著者
瀬戸崎 典夫 三重野 愛
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 43 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
pp.457-458, 2019 (Released:2020-07-31)
参考文献数
3

「特別の教科道徳」が教科化され,「考え・議論する道徳」への転換が求められている.しかしながら,教育現場において,授業の中で「考え・議論する」時間を十分に確保できているとは言い難い.そこで,本研究では「特別の教科道徳」における反転授業用シナリオベース教材の開発を目的とした.さらに,小学2年生および,小学校教員を対象に,開発した反転授業用教材の有用性を評価した.その結果,本教材は小学2年生がひとりでも操作することができ,自宅で物語の内容を把握できることが示唆された.さらに,授業内の議論の充実に有用な反転授業用教材である可能性が示された.
著者
小島 一生 村松 浩幸 室岡 聡也 小松 裕貴
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.35, no.Suppl., pp.169-172, 2011-12-20 (Released:2016-08-08)
参考文献数
7
被引用文献数
3

中学生にネットトラブルに関して保護者への相談を意識させるために,ゴールベースシナリオ(GBS)理論に基づいたシナリオゲーム教材を開発することを目的とした.教材は,主人公を女子中学生とし,母親と関わりながら「不当な請求」,「個人情報」,「著作権」,「掲示板トラブル」の各内容に関する情報を収集し,その対応法を選択する構成とした.開発は,Flashによるゲーム制作ツールでおこなった.1年生64名を対象にした授業実践での評価から,1)中学校の授業で使用可能なこと,2)シナリオゲーム型や親子の設定により,本実践の範囲内において保護者への相談の意識が一定程度向上したこと,が確認できた.
著者
彭 解人 程 雷 黄 暁明 三好 彰 陳 潔珠
出版者
JIBI TO RINSHO KAI
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.609-623, 1998

上咽頭癌 (nasopharyngeal carcinoma: NPC) は中国では最も多い悪性腫瘍の一つである。疫学的には広東省を中心とする中国南部の住民に多発する傾向がある。疫学的特徴としては、著しい地域集中性、群体易感性と家族集中現象および発癌率の一定性がみられる。病因学研究では、発癌の要因にEBウィルスの関与をはじめとする生活環境因子の影響が強い。中国におけるNPCと遺伝子との関連性について、癌遺伝子ras、c-myc、c-erB-2と癌抑制遺伝子RB、p53、p16などが注目されている。なお、遺伝子TX の発現に関して検討した。早期診断について、1986-1995年、中山医科大学癌センターは広東省のNPC高発生地域で10万人の住民を対象として集団健診を行った。健診の結果に基づき、NPC高発生地域での癌健診方式を提案し、NPCの前癌状態、前癌病変の判断基準を定めてきた。臨床分類に関しては、1992年に中国は新たなNPC臨床分類法を出した。この分類法はUICC分類法 (1996、改訂案) と比較して、両分類法とも大体一致しているが、NPC臨床分類法のほうが癌の進展と浸潤程度をより重視し、TN 分類についても合理性が高い。治療の面では、NPCは放射線感受性の高いものが多いので放射線治療が主体となる。多分割照射法・加速多分割照射法および個体化治療方案も重視されている。三次元照射治療はNPC放射線治療の技術で最も技術的に進歩をとげたものである。放射線療法に化学療法、外科治療を併用することで、生存率とQOLの改善はより効果的になる。前癌病変阻害剤と遺伝子治療に関する研究は重要な課題であり、新たな治療法として期待が持たれている。
出版者
北海道
巻号頁・発行日
vol.第1回, 1912

1 0 0 0 OA 日本文化史

出版者
大鐙閣
巻号頁・発行日
vol.第7巻, 1922
著者
虻川 嘉久 千葉 克一
出版者
大館郷土博物館
雑誌
火内 (ISSN:24360074)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.126-91, 2021 (Released:2021-08-08)
参考文献数
10

『大館郷土博物館研究紀要 火内』第14号において、「早口村肝煎・高坂家文書」の第一次報告を行った。それに続く第二次報告となる本稿では、「高坂家文書」の無尽証文・借用証文・永代売証文・小作証文を一覧にまとめ、比較解題した。百姓が凶作などにより物成・郷諸役の上納が困難となり、そのため借用や土地売買などが行われた。それは地域社会における相互扶助的な融通であり金策方法であった。また、個々の証文からは農村金融の実態を把握することができた。
著者
大山 研司
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.477-490, 2010 (Released:2010-08-27)
参考文献数
10
被引用文献数
1

