著者
安藤 裕貴
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.936-937, 2020-08-15

確認すべき病歴◦食塊が食道閉塞を起こしたもの(図1)を、“ステーキハウス症候群”と呼ぶ。◦「食事中に苦しくなった」「食べ物が詰まった感じがする」「しゃっくりが止まらない」「嘔気が続いてエヅイている」「胸が苦しい」という主訴で来院することがある。
著者
堀内 圭輔 千葉 一裕
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.946-950, 2020-08-25

前回はIntroductionで終わってしまいましたが,今回はその続きです.Introductionに続くCase presentationは症例報告の柱になりますが,患者情報がそろっていれば,比較的スムーズに執筆できます.初心者が症例報告を書くときは,ここから始めるのがおすすめです.Discussionはおそらく一番難しいところです.英語表記にも若干の訓練が必要となりますが,まずは何を書くべきかあらかじめ考えておくことが重要です.
著者
岡 久仁洋 中尾 良二 村瀬 剛
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.899-905, 2020-08-25

橈骨遠位端骨折X線画像を用いて,骨折の診断と関節内外の骨折型の判定を行うartificial intelligence (AI)の開発を行った.症状,画像検査による整形外科専門医の臨床診断をゴールドスタンダードとした.学習には橈骨遠位端骨折369例729画像,正常129例254画像の単純X線を用いた.それぞれのデータ拡張を行い,骨折3,245画像,正常3,210画像として,骨折の有無を判定する学習を行った.骨折の診断率は97.2±1.4%,感度98.6±1.8%,特異度94.4%±3.9%であった.Area under curve(AUC)は0.993と高い骨折識別能が得られた.AIを用いた骨折診断は,救急医療の現場で専門外である医師が,適切な治療を行うための初期診断のための有用なツールとなる可能性がある.
著者
廣瀬 正幸 田島 康介 平川 昭彦 山田 成樹
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.939-944, 2020-08-25

緒言:高齢者に対するアセトアミノフェンの安全性を評価するため,本剤を投与した大腿骨近位部骨折患者250例を対象に,患者背景や1日投与量などから肝酵素上昇の発現頻度とそのリスク因子を検討した. 結果:97例(39%)が正常値上限以上の肝酵素上昇を認めた.しかしながら肝酵素上昇群と非上昇群との間で,患者背景に明らかな差は認められなかった. まとめ:高齢者に対する肝酵素上昇は,過去の一般成人での報告より高頻度に認められたものの,これを予測する事は困難であると考えられた.長期処方時はとくに留意されるべきである.
著者
江川 裕人
出版者
メディカル・サイエンス・インターナショナル
巻号頁・発行日
pp.457, 2020-07-01

臓器移植は,20世紀において人類が科学と愛を究めて到達した医療の最高傑作である。無償で他人へ自らの臓器を与えることは崇高な行為である。臓器提供者には最高の敬意を払わねばならない。そのために医療者にできることは,提供の意思に応えること,すなわち,臓器を良い状態で臓器不全の患者に届けることと,最高の技術で移植手術を実施し緻密な管理で1日でも長く健やかに生かすことである。その結果,臓器不全の患者が健康になり社会に貢献することで,他者への愛と感謝に満ちた社会が作られる。その理想を実現するために多くの課題がある。 平成29年度の臓器移植に関する世論調査で国民全体の42%が,50歳未満では約60%が,自身が脳死・心停止になったときに臓器提供をしてもよいと答えている。「臓器移植に関する法律」には提供の意思は尊重されなければならないと明言されている。しかし人口100万人当たり提供比率は世界最低ランクで,韓国や台湾の1割である。なぜか? すべての宗教の基本原理は許しと他者への愛であるし,上記の調査結果から宗教や死生観の問題ではないことは明らかである。
著者
平子 紘平 藤生 慎 森崎 裕磨
出版者
特定非営利活動法人 産学連携学会
雑誌
産学連携学 (ISSN:13496913)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.2_29-2_37, 2020-06-30 (Released:2020-07-31)
参考文献数
18

様々な要素が複雑に絡み合う現在の社会課題解決には,大学と自治体との連携が一つの切り口となるが,その体制を効果的かつ継続的に推進していくためには,①大学側では「社会貢献」だけでなく「研究」の側面が重要である事,②個別の研究領域の枠を超えた「異分野融合」の体制で取り組む事,の2点が重要である.しかし,異分野融合研究に取り組む為には,研究チームの組成や研究成果の創出などの面で様々なハードルが存在する.異分野融合研究での成功事例に携わった研究者へのヒアリングを基に修正版・グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて,異分野融合研究チームの組成と研究成果の創出に向けたプロセスを明らかにする.
著者
安藤 二香
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.1-10, 2013 (Released:2013-06-18)
参考文献数
23
被引用文献数
2 2

研究開発成果を社会問題の解決に結び付けることが求められる昨今,プログラム設計やマネジメントの具体的な改善が必要である.本論文では,科学・技術の需要側からのアプローチを基本方針としたJST社会技術研究開発センターの公募型研究開発プログラム「犯罪からの子どもの安全」におけるプロジェクトへのマネジメント事例を分析した.その結果,需要側の適切なアクターが研究開発の早期の段階から参画し,供給側と協働するよう促す仕掛けやマネジメントが重要であることを確認した.また,研究開発の段階よってプロジェクトに求められる機能と,それを担うアクター・ネットワークの状況を観察・評価できるマネジメントが必要であると思われた.
著者
赤松 繁 小澤 修
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.1-7, 2003-04-15 (Released:2010-06-08)
参考文献数
33

American Heart Association (AHA) は, 2000年に心肺蘇生法に関するガイドラインを改訂した。新しいガイドラインは, Evidence Based Medicineに基づき科学的根拠を明確にし, 標準的処置を単純化して心肺蘇生法が普及するように改訂された。そのガイドラインのAdvanced Cardiac Life Support (ACLS) では心肺蘇生に用いる薬としてバソプレシンが登場した。バソプレシンの受容体はV1受容体とV2受容体の2種類の存在が知られ, バソプレシンの作用もまたV1作用とV2作用に大別される。血管平滑筋に直接作用し収縮を促すV1受容体を介した作用はV1作用であり, 抗利尿作用はV2作用である。心肺蘇生時に, バソプレシンはβアドレナリン作用をもたないため心筋酸素消費量を増加させることなく冠血流量と脳血流量を増加させる。また心停止が遷延した場合, アシドーシスによってアドレナリン受容体を介した作用が減弱するのに対し, バソプレシンではその影響を受けないためエピネフリンより有効であると考えられる。心肺蘇生時に主として用いられる薬はエピネフリンであるが, バソプレシンも有用な薬であり, 今後の展開次第では繁用されるようになる可能性がある。本稿では, バソプレシンによる血管平滑筋細胞での作用およびその細胞内情報伝達機構に関する著者らの基礎的知見を含め紹介する。
著者
古賀 順一 斉藤 幸洋 岩渕 亮
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.153-155, 1968 (Released:2010-02-25)
参考文献数
3

A case of saphenous nerve entrapment was reported.Man, 19, had suddenly paresthesia in the medial aspect of the right knee, leg and foot while doing “shodo” (Japanese calligraphy).The paresthesia became progressively worse with development of pain and limitation of flexion of the knee joint.Some conservative therapy such as nerve block with predonisolon and the use of other anti-inflammatry agent prodused no relief.In the bloodless field the saphenous nerve was showed constriction at its emergence through the subsartorial fascia. After the nerve was released through a wide incision in the fascia, pain and paresthesia rapidly disappered.