著者
藤村 悠太朗 金子 知適
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.145-152, 2018-11-09

近年,環境から得た報酬を用いて学習を行う,強化学習の手法が盛んに研究されている.Deep Q-Network がAtari2600の様々なゲームで人間のプレイヤーを上回るスコアを達成したことが報告されており,より一般的なビデオゲームへの応用も期待されている.本研究は,世界的に有名なコンピュータゲームであるMinecraft上で動作するAIエージェントを研究対象とする.Minecraft のようなゲームは環境から報酬が与えられる機会が少なく,そのままでは学習が難しいという問題がある.この問題を解決するため,課題を階層的に分割することで模倣学習と強化学習を組み合わせる手法であるhg-DAgger/Qで学習するエージェントでの実験を行い,その性質を検討した.
著者
鹿島 一紀
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.68(2000-CSEC-010), pp.121-127, 2000-07-25

IDとパスワードに代わる本人認証システムとしては、指紋などを利用するバイオメトリックス認証の実用化が進んでいる。これは個体特有の特徴をシステムで認証することで、別人がなりすますことをほぼ完全に防御できるという期待感からと考えられる。しかしバイオメトリックス認証には、普及しづらい本質的な5つの課題がある。そこで従来のIDとパスワードの課題を再考し、これらの課題にも対応できるソリューションが必要と考え、画像の位置情報を利用した新しい本人認証方式を開発した。本稿は、その開発背景、認証方式、およびその有用性についで報告するものである。
著者
頼 衍宏
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 = NIHON KENKYŪ (ISSN:24343110)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.9-49, 2018-11-30

法隆寺金堂に珍蔵されている「銅像薬師如来坐像」という国宝の光背銘は、日本の国語学ないし古典文学の領域で重要な位置を占めている。その文体について、現代の有力説では和文とされている。一方で、「正格の漢文」という波戸岡旭の説もある。ここでは、この少数説を支持して、訓詁・音韻・修辞という三つの側面から検証した。
著者
横山 一郎
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.28(1987-DBS-059), pp.1-8, 1987-05-18

データベース言語NDLは、ネットワーク型のデータベース言語としてANSIが草案を作成し、ISOでの審議を経て国際規格になろうとしている。またそれを受けて、日本でもJIS原案が作成された。NDLはCODASYLデータベースの仕様をベースとしながらも、プログラミング言語からの独立、論理性の強化、DDLとDMLとの融合、仕様の簡明化などが図られている。特に、レコード中のデータ項目の値によって親子集合を決定する機能、FIND文の形式の簡略化、適用業務プログラムから発行するDMLを集めて記述する「モジュール」など、特徴点が多い。このNDLの制定の経緯とその特徴点について述べる。
著者
南波 幸雄 飯島 淳
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.662-670, 2005-03-15

ビジネス環境の拡大にともない,企業内ばかりでなく,企業間・地域間をまたいだ情報システムの連携が求められている.それに応じて企業情報システム(EIS)を支える情報インフラに対しても,統合・連携のためのフレームワークが求められている.本論文では,統合情報インフラを構成する,統合・連携のための機能連携要因について,EIS都市計画アプローチの視点から整理する.そして,それらの機能連携要因を形成する適用技術が,実際にどのように実装されているかを3つの事例に基づいて例示する.そのうえで,EISアーキテクチャの「ビューポイント」の概念を適用して,フレームワークの有用性について考察する.
著者
髙橋 直暉
出版者
東京海洋大学
巻号頁・発行日
2016

東京海洋大学修士学位論文 平成28年度(2016) 海洋管理政策学 第2567号
著者
高林 陽展 タカバヤシ アキノブ Akinobu TAKABAYASHI
雑誌
清泉女子大学人文科学研究所紀要
巻号頁・発行日
vol.36, pp.160-182, 2015-03-31

本稿は、ミシェル・フーコーの規律化と統治性に関する議論を念頭におきつつ、20世紀前半のイングランドにおける精神病院とその患者の問題を検討するものである。フーコーは、18 ~ 19世紀のヨーロッパにおける精神病院の勃興について、非理性の代表格たる狂気を規律化し、理性を持つ者の側に復帰させるための啓蒙主義的試みとして論じた。このフーコーの議論をめぐっては、実証的な歴史学の立場から再検討が加えられ、実際の精神病院の現場では精神病者とその家族の利害が考慮されていたことが明らかとなった。しかし、こうした実証的な研究は、20 世紀の精神病院とその患者たちを視野の外に置いていた。それは、20 世紀の精神病院には19 世紀とは異なる特質が認められるためであった。19 世紀末になって狂気の規律化が失敗に終わりつつあることが徐々に認識されると、精神病院という施設を通じた規律化を高コストなものとして退け、ソーシャル・ワークを中心とした施設外での取り組みが増えていった。このような歴史的展開は、フーコーが「生権力」「統治性」と呼んだ概念の下でより鮮明に理解することができる。フーコーは、近代社会の特徴を、集団レベルでの生命の特性を把握し、その調整を行う権力である生権力、人口集団を政治経済的に統制するための様々な制度や戦術の動員を意味する統治性という二つの概念の下で論じた。つまり、フーコーは、規律化とは異なる管理と統治の技法の存在を示唆している。本稿は、その新たな管理と統治の技法が実際の精神医療の現場においても確認できるものかを問うものである。具体的には、ロンドン近郊に所在したクライバリ精神病院の運営委員会記録を分析し、20世紀前半の精神病者たちは果たして、生権力と統治性という、いわば精神医学の権力に服する存在だったのか。彼ら自身の主体性は認められないのかを検討した。分析の結果、精神病院と精神科医たちは多くの場合、患者とその家族の利害を汲んでいたことが明らかとなった。ただし、フーコーが論じた別の概念、統治手段としての家族、あるいは司牧的権力論を参照すると、患者の主体性を認めることは一概には望ましくないことも確認された。結論としては、20 世紀前半のイングランドにおける精神医療は、ソーシャル・ワークという新たなサービス形態を通じて、患者とその家族の生活へとアプローチし、そのチャンネルを通じた国民生命と健康の管理を目指したことが論じられた。
著者
並松 祐子 宮崎 伸夫 松尾 豊 中村嘉志 西村拓一
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.3(2006-HI-117), pp.59-66, 2006-01-13

本論文では,実世界のコンテクストを反映させた情報支援を行うために,オブジェクト同士の局所的な位置と向きの関係を取得し,そこから大局的な関係や意味を抽出するトポロジー推定に関する手法を提案する.また,シミュレーションを用いて本提案手法の基本的な特性を定量的に評価する.さらに,学会や懇親会場などの混雑した空間を想定し,多数のオブジェクトを用いたシミュレーション実験によって数種類の利用シーンに応じて必要となるデバイス特性を明らかにする.実験及び評価の結果,トポロジー推定手法が情報支援に必要なコンテクスト情報を抽出するのに有効であることが示された.