,ペンでのジェスチャ入力を用いることにより座る,立つといった複数の動作指示も可能とした.ロボットは多くの関節を持つため,複数の関節を用いた動作を生成する際には多くの時間が必要となっていた.これに対し,CGキャラクタのモーション作成では,逆運動学を用いることで手先位置や胴体の位置を指示するのみで複数の関節を同時に,容易に指示することが可能である.このモーション作成手法を実世界での人型ロボットに対して利用することで,多関節を持つロボットの動作作成を容易にすることを可能にした.
著者
山口 浩一
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

1.InAs/GaAs系およびGaSb/GaAs系量子ドットの高均一自己形成InAs量子ドットにおけるサイズの自己制限効果を見出し、単一の量子ドット層において発光エネルギー半値幅17meVを示す高均一化を達成した。GaSb量子ドットの自己形成においてもマイグレーションの促進条件の適用により、従来の約半分の発光スペクトル幅(49meV)を示す高均一化に成功した。2.InAs量子ドットの積層成長とGaAsナノホールの自己形成高均一InAs量子ドットの積層成長において、1層目の量子ドットからの格子歪による成長過程への影響について新たな知見を得、その結果、発光半値幅17meVを示す高均一なInAs量子ドットの2重積層構造の作製法を確立した。埋め込まれたInAs量子ドット直上の表面GaAs層部のみにナノサイズの孔(ナノホール)を自己形成する方法を開発した。二重結合型積層InAs量子ドットに結合したGaAsナノホールの自己形成について検討を加え、新しい量子ドットダイオード構造を試作し、量子ドットへの局所的な電子のトンネル注入を確認した。3.量子ドットのスピン物性についての検討GaSb層の導入によるInAs量子ドットの高密度化(1×10^<11>cm^<-2>)を開発し、その円偏向励起フォトルミネッセンス測定より、量子ドット密度が高くなるとスピン偏極率が低下する傾向を観測した。つぎに、InAs量子ドットへのスピン偏極電子の局所的なトンネル注入法として、磁性探針を用いたスピン偏極STMについて検討した。Ni探針とNi薄膜試料の実験においてスピンに依存したトンネル電流を検出した。また円偏光励起GaAs探針を用いたスピン偏極STM実験において、左右円偏光変調信号成分のスピンに依存したトンネル電流信号の検出精度を高め、円偏光変調信号のバイアス電圧依存性を比較的再現性高く測定することが可能となった。
著者
松原 好次 塩谷 亨
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

<研究成果の具体的内容>1 ハワイ語再活性化運動の核とも言うべきクラ・カイアプニ(ハワイ語を教育言語とする小・中・高校)におけるイマージョン教育の進展状況(カリキュラム及び教材の開発、学校数の増加など)を明らかにした。同時に、ハワイ語イマージョン教育の抱える課題(高学年の理数系科目担当者及びハワイ語教材の不足など)も明らかにした。2 ハーラウ・フラ(ハワイ伝統舞踊「フラ」の道場)が伝統文化及びハワイ語の保持・継承に果たす役割を明らかにした。特に、alohaの精神など伝統文化に対する尊敬の念を育成することによってハワイ人としての誇りを涵養できるという意味で、ハワイ語再活性化にとって不可欠な存在である点が明らかにされた。3 テレビ・ラジオ・新聞だけでなく、インターネット上で人気の高いコミュニティサイトにおけるハワイ語使用状況を調査することによって、ハワイ語再活性化に果たす新旧メディアの役割を明らかにした。<研究成果の意義・重要性>少数言語としてのハワイ語を再活性化するためには、学校教育以外にもさまざまな場が保障されなくてはしけないことを探ることによって、わが国において近年浮上してきたアイヌ語や琉球語の再活性化、あるいは外国籍児童生徒のための母語保障に関する新たな視点を提供することができた。特に、公教育における少数言語再活性化支援の具体例を提示しただけでなく、イマージョン教育を受けて卒業した若者が、獲得したハワイ語を家庭や職場等で活用していくための施策について明らかにした点は本研究の特筆すべき意義であろう。
著者
木田 雅成 大野 真裕
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

