著者
松岡 茂 阿部 卓
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.6, no.5-6, pp.569-571, 1972-12-30 (Released:2008-11-10)
参考文献数
6

We observed several flocks of the ground linnet Leucosticte arctoa at high levels of Daisetsu Mountains, central part of Hokkaido, during the summers (August) of 1970 and 1971.Some of the individuals observed had a juvenile-like plumage pattern and one of them was being fed something by an adult male (Fig. 4).Though it was not proved that the individual was a juvenile fledged in this season, this may suggest the breeding of the species in this area.
著者
高木 昌興
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.30-38, 2002-10-25 (Released:2008-11-10)
参考文献数
21

アカモズの一亜種(Lanius cristatus superciliosus)は,北海道において過去30年間に急激に減少した。1992年から1996年までの5-7月の繁殖期に北海道で得られたアカモズの繁殖成績と雛の成長について報告する。調査期間中に合計41巣から情報を得た。平均巣立ち成功率は53.7%,平均一腹卵数は5.3卵,平均孵化雛数は5.1雛であった。巣立ちに成功した巣あたりの平均巣立ち雛数は4.4雛で,その巣立ち率は90.3%であった。繁殖失敗の主要因は卵,もしくは雛の捕食であった。カッコウによる托卵率は低く,アカモズは托卵されたカッコウの卵を選択的に除去するか,巣を放棄することで托卵を受け入れなかった。15巣75雛の体重とふ蹠長の成長をロジスティック曲線で近似させ,漸近体重27.1g,日あたり体重増加率0.4,体重増加の変曲点5.7日目,漸近ふ蹠長は24.9mm,日あたり伸長率は0.3,ふ蹠伸長の変曲点4.4日目の結果を得た。
著者
川上 和人 樋口 広芳
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.19-29, 2003-09-30 (Released:2008-11-10)
参考文献数
29
被引用文献数
13 15

動物園の飼育個体数の記録を用いて,ミゾゴイ,オオタカ,サシバの1960年代以後の個体数推移の推定を行った。これらの種は,動物園で積極的に収集している種ではなく,また飼育下での繁殖もほとんどされていない。そこで,飼育個体数は保護個体数を,保護個体数は野生個体数を反映していると仮定した。また,これらのデータを補強するため,新潟,栃木,伊良湖岬,宮古諸島での個体数推移の記録を収集し検討した。その結果,ミゾゴイとサシバは1960年代以後,全国的に減少していることが示唆された。これに対しオオタカは全国的に増加傾向が見られた。ただし,飼育個体数で評価したため,過大評価の可能性があり,今後野生個体群に関して詳細に検討していく必要がある。ミゾゴイとサシバの減少は,生息地や食物資源,越冬地の森林の減少等が原因と考えられる。この2種はこれまで保全上あまり注目されてこなかったが,レッドデータブックでの地位を上げ,保全に積極的に取り組んでいく必要がある。
著者
黒田 長久
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.4, no.5, pp.384-387, 1966-06-30 (Released:2008-11-10)
被引用文献数
1

