著者
谷口 真吾 本間 環 山本 福壽
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.4, pp.350-354, 2003-11-16
参考文献数
18

樹木の開芽の生理機構を明らかにすることを目的として,トチノキ(Aesculus lurbinata)休眠芽(頂芽および側芽)の伸長,開芽ならびに新条件発達に及ぼす10種類の植物成長調節物質処理の影響を調べた。頂芽の伸長はジベレリン(Gas)処理で著しく促進された。一方,2種のジベレリン生合成阻害剤(AMO1618,ウニコナゾール.P : UCZ-P)の処理区では抑制された。また側芽の伸長はGas処理で促進されるとともに,エスレル(ET),ジャスモン酸(JA-Me),AMO1618およびUCZ-P処理でも促進された。さらに頂芽と側芽の開芽はGasおよびJA-Me処理によって促進された。これらの結果,既定芽タイプであるトチノキの芽の伸長にはジベレリンが重要な役割を果たしているものと考えられる。また,開芽にはジベレリンとジャスモン酸が関与している可能性が高い。
著者
谷口 真吾 橋詰 隼人 山本 福壽
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.85, no.4, pp.305-311, 2003-11-16
参考文献数
25

鳥取大学林山演習林のトチノキで花芽の分化と発育を調査した。トチノキの花芽は毛状鱗片の内側の成長点が円形に肥厚して花芽原基になった。花芽原基は急速に成長して花軸の周りに次々に小花を形成し,その中に葯と子房が分化した。8月中旬〜下旬には葯内に胞子形成細胞が,子房内に胚珠の原基が形成された。9月中旬には花粉母細胞と卵状の胚珠が観察された。花粉は翌年の5月上旬に形成された。5月中旬には子房の先端部に花柱が分化し,花糸と花柱が伸長して両性花が完成した。胚珠の退化した花では花柱が伸長せずに,花糸のみ伸長し,雄ずいが完成して雄花になった。花芽は9月中旬に冬芽の形状により外観で葉芽と区別できた。
著者
岡田 幾太郎
出版者
近畿大学
雑誌
近畿大学九州工学部研究報告 (ISSN:13459430)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.89-97, 2000-03-01

The polar triangle for a hyperbolic triangle is constructed, and a sort of duality between them just like one in the case of the spherical geometry is found. Also, it is found that some formulas which are foundamental in the hyperbolic trigonometry correspond one another in the duality.
著者
高谷 真由美 黒木 淳子
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医療短期大学紀要 (ISSN:09156933)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.117-128, 1997-03-29
被引用文献数
1
著者
山本 多香子 徳永 基与子
出版者
京都市立看護短期大学
雑誌
京都市立看護短期大学紀要 (ISSN:02861097)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.49-55, 2008

本研究の目的は,2003〜2005年に行われた看護の場に焦点をあてたアロマセラピーに関する文献レビューにより,研究のエビデンスの動向や今後のアロマセラピー研究の方向性を探ることであった.36の文献を分析した結果,看護の場におけるアロマセラピー研究は,基礎的研究で明らかにされている薬理作用を考慮し,臨床患者に活かそうとする状況がうかがえた.新たな成果として「出産後の浮腫改善」「精神疾患患者の不穏行動の軽減」「術中血圧の安定化」「便秘の軽減」「更年期障害に対する有効性」「会陰切開部の回復」があった.看護の場におけるアロマセラピー研究の課題は,対象に応じた製油・実施方法,アロマセラピー効果に影響する要因の考慮,大規模な無作為化・比較検討した研究を積み重ねていくことがあげられた.
著者
小濱 優子 荒木 こずえ 島田 祥子 藤村 真希子 赤坂 憲子 森末 真理
出版者
川崎市立看護短期大学
雑誌
川崎市立看護短期大学紀要 (ISSN:13421921)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.61-68, 2006-03-31

2002年度から、本学での授業や行事等にメディカルアロマセラピーを取り入れ、活用してきた。成人看護学の授業、オープンキャンパス、公開講座などである。本稿は、その実践内容について紹介し、看護基礎教育における意義について考察したものである。アロマセラピーが注目される今日、アロマセラピーの正しい知識や精油を用いるときの注意点を教えることは、さまざまなトラブルを予防する上で重要である。授業に取り入れることで、学生の五感を使いリラクゼーションを感じ取る体験学習となっていると思われた。また、コミュニケーションの手段として、教育現場のメンタルケアの補助としてなど、その活用の幅が広い。看護の質を高めるツールとしても大きな可能性を感じている。
著者
Mahmood Hassan 藤目 幸擴 松井 年行 奥田 幸延 鈴木 春雄
出版者
京都府立大学
雑誌
京都府立大学学術報告. 人間環境学・農学 (ISSN:13433954)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.39-43, 2000-12-25

ワサビ'だるま-3号'について形態的観察を行った。ワサビは日本など温帯アジア原産植物で, アブラナ科に属し, 宿根性である。通常葉と茎の基部が可食部として収穫される。可食部は通常根茎と呼ばれることが多いが, 肥厚して短縮化した茎である。肥厚した茎は地中で成育することが多い。葉柄の基部も肥厚している。いくつかの子株が茎の基部から伸張して, 繁殖に用いられる。花には4枚の白色の花弁, 6本の雄ずいと1本の雌ずいがある。
著者
夜久 正雄
出版者
亜細亜大学
雑誌
アジア研究所紀要 (ISSN:03850439)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.215-242, 1974
著者
松原 宏
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.219-235, 2006-12-30 (Released:2017-05-19)

1980年代以降,少子高齢化とグローバル化の進展が著しいが,両者は関連しあいながら日本の地域構造に大きな影響を与えてきた.バブル崩壊後の90年代の不況期には,東京一極集中が終わったかにみえたが,近年では「東京再集中」と「都心回帰」が顕著で,東日本と西日本との地域経済格差も顕在化してきている.少子高齢化問題は,地域的差異を伴って今後深刻化していくと考えられる.大都市圏では,都市型高齢者の量的増大と遠隔な郊外での高齢化の進行・住宅地の空洞化が,地方圏では高齢化率などの数値の大きさに問題の深刻さがみられ,中心市街地の空洞化が問題に拍車をかけている.こうした少子高齢化に加え,グローバル化,財政危機の下で,日本の地域政策は転機を迎えている.地域経済の自立や国際競争力の強化が政策課題として重視され,国土形成法や産業クラスター計画などの新たな政策が提起されているが,共通するのは,官民協働や産学官連携など政策主体の幅を拡げるとともに,政策の地域スケールとして地方ブロックを重視してきている点である.広域化の一方で,日常生活圏においては,「互助・共助」を強調した「コミュニティ」の役割が重視されてきている.