著者
嵯峨 隆
出版者
静岡県立大学国際関係学部
雑誌
国際関係・比較文化研究 (ISSN:13481231)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.1-19, 2012-09-01
著者
青山 茂義 宮北 和之 三河 賢治
雑誌
インターネットと運用技術シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.56-63, 2019-11-28

新潟大学では,2019 年 3 月に無線 LAN システムを含む,全学のネットワークシステム更新を行った.更新時の重要な課題の一つは,情報基盤センターの障害や被災時などにも,学内の他部署のネットワークを継続利用可能にすることであり,無線 LAN の基幹システムに対しても,外部データセンター利用による BCP(Business Continuity Planning)対策を行った.また,もう一つの重要な課題は,速やかなセキュリティインシデントレスポンスをいかに実現するかであった.これは,有線 LAN のセキュリティシステム(人的セキュリティ体制含)と統合することにより実現した.また,スマートフォン端末を始めとするネットワーク端末普及による利用者増や授業アンケート等での多人数利用を想定して,同時利用者数 5,000 人まで対応可能な無線 LAN システムを構築した.本論文では,大学のように,多くのユーザの同時利用が想定される環境においてデータセンターを利用した無線 LAN システムに関する考察と報告を行う.
著者
西野 勝明
出版者
静岡県立大学経営情報学部
雑誌
経営と情報 = Review of Management and Information (ISSN:09188215)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.33-43, 2015-12-25

ヤマハ音楽教室は楽器産業の需要創造をもたらした画期的なソフトなイノベーションであるが、 その教育のコンセプト、 教育手法は、 バイオリニストの鈴木鎮一が開発した才能教育の手法 (スズキ・メソード) を概ね受け継いだものであった。 ヤマハは、 音楽教室を、 事業採算性を持ったビジネスモデルとして完成させ、 我が国のみならず、 世界にその普及を図った。 音楽教室は教育産業であり、 その需要の創造は、 補完財である楽器の需要を創造して楽器産業の成長をもたらした。 一方、 才能教育は世界で最初の幼児からの音楽教育手法として我が国から米国など海外にも広く普及した。
著者
川崎 聡大 荻布 優子
出版者
奈良学園大学
雑誌
奈良学園大学紀要 = Bulletin of Naragakuen University
巻号頁・発行日
vol.9, pp.59-63, 2018-09-30

本稿では、まず自閉症スペクトラム障害の定義、症候について概説するとともに、DSM-5定義の改定とともに診断基準に明記された感覚過敏について、特に最も頻度の高い聴覚過敏をとりあげてレビューを行うとともに、その機序を生理学・病理学的観点から検討を加えた。その結果、聴覚過敏が一次聴覚皮質から聴覚連合野由来の要因と辺縁系由来の要因に起因し、症候の程度や予後は知的障害の程度の影響を受けることを示唆した。聴覚過敏の機所は一様ではなく、複数の要因に起因し、環境要因をはじめ、多くの要因がその後の経過に交絡している可能性を示した。よって、過敏に対する効果的な対処方法を検討する際には背景要因を見極め、機序に応じた対処が必要となる。
著者
矢崎 俊志 Syunji Yazaki
出版者
電気通信大学
巻号頁・発行日
2006-03-23

