著者
黄 齡萱
出版者
横浜国立大学技術マネジメント研究学会
雑誌
技術マネジメント研究 (ISSN:13473042)
巻号頁・発行日
no.6, pp.9-20, 2007-03

本稿は、台湾における女性運動の変遷を概観したものである。国民党政権が台湾に撤退してから後、台湾は、軍事や経済、教育などにおいて、全面的にアメリカモデルを導入することによって「脱日本化」を図り、さらにまた「再中国化」(中国伝統価値の強化)を図ってきていた。台湾の女性学および女性運動の発展においても、政府のアメリカ路線、そして民間のアメリカ留学ブームのU ターンに大きく影響され、1960 年以降、欧米、特にアメリカで起こった第2 波フェミニズムの強い影響が見られる。第2波フェミニズムの蓄積は、上記のような政治的な原因で、アジア諸国よりも女性学の導入が遅かった台湾に、女性問題を取り上げる際の理論的拠りどころを提供した。そしてその蓄積の上に立つことによって、僅か10 年のうちに、売買春をめぐる台湾社会の政策的な取り組みは、先進諸国の水準へ、すなわち家父長制の枠の中で展開される売春児童保護運動から、セックスワーク問題をめぐる多元な論述やセクシュアリティの多様性を論じる次元へと急速に発展してきた。しかしながら一方でそうした売買春問題への理論的パラダイム転換を図りながらも、欧米の理論を採用した台湾の女性運動が直面しているのは、日本植民地支配を経て、「再中国化」した混合型家父長制社会であるという現実である。この「混合型家父長制」に特徴づけられる台湾社会における、女性運動にはどのような課題が存在するのか。本論では売春児童保護運動から「妓権」労働運動への女性運動の展開過程を分析することによって、現在台湾の女性運動が直面している課題の抽出と展望について取り組みたい。
著者
田中 雅一
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.63, 2012

本分科会の目的は、女性による接客が主たる職場で、男性客を叱りつけるという行為について考察することである。これによって、働く女性のエイジェンシーや、仕事とジェンダーならびにセクシュアリティとの関係についての理解を深め、感情労働研究に貢献したい。具体的に取り上げるのは、銀座のクラブホステス、京都のスナックのママ、関東の芸者、日本人セックスワーカー、在韓米兵相手のフィリピン人セックスワーカーである。
著者
田中 雅一
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

本発表では、日本人の女性セックスワーカーへのインタビュー・データをもとに、客と恋人の区別に注目することで、セックスワークという仕事の性格について考察する。2012年11月までに行ったセックスワーカー11人へのインタビューをもとに、セックスワーカーの恋人観、恋人と客とを区別するような行為や言説、客が恋人になる過程や葛藤を明らかにする。これによってこれまでのセックスワーク論批判を吟味する。
著者
御子柴 道夫
出版者
千葉大学言語教育センター
雑誌
言語文化論叢
巻号頁・発行日
no.5, pp.15-26, 2011-03

言語文化論叢 第5号
著者
外川 継男
出版者
北海道大学スラブ研究センター
雑誌
スラヴ研究 (ISSN:05626579)
巻号頁・発行日
no.8, pp.109-144, 1964

意志とはある種の思維にほかならない.意志を有限なものと考えようが, 無限なものであると考えようが, 意志を働かせる何らかの原因を認めざるを得ないことにかわりはない.従って, それは自由な原因としてではなく, 制約された原因として考察さるべきである.