著者
仲村 洋子 羽生 京子
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.9-20, 2008-03

和服着用時に生じる着崩れの要因を、長着の仕立て上がり寸法と体格・体型の関連と捉えて追求してきたのが、本研究である。Lサイズを対象として取り上げ実験を試みた結果、「割り出し法」の有効性を確認した。身体に合わせて縫製された和服は、簡単に姿よく整えられかつ着崩れも少なく抑えられるとの感触を得た。この結果をうけて、試着衣を「ゆかた」としていたことにより省略していた長襦袢を着用して、実験を進めたのが前報である。長着はゆかたをそのまま用い、長襦袢はウール地、絹地の2種類を作製し実験を試みた結果、長襦袢着用が着崩れの抑制に効果的に作用し、さらに少量化が認められた。現在での和服着装は、礼服や晴れ着といった盛装用が主流であり、長着を袷に仕立て、材質も絹素材を扱うことが一般的である。そこで、今回は袷長着を試着衣として採用することとし、表・裏地とも絹地を使用し、変動が明確になるよう格子柄を選んで作製した。あわせて、長襦袢についてもポリエステル素材によるものを加えた。絹地で袷に仕立てた長着と、3種類の素材による長襦袢との組み合わせによる着崩れについては、前回のゆかたを用いた結果と同じレベルに留まっている。つまり、長襦袢の素材の如何をとわず簡単なしかも若干の手直しで修正可能な範囲であった。特に、衿元については長着を広衿に仕立てたことにより、手直しも必要としない微量に留まった。以上、着装者の身体に合わせた和服であれば、着崩れは問題視するに値しないレベルであることが把握できたとともに、割り出し法の必要性を再確認した。
著者
首藤 伸夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学講演会論文集 (ISSN:02857308)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.465-469, 1985-10-30 (Released:2010-03-17)
参考文献数
16
被引用文献数
7 15
著者
青山 真人 夏目 悠多 福井 えみ子 小金澤 正昭 杉田 昭栄
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.109-118, 2010

本研究の目的は、捕食動物に由来する種々の刺激がヤギに及ぼす忌避効果を、ヤギの生理学的および行動学的反応を解析することによって検討することである。実験1においては、7つの刺激-CDプレイヤーで再生したチェーンソーの運転音(ChS)、イヌの吠え声(DoB)、オオカミの遠吠え(WoH)、ライオンのうなり声(LiG)、トラのうなり声(TiG)、テレビモニターに映したオオカミの映像(WoV)、実物のイヌの毛皮(DoS)-をそれぞれ4頭のメスシバヤギに提示し、その反応を観察した。DoBおよびDoS区において、他の区に比較して血中コルチゾル(Cor)濃度が有意に高く(P<0.01、反復測定分散分析およびTukeyの検定)、30分間の身繕い行動の頻度が有意に少なかった(P<0.1、Friedmanの検定とNemenyiの検定)。他の刺激については、いずれの測定項目においても対照区(提示物なし、音声を出さないCDプレイヤー、映像を映さないテレビモニター)との間に違いはなかった。実験2においては、実験1と同じ4頭のヤギを用いて、ChS、DoB、WoH、LiG、TiG、DoSの6つの刺激の忌避効果を検討した。飼料のすぐ後方にこれらの刺激のいずれかを提示し、それぞれのヤギがこの飼料を摂食するまでに要する時間を測定した。4頭いずれの個体も、DoBおよびDoS区においては30分間の観察時間中に一度も飼料を摂食しなかった。一方、他の刺激においては遅くとも126秒以内には摂食を開始した。各個体においで、実験2における結果と、実験1における結果との間には強い相関が観られた(対血中Cor濃度:r=0.78〜0.94、対身繕い行動の頻度:r=-0.73〜-0.98)。実験3では、メスシバヤギ5頭を用い、実験1と同じ方法でChS、DoB、イヌの置物(DoF)、DoS、段ボール箱で覆ったイヌの毛皮(DSC)の効果を検証した。実験1と同様、DoBおよびDoS区において、有意な血中Cor濃度の増加と身繕い行動の頻度の減少が観られた。DSC区においては5頭中4頭が、顕著な血中Cor濃度の増加あるいは身繕い行動の頻度の減少のいずれかを示した。これらの結果から、本研究で観られたイヌの吠え声、あるいはイヌの毛皮に対する忌避効果は、ヤギがこれらの刺激に強い心理ストレスを持ったことが原因であると示唆された。さらに、視覚的な刺激は、少なくともそれが単独で提示された際には効果が薄いこと、聴覚的な刺激および嗅覚的刺激が強い忌避効果をもたらす可能性が示唆された。
著者
鈴木 長明
出版者
日本歯科医史学会
雑誌
日本歯科医史学会会誌 (ISSN:02872919)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.11-20, 2015-03-31

