著者
清 雄一 竹之内 隆夫 大須賀 昭彦
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.1977-1987, 2015-10-15

データを外部のストレージ事業者に預けることが多くなっているが,プライバシや機密情報管理の観点から問題が生じる場合がある.データおよびその索引を暗号化する手法が有効であるが,検索等,データ処理の効率性を低下させることは避けたい.このような課題に対し,Bloom Filterというデータ構造を用いる情報管理エージェントが提案されている.しかし,安全性を担保するためには,検索速度が悪化するという問題がある.これは検索時にクラウド上のデータ数に比例した回数だけハッシュ値を計算する必要が生じるためである.提案手法では,Bloom Filterを利用し,ハッシュ値の計算のみではなく,素数によるMOD演算を併用することで,これまでと同レベルの安全性を保持したうえで検索速度を向上させる.793万ドキュメントを利用したシミュレーション評価により,従来約30.2秒必要だった検索が0.7秒程度でできることを示す.
著者
稲葉 宏幸 玉井 拓人
雑誌
研究報告セキュリティ心理学とトラスト(SPT)
巻号頁・発行日
vol.2014-SPT-10, no.42, pp.1-6, 2014-06-26

現在,パスワード認証方式は,様々な情報システム,サービスにおいて幅広く利用されている.一方で,利用者が安易に脆弱なパスワードを使用したり,一つのパスワードを複数のシステムで使い回したりするという問題点が知られており,第三者にパスワードを推測されたり,攻撃者が流出したパスワードを利用して他のシステムに侵入を試みるといった事例が後を絶たない.他人に推測されにくいパスワードを多数生成する方法として,ランダムなパスワードを機械的に生成する方法が考えられるが,このようなパスワードは一般的に入力しにくいという問題がある.そこで,本報告では,人間が短期的に記憶しやすい 5~9 文字からなる文字列をマルコフ過程を用いることにより自動的に生成し,それらをいくつか連接することにより,推測されにくく,かつ,入力が容易なパスワード文字列を生成する手法を提案する.提案手法によって生成されるパスワードは,同程度の安全性を有するランダムなパスワードに比べて半分程度の時間で入力が可能であり,パスワード認証の利便性を大きく向上させることが可能である.
著者
上條浩一
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.122(2002-CSEC-019), pp.31-36, 2002-12-20

デジタルコンテンツの著作権保護, 不正コピーの防止,改竄の検出,抑止等の手段として, 電子透かしが注目されている. 高耐性型電子透かしの大きな基本技術項目として, 耐性と画質(音質)があるが, これらはtrade offの関係にある. 埋め込み後のコンテンツの画質,音質を一定に保ったまま, 耐性を向上させる方法が多数提案されているが, 殆どのものは埋め込み直後の検出強度が最大になるような埋め込み方式を提案している. しかし,埋め込み直後の状態では大抵の場合検出強度は十分強く, 耐性が問題になるのは, 圧縮,アナログ変換等ポストプロセスがかかった後の状態である.本論文では, 電子透かしの耐性を, ポストプロセスがかかった後の検出強度を考慮に入れて埋め込みを行なうことにより向上させる方法について議論し, 実験によりその有用性を確認する.
著者
小林瞳 植竹朋文
雑誌
第77回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.1, pp.343-345, 2015-03-17

多くの人は当日の朝にその日に着ていく服をコーディネートしていることが多い。最適なコーディネートをするためには、洋服間の相性や個人の好みや気分を考慮するだけでなく当日の天気や気温、着た服の履歴を参照しつつ着るべき服を決定する必要があるが、たくさんの洋服を持っている場合、時間的余裕のない朝の時間にこれらの作業を行うことは難しい。そこで本研究では、洋服間の相性や好み等の個人属性、天気等のその日の状況と着た服の履歴を考慮したコーディネート支援システムの提案を行う。本システムを利用することで、ユーザは着たいトップスかボトムスを1つ指定するだけで、最適なコーディネートを容易に実現することが可能となる。
著者
杉浦 啓介 亀山 幸義
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第70回, no.ソフトウェア科学・工学, pp.303-304, 2008-03-13
著者
川本 皓嗣 Koji KAWAMOTO
出版者
大手前大学・大手前短期大学
雑誌
大手前大学論集 = Otemae journal (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.(1)-(26), 2010