本論文は,一般的な汎用プロセッサのビット長を大きく上回る多倍長数の乗算をハードウェアで実現する方法について述べる.多倍長数の演算は高精度の数値計算や素数判定,カオス計算,暗号計算など,多様なアプリケーションに利用されている.多倍長演算はその性質から,多くの時間を必要とする.特に,頻繁に利用される乗算は演算のボトルネックとなり得る.多倍長乗算においてはO(n^2^) の筆算式乗算よりも効率よく乗算を行う様々なアルゴリズムが存在する.代表的なものとして,O(n^1.58^) のKaratsuba 2-way 法,O(n^1.465^) のKaratsuba 3-way 法,O(n^1.404^) のKaratsuba 4-way 法,O(n^1.365^) のKaratsuba 5-way 法,O(n^1.63^) の法算法,O(n log n log log n) の高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform, FFT) 法がある.これらの中で,オーダの上で最も高速なのはFFT 法である.しかし,FFT 法は,複素数演算のオーバヘッドが大きく数百から数万ビットの演算における実質的な性能はKaratsuba 法よりも低い.このことから,現在もっとも利用されているアルゴリズムはKaratsuba 法である.ただし,数百万桁の乗算においてはFFT 法の方が高速である.現在,これらの多倍長乗算はソフトウェアによって実現されている.一方,多倍長乗算のハードウェア実装に関する研究としては,ガロア体上の乗算を行うものが多く報告されているが,整数の乗算に関するものはごくわずかである.特にFFT 乗算のハードウェア実装に関する研究は知られていない.本研究の目的は,FFT 法を用いた比較的大きな桁数の多倍長乗算とKaratsuba法を用いた比較的小さな桁数の多倍長乗算をそれぞれハードウェア実装し,ソフトウェアとの比較を行うことでその性能やコストを明らかにすることである. FFT 法のハードウェア実装においては,最大値どうしの乗算が最大の誤差をあたえることに着目し,乗算に必要な精度を求め,それを保証するデータ長でFFT 乗算器をCMOS 0.18μm テクノロジを用いて構成した.その結果,16 進数2^13^ 桁の乗算において,IEEE754 の64 ビット浮動小数点表現を用いた場合と比較して面積を60%,最大遅延時間を26% 削減したFFT 乗算器を実装することができた.さらに最適なパイプライン化を行った結果,同世代のテクロノジで設計されたPentium4 1.7GHz 上で実行したFFT 乗算と比較して16 進数2^5^ から2^13^ の範囲で,19.7倍から34.3 倍,平均で25.7 倍の性能を実現することができた.この時の面積は9.05mm^2^ であった.また,FFT 乗算とKaratsuba 乗算の性能が逆転する16 進数2^21^ 桁の乗算においては35 倍の性能を実現した.この時の面積は16.1mm^2^ であった.実際に,16 進数2 桁のFFT 乗算器を2.8mm 角のカスタムチップで試作し,その結果から,より大きな桁のFFT 乗算器も現実に実装可能であることを示した. Karatsuba 乗算器の実装においては2 つの設計選択肢として組み合わせ回路で行うRKM (Recursive Karatsuba Multiplier) と順序回路で行うIKM (Iterative Karatsuba Multiplier) を構成した.CMOS 0.18μm テクノロジを用いてこれらを実装した結果,2^9^ ビット以上の乗算においてRKM の面積は標準的な乗算回路であるWallace Tree 乗算器(Wallace Tree Multiplier, WTM) より小さくなることがわかった.2^9^ ビットにおける面積は30mm^2^ であった.また,最大遅延時間は常に WTM の方が短かった.このことから,性能コスト比においてRKM よりWTMの方が優れていることがわかった.したがって,IKM で用いる基本乗算器としてはWTM を用いる方が良い.IKM に関しては,再帰の回数をそれぞれ1,2,3 としたR1IKM,R2IKM,R3IKM を実装した.さらにそれぞれについて,基本乗算器のビット長(基本ビット長) を4 から128 ビットとするIKM を実装し,その性能,面積,電力を評価した.その結果,基本ビット長を32,64,128 ビットにしたIKMは,ソフトウェア実装exflib と比較してそれぞれ約5,10,30 倍の性能を実現できることを示した.この時,最も大きい面積は,基本ビット長を128 ビットにしたR3IKM の10.9mm^2^ であった.同じR3IKM について消費エネルギーを評価したところ汎用プロセッサと比較して1/600 であることがわかった.全体を通して,ハードウェアとソフトウェアいずれにおいても,FFT 乗算とKaratsuba 乗算は2 進2^23^ 桁(16 進数2^21^) 付近で性能が逆転することがわかった. 2 進2^23^ 桁においてハードウェア実装とソフトウェア実装の性能比はいずれのアルゴリズムについても約30 倍であった.またこのとき,面積はそれぞれ2^12^mm^2^ と16mm^2^ であった.ただし,FFT 乗算器の面積に外部メモリは含まれていない.これらの結果から,FFT 法とKaratsuba 法の両ハードウェア実装おいて,パラメータに応じた性能コスト比の変化と適用範囲が明らかになった.本論文は,広い桁範囲における多倍長乗算のハードウェア化に関する詳細な研究結果を述べた唯一のものであり,多倍長乗算を用いたアプリケーションやシステムの実現において有益な指標となる.また,多倍長演算に関する実装技術の研究や開発,およびアプリケーションシステムの利用促進に大きく寄与すると考えられる.
著者
樋口 行人 大下 和茂
出版者
九州共立大学
雑誌
九州共立大学研究紀要 = Study journal of Kyushu Kyoritsu University (ISSN:21860483)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.97-101, 2019-09-30

