著者
Yukako Yoshida 吉田 ゆか子
出版者
国立民族学博物館
雑誌
国立民族学博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Ethnology (ISSN:0385180X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.223-251, 2021-09-30

1980 年代以降の人類学では,モノが人間に使われたり,意味や価値を付与されたりする側面だけでなく,モノの側からの人間への働きかけや,モノと人の相互的作用によって出来事が生成されるプロセスに着目している。また,そこに物質性がいかに関わるのかという問いも重要性を帯びている。本特集は,こうした「マテリアリティの人類学」の関心を上演芸術の研究と交差させ,新たな視座を探求するものである。本特集では,芸能を人とモノの織りなす営みと捉え直し,表現や伝承にモノがどのように関与するのかを考察する。モノの物質性に触発され想像力や創造性が刺激されるプロセスにも注目する。そのなかでは,舞台後もつづく日常におけるモノと人の関わりの影響,モノの移動がもたらす事柄,人とモノ(例えば楽器や他者の身体)が「1 つになる」といった事態,などの新たな研究テーマも生まれる。
著者
亘理 陽一
出版者
北海道大学大学院教育学研究院
雑誌
北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
巻号頁・発行日
vol.108, pp.99-114, 2009-07-15

中学・高校の英語で扱う「文法事項」の中でそれほど明確な位置づけを与えられていないものの一つに,量化表現がある。量化表現は事物の数量や行為の頻度などを表す表現の総称であるが,名詞(句)と結び付いて事物の数量を表す「数量詞」にさしあたりその範囲を限定すると,英語ではsomeやall,Manyなどがこれに属し,「数」の屈折と並んで,事物の量を表す主要な手段を構成している。体系的な扱いを阻む原因の一つには,それぞれの語句の持つ意味の多様性や統語的振舞いの複雑さがあるが,その一方で,教科書等での「肯定文にはsome,否定文にはanyを用いる」といった,過度の単純化による誤解を招く説明が長年問題とされてきた。本稿では,Huddleston & Pullum (eds.) (2002)やRadden and Dirven (2007)に基づいて量化表現の体系を整理し,それに対して語用論的原理に基づく教育内容構成を行うことで,従来の指導上の問題の解決を試みた。
著者
今枝 立至
出版者
名古屋大学
巻号頁・発行日
2019-03-25
著者
兼平 孝
巻号頁・発行日
2014-10-19

食事はどうして楽しいの?(Why is having meal so joyful? ). 北海道大学歯学部講堂. 2014年10月19日(日) 9:30-12:30.
著者
村澤 和多里
出版者
札幌学院大学総合研究所 = Research Institute of Sapporo Gakuin University
雑誌
札幌学院大学心理学紀要 = Sapporo Gakuin University Bulletin of Faculty of Psychology
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.19-33, 2018-10-31

近年,ひきこもりについて,背景にある精神保健的問題を重視した対応が求められるようになってきている。しかし,その背景にある精神保健的問題についての認識は多様であり,また短期間のうちに変化してきている。本稿では,ひきこもりの背景について指摘されてきた精神保健的問題について概観し,それらの相互関係を整理しつつ,ひきこもりについての心理学的理論を包括的に理解するための枠組みについて検討することを目的とした。 検討を通して,ひきこもりに陥る要因とそれが継続する要因を区別すること,ひきこもりを自尊心や安全感が脅かされるリスクに対する本人なりの対処戦略として理解すること,そのプロセスで二次的に生じる症状を区別して論じる必要性があることを提示した。