いわゆる漢文、あるいはその日本における具体的な存在様式である漢文訓読は、考えれば考えるほどふしぎなものである。その曖昧さ、正体のつかみ難さという点と、それとは裏腹の存在の重さ、巨大さ、根深さという点で、それはまさに日本文化の特性を典型的に表わしているようだ。この重要な現象が、かなり最近まで十分な注意を惹くことがなかったのは、たとえば和歌や俳句などの特異な詩の形式と同様、それが日本人にはあまりにもなじみ深い、ごく「当たり前」の制度ないし決まりだったからだろう。とはいえ、ほぼ今世紀に入った頃から、訓読をめぐる議論がようやく活発になりつつある。これは大いに歓迎すべきことだが、ただ、訓読という現象に正面から理論的な考察を加えたものは、まだそれほど多くない(もっとも、俳句であれ連句であれ、掛詞であれ切れ字であれ、あえて理論的・原理的、比較論的な穿鑿の対象にしないことこそ、日本文化の特質なのかもしれない)。そこであらためて、あえてごく初歩的・常識的な要素をも考慮に入れながら、翻訳論と比較文化論の両面から、漢文訓読という異言語読解のシステムを問い直してみたい。
著者
田中 秀和 下沖 光浩 Gustavo Dore 竹居 直哉 小林 茂 奥出 直人
雑誌
研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN)
巻号頁・発行日
vol.2010-GN-77, no.16, pp.1-6, 2010-11-18

近年ではコンピュータの小型高性能化によりユビキタス環境が可能になりつつある。家庭内においては、家具を新しいメディアにすることで、生活者は今までにない暮らしを経験することになる。本提案では、クロックに顔認識機能を持たせることにより、クロックと生活者の新しい関係性を提案する。
著者
宮部真衣 吉野孝
雑誌
第73回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.71-72, 2011-03-02

機械翻訳を介したコミュニケーションでは,翻訳精度が低い場合,十分な相互理解ができない可能性が高い.現在,母語のみを用いて自分の発言がどのように伝わっているのかを把握するための手法として,折り返し翻訳が用いられている.対象言語翻訳文と折り返し翻訳文の精度の同等性に関する検証を行った結果,対象言語翻訳文と折り返し翻訳文の精度不一致が発生するケースが見られた.特に対象言語の精度が低いにもかかわらず折り返し翻訳の精度が高い場合,大きな問題となる.そこで本研究では,複数翻訳機を用いることによる,上記の不一致の解消効果についての検証を行う.

NALIS-Rを対象システムとした、山形大学(ゆうキャンパス)のJAIRO Cloud移行実験レポート。
著者
徳井 教孝 三成 由美
出版者
中村学園大学薬膳科学研究所
雑誌
中村学園大学薬膳科学研究所研究紀要 = Proceedings of PAMD Institute of Nakamura Gakuen University (ISSN:18829384)
巻号頁・発行日
no.5, pp.49-54, 2012-09-01

(要旨)多くの日本人は便秘の症状を有しているが、便秘を定義することはむずかしいとされている。これまで内科学では便秘は週に3回未満の排便と定義されることが多かったが、臨床上、多くの便秘患者は排便頻度が正常であるにもかかわらず、排便時のいきみ、便の硬さ、下腹部膨満感、排便後の残便感などを訴えるため、排便回数だけで便秘を評価するのは不十分であるとされ、2000年に米国消化器学会のコンセンサス会議が開かれ便秘の診断基準が作成された。一方、中医学における便秘の概念は毎日便通がないこと、毎日便通はあるが排便の時間が長い、便の質が硬いなどで、毎日便通があることが基本的に重要であると考えられている。病態的には水分(津液)不足と腸管の蠕動運動減退が関与していると考え、6つの便秘の体質が分類されている。1989年、癌患者のケアーのために便秘の評価尺度が開発された。この尺度は開発後、健常人を対象にした調査でも使用されているが、今後は健常人の便秘の病態を評価できる尺度の開発が望まれる。
著者
簗瀬 洋平
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:21888760)
巻号頁・発行日
vol.2015-HCI-163, no.3, pp.1-3, 2015-05-07