筆者は1965年度生態学会総会でカッコウ類のタカ斑擬態の意義について考察を述べた(動物学集報3月1966)。その際,タカ斑自体に相手を威圧する効果があることに言及した。この短報では,それをさらにほり下げてみたい。白地に黒の太い帯をなす猛禽斑は,猛禽類の翼や尾の下面で著しい。猛禽が獲物を捕える瞬間はこの翼尾の下面の斑を最大限に展開するので獲物をすくませ,捕えてからも翼を拡げるので(体のバランスをとるため),ますます相手を威圧して捕獲を容易にするだろう。タカ斑が困難な獲物を捕える種類でより著しく発達していることは,この想定を支持する。例えば,Falco, Accipiter, Spizaetus,とくに最強のStephanoetusやハーピーイーグルHarpiaに至り斑は最も大胆であり,ノスリ,トビなどネズミを主食とするものや魚食のウミワシ類や屍食のハゲワシなどでは斑は著しくない。但しイヌワシは例外だが,このグループは比較的弱いものを捕えるアシナガワシなどの小型種から進化したものと考えられる。この仮説は,タカ斑とそうでない模型で鳥類の反応を試せば実験的に証明ができよう。筆者が簡単な実験を行なったところでは,明らかではなかったが,組織的な実験を試みる必要がある。ハチクマはヂバチを食べる弱い種でありながら,タカ斑を示す(とくに尾)例外といえるが,これは他の猛禽とくに人型のクマタカの攻撃に対する予防的擬態であると考えうる。この両種は共に熱帯系の森林の鳥で,セレベスのクマタカSpizaetus lanceolatusとハチクマPernis celebensisは,幼鳥は幼鳥,成鳥は成鳥に極めて類似している。この鳥では,後者はその擬態によって種を維持できたとさえ考えられる(幼鳥と幼鳥,成鳥と成鳥の類似は,タカ類に多い幼鳥の白の多い型が両者にあり,擬態淘汰を経たのであろう)。猛禽がより弱い猛禽を他の鳥と同様に獲物として扱うことは,ワシミミズクやオオタカの食餌物に多くのタカやフクロウの類が含まれている例で明らかである。また,カッコウ類でもタカ斑はやはり翼や尾の下面にのみみられ,地上の仮親の巣を発見するのに威脅飛行を行なって親鳥を追い出す習性や産卵中仮親の攻撃を受けた時など翼尾を開き,その裏のタカ斑を展開する習性があり,籠鳥が人に対してこの動作をなしたことは昨年報じた。かようにみると,猛禽やカッコウ類のタカ斑は,共に相手を威圧する効果があり,それにより,前者では獲物の捕殺を容易にし,カッコウ類では仮親の巣に寄生産卵の成功率を高め,共に生存に有利なため淘汰進化したものと考えられる。そこで,機能的には捕食と寄生産卵の違いがあるが,その起原は鳥類の羽斑の一つの遺伝因子(タカ斑因子)が選択強化されたものに過ぎない。そして,それに似た斑は,例えば,キジ類の翼にもみられるが,この場合は保護色効果として発達した(山階鳥類研究所)。
著者
岩佐 真宏 クリュコフ アレクセイ 柿澤 亮三 鈴木 仁
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.66-72, 2002-10-25 (Released:2008-11-10)
参考文献数
20
被引用文献数
6 6

アジア(ロシア•日本•ラオス)産ハシブトガラスの種内変異(地域変異)について,ミトコンドリア遺伝子チトクロームb(336塩基対)を用いて調査した。塩基配列を基に作成した近隣結合系統樹では,主に4つの地域変異グループ,1)ロシア極東地域-沿海州およびサハリン北部,2)サハリン南部および九州までの日本列島,3)奄美大島,4)ラオス,が得られた。この4つの遺伝子型によるグループは,既報の形態変異によるグループ(亜種分類)とほぼ一致していた。ハシブトガラスにおいては,海峡などによる地理的隔離•島嶼形成が遺伝子流入の妨げにはなっておらず,特に陸続きであるはずのサハリン北部•南部間で明瞭な異なる遺伝子型グループが観察されたことは,両者の個体群形成の歴史が,同じ島でありながら異なることを示唆するものであった。
著者
細野 哲夫
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.7, no.5, pp.533-549, 1975
被引用文献数
2

