著者
小林 真之 武知 茉莉亜 近藤 亨子 大藤 さとこ 福島 若葉 前田 章子 廣田 良夫
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.605-611, 2010 (Released:2014-06-12)
参考文献数
27

目的 不活化インフルエンザワクチン接種とギラン•バレー症候群(GBS)の関連について文献的に考察する。方法 米国予防接種諮問委員会(The US Advisory Committee on Immunization Practices: US-ACIP)の勧告に引用されている文献を中心に,不活化インフルエンザワクチンと GBS の関連についてこれまでの報告を要約するとともに,考察を加える。結果 1976年,米国において接種キャンペーンが実施された A/New Jersey/76インフルエンザワクチンについては GBS との因果関係が明らかであった。その後の季節性インフルエンザワクチンと GBS については,一貫した論拠は得られなかった。統計学的に有意な関連を報告した文献では,研究の限界を考慮した寄与危険は最大で100万接種あたり1.6例と推定されていた。考察 通常の季節性インフルエンザワクチンと GBS の因果関係について,結論は得られなかった。しかし,これまで報告されているインフルエンザの疾病負担およびワクチン有効性と対比すると,インフルエンザワクチン接種が疾病負担を軽減する有益性は,観察されている季節性ワクチン接種後の GBS のリスクを大きく上まわると考察された。
著者
越田 俊介 陶山 健仁
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.24-36, 2015-07-01 (Released:2015-07-01)
参考文献数
60
被引用文献数
4 5

ディジタルフィルタは,言うまでもなく信号処理の基礎を成す重要な技術である.それゆえに,高い性能を有する「良い」ディジタルフィルタを得るための手法は古くから数多く提案されており,現在もなお幅広い視点から研究が進められている.しかしながらその研究成果は,今日のアプリケーションにおいて必ずしも十分に普及してはいないようにも思われる.その理由として,ディジタルフィルタの研究テーマの多様化・複雑化に伴い,「『良い』ディジタルフィルタとは何か」及び「『良い』ディジタルフィルタを得るために何が必要なのか」についての理解が曖昧になっている可能性が考えられる.そこで本稿では,まずこの問題について,設計・実現・実装それぞれの観点から明確に述べる.そして,「良い」ディジタルフィルタを得るための最新の研究動向として,2014 年ソサイエティ大会にて実施されたシンポジウムでの発表内容を中心に紹介する.更に今後の課題として,「良い」ディジタルフィルタを広く普及させるために考えるべきことについて議論する.
著者
佐々木 尚之
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.152-164, 2012-10-31 (Released:2013-10-31)
参考文献数
29
被引用文献数
6 3

近年の社会経済環境のなか,少子高齢化の主な要因として晩婚化や未婚化の進行が指摘されている.しかしながら,これまでの初婚に関する研究では,一貫した結果が得られていない.その原因の一つとして,初婚の要因となる変数の時間的変化をとらえることができないという,データ上の制約があった.そこで本稿では,「日本版General Social Surveyライフコース調査(JGSS-2009LCS)」の詳細なライフヒストリー・データを用いて,学歴,就業状態,居住形態の結婚に対する影響力が時間とともに変化するのかどうかに焦点をあてたイベントヒストリー分析を行った.その結果,それぞれの要因の結婚に対する効果が加齢とともに増減することが明らかになった.雇用環境の急速な悪化にもかかわらず,結婚における男性の稼得力が重視され続けている一方で,女性の稼得役割も期待され始めている可能性がある.将来の経済的展望が不確実な現状では,家族形成は大きなリスクとみなされている.

7 0 0 0 OA 後の茶話

著者
薄田泣菫 著
出版者
玄文社
巻号頁・発行日
1918

7 0 0 0 OA 朝寝髪

著者
清水三重三 著
出版者
春陽堂
巻号頁・発行日
1927

7 0 0 0 OA 神霊術講義録

著者
帝国神霊学研究会 編
出版者
帝国神霊学研究会
巻号頁・発行日
vol.第3巻 (全国霊界秘術大観), 1932
著者
松村 和歌子
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.142, pp.157-191[含 英語文要旨], 2008-03

