著者
金子 治 川口 由起子 石川 好江 稲垣 和正
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.429-438, 1997-12-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
9
被引用文献数
3

加齢にともなう肌表面の物理特性-凹凸や透明度-の変化と, 目で見て感じるくすみとの関連を明らかにすることを目的として, 肌表面微小凹凸度と皮膚分光透明度という2つの物理特性値を新たに定義し, その数量化の方法を考案するとともに, 前報で報告したくすみ度Yと, それら2つの物理特性値間の相関関係を調べた。結果として, メラニンの多寡による呈色度合いM1と血流・血行のよしあしM3のほかに肌表面微小凹凸度, 皮膚分光透明度という2つの物理特性値を新たに追加することによって, 目で見て感じるくすみをより精緻に, より客観的に数値化できることを示唆するデータが得られた。
著者
金子 治 塚田 弘行 石川 好江 川口 由起子
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.44-51, 1997-03-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
14
被引用文献数
4 2

肌のくすみはよく知られた現象であり多くの女性にとって美容上の悩みの1つである。しかしながら, くすみの生理学的定義や発生メカニズムについてはいまだ定説がない。そうした中でメラニン色素や, ヘモグロビンの量の変化がくすみの原因の1つであるとされているが, その関連は明確にされていない。見た目で感じるくすみは, 心理物理的現象であり, 皮膚から反射された光そのものを調べてみる必要がある。著者らは, 見た目で感じるくすみに寄与する因子を抽出するために, 皮膚から反射される光の分光反射率を線形で表現することを試み, くすみの視感評価結果と, メラニン量や血流を反映する皮膚反射光の分光特性との間に, 有意な相関を見いだした。
著者
橿淵 暢夫 太田 尚子 宮沢 雅一 藤原 典雄 木下 篤 平井 義和
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.290-296, 1999-09-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
6
被引用文献数
3 1

敏感肌はわれわれ化粧品開発にたずさわるものにとって大変重要な課題である。にもかかわらず, その実体はよくわかっていない。今回, その実体を明らかにすることを目的にいくつかの検討を行った。その内容は (1) 本人の肌意識 (自覚肌質) を形成している因子を問診をとおして明らかにすること, (2) そしてそれが年間をとおしてどのような変化をするかを明らかにすること, (3) 角質形態と自覚肌質との間に関連性があるかないかを検討することである。その結果, (1) 自覚肌質の形成には共通の体験がうかがえること, (2) 自覚肌質の分布は年間をとおして変化がないが, 個人は入れ替わっていること, (3) 角質細胞形態のなかには自覚肌質と相関のあるものがあるが, そのなかでは角質細胞面積との関連性が強く, 理論値からの乖離値との相関が最も高かった。その結果, 問診の結果と細胞面積の理論値からの乖離値を組み合わせることで自覚肌質を客観的に特徴づけることが可能となった。
著者
井上 さくら 荒木 徳博 木村 知史
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.127-132, 2001-06-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
9

本研究では創造的思考に着目し, 新しい発想を生み出そうとする場合の香りの効果を検討した。実験では創造性検査の一種である用途テストを用い, 「カンヅメのあきカン」の使い方を自由発想で20分間記述させた。用途テスト開始12分後にローズマリー, ペパーミント, オレンジ (以上香り呈示群), 香りなし (統制群) のいずれかを呈示した。回答は, 分類基準に従い, カンヅメのあきカンのもつ容器的使途と類似性の高い発想-Tタイプ-と, 類似性が低く独創的な発想-Hタイプ-の2種類のカテゴリーに分け, 各カテゴリーにおける香り呈示前後の回答数の変化を求めた。香り呈示群と統制群の回答数の変化を比較した結果, Tタイプでは, 香り呈示群と統制群との間に差はみられなかった。一方, Hタイプでは, ローズマリーとペパーミント呈示群は統制群と比較し回答数が有意に増加し, オレンジ呈示群では有意差はなかった。このことより, ローズマリーやペパーミントの香りに独創的な発想を促す効果がみられることが示唆された。さらに, 創造的態度得点の低い人がローズマリーやペパーミントの香りを嗅ぐと, より一層この効果が高くなる傾向がみられた。
著者
高橋 きよみ 村松 宜江
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.17-24, 2002-03-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
8
被引用文献数
3 1

