著者
生駒 葉子 松井 広
出版者
Japan Society of Neurovegetative Research
雑誌
自律神経 (ISSN:02889250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.366-370, 2022 (Released:2022-12-21)
参考文献数
30

迷走神経と言えば中枢から末梢臓器への投射がよく知られているが,実は末梢の情報を中枢に伝える求心性線維の方が割合は多い.この求心性の連絡を刺激する迷走神経刺激療法は,難治性てんかんの緩和療法やうつ病の治療としても用いられている.最近の研究では,脳病態治療効果があるだけではなく,迷走神経刺激が脳内の神経可塑性を生み出し脳内環境に変動を与えることで,学習やリハビリの促進にもつながるとの報告がなされている.このような脳内環境変化に,神経細胞ともにグリア細胞機能も関わっている可能性が示唆されている.末梢からの中枢脳内環境制御の研究は,てんかんに限らず,幅広い脳病態の新たな治療方法として期待されている.

8 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1937年04月01日, 1937-04-01
著者
宮田 彬
出版者
Japanese Society of Tropical Medicine
雑誌
Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene (ISSN:03042146)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.161-200, 1975-09-15 (Released:2011-05-20)
参考文献数
199
被引用文献数
3 7

最近30年間に発表された原虫の凍結保存に関する論文は, 200篇を越えている。そこでこの論文では, それらのうち主な論文を紹介するとともに凍結保存が可能な原虫類の保存方法や保存期間などを総括し, さらに今後の問題点を論じた。また今までに十分な検討を加えずに用いられていた凍害保護剤について, 特にグリセリンとDMSOの用い方, 平衡時間などについて, 著者の研究を中心に紹介した。原虫類の最適保存法及びこの論文の論旨は次の通りである。1) 原虫は, 適当な保護剤を含む溶液あるいは培地中に攪伴し, 試験管またはアンプルに分注する。2) 保護剤の濃度は, グリセリンは10%前後, DMSOは, 7.5%前後が適当である。グリセリンの場合は, 比較的高い温度 (例えば37C) で30-60分平衡させる。高温に耐えない原虫は, 25C前後で60-90分平衡させる。DMSOは, 低い温度 (例えばOC) で加え, 平衡時間をおかず直ちに凍結する。3) 凍結は2段階を用いる。すなわち, -30C前後のフリーザー中で約90分予備凍結し (この時冷却率は約1C, 1分), ついで保存温度へ移す。4) 保存温度としては, 液体窒素のような超低温が好ましいが, -75Cでも数カ月程度は保存可能である。5) 凍結材料は, 37~40Cの恒温槽中で急速融解し, 融解後は, すみやかに動物あるいは培地へ接種する。6) 原虫の種類によっては, もっと簡単に保存できる。原虫ごとに予備試験を行い, 目的の保存温度に数日保存して高い生存率の得られる方法を採用するとよい。7) 今後の問題点としては, 保存原虫の性質 (薬剤耐性, 抗原性, 感染性など) の長期保存における安定性を検討することと純低温生物学的な立場から超低温下における細胞の生死のメカニズムを解明することである。前者については, 多くの研究者が凍結保存による実験株の性質の変化は認められないと指摘している。8) 終りに数多くの実験株を保存し, 研究者に提供する低温保存センターの設置の必要性を提案した。

8 0 0 0 OA 理科年表

著者
東京天文台 編
出版者
東京帝国大学
巻号頁・発行日
vol.第1冊(大正14年), 1925
著者
夏堀 摂
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.42-54, 2007-05-31 (Released:2018-07-20)

本稿では,障害児者とその親がおかれた状況の一端を明らかにするために,戦後の「親による障害児者殺し」事件の推移に注目し,過去の新聞報道を基に分析を行った.その結果,(1)未成年の障害児が被害に遭う事件が1980年代以降減少しているのに対し,成年障害者の被害は1990年代以降急速に増加していること,(2)1990年代以降知的障害児者の被害が増加していること,(3)同時期に特に成人期の知的障害者が殺される事件が急増していること,(4)在宅・同居の場合に事件が起こることが圧倒的に多いが,施設に入所していたにも関わらず被害に遭うケースも散見されること,(5)1990年代以降高齢の親による加害が増加していること,が明らかとなった.以上の結果をもたらした要因を,各時代の社会的背景をも考察しつつ検討し,そこから親を中心とする家族が第一義的にケアを負担するシステムの矛盾を指摘した.
著者
田村 春生 大西 正次
出版者
The Japan Society of Naval Architects and Ocean Engineers
雑誌
造船協會論文集 (ISSN:18842062)
巻号頁・発行日
vol.1954, no.95, pp.239-249, 1954 (Released:2007-05-28)
参考文献数
14
被引用文献数
1

Inhibited hydrochloric acid is generally used for removing rust from new boilers and insoluble deposit such as scale from old ones. Addition of reducing phosphoric acid to this acid results in high solubility of metal oxides or salts and anti-corrosive surface after cleaning, and can clean perfectly marine boilers economically even at room temperatures.Thiourea and fulfurol inhibits the corrosibility of this type of acid and addition of wetting agent lowers this rate of attack.Details of cleaning methods and results with inhibited reducing acid solution have been reported in this essay.