1.1962年4月から1973年12月までの間に,長野県長野市川中島北戸部附近でオナガと他の鳥類との相互関係について調査した。<br>2.北戸部附近に行動圏をもつ常行寺オナガ群の行動圏内に出現した鳥類は,27科53種である。そのうち,次の17種にオナガとの反応行動が観察された。オオミズナギドリ,ゴイサギ,コサギ,マガン,トビ,ノスリ,チョウゲンボウ,コアジサシ,キジバト,カッコウ,ヒヨドリ,アカモズ,スズメ,ムクドリ,コムクドリ,カケス,ハシボソガラス。<br>3.反応行動がみられた17種について代表的な事例を述べた。<br>4.反応行動をその発生状況と場面から,害的関係,食物関係,塒関係の三点に分け種別に第6表にまとめた。<br>5.害敵関係は,13種の間にみられた。その際の反応行動は,A,警戒的な音声の発声B,攻撃C,擬攻撃(mobbing)D,追撃飛翔E,逃避の五つにまとめられた。Aによる表現が最も多く観察された。<br>6.ゴイサギ,コサギなどの大型の水鳥類に鋭敏に反応した。捕食者的地位にないものになぜ反応するかは,明らかでない。<br>7.ノスリ,チョウゲンボウの飛翔しているものに反応を示し,停止しているものには,全く反応を示さないか,または,mobbingした。トビに対しては,主として低空の直線飛行にのみ反応を示し,その行動に前2種とは,別な評価を下していた。<br>8.カッコウに対する反応の頻度は低く,タカ類に似た羽色や形態が効果的に作用しているかどうか明確でない。<br>9.ハシボソガラスとは,警戒的な音声による反応が通年(第5表参照)みられたが,繁殖期には,攻撃,追撃飛翔などの烈しい行動が加わった。また,幼鳥や塒への通過鳥には反応行動は示さなかった。<br>10.食物関係としては,ムクドリ>オナガ>ヒヨドリという順位が成立していた。種間の食物争いは,食物の量や分散状況のみならず,鳥相互が,どの食物を選択するかによっても生ずる。<br>11.塒関係は,ムクドリとの間にみられた。ムクドリの個体数が増加することによって,オナガは,塒を移動した。
著者
Nagahisa Kuroda
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.189-211, 1962-12-31 (Released:2008-11-10)
参考文献数
9
被引用文献数
5 13

Cervical muscles in eleven Orders and nineteen species of birds were compared by semidiagramatical illustrations of the lateral view. The main series of cervical muscles studied was given the following nomenclature:1. Dorsal muscles1. Biventer muscle, M. biventer cervicalis2. Dorsal long cervical muscle, M. longus colli posticus (M. spinalis)a. Longitudinal part, pars longus b. Anterior part, pars anteriorc. Posterior part, pars posterior d. Inferior part, pars inferior3. Dorsal profound cervical muscle, M. profundus colli posticus4. Intercrestal muscle, M. intercristalisII. Lateral muscles1. Oblique cervical muscle, M. obliquus colli2. Lateral cervical muscle, M. colli lateralis (M. intertransversalis)III. Ventral muscles1. Ventral long cervical muscle, M. longus colli anticusa. Longitudinal part, pars longus b. Anterior part, pars anteriorc. Posterior part, pars posteriorThe development of these muscles is extremely variable both adaptively and possibly taxonomically and in some groups is very specialized. These complexities of the avian cervical muscle system are the natural result of their variety of uses of the neck in food-getting and other activities. The myology of this interesting and important part of avian body, however, has been curiously neglected and is open to future detailed comparative studies.
著者
田岡 三希 佐藤 哲 鎌田 勉 奥村 浩
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.82-90, 1988-09-30 (Released:2008-11-10)
参考文献数
14
被引用文献数
8 11

1 北海道の大黒島でコシジロウミツバメOceanodroma leucorhoaの鳴声がどのような状況で発せられるかを調べた。2 鳴声のレパートリーは主にChatter-call,Purr-call,Screech-callの三種で各々雌雄共に鳴く。このうちPurr-callとScrreech-callは特定の状況下でのみ鳴かれ,状況特異性が見られた。3 Purr-callが鳴かれる巣穴には必ず雄,雌の二羽がおり,また卵や雛はいない。従って,この鳴声は求愛行動や番形成に関係していると思われる。4 Screech-callは同性の二羽の間で鳴かれ,おそらく闘争に伴って鳴かれる鳴声と思われる。5 Chatter-callは様々な状況下でまた他の鳴声と共に鳴かれるが,飛翔個体はほとんどこの鳴声しか鳴かない。しかしながら,Chatter-callの鳴かれる状況をそれに伴って鳴かれる鳴声に従って分類すると状況特異性が見られた。このことはこの鳴声が状況の違いにより複数の機能を持ちうることを示唆する。事実,この鳴声の再生実験を巣穴中の個体に対して行ったところ,様々な反応を誘起した。
著者
黒田 長久
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.110-119, 2007