従来から顔面で皮脂の多い部分は, 額, 鼻, 顎とされTゾーンと呼ばれているが, これらと現実の化粧くずれは必ずしも一致していない。そこでわれわれはこの検証を行うため, 美容スタップを対象とした意識調査や顔面各部位の皮脂測定および皮脂分泌状態の観察を行った。その結果, 顔面を19部位に分割することで, 個人の皮脂ランクパターンが表現できることを確認した。次に化粧仕上がりおよび化粧くずれに対する乳液の影響を顔面各部位で評価したところ, その部位の皮脂ランクによりプァンデーションの付着量に差があり化粧くずれ印象も異なることを確認した。これらの結果よりわれわれは, 皮脂量の多い鼻, 眉間, 頬上内側および顎の部位を一括してIゾーンと呼ぶことがふさわしいと考えた。また, ベースメイクを行う際には, 各自の各部位の肌性に合ったモイスチャー品のタイプの選択および使用量の調整を考慮すべきであると考えた。
著者
辻 澄子 徳永 裕司
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.201-210, 2006-09-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
17

青色1号 (B1; ブリリアントブルーFCF) はアルカリ溶液中で加熱することにより分解することが知られているが, 室温ではアルカリ性でB1の色調変化がないといわれている。そこで, B1のアルカリ溶液中の加熱分解挙動をLC/MSおよびHPLCを用いて検討した。その結果, 市販B1中に存在する副成色素エチルアミン体 (B1sub-EA) およびフェノール体 (B1sub-HP) の生成が確認された。B1sub-EAの生成は非常に少なく, B1の殆どは赤紫色を示すB1sub-HPに分解していった。B1sub-HPはアルカリ溶液中互変異性体であるオキソシクロヘキサジエニリデン体 (B1sub-OCD) へ変化することが示唆された。同様に, アルカリ溶液中B1の異性化が起こり, 極大波長が同じ4級アンモニウム水酸化物へ変化することが示唆された。また, 温度の影響も検討した。その結果, 低い温度ではB1の異性化が律則段階となり, 分解は遅く, 室温での色調変化は短時間では見られないことが示唆される。
著者
小林 紀子 臼井 俊博 新井 清一 福田 忠彦
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.36-44, 2002-03-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
16
被引用文献数
2 2

人は種々の肌状態を評価する際に, 顔のどの部分をどのように見て判断しているのであろう。本研究の目的は, スキンケアで重視しなければならない部位や, 美しい肌を演出するために重視すべき部位を明らかにすることである。測定方法は, 「キメの粗さ」「つや」「なめらかさ」「肌の美しさ」など14項目についてモデルの肌を評価し, その際の眼球運動データを測定した。その結果, 頬や鼻は多くの評価項目において注視されることがわかった。「毛穴の目立ち」の評価では鼻の頭や小鼻のあたりに注視がみられ, 主観申告による判断部位と一致していた。また, 「つや」の評価では, 鼻の頭や頬のふくらんだ部分に注視の集中がみられた。このように, 評価する肌項目によって注視される部位が異なっていることが本研究より明らかとなった。さらに, 「肌の美しさ」の評価では, 頬上部から鼻周辺, 口周辺, 頬下部の範囲に注視が分布した。本研究により, 肌を評価する際の眼球運動が定量的に示された。このことは, スキンケアや美容に関するカウンセリングに役立つ情報が得られるだけでなく, 新しい皮膚計測法の開発において, 測定すべき部位を決めるためにも役立つと考えられる。
著者
立川 一義 大坊 郁夫
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.307-309, 2000-09-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
1
被引用文献数
1 1

『コミュニケーションの円滑化をたすける香り』をテーマに創作した香水のパーソナルスペース (以後PSと略す) 減少効果を測定し興味深い結果を得た。大学生パネラー30名の協力を得て, 香りなし, 創作香水A, 創作香水B, の3条件で, 前後左右4方向について, ストップデイスタンス法によりPS計測を行った。その結果, 香りなしに比べ, 香水A, Bはそれぞれ面積比換算で50%, 20%のPS減少効果がみとめられた。PS減少の原因を子細に論ずることはできないが, 減少効果のより大きかった香水Aと小さかったBの香りの印象を比較してみた。すると, 香水Aは刺激的, 香水Bは親しみやすいという印象としてとらえられていた。この結果は「嗜好性の高い香りほどPS減少効果が大きいのではないか」という想像に反するもので興味深い。
著者
Takanori Matsubara Chinami Seki Hidekazu Yasunaga
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.130-140, 2022-06-20 (Released:2022-06-21)
参考文献数
21
被引用文献数
1

