著者
内山 三郎
出版者
岩手大学教育学部
雑誌
岩手大学教育学部研究年報 (ISSN:03677370)
巻号頁・発行日
vol.73, pp.1-7, 2014-03-10

ヒトの生まれ月(誕生月)については、特に季節による変動は無いと考えられる。これは、厚生労働省による人口動態統計の月別出生数の比較により裏付けられる。しかしながら、運動成績成功者としての職業スポーツ選手の生まれ月分布に偏りがあることは、特に若者に人気のあるサッカー競技では国内・国外において良く知られた事実である。即ち、日本のJ リーグ・サッカー選手では、早生まれ(1月から3月生まれ)の選手が少なく、代わりに遅生まれ(4月から6月生まれ)の選手が多い。これに類似した現象は、オランダとイギリスのプロ・サッカー選手でも報告されている。日本のプロ野球選手においても、同様に早生まれが少ないことが報告されている。野球・サッカー等のプロ球技スポーツにおいて早生まれが少ないという現象は、幼少期における早生まれの体力的劣勢の影響と考えられる。幼少時の体力格差は月齢に比例しており、同学年の4月生まれと3月生まれの間には体力格差として約12 ヵ月の開きがある。学校教育は学年で輪切りにされた状態で行われており、学校スポーツが早生まれ・遅生まれ等体力格差の存在する児童群の中で競争が行われる結果、早生まれの者が正選手に選抜される割合は少なくなると考えられる。学校教育では、それが各学年で繰り返されることとなる。成人ではこの体力格差は解消しているが、幼少時の体力格差によって形成された成功体験が累積的に影響を及ぼし、その結果として幼少時の体力格差が成人後にまで影響すると考えられる。日本サッカー協会も、ヨーロッパサッカー連盟の早生まれの影響に対する取り組みに倣い、選手の育成と発掘において早生まれの影響を認識した対応をする重要性を報告している。 それでは、幼少時体力的に劣勢である早生まれは、学習成績にどのような影響を及ぼすのであろうか。早生まれが学習成績にも影響を及ぼすのであれば、入学試験を行う学校においては学生の生まれ月分布の偏りとなって現れてくることが考えられる。学習時間の持続や学習意欲においては体格・体力の充実が関与することが考えられ、その影響が大きければ幼少時の体力格差は運動成績と同様に学習成績にも影響を与え、成人後までその影響が残ることは充分に考えられることである。学習成績に対する生まれ月の影響については、早生まれによる影響が見られるという報告がある一方、調査の対象によって影響が見られないという報告もある。本研究では、小学校・高等学校・大学における入学者の生まれ月を調査し、早生まれの影響が現れる状況を検討した。次いで、早生まれと学習成績の関係について、親や教育関係者に求められる理解と対応についての考察を行った。
著者
嶋田 有里 羽田 久一
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2020論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.162-165, 2020-08-22

生物は無意識のうちに様々な情報を出している.その情報である匂いや音等が集まったものが気配である.本研究はそれらの要素を抽出することで,動物がいない空間でも,動物の気配を生み出すことを目標にしている.今回は多くの人が触れたことのある犬に着目した.中の見えない箱の中で犬の鼻先にある湿気や温度を再現することで,視覚や聴覚情報ではなく手のみで犬の気配を感じられるようにした.
著者
谷川 恵一
出版者
大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国文学研究資料館
雑誌
日本古典籍講習会テキスト
巻号頁・発行日
no.16, pp.1-19, 2019-01-23

本テキストは、「第16回日本古典籍講習会(平成30(2018)年度)」(2019.1.22-25:国文学研究資料館、国立国会図書館共催)で使用された資料の一部です。
著者
徐 瑞静
出版者
東洋大学法学会
雑誌
東洋法学 = Toyohogaku (ISSN:05640245)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.69-74, 2014-01-15
著者
小澤 京子 Kyoko\n OZAWA
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 = The journal of Wayo Women's University (ISSN:18846351)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.13-24, 2021-03-31

フランス啓蒙主義時代の哲学者ドゥニ・ディドロは、その絵画批評のなかでたびたび、「絵画のなかに入り込み、歩き回る、あるいは旅をするという体裁で描写する」ことを行なっている。それは、読者の想像力と趣味(goût)を通して、情景を再構成せしめるための修辞法であった。本論文では、ディドロによる「サロン評」のうち、とりわけ風景画の記述における「絵の中に入り込」み、「絵の中を歩く」描写に着目し、分析と考察を行う。これを、18世紀のテクストと絵画経験における「散歩」や「歩行」というテーマ系の中に位置づけることが、ここでの目的である。 まず、ディドロ「サロン評」の風景画記述の総体を踏まえて、特徴的と思われる部分を抽出する。次に、「歩行」をめぐる同時代の特徴的なテクストとの比較を行う。エクフラシス(視覚芸術の言葉による描写)という修辞学的伝統をはみ出して、「テクスト内空間の想像的な歩行」を行うディドロの絵画批評がその特徴的な一例をなすような、18世紀の思想的基盤を明らかにするのが、本論文の目的にして意義である。
著者
多和田 雅師 田中 宗 松田 佳希 楊 天任
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.e15-e21, 2021-03-15

次世代アクセラレータと呼ばれる量子技術や古典技術を用いた新原理の計算機が期待されている.これら次世代アクセラレータは種類ごとに使用方法が異なり, 計算分野の得意不得意が存在する. 使用には専門知識が必要でありコストが高いため, 各アクセラレータ固有の使用法や性質を考慮し,プログラムの部分ごとに適切に割当するソフトウェアが要望されている. 本稿では,次世代アクセラレータの種類と活用事例,および適切にアクセラレータを使用するソフトウェアとその要素技術の研究動向を紹介する.
著者
平井 美津子 Mitsuko HIRAI
出版者
長崎国際大学
雑誌
長崎国際大学論叢 = Nagasaki International University Review (ISSN:13464094)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.13-20, 2014-03

英語は、歴史上主に4回ラテン語と接触し、多くのラテン語が流入した。その中でも近代英語前期には、学術用語をはじめとして極めて多くのラテン語が英語に流入した。今回、英語の学術用語、特に医学用語の形容詞形に注目し、その語源と英語での初出年を調査し分析した。その結果、ラテン語由来の形容詞形は85%近くを占めることがわかった。一方、ゲルマン祖語に由来する古英語を語源とする形容詞形は10例で、いずれも接尾辞 -y が添加されたものであった。
著者
脇阪 昇榮 中谷 多哉子 村上 祐子 辰己 丈夫
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2015-CE-131, no.7, pp.1-8, 2015-10-03

中高生に情報に関する授業を行う目的として,論理的思考力を習得させることは極めて重要である.論理的思考を鍛える一つの題材として,総てのコンピュータの元となった万能チューリング機械をとりあげてみた.万能チューリング機械の振る舞いは難解であるが,筆者オリジナルの表記法にもとづき,できるだけわかりやすい形で示した.