プレイヤキャラクタに向かって無数の弾丸が飛来し,それを避ける事でプレイの継続を目指すタイプのゲームでは画面上の弾丸数が増えることで難易度が上がり,オーディエンスからもそれを見て取ることが出来るため,魅せるプレイが成立しやすく,無数の弾丸を避けてプレイする様は 「神プレイ」 と言われ称賛の対象になりやすい.反面,そういったプレイに憧れてプレイを始めた初心者が同条件でプレイをする事は困難であり,かといって弾丸数を減らして難易度を下げようとすると,プレイヤ本人にもオーディエンスにも簡単な状態でプレイしているのが明らかとなり,モチベーションが保ちにくい.本稿では飛来する弾丸数を減らすことなく弾丸数を減らす手法について論じる.
著者
内山 学 ファム バン フック 千葉 修一 井上 義昭 浅見 暁
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:21888841)
巻号頁・発行日
vol.2015-HPC-151, no.20, pp.1-6, 2015-09-23

本報告は流体コード OpenFOAM を基にして,MPI 並列と Thread 並列を用いた Hybrid 並列の検討を行う.OpenFOAM は Thread 並列には対応していないため,CG 法と BiCG 法を対象に Thread 並列化を可能とする行列のオーダリング方法を示すとともに,計算効率を向上させる行列の格納方法を示す.更に,全体通信回数の少ないアルゴリズムを採用し,そのアルゴリズムの特徴を生かして行列演算の効率化を行う.CG 法と BiCG 法以外の部分に対しても Thread 並列化の方法を示し,最後に,Hybrid 並列コードと MPI 並列コード,元コードを 「京」 コンピュータ上で比較する.
著者
鳥海 不二夫 梶原 健吾 大澤 博隆 稲葉 通将 片上 大輔 篠田 孝祐
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2014論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.127-132, 2014-10-31

人工知能を用いたゲームをプレイするエージェントは数多く開発されているが,現在までに,人工知能が人間に勝利しているテーブルゲームの多くは全ての情報が公開されている完全情報ゲームである.それに対して,ゲームの中には情報が完全には公開されておらず,情報の被均一性がゲーム性を演出する不完全情報ゲームや,ゲームの本質がプレイヤ同士の自由対話や交渉によって実現されるコミュニケーションゲームがある.本研究では,不完全情報コミュニケーションゲームである人狼ゲームをエージェントがプレイするサーバを構築し,人とエージェント,エージェントとエージェントがそれぞれゲームをプレイする環境を整える.
著者
沼口 直紀 中澤 篤志 白鳥 貴亮 ジェシカ ホギンス
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.2011-CG-145, no.1, pp.1-8, 2011-11-10

モーションキャプチャは現在の映像やゲームの制作現場において必須の技術である.特に最近では安価なモーションキャプチャシステム等の開発もあり,モーションキャプチャデータ (動作データ) の一般ユーザーへの利用も広がっている.このような背景から,大規模なモーションキャプチャデータベース (動作データベース) がインターネット上に公開され,ダウンロード・利用できるようになっている.本研究では,大規模な動作データベースからユーザーの所望のデータを検索するために,センサを内蔵した人形インタフェースを用いる手法を提案する.このセンサは 17 自由度を持ち,人と同様の形状・自由度であるため,キーワード等の方法に比べ直感的に検索できる.我々は人形動作と動作データの比較手法として,部分空間法を用いた異常データ検出の考え方に基づき,人形動作と動作データを互いの部分空間に投影することで比較を行う手法を開発した.実験ではユーザーテストを行ってインタフェースの操作性や検索精度および検索時間を評価し,提案手法の有効性を確認した.