著者
神原 利彦 岩切 大知
雑誌
第82回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, no.1, pp.3-4, 2020-02-20

チェーンソーアートのような彫刻で美しい作品を作り出すには、刃物をどのように操り、どうやって削り出して行くかを経験を重ねて習熟する必要がある。だが、刃物自体が危険な物体であり、どんなに安全面で気をつけていても習熟の途中で疲労から負傷するおそれがある。そこで、本研究ではCGロボットアーム先端に付けた刃物を力覚デバイスで少し離れた場所から遠隔操縦し力加減などを仮想空間上で経験しながら安全に習熟していく彫刻訓練支援システムを提案する。刃物と物体の両方をボクセルで表現し、互いのボクセルが衝突した際に、物体ボクセルを消滅させることで、切削跡を表現する。お手本となる像を削らないよう切削する実験を行った。
著者
牧野 均 生駒 一憲
出版者
北海道文教大学 ; 2004-
雑誌
北海道文教大学研究紀要 = Bulletin of Hokkaido Bunkyo University (ISSN:13493841)
巻号頁・発行日
no.40, pp.55-68, 2016-03

運動イメージ課題をリハビリテーションに効果的に応用するために,一人称イメージと三人称イメージの運動イメージ想起の方法の違いに着目し,機能的磁気共鳴画像法(functional magnetic resonance imaging ,以下f-MRI)を用いて脳活動部位の比較を行った。対象は,一人称イメージ課題群19名,三人称イメージ群17名である.結果,一人称イメージ課題群では,被験者自身の動く足趾映像を見ながら運動イメージ課題を行った場合,第三者の動く足趾映像を見ながら運動実行課題を行った場合と比較して,左角回と右紡錘状回の活動が増加した.三人称イメージ課題群では,第三者の動く足趾映像を見ながら運動イメージ課題を行った場合,被験者自身の動く足趾映像を見ながら運動実行課題を行った場合と比較して,左中前頭回ブロードマンの9野の後部領域の活動が増加した.一人称イメージ課題群と三人称イメージ課題群の群間比較では,三人称イメージとしての被験者自身の動く足趾映像を見ながら運動イメージ課題を行った場合,一人称イメージとしての第三者の動く足趾映像を見ながら運動イメージ課題を行った場合と比較して,左右の舌状回と右前帯状皮質の活動が増加した.これは,一人称イメージ課題と三人称イメージ課題に被験者自身と第三者を組み合わせることで相補的な制御で課題の遂行を行った可能性があることを示す.以上の結果より,一人称イメージを運動イメージ課題として用いる場合は被験者自身の足趾を見つめさせつつセラピストが他動的に足趾を動かすこと,三人称イメージ課題を用いる場合は向かいに座ったセラピストの足の動作を模倣しつつ同時にセラピストが他動的に足趾を動かすことが自己を認識しつつ効果的にリハビリテーションを行う可能性があると考える.
著者
島田 泰子
雑誌
二松学舎大学論集
巻号頁・発行日
no.57, pp.(45)-(65), 2014-03
著者
梅津 正美 Masami UMEZU
出版者
鳴門教育大学
雑誌
鳴門教育大学研究紀要 = Research bulletin of Educational Sciences, Naruto University of Education (ISSN:13434403)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.167-178, 2003-03-07

The aim in this paper is to clarify the theory on the teaching history for contemporary social studies based on social history. In this paper, I will examine the American Studies Program for 7・8th graders, "Our Social and Cultural History" developed by Frank Alweis in the U.S.A. The results of analysis are as follows: (1) The principal goal of this program is to make students foster the sense of trend, develop the ability to assess the quality of contemporary society through understanding how and why American life and society have developed into what it is today. (2) Key elements of the methodology are: (1) to organize the instructional contents to conceptualize the process of modernization by examining social structure, social consciousness, and social issues from the viewpoint of social activities of ordinary people and expanding social life space. (2) to develop the learning process from the step to interpret motivations for action, and meanings using narrative readings to the step to examine value-related issues in historical context by class-discussion.
著者
亀ヶ谷 雅彦
出版者
山形県立米沢女子短期大学
雑誌
山形県立米沢女子短期大学紀要 = Bulletin of Yonezawa Women's College of Yamagata Prefecture
巻号頁・発行日
no.36, pp.71-86, 2001-12-28