8 0 0 0 OA 株式年鑑

著者
大阪屋商店調査部 編
出版者
大同書院
巻号頁・発行日
vol.昭和16年度, 1942

8 0 0 0 OA 電氣事業要覽

著者
逓信省電氣局 編纂
出版者
[逓信省電氣局]
巻号頁・発行日
vol.第34回, 1943
著者
加藤 徹也 青木 滉一郎 菅原 徹 村上 智加 宮崎 正己
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.419-424, 2015 (Released:2015-08-28)
参考文献数
15
被引用文献数
2

We produced the average face by combining forty-one facial images of female college students in order to investigate how the facial impression changes depending on distance between eyes and eyebrows. Furthermore, we produced ten experiment samples by shortening or widening distance between them of the average face in five steps respectively. These images were presented individually to ninety college students, and they were asked to evaluate them using twenty adjective pairs. Consequently, the average face received high evaluations about likability-related impressions, while the faces with shorter distance between eyes and eyebrow got high evaluations about activity-related impressions. Moreover, two principal component (“degree of refinement” and “femininity”) were extracted as a result of principal component analysis to evaluation scores. It was found that degree of refinement was likely to be affected by the perceived size of the eyes, and femininity was defined by distance between eyes and eyebrow.
著者
慶応義塾 編
出版者
慶応義塾
巻号頁・発行日
vol.昭和4年版, 1942

8 0 0 0 OA 日本紳士録

著者
交詢社 編
出版者
交詢社
巻号頁・発行日
vol.43版(昭和14年), 1939

8 0 0 0 OA 関西実業名鑑

著者
橋本治策 編
出版者
関西実業名鑑編纂所
巻号頁・発行日
vol.明治40年, 1908
著者
三羽 恵梨子 中澤 栄輔 山本 圭一郎 瀧本 禎之 赤林 朗
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.61-74, 2018-09-29 (Released:2019-08-01)
参考文献数
19
被引用文献数
1

背景:近年、コミュニケーションと機器の操作を目的とした出力型BCI (Brain-Computer Interface)の実用 化に向けた研究開発が進められている。現在のところ、医療応用が中心だが、将来的には社会全体に大きな影響を与える技術と評価されている。そのため、技術的課題の克服と同時に倫理的・社会的議論も併せて行う必要が指摘されているが、議論は整理されておらず、具体的な提言に至っていない。目的:出力型BCIに関する倫理的問題について、現在提出されている議論を系統的に整理し全体像を明らかにする。方法:先行研究の体系的収集と主題分析による分析を行った。結果:BCIに関する倫理的議論は、【BCIの研究倫理】、【BCIがもたらす社会への影響】、【BCIがもたらす人間性への影響】、【BCI倫理とは何か】に大別された。考察:議論の現状として、トピックの提示にとどまっており、議論としての内実を伴わない傾向がみられた。 今後、方法論を含めた、議論のさらなる深化が求められる。
著者
永幡 豊
出版者
北海道地理学会
雑誌
地理学論集 (ISSN:18822118)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.6-13, 2013-04-18 (Released:2013-10-31)
参考文献数
24

本稿は,北海道における開拓移民母集団(東北6県,北陸4県,そして東京・徳島・香川・岐阜県の開拓移民戸を1つの大移民集団とした)と系統別の寺院構成比の関係を考察したものである。北海道の開拓ピーク期は,明治19(1886)年から昭和11(1936)年までであるが,開拓を多く出したのは東北6県(289,217戸,41.4%),北陸4県(184,064戸,26.3%),東京都・徳島・香川・岐阜県(66,065戸,9.9%)である。東北は禅宗の卓越する地域であり,北陸は浄土真宗系の卓越する地域であることから,北海道に浄土真宗(特に大谷派)・禅宗(特に曹洞宗)系寺院が多く建立されることになったと推測できる。真宗本願寺(西本願寺)派寺院総数は,真宗大谷派より148寺少ないが,これは北海道における真宗大谷派と江戸時代における松前藩との結び付きがあったからである。禅宗は(松前家時代)曹洞宗だけが布教を許され,明治以前に開基した寺院数は40寺で,真宗大谷派より7寺多い。明治元(1868)年から20(1887)年までに41増えて真宗大谷派より2寺多いが,明治21(1888)年から30年までに66寺しか増えなかった。真宗大谷派はこの時期に127寺増えている。この原因を考えると,まず第1に明治29(1896)年までに継続した内紛のため他派よりも布教が遅れたこと,第2にこの時期の開拓者の出身地は,富山を筆頭に北陸出身者が多かった(曹洞宗の卓越する地域東北出身者の増加は,明治38(1905)年以降)ことが挙げられる。従って明治32(1899)年以後,布教は進まず,本格化するのは明治40(1907)年以降で明治31(1898)年から45(1912)年までには98寺増加し(真宗大谷派151寺),合計245寺となった(真宗大谷派の合計は355寺)。浄土真宗系卓越地域の北陸からの移民は(明治19(1886)年から大正11(1922)年まで),全移民の26.3%を占め,曹洞宗が卓越する地域の東北からの移民者は41.4%を占めている。このことは北海道における曹洞宗寺院の優位性を生む要因となるべきものであったが,上記した理由により真宗大谷派などの浄土真宗の宗勢に及ばなかったと考えられる。
著者
増子 保志
出版者
日本国際情報学会
雑誌
国際情報研究 (ISSN:18842178)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.39-49, 2017-12-24 (Released:2017-12-24)
参考文献数
16

In many places of Canton, China, barbecued pork, Char sui, is greatly favored, and is loved much more deeply than Siu mei, that baked pork, goose, or duck which has been popular and prevalent in Guangzhou, Hong Kong, Macao and other cities of Canton. In Japan, Cha shu, also barbecued pork that came from China, is a side dish like boiled or grilled pork and yet is now much different from the Chinese original. By surveying Chinese cuisine books published in Japan, this study examines how the original pork cooking has been rearranged to meet the needs of Japanese palate.