20 0 0 0 OA 市民

出版者
民友社
巻号頁・発行日
1895
著者
鈴木 崇伸
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.4_25-4_37, 2018 (Released:2018-08-31)
参考文献数
11

本文は地震時に水道管内の水圧が異常に低下する現象を解析的に分析した結果を報告している.東北地方太平洋沖地震時に川越市内で起きた水圧低下に関し,貯水槽のスロッシングによる水圧変化と管路内の水の振動外力による運動に分けて応答計算を行った.水圧低下量を説明できるのは水の圧縮性を考えた管路内の水の解析結果であり,外乱によって蓄えられたエネルギーが消散していく過程で水圧低下が起きることを説明している.
著者
渡辺 尚
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.40, no.9, pp.1210-1217, 1991-09-30 (Released:2017-02-10)
被引用文献数
1

飲酒によっておこる喘息症状の悪化は, 西洋人には認められず, 日本人もしくは東洋人にみられる人種差の著しい現象とされる. 今回このアルコール(飲酒)誘発喘息の発症機序を解明する目的で, 喘息患者20名を対象に, エタノール経口負荷試験と, エタノールおよびアセトアルデヒドを用いた白血球ヒスタミン遊離試験を実施した. エタノール経口負荷試験で20名中11名(55%)が陽性を示し, かつ負荷後の血中アセトアルデヒド濃度ピーク値は陽性群では陰性群に比べ有意に高値を示した(26.4±13.5μM vs 17.3±6.6μM, p<0.05). またアセトアルデヒドは, 2μM〜100μMの範囲において容量依存性に白血球からヒスタミン遊離を促進させる作用が認められた. 以上より, アルコール(飲酒)誘発喘息の病態には, 飲酒後のアセトアルデヒドの異常高値が関与しており, アセトアルデヒドによる肥満細胞(もしくは好塩基球)からのヒスタミン遊離作用を介して, 気道平滑筋の収縮反応が惹起されることが示唆された. 日本人にみられるアルコール(飲酒)誘発喘息の発症機序に関する最初の報告と思われる.
著者
内藤 楠登 プラン ミッシェル
出版者
日本人口学会
雑誌
人口学研究 (ISSN:03868311)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.13-33, 2004-11-30 (Released:2017-09-12)

あらゆる人口学的データが示すように沖縄は世界でも有数な長寿地域であるといえる。2000年における沖縄県男性の平均余命は全国平均とさほど変わらないが,沖縄県女性の平均余命は全国平均に比べ1.4歳高く86.01歳に達し,人類の平均余命の限界といわれた86歳をも上回った。2003年における高齢者が全人口に占める割合から見ても,全国平均では10万人中百歳を越える高齢者の割合は15人程度だったが,沖縄では40人以上だった。日本が世界でも有数の長寿国になり,あらゆる分野の研究者が日本人の死亡パターンの研究に携わった。疫学者や老年学者は日本人の食生活やライフスタイルに着目し,他分野の識者は公衆衛生の重要性を示唆したが,沖縄は,世界でも例外的といえる日本(本土)よりさらに例外的だと言える。本研究を通じ沖縄では既に1980年代後半より若年及び壮年層において死亡率が上昇傾向にあったことを確認した。沖縄の死亡率上昇の兆候はかなり前から見られていたが,1995年には都道府県中4位だった沖縄県男性の平均余命が2000年に26位に後退し沖縄の人々に衝撃を与えた。現時点で人手可能な生命表と死亡確率の推移から得た研究結果から,沖縄と本土の死亡確率線の比較を行ったが,ある一定の年齢から死亡確率の高低が逆転する現象が見られた。この比較結果から,沖縄には(本土に比べ)低死亡確率に特徴付けられた戦前世代と,高死亡確率の戦後世代からなる二つの死亡パターンが存在していることが判明した。本論文では本土と比較した場合の沖縄の死亡パターンの例外性の原因,主に生活パターンの変化や高齢者の戸籍の信憑性についても言及したい。
著者
西山 慧 石黒 翔
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第17回大会
巻号頁・発行日
pp.109, 2019 (Released:2019-10-28)

多くの認知心理学研究では,人間を対象とした実験が実施される。 そのために実験者は,参加者を募集し,応募があれば予定を調整し,実施日を通知し,カレンダーに登録し,実験前日にはリマインダーを送る。 場合によっては参加者リストを作成する必要があるだろう。 数十人の参加者一人ひとりに対してこの一連の手続きを手作業でミスなく行うことはかなりの注意が必要で極めて煩わしい。 一方でこのような手続きが自動で実行されるサービスも存在するが,有料である。 そこで,我々はGoogleが提供するサービスを組み合わせて,実験日の確定からリマインダーまでをほぼ自動かつ無料で実行できるシステムを実装した。 システムの根幹はGoogle Apps Scriptというプログラミング言語で動作しているが,プログラミングに不慣れな方々にも利用しやすいように,スプレッドシート上で基本的な設定を編集できるようにした。 発表では本システムの機能を体験するためのデモンストレーションも行う。
著者
南 学
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.799-804, 2017-08-15 (Released:2018-08-15)
参考文献数
9
出版者
巻号頁・発行日
vol.262 播磨姫路城絵図,
著者
蛸井 潔
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.110, no.7, pp.479-488, 2015 (Released:2018-05-10)
参考文献数
43
被引用文献数
1

