著者
伊藤 博 Hiroshi ITO
出版者
大手前大学
雑誌
大手前大学論集 = Otemae Journal (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.17-32, 2012-03-31

明治維新前後において、福沢諭吉ら洋学者達が近代科学を子どもにまで広めようとした。なかでも江戸末期の1868年(明治元年)に福沢諭吉が発行した『訓蒙窮理圖解 初編 上(中・下)』(上巻は表裏表紙含め全52葉)は、すべての漢字にルビを付し、所々にその頁の内容に沿った図などを挿入するなどはじめて子どもを対象とした科学読み物であったと考えられる。その後、この書物に触発されて明治五年から明治七年にかけて「窮理熱」と呼ばれる科学読み物がさかんに出版されるようになり、科学入門書の一大ブームが起きた。これは科学入門書が一般庶民の読み物として広がりつつあった事を裏付けるものである。こういった科学書が一般庶民の読み物として成立するためには、読者層において高いレベルの識字率が必要とされるのが前提である。さらに、各種の研究から明治維新前後の一般庶民の識字率は相当に高かったことが知られている。そこで本稿では、一般庶民にまで教育が施されるのはいつのことからであり、その教授法はどのようなものであったのかについて明治維新前後の当時の資料をもとにして考察していきたい。
著者
久木田 英史
雑誌
国際人間学部紀要 = International human studies
巻号頁・発行日
vol.18, pp.67-102, 2012-03-31

L'Essay pour les Coniques, que Pascal publia en 1639 à l'âge de 16ans, est un des rares témoins de la grande œuvre réalisée par l'auteur des Pensées dans la domaine de la géométrie projective, œuvre don’t la presque totalité semble définitivement perdu. Révélateur d'un génie précoce, ce texte trés court, écrit dans un style extrêmement concis et obscur, tomba vite dans l'oubli et ne fut réédité qu'à la fin du XVIII siécle. Dans cet article,nous essayerons d'éclaircir les significations de chacune des propositions que Pascal avance sans fournir aucune démonstration, et de situer son projet d'une nouvelle géométrie dans l'évolution des pensées mathématiques du XVII siècle.Mots-clefs : Pascal, XVII siècle géométrie projective, mathématiques, histoire des mathématiques
著者
熊谷亮介 安井浩之 吉野邦生
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.477-478, 2014-03-11

感情には声の高ぶりなど,それぞれを特徴づける韻律的特徴があり,そのような特徴をくみ取ることで人は相手の感情を推察している.しかし,テキストのみで行うコミュニケーションでは,文字以外の情報がないため書き手の感情と読み手の受ける印象にすれ違いが起きるといった問題がある. 本報告では,発話時の韻律的特徴の変化をテキストの書式に反映することで,人が音声から感情を推察するのと同様の効果が得られると仮定し,その表現方法について調査,検討する.具体的には,音声認識の際に韻律的特徴の変化を抽出し,認識されたテキストに変化に対応した装飾・表現を行う.さらに装飾したテキストに対し評価を行い,表現方法の検討を行う.
著者
佐藤 裕仁 三武 裕玄 長谷川 晶一
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2017論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.275-279, 2017-09-09

物理エンジンの普及やオープンワールドゲーム等の高い自由度を持つゲーム世界において、キャラクターは多様な力学的制約を受けつつ自在に行動することが望ましい。そのために、物理シミュレータによって動作をその場で自動生成する手法が提案されているが、自然さが十分ではない。本研究では、キャラクターの姿勢変化時に、反復計算によりトルク変化最小軌道でリアルタイムに生成し適用することで、多様なキャラクター動作を自動生成する手法を提案する。
著者
安達 一美 Kazumi ADACHI
雑誌
武庫川女子大学紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:09163115)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.11-20, 2003-03-31

The English vocabulary includes a large number of doublets, which are defined as the words that are cognates but are different in forms and/or in current meanings. Even though they were derived from the same origin, they often entered English via other languages which changed or modified not only their original forms but meanings. This paper aims to clarify how the doublets were differentiated in their meanings and to categorize them by the classification of change of meanings presented by Stephen Ullmann. It concludes that in English doublets the transfers of names through similarity between the senses are more than the ones through contiguity between them.
著者
栄原 永遠男
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.192, pp.13-25, 2014-12-24

正倉院文書に関する研究は,写経所文書の研究を中心とすべきである。そのための前提として,接続情報に基づいて,断簡の接続を確認し,奈良時代の帳簿や文書を復原する必要がある。「東大寺写経所解」を例とすると,これは9断簡からなっている。『大日本古文書(編年)』の断簡配列は,その根拠があいまいで,誤りを含んでいる。接続情報に基づいて断簡を配列し直すことにより,これが天平19年12月15日付の文書であることを,かなりの確率で言うことができる。そうすると,この文書は「東大寺」に関する最古の史料であることになる。国家仏教の中心寺院として東大寺が位置付けられた画期を示しており,重要である。個別写経事業研究は,断簡の集合体である写経所文書を写経事業ごとに仕分ける意味を持つが,一方で,独自の意義を有している。その例として注陀羅尼4000巻の写経事業に注目する。これは,天平17年8~9月ごろに始まったと推定される。この推定が妥当であるとすると,この写経事業は,聖武天皇の病気平癒祈願として行われたと推定できることになる。そのころすでに宮中で密教的な修法が行われていたことを示す。個別写経事業研究は,奈良時代の仏教,仏教と政治との関係などの研究に資するところが大きい。
著者
松田 孝江
雑誌
大妻女子大学紀要. 文系
巻号頁・発行日
vol.40, pp.198-185, 2008-03