著者
渋谷 綾子
出版者
日本植生史学会
雑誌
植生史研究 (ISSN:0915003X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.55-66, 2012 (Released:2021-03-17)

鹿児島県水迫遺跡で出土した縄文時代草創期から早期の石器に対して残存デンプン粒分析を行い,石器の用途や当時の遺跡における植物利用について考察した。分析した13 点の石皿や磨石,敲石からは合計240 個の残存デンプン粒を検出した。使用痕と残存デンプン粒の両方が検出された石器は植物加工に用いられた可能性が考えられ,使用痕は確認できるが残存デンプン粒を検出しなかった石器については,石器製作用など他の目的に使用された可能性とデンプン粒が遺存していなかった可能性を考えた。1 つの石器から異なる形態のデンプン粒を検出した事例からは,これらの石器を用いて2 種類以上の植物が加工された可能性を指摘した。残存デンプン粒と現生植物のデンプン粒標本との形態的な比較により,残存デンプン粒の由来となる植物の候補として16 属31 種が挙げられた。残存デンプン粒の外形と粒径の比較から,これらの植物にはクリやコナラ属,オニグルミなどの堅果類,ワラビやクズなどの根茎類が含まれている。
著者
廻角 侑弥 久保 峰鳴 福本 貴彦 今北 英高 藤井 唯誌 稲垣 有佐 田中 康仁
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.779-783, 2020 (Released:2020-12-19)
参考文献数
20

〔目的〕変形性膝関節症(膝OA)患者の歩行能力と自己効力感の関連性を検討することとした.〔対象と方法〕対象は膝OA患者67名とした.測定項目は,10 m歩行速度,Timed up and go test(TUG),自己効力感,疼痛,膝関節伸展筋力,足趾把持力,痛みの破局的思考とし,関係性を分析した.〔結果〕10 m歩行速度とTUGはそれぞれ,自己効力感,膝関節伸展筋力,足趾把持力,痛みの破局的思考との間に有意な相関関係を認めた.また,10 m歩行速度とTUGに影響する因子として,自己効力感と膝関節伸展筋力が抽出された.〔結語〕膝OA患者の歩行能力には歩行に対する自己効力感が影響することが示唆された.