宮城県,山形県,福島県の民話,昔話,伝説を資料として,病気治療例を収集し分析した.収集できた症例は77例であった.病人あるいは悩める人のうち一般人は38例であった.症状あるいは悩みは75例で,らい病による口と唇の症状が含まれた.効果がなかった治療歴は31例で,医者の治療が14例でもっとも多かった.治療担当者あるいは相談者では,僧侶や巫女をはじめとした宗教等関連者が24例,一般人が23例,医療関係者が5例であった.診断法あるいは本人の願い成就法は26例で祈祷が19例であった.病気の原因あるいは病名は26例で崇りと呪いが13例を占めた.治療法では医学的療法が37例,宗教的療法が24例であった.治療効果は成功例が48例,死亡例が1例であった.以上の結果より,現代のように進歩した医療技術が存在せず,医療担当者の数も少なく,健康保険制度も確立していなかった時代においては,病気の際,医者の代わりに僧侶や巫女をはじめとした宗教等関連者を頼りにしていたことが明らかになった.
著者
老川 慶喜
出版者
明治大學商學研究所
雑誌
明大商学論叢 (ISSN:03895955)
巻号頁・発行日
vol.80, no.1, pp.21-39, 1998-02
著者
漆 さき
出版者
慶應義塾大学大学院法学研究科
雑誌
法学政治学論究 : 法律・政治・社会 (ISSN:0916278X)
巻号頁・発行日
no.94, pp.159-191, 2012

一 はじめに二 住所認定による租税回避防止の試み (一) 判例による住所の認定 1 英国判例法の継受 2 カナダにおける「法的支配」重視の傾向 (二) 立法による新しい認定基準の追加 1 一九六二年立法 2 一九六五年立法 (三) 小括三 CFC税制を使った租税回避防止の試み (一) CFC税制導入の背景と経緯 1 背景 2 経緯 (二) カナダにおけるCFC税制の概要とその趣旨 1 概要 2 趣旨 (三) 小括四 両制度の比較 (一) 両制度の役割―FAPIルール導入前の議論 (二) 租税回避防止の範囲 1 住所の認定による租税回避防止の範囲 2 FAPIルールによる租税回避防止の範囲 (三) 小括五 おわりに
著者
松原 仁
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.933-936, 2013-08-15

コンピュータ将棋の実力はプロ棋士に追いついた.トッププロ棋士に勝つのも時間の問題である.ここではそういう状況でコンピュータ将棋が今後何をしていくべきかについて考えたい.コンピュータがプロ棋士に追いついたことは第二回電王戦でわかったので,同じようなことを繰り返しても意味はない.対戦する意味があるのはトッププロ棋士だけである.それもかなり対戦を急ぐ必要がある.我々はトッププロ棋士に勝つXディがもうすぐ来ることを前提として,将棋における人間とコンピュータの対決は終わりにして人間とコンピュータの協力を進めつつある.

6 0 0 0 OA 会社四季報

著者
東洋経済新報社 編
出版者
東洋経済新報社
巻号頁・発行日
vol.昭和19年 12月刊, 1947

6 0 0 0 OA 放線菌

著者
池田 治生 大村 智
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.10, pp.694-700, 2002-10-25 (Released:2009-05-25)
参考文献数
16
著者
Inose Kohei
出版者
日本文化人類学会
雑誌
Japanese review of cultural anthropology
巻号頁・発行日
vol.15, pp.141-150, 2014

The experience of facing radioactive contamination caused by the accident at the Fukushima No. 1 nuclear power plant has touched the hearts and minds of the effected people. The nature of radiation, which is silent, invisible, and untouchable, has impeded people's clear understanding of its reality, dividing their opinions and attitudes about its impacts on their lives. The conventions holidng the people together around a shared sense of reality broke down, and consequently, they began to combine fragments of knowledge at hand in order to live in an uncertain world. This article is based on observations of a community farm in Saitama Prefecture where I have been volunteering. In this crisis, members of this community contingently modify their own ideas through heterogeneously networked connections including scientific knowledge, the farming method of organic farmers in Fukushima and their own local history. I explore how people construct counter-practices in the face of nuclear accidents and discuss what the public function of ethnographic description is in this case.
著者
鈴木 亨
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.272-277, 2008
被引用文献数
1

作用反作用の法則については,生徒だけでなく教師の間にも誤解が広まっていることから,その誤解は根深いと言える。その誤解の起源は「因果スキーマ」が,作用反作用の法則を説明するための論理として働くことによって生じると考えられる。一問一答で正しく答えられるようになったとしても,本質的な理解をしているとは限らず,学習者の理解や認知の過程を考慮した学習素材や,カリキュラムの再構築が必要と思われる。