カツオドリ <i>Sula leucogaster</i> に比してアオアシカツオドリ <i>S. nebouxii</i> の剥皮体は胸筋が円筒状で肩の張りもない点で異なる。これは後者が前者より高空から深海突入する突入度の違いを反映している。アオアシカツオドリは全く水しぶきをあげずに突入し,カツオドリは多量の白泡を立てる。また,トビウオを空中捕捉する。最も熱帯性のアカアシカツオドリ <i>S. sula</i> は突入体型の度が低い。カツオドリ類はその突入とその前の空中バランス浮揚に関連して大胸筋主部の下に筋肉の盛り上がりのある点が特徴である。アオアシカツオドリは胸筋長/腹長比が1.5でカツオドリの0.9より長いことも深海突入に適応して翼力の強化を示す(強い翼搏には長い胸筋が必要)。胸筋全量 117.2 g, 脚筋量 51.0 g であった。肩部に未記載と思われる三筋,<i>m. biceps subaccessorius</i>(下副二頭膊筋),<i>m. deltoideus major inferior</i>(下大三角筋)と <i>m. deltoideus medius</i>(中三角筋)を認め命名した。
著者
杉浦 邦彦
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.293-308, 1974

1)伊勢道路は1893年頃,3.0m幅の小さな県道であったが1965年,日本道路公団により幅6.5mのアスファルト舗装道として開通した。当時は1日平均1500台の自動車通過をみたが最近はその3.5倍近い5300台の通行量となった。これにともない野鳥の斃死体が道路上で頻度高く発見されるようになったため,これをとりまとめ解析してみた。<br>2)神宮林は一般に暖帯林の天然林であると考えられているが大部分は人工林である。ところが伊勢道路の通過する個所は常緑広葉樹が主体となり,落葉広葉樹は極くわずか点在している。いわゆる天然林が五十鈴川の上流に沿って細長く続き,この天然林の中を伊勢道路が走っている。<br>3)野鳥の事故件数を年次的変動でみると.その相対被害優占度(相対被害数/総合計相対被害数×100)は開通当時の1965年よりも1972年の方が大きく,その値は約3.2倍となっている。これは自動車の通過数量の約3.5倍と同じに近い数で野鳥の被害数と自動車の通過数とは比例しているようである。<br>4)10科18種に及ぶ被害野鳥は72.2%が留鳥,16.7%が冬鳥で両者合せて89%の多くになる。そしてこの野鳥の被害数全体の1/3が若鳥であることは注目させられる。また,被害野鳥はジョウビタキの21.4%を最高に,ホオジロの14.3%と続き,実にヒタキ科に属するものは全体の45.2%にも達する。これは野鳥の生活環境による例えば採餌,ねぐらなどの習性からくる影響によるものではないだろうか。<br>5)被害野鳥の季節的傾向については3月の19%を最高に2月,4月,11月,12月,1月の10%。台で,11月から翌年4月の6カ月間に87%が衝突被害を受けており,夏季より冬季の方が被害は約3倍ほど多くなっている。これは神宮林内の野鳥生息密度数と関連しているようである。<br>6)被害野鳥の死亡原因を明確なものだけとってみると,頭部内出血が33%で最も多く,道路の左右いずれの方からも等しい数の頻度で衝突しているようである。衝突の激度については内臓の内出血を14%も数えるが,この中には大動脈切断や肝臓破裂などあって衝突時のスピードのすごさが推察される。<br>7)被害野鳥が集中して発見される地域性については伊勢道路と殆んど直角に交差する,延長約20m以上,幅2~5mの小谷の吐出口に多いか,旧県道と伊勢道路が交差する幅広い無立木地の交差点附近にウグイス,シロハラなど低空移動性の野鳥が被害を受け易い。これをまとめると伊勢道路の神宮林内約8kmのうち9個所にそれが顕著に現われている。<br>8)目撃例では野鳥が自動車に驚いて逃げるときのスピードが大体30~60km/hである。したがって自動車のスピード60km/hでは衝突被害は現れるが,最高50km/hではその限界になるようである。野鳥に逃避準備のできないときは30km/hでも危険性はあるが,普通40km/hのスピードで自動車の運転をすれば山間部を走る道路としては野鳥に危害を及ぼすことはないようである。
著者
風間 辰夫
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.389-398, 1971-12-30 (Released:2008-11-10)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