中性子回折法は,今日でもバルクの性質としての磁気構造を調べる上でもっとも信頼できる実験手法である。本稿では,磁気構造解析の基本的な手法を,粉末中性子回折実験にもとづき説明する。とくに,実際のデータを用いて,実際のプロセスに従って説明をすすめる。まず最初に,典型的なcommensurate構造とincommensurate構造を説明し,その構造をフーリエ分解により定式化する方法を説明する。中性子での磁気構造因子の理論式を示したのち,希土類化合物TmB2C2での実際のデータをもとに,実験データから磁気構造ユニットセルの決定,磁気構造モデルの構築方法を説明する。ここでは,国内で磁気構造解析に適する中性子回折装置についても説明する。最後に,解析に用いる有用な解析プログラムについての情報を提供する。
著者
福安 智哉 小嶋 舞 藤木 理代
出版者
名古屋学芸大学健康・栄養研究所
雑誌
名古屋学芸大学健康・栄養研究所年報 = Annual Report of Institute of Health and Nutrition Nagoya University of Arts and Sciences (ISSN:18821820)
巻号頁・発行日
no.11, pp.35-40, 2019-12

【目的】 運動は、健康増進、生活習慣病の予防・改善、減量効果が期待されるが、効果が出にくい人も多い。運動の継続には「運動に関心をもつ」ことが重要である。また減量効果に遺伝的素質も影響する。そこで本取り組みでは、血糖測定などの体験型学習を取り入れた「健康運動教室」を開催し、参加者が健康と運動の関係を実感し、「運動に関心をもつ」ことができるような講座を目指した。また、遺伝因子による効果の個人差については、脂質代謝に影響するβ3アドレナリン受容体(β3-AR)の遺伝子多型を解析し、体脂肪減少効果との関連を検証した。【方法】 「日進市生涯学習講座」の参加者38人(男性8人、女性30人、年齢60.8±12.5歳、BMI 23.9±3.1)を対象に、「健康運動教室」を4ヶ月間に渡り全6回実施した。各講座で、健康と運動の関わりについての講義に加え、運動の実践、血糖測定、体組成の測定などの体験型学習を実施した。遺伝子解析は、同意を得られた25名を対象に、口腔粘膜より採取したDNAを用いて、β3-AR Trp64Arg(rs4994)をRFLP法で解析した。講座実施後、自記式アンケート調査を実施した。【成果と考察】 約7割の人が講座に継続して出席した。出席者へのアンケート調査の結果、「講座をきっかけにやる気や行動に変化があった」と回答した人が9割以上であった。「やってみたい運動」「実際に実行・継続できた運動」については、ラジオ体操やウォーキングなどの回答数が多かったことから、日常生活に取り入れやすく、継続しやすい運動を具体的に示し、体験させたことが効果に繋がったと考えられる。本講座で実施した血糖測定で、参加者は足踏み程度の軽度の運動を15分間実施するだけで、スイーツ摂取による血糖上昇を抑制できることを体験し、運動が体脂肪減少だけでなく、血糖コントロールにも有効であることを実感できた。遺伝因子と減量効果については、β3-AR 遺伝子が正常型の17人中6人において体脂肪量が減少した。一方、Trp64Arg 多型をもつ8人においては減少しなかった。【結論】 健康増進のための行動を実行に移し、継続させるためには、知識や情報を提供することのみならず、日常生活に取り入れやすい実践例を具体的に示し、体験させることが重要である。さらに介入による体脂肪率減少効果を上げるためには、それぞれの体質や生活習慣に応じた食生活や身体活動を提案していく必要がある。
著者
安倉 良二
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.173-197, 2007
被引用文献数
1

本研究は,地方中小都市における中心商店街の再生について,愛媛県今治市の仲間型組織である「今治商店街おかみさん会」(以下,今治おかみさん会)を事例に選び,その設立背景となる商業環境の変化と活動実態の分析から考察を進めた.高度経済成長期に工業の好況を背景に隆盛を極めた今治市の中心商店街は,1990年代後半以降,大店法の運用緩和に伴う郊外地域での大規模な商業集積の形成としまなみ海道開通の影響を受け,その衰退が決定的となった.今治商工会議所,今治市役所,今治商店街協同組合は大規模な再開発構想や空店舗対策など,様々な再生策を打ち立てたが,その多くは不調に終わり,中心商店街の再生は行き詰まりをみせていた.このような状況からの打開策として,松山市で女性による商店街のまちづくりに関する実践を知った今治市役所商工労政課の提案を受けて2000年11月に設立されたのが今治おかみさん会である.今治おかみさん会は,既存の商店街組織である今治商店街協同組合とは独立しており,話題性の高い共同事業を独自で継続的に展開することで中心商店街の再生に寄与する組織のひとつとなっている.しかし,行政からの補助金削減と会員店舗の減少により,今治おかみさん会の運営は厳しい状況にある.今治市の事例からは,商業活動の衰退が進む地方中小都市の中心商店街では,規模の縮小を前提に,既存の枠にとらわれない仲間型組織が再生の一翼を担う可能性をもつことが明らかになった.
著者
森 文一
出版者
水利科学研究所
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.44-52, 1959 (Released:2016-05-23)