代数的トーラスの有理点のなす群と最大基本アーベル拡大のガロア群の双対性を証明した。これは古典的なクンマー理論の1の冪根を含まない体への自然な拡張になっている。クンマー理論の基礎体が素体まで下げられるいくつかの場合について、巡回拡大を与える方程式の具体的な形を計算機を援用することによって計算することができた。またこの理論の代数学、整数論への応用も研究した。
著者
田中 健次 稲葉 緑
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では,生活用製品業界における事故回避のために,企業,市民,行政の三者間における事故情報活用システムのモデルを構築した.企業内での設計・運用間でのトラブル情報の共有化構造に,社会全体での事故情報システムを統合したものである.特に市民ユーザの安全意識を高め事故情報やリコール情報を効果的に活用するために,Web利用を含めた事故情報活用システムのプロトタイプを作成,評価した.
著者
樽井 武
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、日本語の影響(干渉)を受けた英語のスピーチリズムの確認と著者が開発したPC用自習プログラムを活用し、日本語的な英語のリズムを英語的なリズムに変化させる過程を解明する。たいていの日本人は、日本語の影響を受けたリズムで英語を話すが、学習者が強勢のある音節と強勢の無い音声の重要さに気づき、PC用の自主学習プログラムを活用して内容語と機能語の音声特徴および機能語の強形と弱形そして他の音声特徴等に気づいた上で音節の強勢の有無をコントロールできるまで学ぶことで、そのような日本語的な音声特徴も次第に減少していくことが示された。
著者
島内 景二
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

北村季吟の偉大さは、古典研究の成果が「平和な国家の樹立」のために活用できると信じ、幕府の最高権力者の柳沢吉保と連携した点にある。最高の文化人と幕府の最高権力者が協力して開花させた元禄文化の真実を、『源氏物語』と『古今和歌集』の現代化という観点から文化史的に大胆に捉え直し、六義園という建物、数々の文学作品を、平安時代からの伝統の中に位置づける本研究は、江戸時代における古典文化復興の成功例を抽出したと言える。それによって、21世紀における新たなルネッサンスの開始の可能性を模索した
著者
中嶋 信生 唐沢 好男 本城 和彦 山尾 泰 藤井 威生
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

自動車事故防止を目的として,高信頼な車車間情報通信,高精度測位,危険の表示方法等の研究開発を行った.具体的にはMIMO+アダプティブ複号化,路側無線機中継,車の置かれた状況に応じたルーティング手法等の適用により,車車間通信の高信頼化を図ると共に,電波干渉の強い車車間通信に耐える低歪・高能率な無線回路を開発した.衝突防止に向けた車対人の相対測位ならびに歩行者の高精度電波測位では, 2. 4 GHzの周波数で推定誤差1m以下を達成した.ウェアラブル型の常時即時認識可能なドライバー用情報表示機器を実現した.
著者
高玉 圭樹
出版者
電気通信大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,介護施設において深刻な問題となっている高齢者の徘徊ケア(夜間の定期的見回りと寝つかせ支援)を軽減させるために,(1)各々の高齢者に適合した睡眠段階推定,(2)体調の変化にロバストな睡眠段階推定,(3)起床直前判定のためのレム睡眠段階推定の3つの機能を有する介護支援システムを提案し,その有効性を被験者実験を通して検証した.
著者
武田 光夫 宮本 洋子 宮本 洋子
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

3次元物体をランダムな光波動場の空間コヒーレンス関数として再生するコヒーレンスホログラフィーの新原理を提案し,実験によりその有効性を実証した.コヒーレンスホログラムを計算機合成することにより,3次元空間コヒーレンス関数を自由に制御・シンセシスする技術を実現した.この新機能を用いた新しい工学的応用として波長分散のない3次元形状計測の可能性を実証した.また,基礎科学面ではコヒーレンス関数に位相特異点をもつコヒーレンス渦場を生成し,コヒーレンス場の運動量や角運動量などコヒーレンス場の力学的性質を解明した.
著者
武田 光夫
出版者
電気通信大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

従来の代表的な非接触立体計測法であるモアレ法は,連続で滑らかな形状の物体に対しては有効であるが,モアレ縞の縞次数に飛びが生じるような強い段差や不連続性をもつ物体は測定できない.また,ステレオ視差法は,ステレオ画像の対応点決定の計算量が多いという問題に加えて,反射率が一様な表面を持つ物体の場合には照合する特徴点が得られないという問題がある.本研究では,従来の立体計測法が対応できないこれらの物体の形状を非接触で自動計測することを目的として以下のように新しい立体計測法の原理を考案し実験によりその有効性を実証した.(1)従来のモアレ法やステレオ視差法のような基線を媒介とした3角測量法的な原理に代わるものとして,光波干渉を利用した直接的な2点間測距の原理を採用し,それを被測定物体上の全点に対して多点同時並列的に実現するような新しい方法の原理を考案した.粗面物体を測定できるようにスペックル干渉計と類似な光学系を用いたが,スペックル干渉計測法は物体の元の位置・形状からの相対的な変位・変形を測る,いわば差分量△hの計測技術であったのに対して,本研究の方法は,位置・形状そのもの,すなわちh自身の計測技術である点にその特長と新規性がある.(2)光源に波長走査可能な半導体レーザを用い,干渉計のなかにテレセントリック結像系を導入し,物体をイメージセンサ上に共役結像することにより,粗面物体上の各点からの散乱光を再統合して各点が互いに独立な干渉光路をもつ(画素と同数の)超多チャンネル測距干渉計が実現できることを見いだし,上述の原理に基づく立体計測システムを構築した.(3)段差のある針状物体や深穴の形状を非接触自動測定することにより原利の有効性を実験的に確認した.
著者
越智 保雄 松村 隆
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