The author first noticed in 1959 the shore washed sea birds on the beach of Kashiwazaki, Niigata prefecture and has reported, since 1964, Synthliboramphus antiquus, Uria lomvia, Brachyramphus marmoratus, Cerorhinca monocerata, Lunda cirrhata, Aethia psittaculus, Rissa tridactyla, Larus argentatus, Calonectris leucomelas, Gavia stellata and Gavia arctica, found dead by oil pollution. Alcids are especially affected by the pollution and the Ancient auklet, Synthliboramphus is the most usual species.In this report, 30 examples of this auklet were selected for anatomical analysis. On 24 January 1971 numerous dead ones contaminated black by oil were found along, 280km of the beach, 5 birds in 100m at a certain part. They could be grouped into 3 categories with respect to the body weight, amount of fat and oil attached. The most severely polluted example had oil weight 50% of the body weight with least fat. Others still had some fat. The oil was found even in the digestive tract.The ship oil is still being casted offshore in Japan Sea but is drifted ashore by prevailing winds. After much effort by the author and others, the problem became seriously considered but no definite solution is reached yet.
著者
千羽 晋示
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3-4, pp.208-216, 1965-12-31 (Released:2008-11-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

Between October and April, many sea-birds have been found dead on the beach on Niigata coast concentrated in Kashiwazaki area. This part is south of Sado I. and east of Noto Peninsula and owing to this situation, winds and sea currents are very complicated. Since 1959 to 1965, 16 species, 73 birds were collected and the correlations with temperature and winds were considered (possibly positive with day variation in temperature and wind velocity and consequent waves). From the sea currents and the state (freshness) of drifted birds, the distribution of these birds in March and November was estimated.
著者
マハウルパタ ターラカ マハウルパタ ダルシャニー 中根 周歩 藤井 格
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.36-43, 2001

本研究ではセグロセキセイ(<i>Motacilla grandis</i>)の雛の餌を,西日本の東広島市で1998年と99年の繁殖期に生まれた31羽の雛を用いて,首締め法で調べた。雛の餌のうち昆虫綱が個体数で85.5%,クモ綱が14.2%,多足綱が0.3%を占めた。乾燥重量でみた場合,昆虫綱のうちトンボ目は餌の4分の1近くを占め,また双翅目,鱗翅目,鞘翅目,直翅目の餌重量も大きかった。ユスリカ科とコカゲロウ科については,個体数は最も多かったが乾燥重量は小さかった。これらの結果は,セグロセキセイは雛の餌を捕獲する際にはある限定された生物(トンボ科,ガガンボ科,ゲンゴロウ科)を好むということを示唆している。
著者
細野 哲夫
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.63-71, 1983
被引用文献数
9