Previously, we constructed the e-learning support system which measures up to the qualificationexam for certified "Health Fitness Programmer", and suggested that the system is effective forimprovement the passing rate of the exam (Higuchi & Oshita, 2015). The purpose of this study wasto investigate the characteristics of individuals who failed the exam by analyzing the answers of theexercises in the e-learning system in detail. The participants were 48 qualification examinees using oure-learning system. The exercises in e-Learning consisted of 11 fields and 300 questions. The answers ofthe exercises in each field were calculated the initial score (IS), the average score (AS) and the highestscore (HS) for each participant. Further, these scores in each field were compared between participantswho passed the qualification exam (PASS, n = 38) and those who failed (FAILE, n = 10). HSs of almostfields were not significantly different between PASS and FAILE. IS in health policy field and AS in noncommunicablediseases (NCDs) field were significantly lower in FAILE than in PASS (p < 0.05). IS inNCDs field and HS in health fitness theory field tended to be lower in FAILE than in PASS (p < 0.10).Especially in NCDs and health fitness theory fields, score differences between PASS and FAILE werelarger in AS than in IS. Therefore, participants who failed the qualification exam fewer improved theirscores in these two fields even after repeated exercises, suggesting that these fields are weak point ofthem. These results suggest that it is necessary to devise learning contents that get interesting in theNCDs, health fitness theory, and health policy fields for improvement the passing rate of the qualificationexam for certified "Health Fitness Programmer".
著者
鈴木 常恭
雑誌
尚美学園大学芸術情報研究 = Journal of Informatics for Arts, Shobi University (ISSN:18825370)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.37-55, 2007-11-30

テレビジョン番組は、ほとんどが先行する演劇、大衆演芸、歌劇などの実演形式、そして映画の表現形式を敷衍したものである。しかし、クイズ番組は放送メディア(テレビ、ラジオ)が、独自に開発した数少ない番組形式である。この番組形式は、テレビが登場して以来いまも多くの視聴者を獲得している。そして、この番組形式は、いま世界中のテレビジョン放送が共有する主要なジャンルとして位置づけられている。この研究ノートでは、テレビ番組研究の一貫として、はじめにテレビ番組におけるジャンルの生成と確立に言及し、これを踏まえクイズ番組の構成要素、出題と知、演出そして受容のされかたを番組の変遷を踏まえ考察する。
著者
工藤 達朗
出版者
法学新報編集委員会
雑誌
法学新報 (ISSN:00096296)
巻号頁・発行日
vol.121, no.11・12, pp.671-686, 2015-03-16

本稿は、刑法理論における「構成要件」の観念を憲法の基本権解釈に取り入れるべきことを提唱するものである。刑法理論において、犯罪成立の有無は、構成要件該当性・違法性・責任の三要素を段階的に検討することによって判断される。これに対して憲法においては、基本権侵害の有無を判断する方法論が長い間確立していなかった。その原因の一つが、「構成要件」の観念が存在しないことである。この点は、違憲審査基準論においても同様であった。本稿は、基本権解釈に「構成要件」の観念(=「基本権構成要件」)を取り入れることで、違憲審査の判断過程が透明かつ明確になると主張する。そして、この観念を基本権論に取り入れると、ある国家行為が複数の基本権構成要件に該当する「基本権競合」の問題が生じる。この点についても、刑法の罪数論における法条競合や観念的競合の議論が参考になることを明らかにし、憲法と刑法の理論的共通性を指摘する。