著者
向山 陽子 Yoko MUKOUYAMA
出版者
国立国語研究所
雑誌
日本語教育論集 (ISSN:13469762)
巻号頁・発行日
no.23, pp.17-32, 2007

本研究は文法説明をしない暗示的帰納的指導の中で,学習者の文法学習に関する信念,及び指導方法に対する態度,学習ストラテジー,学習成果との関連を解明することを目的とする。初級中国人学習者161人の5件法質問紙調査データの因子得点とテスト得点との相関を分析した結果,「文法知識の役割の肯定的受け止め」の信念,指導方法に対する「学習困難感」と学習成果に負の相関があること,指導方法に対する態度によって使用する学習ストラテジーが異なることが示された。これらのことから信念・態度,ストラテジー,学習成果は相互に関連すること,学習者の個人差と指導方法が適合しないと指導効果が現れにくいことが示唆された。
著者
坂無 淳
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.592-610, 2015

本稿では, 大学教員の研究業績の男女差について分析を行う. 多くの先行研究では, 平均的には男性の業績が多い傾向が示されている. しかし, 研究業績には性別という属性以外に多くの規定要因があり, それらの要因を統制したうえでも, なお性別が規定要因となるかを明らかにする必要がある. そこで, 2010年に日本の地方国立大学で行った調査から, 大学教員の1年間の論文数を従属変数とした統計的な分析を行う. その結果, 単純に平均値を比較すると, 年1本ほど男性の論文数が多い傾向があった. つぎに, 性別に加え, キャリア年数, 研究以外の業務量 (授業担当数や学内会議数), 出張日数, 分野, 職階を独立変数に入れた重回帰分析と, 低い値に偏る従属変数の分布に適合した負の二項分布回帰を行った. その結果, 性別は規定要因とならず, むしろ分野や出張日数が強い規定要因となった. 具体的には, 分野では医歯薬学と比べて, 他分野では少なく (農学は除く), 出張日数が多い人は論文数が多い傾向がある. また, 婚姻や育児状況, それらと性別の交互作用など家族面の要因を独立変数としても, それらは規定要因とはならなかった. 結論として, 他の要因を統制すると, 性別は研究業績の規定要因とならず, 性別という属性に基づく研究業績の差は見られない. くわえて, 出張日数が研究業績に与える影響の大きさと, 多様な状況にある研究者への出張支援の重要さが示唆される.
著者
坂無 淳
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.592-610, 2015

本稿では, 大学教員の研究業績の男女差について分析を行う. 多くの先行研究では, 平均的には男性の業績が多い傾向が示されている. しかし, 研究業績には性別という属性以外に多くの規定要因があり, それらの要因を統制したうえでも, なお性別が規定要因となるかを明らかにする必要がある. そこで, 2010年に日本の地方国立大学で行った調査から, 大学教員の1年間の論文数を従属変数とした統計的な分析を行う. その結果, 単純に平均値を比較すると, 年1本ほど男性の論文数が多い傾向があった. つぎに, 性別に加え, キャリア年数, 研究以外の業務量 (授業担当数や学内会議数), 出張日数, 分野, 職階を独立変数に入れた重回帰分析と, 低い値に偏る従属変数の分布に適合した負の二項分布回帰を行った. その結果, 性別は規定要因とならず, むしろ分野や出張日数が強い規定要因となった. 具体的には, 分野では医歯薬学と比べて, 他分野では少なく (農学は除く), 出張日数が多い人は論文数が多い傾向がある. また, 婚姻や育児状況, それらと性別の交互作用など家族面の要因を独立変数としても, それらは規定要因とはならなかった. 結論として, 他の要因を統制すると, 性別は研究業績の規定要因とならず, 性別という属性に基づく研究業績の差は見られない. くわえて, 出張日数が研究業績に与える影響の大きさと, 多様な状況にある研究者への出張支援の重要さが示唆される.
著者
河原 誠二 佐川 憲彦
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学会誌 (ISSN:00214728)
巻号頁・発行日
vol.70, no.584, pp.1332-1338, 1967-09
著者
直江 寛明 木下 紀正 池辺 伸一郎
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.40, no.9, pp.671-679, 1993-09-30
被引用文献数
6