(1) 1976年から1980年に,長野県上水内郡鬼無里村大字日影•鬼無里(西地区)で,オナガの年間の個体数の変化と繁殖について調べた。<br>(2) 積雪期間が12月末から4月上旬に及び,積雪1~1.5mの地域にも通年オナガは生息していた。調査地域内の地域群は1群で,最大個体数は約40~45羽であった。<br>(3) 6巣を発見した。うち2巣は非繁殖期の群行動圏外,約3.5kmの所であった。<br>(4) 営巣木は,モミ,スギ,カイヅカイブキ,ウメであった。産卵は6月初旬から7月中旬の間であった。1腹の卵数は,6~7卵で今までの観察例と似ている。3巣で不ふ化卵が1~2個みられた。抱卵日数,育雛日数も従来の観察と特に変った点はみられなかった。<br>(5) 1巣にカッコウが托卵した。カッコウの卵が4日前にふ化し,オナガの卵と雛を巣外へ出してしまった。小林建治氏によれば,塩尻市東山の1巣では,両者とも巣立った。<br>(6) 育雛期に,前年生まれの個体による手伝い行動が見られた。雛および雌への給餌,糞の始末,害敵の攻撃などが観察された。
著者
亀田 佳代子
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.94-97, 1999

ボルネオ島のマレーシアサラワク州において,これまで繁殖記録のなかったクリイロバンケンモドキの繁殖を観察したので報告する。1996年8月4日,ランビルヒル国立公園内にあるつり橋状のウォークウェイで,オスのクリイロバンケンモドキが枝をくわえてヒルギ科の樹冠付近に入るのが目撃された。8月7日にその木に巣があるのを発見し1羽が巣にいるのを確認したため,営巣が判明した。高さは地上約20mであり,営巣木である <i>Carallia brachiata</i> の樹冠付近には,数種のつる性植物が繁茂していた。巣は外側が小枝,内側には葉が敷かれており,近縁種の巣と似た構造であることがわかった。抱卵期にはオスメスが約1時間おきに抱卵しており,卵の形態や卵数は確認できなかった。8月28日には雛が確認され,9月2日には雛数は2羽であることが判明した。雛は9月6日には巣から歩いて枝に移動するのが見られた。翌7日には,頭の羽の色からオスメス1羽ずつであることがわかった。9月8日以降,雛は巣および営巣木からいなくなった。羽がほぼ生えそろっていたこと,歩いて巣から出ていたことなどから,巣立って他の場所に移動した可能性が高いと考えられた。育雛中の9月3日に終日観察を行ったところ,12回のエサ運びが観察され,雌雄が確認された10例は全てメスであった。しかし,巣作り,抱卵,および抱雛はオスも行っていたため,本種では雌雄とも何らかの形で子育てを分担していることがわかった。
著者
黒田 長久
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.222-227, 2002-10-25 (Released:2008-11-10)
参考文献数
4

ハゴロモヅルAnthropoides paradisea(上野動物園で落鳥)の筋肉写生図(1976)を整理,分析した。大胸筋には深部(profundus)(帆翔鳥類に見る)はなかった。闊背筋(latissimus dorsi)は板状で白色筋の前部と赤色筋の後部からなり,中間の膜状帯で連なる。肩先と頸基部を結ぶ小筋を肩頸筋m. collumiscapularisと名付けた(これは文献に見当たらない。前報(2002)では闊背筋前部としたので訂正しておく)。また,大腿骨基端と腰骨を結ぶ小筋を大腿転子筋m.fermor-otrochantericusと名付けた(これはハトでは膜状である)。脚筋では半膜筋m.semimembranosusと半腱筋m.semitendinosusの複雑な連繁と宇回筋m.ambiensの腱の第II,III,IV趾屈筋群への連結を図示した。なお前頸筋m.tibialis anteriorの腱は骨化している。
著者
佐藤 文男 百瀬 邦和 鶴見 みや古 平岡 考 三田村 あまね 馬場 孝雄
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.1-21_1, 1998
被引用文献数
5 6