要約 : 本論文では、まず選挙予測が選挙結果に与える影響、すなわち「アナウンスメント効果」に関して内外の先行研究を概観し、その研究動向の経緯をまとめた。ついでこれらの研究の中で、アナウンスメント効果の捉え方に関して、(1)直接・間接効果の区別、(2)投票動員への影響か、投票選好への影響かの区別、(3)影響方向の違い、という3つの要素が考慮されていることを見い出した。最後に、これらの要素を内包した新しいアナウンスメント効果の概念類型として、4つの投票意図変化(生起・補強・棄権・変更)と3つの選挙情勢内容(優勢・接戦・劣勢)を組み合わせた12の領域からなる下位概念の分析枠組みを提示した。 キーワード : アナウンスメント効果、選挙予測、世論調査、バンドワゴン効果、アンダードック効果
著者
竹内 郁雄
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, 1991-01-15
著者
國吉 知子 Tomoko KUNIYOSHI
雑誌
女性学評論 = Women's Studies Forum
巻号頁・発行日
vol.34, pp.1-20, 2020-03-20

本稿は2019年女性学インスティチュート連続セミナー「母なるものの役割」 において筆者が担当した「現代家族の中の母」をもとに加筆修正したものである。まず、現代の子どもと母親の置かれた状況について理解するために、幼稚園教諭から見た子どもの問題行動の実態調査の結果や、親子相互交流療法 (Parent‒Child Interaction Therapy:以下PCIT)に来談する母親が直面する子どもの問題行動への対処の困難感を紹介した。次に、筆者は「母なるもの」すなわち「母性性」について、養育者と子どもの心理的相互作用メカニズムに関する近年の脳科学の知見を援用し「母なるものの本質的機能」を再考し、さらに今井(2009)の研究をもとに父性と母性が、与える親の性別に限定されないことを指摘した。最後に、筆者が2013年から実施しているPCITについて解説し、子どもの共感性や自己制御能力を育成するために親がとるべき役割、行動について、母性・父性、ジェンダーの視点から考察を試みた。結論として、PCITは前半の子どもを受容する母性的機能、後半の子どもへの統制を行う父性的機能が構造化されているが、PCITは養育者の性別を問わないため、PCITを用いることで養育者のジェンダーにかかわらず母性性、父性性双方のバランスがとれた子育てが可能になることを示した。
著者
赤坂 正浩 アカサカ マサヒロ Masahiro Akasaka
雑誌
立教法学
巻号頁・発行日
vol.102, pp.149-187, 2020-03-31
著者
石毛 弓 Yumi ISHIGE
出版者
大手前大学
雑誌
大手前大学論集 = Otemae Journal (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-14, 2016-03-31

さまざまな哲学者たちが人格の同一性に関する論を展開しているが、なかでもデレク・パーフィットは彼独特の一種ラディカルな見解を示している。それを端的に示せば、「人格の同一性は、私たちの生存にとってもっとも重要なものではない」になるだろう。この見解は彼自身が認めている通り、一般的な経験からすると受け入れることが難しいものである。本論は彼がこの見解に至った過程を考察するとともに、その妥当性を功利主義の観点から検討する。まずパーフィットにおける人格の同一性の概念を、彼の論に沿って「非還元主義」と「還元主義」に分けて解説する。非還元主義とは、人格はなにかによって説明され得るものではなく、それそのものとしか表しようがないとする考えを指す。他方、還元主義では、人格の同一性はなんらかの経験的なものによって説明され得るとみなされ、彼自身の考えは大きくくくればこちらに与する。人格の概念に対してパーフィット流の還元主義を選択した場合とそうでない場合では、私たちの思考や態度は変化するだろう。後半ではこの変化をとくに功利主義の観点から追い、人格に対する彼の主張を検証する。
著者
古川 賢信
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, 1998-03-15
著者
菊地 隆文 名取 廣 河野 健二
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2020-OS-150, no.15, pp.1-8, 2020-07-23

現代の情報サービスは,分散システムが基盤となっている.分散システムにおいて,大規模な障害が発生すると,サービスの停止につながる.したがって,分散システムの信頼性を向上させることは重要な課題である.分散システムにおける障害の発生要因の 1 つに,パケット処理のテイル・レイテンシがある.例えば,ハートビートの遅延は,リソースモニタリングの遅延や障害の誤検知を引き起こす.このようなパケットの遅延は,ソフトウェアが要因となり発生することが報告されている.高速なパケット処理を可能とする技術として,DPDK や XDP が挙げられるが,他の割込みによる遅延や既存のシステムへの統合などの課題が残る.本論文では,オペレーティングシステム内において,パケット処理のテイル・レイテンシを削減するシステムを提案する.ハードウェア割込みハンドラ内に,安全にユーザーコードをロードし,パケット処理を可能とすることで,テイル・レイテンシを引き起こす要因を回避する.本システムの有効性を示すため,I/O 負荷がある状態において,パケットのエコープログラムを用いてラウンドトリップタイムを測定した.その結果,DPDK や XDP といった既存の技術と比較して,パケット処理のテイル・レイテンシを削減できることを確認した.