In this study, the authors investigated hair colouring by utilising chemical oxidation of biocatechols, which are obtained from organisms and have catechol (o-dihydroxybenzenes) groups such as (+)-catechin (Cat), (-)-epicatechin (EC), L-3,4-dihydroxyphenylalanine (DOPA), hematoxyline (HX), braziline (BZ), rosmarinic acid (RA), caffeic acid (CA) and chlorogenic acid (ChA). The three types of dyeing methods for the chemically decolourised white human hair were tried as follows: the dyeing by using the solution of the oxidised bio-catechols at 30 °C and pH = 7 (redissolution dyeing), the dyeing by using the oxidation solution of bio-catechol reacting at 30 °C and pH = 10.8 with the introduction of O2 gas continuously (simultaneous oxidation dyeing) and the oxidation by O2 at 30 °C and pH = 11.6 after the treatment of hair with the bio-catechol solution at 30 °C (post-oxidation dyeing). The order of the hair dyeability of the methods using Cat as the bio-catechol was found to be post-oxidation>redissolution>simultaneous oxidation dyeing. Moreover, the resulting colour of hair dyed with Cat by post-oxidation dyeing was reddish brown. The results demonstrate that EC, HX and BZ are also available for hair dyeing by using post-oxidation dyeing and the colours of the dyed hair are yellowish brown, deep brown and reddish brown, respectively. It was found that the bio-catechols having a chroman (3,4-dihydro-2H-1-benzopyran) structure with the catechol part work effectively as dye precursors for colouring hair by the post-oxidation dyeing technique.
著者
西村 博睦 高須 賀豊 山本 めぐみ
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.88-94, 2006-06-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
6
被引用文献数
3 2

日本では, 「美」を表現するとき, “みずみずしい”という言葉を使用する。この“みずみずしい”は, Youthful, Fresh, Watery, Dewy等, 種々の「生命感あふれる美」の要素を含む形容詞であり, 場面に応じて使い分けられる。「見た目にみずみずしい肌」とは, 水分を含み潤っているように見え, 美しいツヤのある肌のことを表す。しかし, われわれが実施したコルネオメーターによる角層水分量と視覚官能評価との対応に関する研究では, 「実際に角層に水分を多く含む肌」と「見た目のみずみずしい肌」には, 相関性がほとんどなかった。そこでわれわれは, 「見た目にみずみずしい肌」を解明し, 美の要素の一つとなる“みずみずしく見せる”機能を持ったメークアップ品の開発に挑戦した。このためには, まず何をもって「みずみずしく見えるのか」, また「見えないのか」を定義する必要があった. そこで100名の女性を対象とした官能評価を実施した。その結果, これらのパネラーは「みずみずしく見える肌: 25人」と「みずみずしく見えない肌: 75人」の2グループに分けることができた。さらに「みずみずしく見えない肌」の要因に着眼し官能評価をしたところ, 乾燥して見える肌と脂ぎって見える肌の2グループに分類できた。そして, この計3グループの肌の見え方の違いを, 特殊な条件で解析した光学特性値を用いることで定性的に分類することに成功した。さらに, 肌の光学特性値がこれらのグループをなぜ定性的に分類できるのかを探った結果, 表面の形態 (ミクロ的な均一性) と明らかな関連性があることが判明した。「みずみずしく見える肌」の光学特性の知見から, 「みずみずしく見える」機能を組み入れるメーク膜の設計を行い, ファンデーションを開発するに至った。
著者
金子 勝之 山崎 亮太 藪 李仁 曽山 美和 熊野 可丸 金田 勇 梁木 利男
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.8-13, 2001-03-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
9

ポイントメーキャップにおいて爪化粧料は, 口紅に次いで主要なアイテムとして使用されている。さらに近年, ネールサロンやネールアートの台頭で, その使用者はますます増加し, 重要な化粧料に位置づけられてきている。このネールエナメルに求められる特性として, 「乾きが速い」「はがれにくい」「仕上がりが均一でつやに優れる」「爪に優しい」「つやや仕上がりの持続」等が挙げられ, その中で特に「乾きの速さ」に関する要望が強く, 常に求められる機能の上位に挙げられてきた。これに対し, 溶剤の揮散により被膜を形成する速乾性タイプのものが種々上市されてきたが, 塗布後の仕上がりの美しさが損われることから, これ以上の乾燥速度の短縮は困難とされていた。今回は「エナメルが乾く」という現象をまったく新しいユニークな発想で捉え, ネールエナメルの乾燥時間を飛躍的に短縮し, 超速乾性を実現した「水で乾かすエナメル」の技術開発を例に速乾性エナメルについて概説する。
著者
晴佐 久満 鍋嶋 詢三 石垣 薫 橋本 典子 豊田 由賀理
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.100-104, 1985
被引用文献数
8