現在,伊豆諸島鳥島で繁殖するアホウドリは約170つがいであるが,営巣地が不安定な地形にあるため繁殖率が低下している。本研究はアホウドリの個体数回復を促進させるために,より安定した場所に新しい営巣地を作ることを目的に行なった。<br>予備調査として,1991年11月に鳥島燕崎のアホウドリ営巣地でデコイ10体と音声を用いてアホウドリを新営巣地で繁殖させるための誘致調査を行い,アホウドリがデコイと鳴き声に反応し,近づくことを確認した。引き続き,1992年4月に鳥島初寝崎の新営巣地予定地にデコイ16体を設置,音声を再生して誘致実験を4日間行なった。その結果,通常アホウドリが飛来しない地域で9個体のアホウドリをデコイ上空に飛来させるのに成功した。同年11月からはデコイ41体を継続設置した(音声なし)。<br>これらの予備調査の結果を受け,1993年3月からはデコイを50体とし,太陽電池を用いた音声システムを併用,はじめてアホウドリ5個体(重複個体を除く)を新営巣地に着地させることに成功した。1993年の繁殖期から1996年にかけて誘致調査を継続させた結果,新営巣地への着地は重複個体を除き,1994年に5個体,1995年に29個体,1996年に41個体と増加した。また,年毎のアホウドリの滞在時間を示す滞留指数は,1993年:0.31,1994年:0.86,1995年:1.64,1996年:2.37となり4年間で7.6倍になった。アホウドリの着地は1993('92~'93)年にはデコイ区域に多く見られたが(78.9%),1994年からはデコイ区域の下部一帯に広がり,デコイ区域への着地数は1993年に比較し23.1%,1995年に8.3%,1996年には31.4%と減少した。この理由として1993年10月に音声システムの一部を変更し,スピーカーの向きを変更したことが考えられた。デコイ区域内に着地したアホウドリの着地地点と着地後に歩いて近寄ったデコイの型は成鳥型が多く,亜成鳥型は少なかった。また,音声との関係ではスピーカー近くの音量の大きい地域に着地地点が集中していた。着地したアホウドリは幼鳥•亜成鳥が多く,成鳥は少なかった。成鳥の着地は1996年の調査では41個体中4個体であった。着地個体の年齢は4•5•6齢が多く,1995年2~3月の調査では60%を占めていた。<br>新営巣地では1993年に2個体によるディスプレイダンスが観察されたのを始め,1994年には複数回のダンスと夜間も滞留する個体が,1995年には特定の場所に長時間座る個体が確認された。さらに,1995年11月には6歳の雄と5歳の雌との営巣産卵が確認され,1996年2月には雛の艀化を確認,6月10日に巣立った。また,1996年11月にはデコイ地域で3つがいの巣作りが確認され,うち2つがいで産卵を確認した。初繁殖したアホウドリの年齢は,4歳11ヶ月(♀),5歳11ヶ月(♂)•6歳11ヶ月(♂)で,いずれも1990•1991年生まれであった。1990年生まれの個体は1994年1月から複数回観察されており,繁殖開始は飛来しはじめて2年から3年かかることが示唆された。これらの観察を通し、アホウドリはデコイを海上から確認して,上空に飛来し,デコイと音声の両方の効果により着地,その後,おもに音声効果によって滞留が促されていると考えられた。また,初寝崎で繁殖しているクロアシアホウドリの存在もアホウドリの定着に効果的に作用したと考えられた。
著者
米田 重玄 上木 泰男
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.96-111, 2002
被引用文献数
1