阿蘇火山博物館で測定している大気中の二酸化硫黄濃度が30ppbを越えた高濃度事象を対象に, 気象データと衛星画像や桜島噴煙の地上観測などのデータを用いて発生源の推定を行い, 特徴的な事例について気象条件との関連性について解析した.上層が東風系のとき, 阿蘇火山からの直接的な影響がみられ, 数百ppbに達する高濃度が長時間にわたってしばしば観測された.桜島は常時多量の噴煙と火山ガスを放出していて, 上層で南風系が卓越しているとき, 150km離れた測定点で30ppb以上, 時には100ppbを越える高濃度が検出された.二酸化硫黄濃度の日変化で特に高濃度が観測されるのは, 夜間に地表で放射冷却による接地逆転層が形成され阿蘇中岳火口からの火山ガスによる局所的な汚染濃度が極度に高められるとき, 及び九州が移動性高気圧の後面に位置し, 安定した大気中を桜島からの火山ガスが移流して混合層内の汚染濃度が高められたときと考えられる.
著者
上田 浩
出版者
社団法人 電子情報通信学会(IEICE)
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告(TECHNICAL REPORT OF IEICE)
巻号頁・発行日
vol.113, no.442, pp.115-120, 2014-02

Office365 Education のサービス品質保証契約について調査した概要をまとめ, 実際にサービス運用中に生じた障害と契約との整合性に関するケーススタディを行う. これらの実例をもとに, 大学など教育研究機関向けオンラインサービスに必要なサービス品質に関し議論する.
著者
荻原 直道 工内 毅郎 中務 真人
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム
巻号頁・発行日
no.18, pp.35-44, 2006-09-15
被引用文献数
1

ヒトの精密把握能力の形態的基盤の進化を明らかにするためには,ヒトと最も近縁なチンパンジー手部構造の形態と機能の関係を理解することが不可欠である.このためCTおよび屍体解剖により取得した形態学的情報を元に,チンパンジーの手部筋骨格系の数理モデルを構築した.本モデルを用いてチンパンジーの形態に規定される精密把握能力を生体力学的に推定し,ヒトの手と比較した結果,特に第1背側骨間筋の付着位置の違いが,ヒトに特徴的な優れた把握能力に大きく寄与していることが示唆された.
著者
藤重 悟 岩田 覚
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告アルゴリズム(AL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.103, pp.53-60, 2000-11-10

双劣モジュラ関数最小化を行なう最初の組合せ的な多項式時間アルゴリズムを提示する.このアルゴリズムは,劣モジュラ関数最小化に関するIwata-Fleischer-Fujishigeのスケーリング法の拡張に当たる.双劣モジュラ関数はデルタマトロイドの階数関数として現れる.本論文のアルゴリズムは,デルタマトロイド多面体の分離問題に関する最初の組合せ的な多項式時間解法を与える.マトロイド多面体の場合と異なり,デルタマトロイド多面体に関するこの問題に組合せ的な強多項式アルゴリズムを与えることは,依然として未解決である.This paper presents the first combinatorial, polynomial-time algorithm for minimizing bisubmodular functions, extending the scaling algorithm for submodular function minimization due to Iwata, Fleischer, and Fujishige. A bisubmodular function arises as a rank function of a delta-matroid. The scaling algorithm naturally leads to the first combinatorial polynomial-time algorithm for testing membership in delta-matroid polyhedra. Unlike the case of matroid polyhedra, it remains open to develop a combinatorial strongly polynomial algorithm for this problem.
著者
Uchida Hiroyuki Yamaguchi Hiroya Koyama Katsuji
出版者
IOP Publishing
雑誌
The Astrophysical Journal (ISSN:0004637X)
巻号頁・発行日
vol.771, no.1, 2013-07-01
被引用文献数
32

藤原定家の超新星は非対称爆発をした -X線天文衛星「すざく」が明らかにした標準光源の「ゆがんだ」形状-. 京都大学プレスリリース. 2013-07-02.