Mutagenicities of the toothpaste ingredients, which were on the market, were investigated on salmonella typhimurium TA98 and TA100 by the Ames test.<br>The test samples used were four humectants, five binders, three foaming agents, two sweettening agents, four flavouring agents, four preservating agents, four abrasive agents, and ten medicinal ingredients, which were the materials for a toothpaste.<br>As a result of experiments, no mutagenic activity was shown with all samples studied.
著者
久留戸 真奈美 菅沼 薫 奥田 祥子
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.340-344, 1996

MED (Minimal Erythema Dose) のaction spectrumに分光感度を合わせたUV-B放射計 (MS-210 D型, 英弘精機製, 携帯型試作品) を使用し, 身体の部位別に受ける紫外線量をスキー場と海浜他の場所で測定した。この結果, 部位別には, 海浜で頭頂部, 肩, 額と受光量が多く, 一方, スキー場では頭頂部より額や胸の受光量が多く, また頬やあごなども全体的に高レベルで, 反射が多量であることを示していた。また, 同時期夏の海浜と都心の公園の広場では, UV-B量の最大値は接近しており, 都心でも海浜同様に紫外線に注意しなければならないことが示唆される。<br>更に, 日光暴露実験の結果, スキー場, 海浜とも, 無塗布部位は日焼けを起こしたが, SPF28の紫外線防御用化粧品を塗布した部位は, 視覚的にはほとんど変わらなかった。日焼けからの回復速度にはモニター間で明らかな差があった。
著者
大江 昌彦 谷田 佳子 山村 達郎
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.333-337, 2001-12-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
3
被引用文献数
3 4

肌の透明感は女性の理想の肌状態にも挙げられており, その肌状態の特性を解明することは化粧品の開発に重要な意味があると考える。肌状態に関する意識を調査したところ, 透明感を感じる要素として, キメが細かくみずみずしいなど肌に水分が十分に保持された状態が必要であることが示された。そこで, 肌の透明感と角質層の水分量との関係を明らかにするために, 剥離した角質層の水分量を変化させたときの角質層の透過率を分光光度計で測定した。角質層の水分量が38%以下では, 水分量の増加とともに透過率は上昇したが, 水分量が38%以上では反対に水分量の増加とともに透過率は低下した。また, 健常女性90名の頬に水負荷した場合の分光反射率を測定したところ, 皮膚表面の水分量が多いパネルや, 肌に透明感を感じるパネルでは水負荷後の分光反射率が高くなることが認められた。これらの結果から, 水分量の増加にともなう角質層の透過率の変化が, 肌の透明感を感じる一つの要因であると思われた。
著者
安福 正憲 橋本 浩明 浜井 順三 上杉 与八
出版者
THE SOCIETY OF COSMETIC CHEMISTS OF JAPAN
雑誌
日本化粧品技術者連合会会報 (ISSN:1884412X)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.100-105, 1969-03-01 (Released:2010-08-06)
参考文献数
12

It has been confirmed that Pseudomonas is dominant contaminant in commercial shampoo and shows an important role in initial product spoilage due to microbial activity. And then, bactericidal activity of several preservatives used in cosmetics has been tested in model shampoo using practical aging test.1) Sixty two per cent of isolated bacteria from commercial shampoos were identified as Pseudomonas species. The rest was unidentified gram-negative rods (21%) and gram-positive rods (17%), 2) Many of the Pseudomonas strains from shampoo could assimilate sodium lauryl sulphate as sulphur source and some of them could produce alkylsulphatase.3) In bactericidal activity of preservatives tested for isolated bacteria, Vancide 89 and nitrofran derivative showed pretty effect but carbanilide, bisphenol, salcylanilide and benzoate derivative showed less effect.4) Contamination by alkylsulphatase positive Pseudomonas into commercial shampoo contained alkylsulphate is an inherent problem. It is essential for us to take the practical aging test in using alkylsulphatase positive strain of Pseudomonas in order the effective bactericidal preservative may be selective.
著者
近澤 正敏
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.103-118, 1993-09-16 (Released:2010-08-06)
参考文献数
37