福井県丹生郡織田町笈松にある環境庁織田山1級鳥類観測ステーションでは,山地性の小鳥類の渡り状況を把握するために標識調査を1973年から,毎年10月中旬から11月上旬までの期間に継続的な調査を行なってきた。調査は,毎年ほぼ一定の枚数のカスミ網を場所を定めて設置し,状況に応じて最大の捕獲効果が得られるように,テープレコーダーで鳥を誘引し,捕獲される鳥の捕獲数•捕獲時期や種構成の年毎の変化を調査してきた。1973年から1996年までの24年間の秋の標識調査では,総放鳥数は合計75種71,416羽であった。もっとも多いのはカシラダカとアオジの2種で総放鳥数の約53%になった。上位10種は,上記の種の他,メジロ,シロハラ,メボソムシクイ,マミチャジナイ,ウグイス,シジュウカラ,ツグミ,アトリであり,合計放鳥数は総放鳥数の90%を占めた。75種のうち毎年放鳥記録があったのは,16種あった。年毎の標識放鳥種数は,21~54種で平均40.0種であった。各年の調査期間が異なるため,ほぼ毎年調査を行なった17日間について,1日の平均捕獲数を年毎に比較した。この期間の放鳥数の多かった上位25種について,種ごとに1日の平均捕獲数を年度別に増減を見て,1970年代から1980年までと,伐採によって環境の変わった後の1983年から1996年との間で比較した。その結果,種による個体数の増減は,(1)有意に減少傾向が見られる種(カシラダカ,メジロ,アトリ等9種),(2)有意に増加傾向が見られる種(アオジ,クロツグミ),(3)放鳥数に有意差がない種(メボソムシクイ,エナガ,ムギマキ等14種),(4)(3)の種のうち年変動が激しい種(ウソ,ルリビタキ,キビタキ等4種),に分けられた。増減の変化が特に大きかったカシラダカとアオジの放鳥数の変動は,他の調査地との比較によって,大規模伐採の影響が示唆された。1970年代と1990年代とを比較すると,1970年代に比べて1990年代では種数で9種減少し,放鳥数では約半分となった。特に,カシラダカ,アトリ,ツグミについては,1990年代には1970年代に比べて100分の1から10分の1の放鳥数であった。いっぽう,アオジ,シロハラについては1970年代よりも1990年代の方が多かった。1970年代に織田山1級観測ステーション周辺で行われた大規模な伐採が,環境を大きく変化させ,標識鳥の種構成や,個体数を変化させたと考えられるが,鳥種によって変化の仕方が様々であった。しかし,全体的に言って種の多様性が少なくなったと考えられた。
著者
シュプリンガー マークS. 樋口 広芳 上田 恵介 ミントン ジェイソン シブレイ チャールズG.
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.66-77_1, 1995-10-30 (Released:2008-11-10)
参考文献数
37
被引用文献数
8 8

小笠原諸島の固有種,メグロApalopteron familiareは,1958年以降ミツスイ科に分顔されているが,これまでにヒヨドリ科,メジロ科,チメドリ科などにも分類されており,分類学上の位置が不安定な鳥である.われわれはミトコンドリア12SリボソームRNAをコードするDNAの塩基配列に基づく分子生物学的手法により,メグロがメジロ科の1種であることを示す証拠を得た.また,メジロ科の中では,マリアナ諸島南部に生息するオウゴンメジロCleptornis marcheiに近縁であることを明らかにした.オウゴンメジロもかつてはミツスイ類とされていたが,最近,DNA-DNAハイブリダイゼーション法や生態•行動研究などによってメジロ類であることが判明した鳥である.メグロは,相互羽づくろいや接触就眠を行なう,巣づくりから育雛まで雌雄で行なう,求愛給餌を行なわない,などの生態,行動面でもメジロ類に似ている.また小笠原諸島には元来メジロ類は分布しないことになっているが,メグロがメジロ類の1種になることで分布のこの奇妙な空白も埋まることになる.
著者
黒田 長久
出版者
Yamashina Institute for Ornitology
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.222-224, 1962
被引用文献数
2

この鳥は1962年7月29日,名古屋市鶴舞公園附近の道路で生きて拾われ,東山動物園に寄贈されたが,餌を摂らず10日ほどで死亡した。この報告は標本と共に同動物園の安藤洋一氏から山階研の高野伸二氏宛送にられて来たもので,12月21日筆者に同定を依頼され,<i>Pterodroma externa cervicalis</i>(Salvin)(Kermadec島産)なることが判明した。和名は大型であることから高野氏提案のオオシロハラミヅナギドリと命名した。<br>本種は頭頂黒く,白頸輪で背の灰色と分離することが特徴で,英名をWhite-necked(Gadfly)Petrelと呼び,この点で一見大西洋の<i>P.hasitata</i>(Black-capped Petrel)に似るが上尾筒が白くない点でこの種と区別容易である。基亜種はチリ沿岸産である。北半球従って日本からは初記録である。この鳥が得られたのは台風7号が名古屋地方を27~28にかけ通過した翌日であったという。