各種熱産業,工場などから排出される大量で低温度レベルのエネルギの利用法の一つとして,形状記憶合金をエネルギ変換素子として利用する動力回収システムの開発のため,形状記憶合金の熱・機械的繰返し変形特性と疲労寿命評価に関して基礎的研究を行った。用いた形状記憶合金は安定性,耐食性,変態温度や疲労特性等の点で優れた性質を持つとされているTiNiCu系合金であり,Cu濃度を0〜13%に変化させたものと,形状記憶熱処理温度348K-363Kと変化させた7種類の合金を用いた。得られた主な結果をまとめると以下のようになった。1. マルテンサイト変態温度Ms点はCu濃度が増加するにつれて上昇し,逆変態温度As点はCu濃度の増加につれて低下するが,M相の結晶構造が単斜相M相から斜方相M相に変態する状態になると再び上昇した。2. 繰返しによる有効ひずみエネルギWaは,最大ひずみε_<FTBK>が3%の範囲ではCu濃度の増加とともに増大するが,高ひずみ範囲ではほぼ一定となった。3. 回復ひずみエネルギの1サイクル当たりの減少量で定義した散逸ひずみエネルギは,Cu濃度の増加とともに低下した。回復ひずみエネルギは高いCu濃度域においては試験サイクルによる差異は認められなかった。4. 繰返し応力-ひずみ曲線の面積で定義した回復ひずみエネルギと寿命の両対数関係から,最大ひずみが4%以上では熱処理温度が高いほど低寿命となったが,最大ひずみが3%以下では加熱温度の影響はなく両対数ほぼ一本の直線で評価できた。5. 散逸ひずみエネルギと疲労寿命の両対数関係から,加熱温度,最大ひずみによらず散逸エネルギが減少するほど長寿命となる一本の直線関係で評価できた。7. 超弾性サイクルにおける疲労寿命は,Cu濃度が5〜10%の領域で低寿命となった。一方,熱・力学的サイクル条件下ではCu濃度の増加にともない低寿命となった。
著者
阪田 省二郎 栗原 正純
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究は、本研究代表者が以前から行ってきた代数幾何符号の高速復号法の研究を発展させつつ、「与えられた入出力系列対を許容する線形帰還シフトレジスタの合成問題」を高速に解くアルゴリズムを確立することが最大の目的である。従来よく研究されてきた「与えられた系列を出力する線形帰還シフトレジスタの合成問題」は、代数的符号、特にReed-Solomon符号やBCH符号のような実用上も重要な誤り訂正符号、さらには、次世代誤り訂正符号として有望視されている代数幾何符号等の高速復号法と関係が深く、情報通信工学において重要な意味を有しているのに対し、本研究課題は、テプリッツ、および、ブロック・テプリッツ型の非同次連立1次方程式の高速解法に対応しており、拡張した問題を扱っている。これは、代数的符号の高速復号法と離れても、線形システムに対するWiener-Hoph方程式の高速解法として、それ自身、重要な意義を有する。本研究では、まず1次元入出力系列対の場合について、本問題を解く高速アルゴリズムを与え、実際に、その高速性を計算機シミュレーションにより確認した。このアルゴリズムの理論面については、2002年6月、スイスのLausanneにおいて開催されたISIT-2002(2002年IEEE国際情報理論Symposium)で発表した。次に、この結果を、Reed-Solomon符号やBCH符号のリスト復号の第2段階における有理関数体上での因数分解の高速解法に応用できることを明らかにした。さらに、多次元(2次元以上)の入出力系列対の場合にアルゴリズムを拡張し、それを代数幾何符号のリスト復号の第2段階における代数関数体上での因数分解の高速解法に応用可能であることを理論的に示した。これらの成果を、2002年6月末から7月初めに、安房鴨川と横浜において引き続き開催されたAEWIT-2003(2003年アジア・ヨーロッパ情報理論研究ワークショップ)、および、ISIT-2003(2003年IEEE国際情報理論Symposium)において発表した。当初、代数的誤り訂正符号のより高精度の復号という最終的な研究目標への前段階として、システム理論的な問題の形で本研究課題を設定したが、その目標にほぼ沿った形で、Reed-Solomon符号や代数幾何符号のリスト復号への応用が可能であることを明らかにした。また、関連する研究として、代数曲線符号の並列複号、複合誤り訂正符号についての成果を、電子情報通信学会論文誌に共著論文として出版した。
著者
若月 光夫 富田 悦次 西野 哲朗
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