In the cosmetic industry, many inorganic powders are used, and for their easy handling and improvement of functional properties of the powders, various things are demanded. Generally, powder characteristics and surface phenomena concerning the inorganic powders depend largly on their surface properties. Therefore, surface characterization of powder particles is very important to clarify the mechanisms of powder phenomena, and to use effecively the powders. At the surface of the powders, continuity of chemical bond disappears and the surface property becomes more active according to its unsaturate degree.In this paper, physical and chemical states of real surface, for examples surface conductivity, adhesion, acid-base, and oxidation-reduction properties are discussed in relation to the peculiar nature of the solid surface.
著者
柿野 賢一 津崎 慎二 田中 克幸 服部 利光 松下 和弘 岡林 博文 正山 征洋
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.379-385, 1998-12-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
32

水をベースにした化粧品を考える上で, 水のクラスターが小さい水 (クラスター水) の挙動には非常に興味深いものがある。われわれは, 松下が提唱した水の17O核磁気共鳴 (17O-NMR) スペクトルの半値幅を求める方法により, クラスター水のクラスターの大きさを市販の精製水と比較した。クラスター水の半値幅は56.3Hz, 精製水のそれは142.4Hzであり, この事実からクラスター水が精製水に比較して平均的にクラスターのサイズが小さいことがわかった。さらに, クラスター水と精製水への油脂の分散性を1H核磁気共鳴 (1H-NMR) 分光法を用いて, 油脂の有するメチレン基のプロトンをもとに評価したところ, クラスター水への分散性は精製水と比較してよいことが確認された。また, モノオレインを用いたエマルジョン形成においても, クラスター水は精製水と比較して均一なエマルジョンを形成しているのが確認された。以上より, 水のクラスターの大きさ, 動的構造の差異が油脂の分散性に影響を及ぼすことが示された。
著者
渡辺 真理奈 中田 功二 門司 和美 苗代 英一 牧野 武利
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.178-182, 1994-09-15 (Released:2010-08-06)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

Recently, it was reported that the topical application of H2O extract of mugwort [Artemisia princeps P.] effectively prevents the itching and the inflammatory responses. However, its pharmacological mechanism is unclear. In order to clarify some of the active ingredients and their pharmacological effects, we examined in vitro and in vivo anti-inflammatory effects of the H2O extract and its fractionated parts of mugwort. The fractionation was carried out on a method of liquid-liquid partition with H2O-n-BuOH, and further reprecipitation on the concentrated H2O layer from H2O-EtOH. The fraction obtained as a precipitate significantly inhibited histamine release from rat peritoneal mast cells induced by compound 48/80. The topical application of this fraction also significantly inhibited (1) the hind paw edema induced by compound 48/80 and (2) the vascular permeability enhanced by the intradermal injection of histamine and serotonin. These results demonstrated that the anti-histamine components obtained in the fraction of water soluble and ethanol insoluble phase showed an anti-inflammatory effect.
著者
松崎 文昭 吉野 修之 梁木 利男 松本 俊 中島 英夫 西山 聖二
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.291-298, 2000-09-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
10

化粧品において皮膜剤として用いられてきたエチルセルロースについて, その両親媒性構造に着目し, 乳化剤としての可能性を検討した。種々の油分を用いて乳化を試みた結果, エチルセルロースが極性油をW/O乳化可能であることが見出された。蛍光ラベル化したエチルセルロースを用いた評価系の結果から, エチルセルロースは界面に吸着層を形成すると同時に連続相に構造体を形成することで, W/O型エマルションを安定化することが示唆された。このエチルセルロースを用いたW/O型エマルションは, イソステアリン酸とカルボキシメチルセルロースNaの添加によりさらに安定化し, 化粧品として要求されるレベルまで安定化できることがわかった。本基剤の特長は, 従来乳化が困難であった極性油を安定にW/O乳化できる点にあるため, サンスクリーン剤への応用を次に試みた。この結果, エチルセルロースは乳化剤として作用し, エマルションが調製されると同時に, 塗布後は皮膜剤として作用し, 高い耐水性を与えることが示された。