著者
金 景勲 片山 佐一
出版者
The Japan Society for Analytical Chemistry
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.29-36, 1971

(Bi<SUB>1-<I>x</I></SUB>Sb<SUB><I>x</I></SUB>)<SUB>2</SUB>(Te<SUB>1-<I>y</I></SUB>Se<SUB><I>y</I></SUB>)<SUB>3</SUB> 系において,重量パーセントでビスマス(0~63.46),アンチモン(0~50.33),テルル(0~61.47),セレン(0~49.67)をそれぞれの広い組成の範囲内において,けい光X線による非破壊定量分析を行なった.分析に用いたけい光X線は,BiL<SUB>α</SUB>,L<SUB>β</SUB>;SbK<SUB>α</SUB>,K<SUB>β</SUB>;TeK<SUB>α</SUB>,K<SUB>β</SUB>;SeK<SUB>α</SUB>,K<SUB>β</SUB>である.ビスマステルライドを基盤にし,ビスマスの代わりにアンチモン,テルルの代わりにセレンをそれぞれ原子比で20(%)刻みに置きかえた36種の標準試料を作り,まず係数αを定め,それを用い各元素のけい光X線の相対強度と元素の重量パーセントとの関係を示す連立方程式を解き重量パーセントを求めた.解析はK<SUB>α</SUB>,L<SUB>α</SUB>線とK<SUB>β</SUB>,L<SUB>β</SUB>線について.それぞれ別に用いた.その結果は次のとおりである.K<SUB>α</SUB>とL<SUB>α</SUB>線のけい光X線を用いた際の誤差と変動率はそれぞれ±1.15%と±4.3%である.同様に,K<SUB>β</SUB>とL<SUB>β</SUB>線については±0.9%と±3.7%である.
著者
森 茂雄 後藤 眞二 荒井 郁男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.637, pp.33-38, 2001-02-16

震災時に倒壊した家屋や瓦礫に埋もれた生存者を早期に発見するために, 生存者の存在だけでなく存在位置も推定できる一方法を提案する。本方法はパルスドップラ方式のシステムにより, 生存者の呼吸などによる身体のわずかな動きを探知し, 距離を測定する。複数の地点から生存者までの距離を測定し, 生存者の位置を推定するもので, 試作機による実験結果を示す。
著者
菅井 裕一 佐々木 久郎 高畑 重幸 中 秀男
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.123, pp.1-10, 2007-06-05

秋田県大館市比内町で産出する緑色凝灰岩は建築石材として用いられ,吸湿性や防カビ性などの機能性を有することが定性的に知られている。筆者らは,これらの性質を生かしつつ,より施工性に優れた緑色凝灰岩の粉砕石粒を用いた壁材を開発した。本研究では,その調湿性,化学物質吸着性ならびにカビ抑制作用を検討し,いずれも一般的な塗り壁材である川砂よりも優れていることを明らかにした。とくに,化学物質吸着性については,高機能塗り壁材である珪藻土よりも持続性において優れていることが示唆され,緑色凝灰岩の粉砕石粒が環境性に優れた塗り壁材として利用可能であることが示された。
著者
伊藤 良子
出版者
京都市立看護短期大学
雑誌
京都市立看護短期大学紀要 (ISSN:02861097)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.37-47, 2011-07
被引用文献数
1

両下肢・末梢方向リズミカル アインライブングを施行した時の心理・主観・自律神経系の反応について明らかにすることを目的に実験研究を行い,成人女性19 名を対象に 10 分間のクレぺリンテストでのストレス負荷後,介入群には下肢アインライブングを,対照群には安静保持を各10 分間施行後,16 分間の安静を保持した.両実験をクロスオーバーランダム化比較試験として行い,測定指標にPOMS・フェイススケール・RE 尺度・心拍変動スペクトル解析・表面皮膚温を用いた.介入群と対照群との2 群間比較では,POMS の介入群で介入後の〈混乱〉に有意の減少が見られた.心拍変動スペクトル解析では介入群でHF 値(副交感神経活動指標)が,介入中の2 〜 10 分と介入後の0 〜 4分の連続した12 分間で有意(p < .05)に増加した.以上から下肢アインライブングによる副交感神経系活動の活性化と,心理・主観的緊張緩和効果が確認され,下肢アインライブングのリラックスケア活用への可能性が示唆された.
著者
桑山 亜也
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.228-232, 2011-06-01

刑務所・少年院といった矯正施設に収容された人の読書支援の拡充やその環境整備のためには,次の3つの視点がある。すなわち,(1)矯正施設に収容された人も,一般社会に生活するわれわれ市民と同様に日本国憲法上の自由が保障され,また同様のニーズがあり,それを充たす権利を有すること,他方で,(2)その自由や権利に対しては,矯正施設に収容されているということそれ自体,または,定められた矯正処遇や教育を受けなければならないこと等によって制限があること,そして,(3)収容された人には,一般社会に生活する人とは異なる読書のニーズがあること,である。本稿では,特に刑務所に焦点を当て,これら3つの視点を総合的に考慮することの必要を説く。
著者
佐藤 斉華
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.95-117, 2007-06-30

本論文は、ネパールのチベット系ヨルモにおいて急速に過去のものとなりつつある嫁盗り婚(略奪婚)という結婚締結の一選択肢がいかに語られているかを考察することを通じ、グローバルな広がりを持つ「開発」という「近代」的価値言説との交叉において構築されつつある彼らの現在の一段面を照らしだそうとするものである。比較的近年までかなりの規模で嫁盗りを実践してきたと見られる彼らが、この慣行について自ら積極的に語ることは現時点では基本的にない。知りたがりの外部者(例えば筆者=人類学者)に促されて語るとしても、例外なく否定的に、消え去るべき「昔のこと」として語るのみであり、その語り口は近代(西欧)が嫁盗り婚に向けた「過去の」「野蛮な」慣習という視線と一見軌を一にするとも見える。しかし、語りの内容や語る行為において遂行されること(=発話のパフォーマティヴな側面)を子細に腑分けしていくにつれ浮かびあがってくるのは、彼我の類似性・同一性であるより、むしろ彼我の間に横たわる距離であった。即ち、彼らによる嫁盗り婚の否定は、「女性の権利」や「解放」といった嫁盗り婚否定を支える「近代」的価値観の採用によるものではない。それは彼らにおいてローカルに培われてきた価値観の、さらなる純化/強化(=社会的対立/宗教的秩序攪乱の回避)にむしろその根拠をおいている。またそれは確かに、「進歩」を掲げる近代的世界に向けた彼らの積極的参画の働きかけではあった。だがこれらの発話は、彼らの近代世界への参画を一義的に促進する効果を持つというより、その根底にある価値観の異質性とともに、開発への一途な信奉と(既にそれを手放した「開発された」中心に身をおく立場からは)見えるその素朴さにおいて、近代世界における彼らの周縁的位置をむしろ再-構築してしまうという、相矛盾する動きの同時遂行ともなっていたのである。