決定性プッシュダウン変換器のスタック記号を1 種類に限定した決定性限定ワンカウンタ変換器について,それが空スタック受理式及び実時間最終状態受理式の場合,その等価性判定が多項式時間で行えることを証明した.また,決定性限定ワンカウンタオートマトンのある部分クラス等が,正例から多項式時間で極限同定可能なことを証明した.更に,正則言語の部分クラスに対する正例からの極限同定を利用した,ジュウシマツの歌文法の解析手法を改良し,自動化を図った.
著者
富田 悦次 高橋 治久 西野 哲朗 若月 光夫 垂井 淳
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

最大クリークを抽出する新しいアルゴリズムMCSを開発し,格段に高速であることを明らかにした.これにより,従来では100日以上かかっても解けなかった幾つかの問題を100秒以内で解くことに成功した.最大クリーク問題が多項式時間的に可解となる基本的結果も確立した.また,最大クリーク抽出アルゴリズムがハイパーグラフにおいても効率的に稼働する様に拡張した.更に,これらのアルゴリズムをデータマイニングなどの実問題に応用して有効な結果を得た.
著者
黒木 和彦
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

量子力学によって支配される粒子である「電子」は波としての性質を持ち、その周波数と波長(あるいは逆数である波数)の間には一定の関係(分散関係)がある。波の分散関係は一般にそれが伝わる媒質によって異なるが、物質中では電子の分散関係が「バンド構造」となって現れ、物質の性質に重要な影響を及ぼす。一方、物質中には多くの電子が存在し、お互いに反発力(相互作用)を及ぼしあいながら運動している。本研究課題においては、物質が持つ「特異なバンド構造」と電子間の「相互作用」が協力しあうことで生み出される興味深い電子の伝導現象について、その起源と、そこで得た知見をベースにした新機能性物質開発のための設計指針についての理論的研究を行った。
著者
児玉 幸子 小池 英樹
出版者
電気通信大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

これまでの研究で、インタラクティブアートにおいては、展示会場に生じたイベントや鑑賞者が起こすイベントに対して、作品から効果的なインタラクションが返ったときに感じられるインタラクションの「つぼ」があることがわかってきた。本研究では、インタラクションが成功する争件を探るために、何種類かの入力デバイスを選び、タイミングなどの条件を変えて実験を行った。インタラクティブアートは、CGをモニタやプロジェクターに出力することが多いが、磁性流体ディスプレイを用いれば、CGの技術的制約から離れた実験が可能である。その特徴は,(i)微細な信号にも敏感かつダイナミックに反応するインタラクション、(ii)肌理細かなマテリアル性,(iii)液体であることに起因する形状変化(例:CGのモーフィングのような連続的変形。磁場に応じて、流動的状態や、スパイク状の突起をもつ何らかの形状を静止したまま保持する状態に移行できる)となる。芸術作品にはマティエールが重要と言われる。物質表面の肌理細やかな素材感は、芸術において極めて重要である。リアルタイムに3次元形状を変化させる場合、CGにおいでは画像の生成速度から生じる制約が大きく、テクスチャーの肌理はある程度犠牲にしなければ滑らかで自然なインタラクションは可能ではない。磁性流体ディスプレイを使えば、再現する形の制約はあるが、電気信号をほぼリアルタイムに液体形状の変化として反映できる。従って本研究では、まず磁性流体ディスプレイを中心に据えてリアルタイムのインタラクションの効果的技法を検討し、入出力の内容とタイミングをモデル化した。具体的には(a)画像認識を用いる手と形状のインタラクション(b)測音計を用いる音声と形状のインタラクションの2項目について実験した。その結果を最初に簡単なCGに反映させ、次に調整を加えて磁性流体ディスプレィに反映させて、独自のライブラリを構築した。今後複数の入力デバイスを統合的に用い、展示会場の画像・環境音、人間の動作等に連動して変化するダイナミックなインタラクティブアートを製作したい。
著者
市野 順子
出版者
電気通信大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

マンガデザイナの観察を通して,マンガデザインの初期段階においてデザイナは,キャラクタ(登場人物の設定)・プロット(物語の筋書き)・ネーム(ラフなコマ割)の三要素を用いて,抽象化と具体化を繰り返しながら試行錯誤していることがわかった.しかしながら,従来のツールはこれらのタスクについて十分に支援していない.本研究では,デザインの初期段階のマンガデザイナを支援するシステムを作成した.本システムでは,デザイナは,アイディアの抽象表象と具体表象の間をシームレスに行き来しながら三要素を作り上げることがき,また多数枚を同時に参照できる.プロデザイナによる評価を行い,デザイナが本コンセプトに好意的な反応を示し,提案システムを用いてデザイン作業を行うことに関心があることがわかった.