春日社の宗教的分野での研究は、祭礼に集中しがちだが、祈祷や祓といった日常的な宗教活動こそ、宗教者と社会との関わりを考える上でむしろ重要だと考えられる。近年、春日社の下級祀官である神人が中世後期から灯籠奉納や祈祷などを通じ、日常から御師として崇敬者と深い関係を築いたことが明らかにされているが、こういった師壇関係の形成は、上級祀官である社司を嚆矢とし、その開始は、少なくとも平安時代末に遡る。本論考は、社司を中心に中世の春日社祀官の私的な祈祷への関わりなど、日常的な宗教者としての営みを出来るだけ具体的に論述しようとしたものである。❶章社司における御師活動の萌芽、❷章社司の御師活動の展開では、平安末から貴族の参拝・奉幣の際、社司が中執持ちとして祝詞奏上を行うようになり、日常から師檀関係を結ぶこと、同時期に宗教者として個性的な役割を果たす社司が現れ、その活躍は霊験譚にも描かれることを示した。また霊験譚自体が社司によって創り出され、記録や社記の注進等を通じて広められた場合があったことを述べた。鎌倉時代以降には、貴族の御師として重要度が更に増し、社司の任官を左右する場合もあったこと、貴族の邸内社の祭祀等その活動は、社外にも及んだことを示した。またこの動向は、他の有力神社にも共通する傾向であることにも触れた。❸章御師活動と奉幣の近世への展開では、社司の御師としての活動が近世に継続される一方、神人の御師としての活躍が中世初期に遡るであろうことを示した。さらに奉幣が、御幣またおはけ戴きとして、近世にもつながる信仰のあり方であった可能性を述べた。❹章宮廻と度数詣、❺章南円堂勤仕から南円堂講へでは、中世末に春日社で度数祓が祈祷として定着する以前、春日社諸社を廻る宮廻と本社・若宮を往還する度数詣がポピュラーかつ重要な信仰のあり方で、代勤という形で祈祷ともなり、近世にも継続したことを示した。また、春日社祀官により行なわれた南円堂勤仕は、南円堂・春日社を往還する度数詣、興福寺境内を含む宮廻、奉幣祝詞などを内容とするもので、春日講に先行する春日祀官の講的結縁として重要であること、また願主を得て行なわれ、祈祷ともなったことなどを紹介した。Religious studies research on Kasuga Shrine has tended to focus on ceremonies and rites. However, everyday religious activities such as prayer and purification rituals are important when considering relations between priests and society.It has recently come to light that from the latter part of the Middle Ages, lower ranking priests of Kasuga Shrine called "jinin" established strong relationships through the offering of lanterns and prayers with worshippers who served as "oshi". The formation of this relationship between priests and lay people began with higherranking priests called shashi and dates back at least to the end of the Heian period. This paper describes in as much detail as possible the activities of everyday worshippers through their relationship with the personal prayers of Kasuga Shrine priests, primarily shashi, in the Middle Ages.The first two chapters discuss the emergence and development of oshi activities in connection with shashi. From the end of the Heian period, a shashi would recite prayers as an intermediary when members of the nobility worshipped or made offerings. This established a relationship between priests and lay people and at the same time there emerged shashi who began to fulfill distinctive roles as priests. Their activities are also described in "Reikentan" (miraculous tales). "Reikentan" were also produced by shashi and in some cases they became widely known through reports in written records and shrine chronicles.From the time of the Kamakura period onward, the importance of nobles as oshi increased and there were even cases where they had an influence on the appointment of shashi. Their activities extended beyond the shrine, as they sometimes officiated in small shrines situated in the compounds of noble persons. A similar trend also existed in other major shrines.The third chapter examines the development of activities and offerings by oshi in the Early Modern period. While the involvement of shashi in oshi activities continued during the Early Modern period, the involvement of jinin in oshi activities most probably went back as far as the early part of the Middle Ages. The chapter also discusses the possibility that offerings made in the form of "gohei" or "ohake" were part of a religious practice that can be linked to the Early Modern period as well.The fourth chapter looks at visits to other shrines and frequent visits to Kasuga shrine and the fifth chapter discusses officiating in Nanendo through to giving recitations in Nanendo. Before frequent purification rituals became established as prayers at Kasuga Shrine at the end of the Middle Ages, it was popular to make frequent visits to shrines belonging to Kasuga Shrine and to make return trips between the main shrine and minor shrines. Moreover, this became an important religious practice and also became a form of prayer which continued into the Early Modern period.When Kasuga Shrine priests officiated at Nanendo, they made frequent return journeys between Nanendo and Kasuga Shrine. They also visited the grounds of Kofuku-ji Temple and recited prayers. This was an important part of the acceptance of Buddhism by Kasuga Shrine priests, which preceded that of pilgrams to Kasuga Shrine, and also led to an increase in people offering prayers.

7 0 0 0 OA 本草綱目草稿

著者
〔小野蘭山//著〕
出版者
巻号頁・発行日
vol.第4冊,

7 0 0 0 IR 破婚の深層

著者
蓮沼 啓介
出版者
神戸法学会
雑誌
神戸法学雑誌 = Kobe law journal (ISSN:04522400)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.1-49, 2019-09
著者
佐藤 裕徳 横山 勝
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.221-229, 2005 (Released:2006-03-23)
参考文献数
75
被引用文献数
4 4

自然界で活発に増殖するRNAウイルスは,突然変異により絶え間なくゲノム情報を変化させる.ゲノム情報の変化は,しばしばウイルスの免疫感受性,薬剤感受性,細胞指向性,宿主域の変化につながり,予防治療効果の低下や新興再興感染症の原因となる.この“moving targets”に対処するには,ウイルスのゲノムと蛋白質の変化に関する情報が欠かせない.現在,自然界のウイルスゲノムの変異情報は急速に蓄積されつつある.一方,変異に伴う蛋白質の構造と機能の変化を実験的に検証するには未だに時間がかかる.本稿では,最も高速で変化する病原体の一つで,治療薬や免疫からの逃避能力に優れるヒト免疫不全ウイルス(HIV)を中心に,RNAウイルスの変異研究の成果を整理する.また,近い将来,生命現象の記述や創薬に重要な役割を果たすと期待されている計算科学的手法をとりあげ,ウイルスの変異解析と創薬の支援に適用した研究を紹介する.