分析機器の発展とともに,ビールの香り,ホップの香り,酸化劣化臭,それらがヒトに与える影響などについての研究が盛んに行われ,今では多くの知見が得られている。本内容は,過去に行われたそれら研究について振り返り,酒類が醸し出す香りについて論じたものである。
著者
清水 亮
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.406-423, 2018 (Released:2019-12-31)
参考文献数
45

軍隊を経験した人々が戦後社会の形成にいかに関わっていたかは歴史社会学の重要な探求対象である. 本稿はその一端を戦友会の記念空間造成事業の担い手から考察する.事例として, 旧海軍航空兵養成学校予科練の戦友会の戦死者記念空間の造成過程を取り上げる. 予科練出身者は総じて若く, 社会的地位も高くなかったにもかかわらず, なぜ大規模な記念空間の造成を比較的早期に達成できたのか. 先行研究は, 集団が共有する負い目といった意識面から主に説明してきた. これに対して本稿は, 各担い手が大規模な事業を実現しうる資源や能力などの社会的な力を獲得していく, 戦前から戦後にかけての過程を, 特に軍隊経験に焦点を当てて探求する.事業を主導した乙種予科練の戦友会幹部は, 予科練出身者の独力のみならず, 軍学校時代に培われた年長世代の教官との人脈を起点としつつも, 軍隊出身者に限らない政財界関係者とのネットワークから支援を引き出していた. 戦友会集団の外部にあたる地域婦人会のリーダーは, 戦時中の軍学校支援の経験等を背景として, 造成事業において組織的な行動力と, 戦友会内部を統合する政治力を現地において発揮した.本稿は記念空間造成事業の大規模化の説明を通して, 負い目という意識の「持続」を重視する先行研究に対して, 軍学校や婦人会などの組織における軍隊経験を背景とした資源や能力の「蓄積」という説明図式をオルタナティヴとして提出した.
著者
Matsuoka Atsushi Ito Tsuyoshi
出版者
新潟大学理学部
雑誌
Science reports of Niigata University. (Geology) = Science reports of Niigata University. (Geology) (ISSN:13491237)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.49-57, 2019-03

An updated version from radiolarian zonal scheme in the 1990s for the Jurassic in Japan and the western Pacific is presented and vertical distributions of selected radiolarian species are illustrated. The major modifications are as follows: The Bipedis horiae Zone (JR0) is added below the Parahsuum simplum Zone (JR1). The base of the Bipedis horiae Zone (JR0) is defined by the last occurrence biohorizon of Haeckelicyrtium breviora Sugiyama and corresponds to the Triassic–Jurassic boundary. The base of the Parahsuum simplum Zone is dated within the Sinemurian. The Tricolocapsa plicarum Zone (JR4), Tricolocapsa conexa Zone (JR5), Stylocapsa(?) spiralis Zone (JR6), and Pseudodictyomitra primitiva Zone (JR8) are modified to the Striatojaponocapsa plicarum Zone (JR4), Striatojaponocapsa conexa Zone (JR5), Kilinora spiralis Zone (JR6), and Loopus primitivus Zone (JR8), respectively, in accordance to the change of generic assignment of zone-nominal species.
著者
南 基泰 森 高子 米村 惣太郎
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.360-364, 2018-11-30 (Released:2019-05-14)
参考文献数
13
被引用文献数
1

横浜市においてイロハモミジ(Acer palmatum),ヤブツバキ(Camellia japonica)及びヤマザクラ(Cerasus jamasakura)を用いた地域性に配慮した緑化工を実施するために,葉緑体DNA情報を利用した地域性判定技術の開発を行った。地域性判定に用いる葉緑体DNA領域を検索するために,これら3樹種の新鮮葉(もしくは越冬芽)を東北から南九州の地域で網羅的に採集し,葉緑体DNAの遺伝子間領域及びイントロンの合計16領域のDNA多型を検索した。その結果,横浜市の地域性を判定できるDNA領域として,イロハモミジはtrnV-trnM遺伝子間領域,ヤブツバキはtrnT-trnL遺伝子間領域,ヤマザクラはtrnH-trnK遺伝子間領域を見出した。関東地区の種苗会社で育成されている地域性が不明なこれら3樹種の苗木から,本技術を用いて横浜市の地域性に適合した苗木を選抜し,外構植栽に用いることができた。また,本技術は3樹種の横浜市だけでなく,東北から南九州の地域性も判定することが可能な技術であることから,今後はこれら3樹種の地域性判定への応用にも期待できると考えられた。