著者
山田 哲也
出版者
同志社大学
雑誌
文化情報学 (ISSN:18808603)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.82-66, 2009-03

資料紹介本書は、永禄から天正年間ころに成立した七種の茶の湯名物記や茶会記によって構成される、宗魯筆『仙茶集』(せんさのしふ 文禄二年成立)の末尾に収められた茶の湯名物記である。アジア・太平洋戦争前(以下、戦前とする)に刊行された『茶道(全集)』の巻の十二文献篇で当時の茶の湯研究者松山吟松庵によって公開されたが、ほとんど注目されなかった。しかし矢野環教授らの研究により本体の『仙茶集』の正体が明らかとなり、本書もにわかに注目され出した。それは『仙茶集』の冒頭部分が、室町時代の名物記の基準となる『清玩名物記』の項目を書写したものであることが判明したとである。本書は戦前の東洋美術品の著名なコレクターであった、阿部房次郎の旧蔵書であったことが、その蔵書印の存在からも明らかである。本書は写真帖が作成され、『茶道(全集)』巻十二の刊行前に数寄者益田鈍翁から、松山吟松庵に貸与されている。吟松庵はこの写真帖により『茶道(全集)』の稿を作成したようである。本書は堺を始めとする地方別名物記である。収められた情報は永禄から天正期のもので、登載された名物は422点を数える。本書は『清玩名物記』や『天正名物記』など前後して成立した名物記と比較・検討されることにより、よりその重要性は増すであろう。This book is Chanoyu-an art object book that Soro,s ediit Sensano-shu appendix.Sensano-shu is copy down Seigan-maibutuki.This fact is think highly of Karamono-oyosonokazu.This book is maiking a piece 422,and Chnoyu-dogu a possession Chnoyusha,s a list.
著者
柏瀬 宏隆 池上 秀明 中野 嘉樹 岩田 長人 小此木 啓吾 五島 雄一郎
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.49-54, 1981-02-01

かつて我々は, 慶応健康相談センター(いわゆる人間ドック)を2年間に受診した全患者の心身両面につき, ライフサイクルの立場から検討したことがある。人間ドックは本邦で発達した特異な医療施設であり, 健康保険が適応されず, 受診者は社会経済的に中流以上にあると考えられる。今回は, ドック受診者で65歳以上の一般に健康と考えられる老年層のCMI(約200項目)と臨床検査所見につき, 壮年層(30〜39歳)を対照にして比較検討し, いくつかの知見を得たのでここに報告する。(1) 身体的自覚症には, 「disturbance of visual acuity」〔眼〕(対象老年層の90%以上), 「loss of more than half the teeth」〔歯〕(70%以上), 「urtination at night」(60%以上), 「disturbance of hearing」〔耳〕(40%以上)などが高頻度に認められた(老年層に有意)。「Disturbance of visual acuity」は, 自覚症としてだけでなく検査所見でもほとんどの老年層に認められ, 個人差の少ない普遍的な老化過程の指標の一つとみなされる。(2) 精神的自覚症をみると, 「depression」と「tension」に関係する項目の頻度が少なく, 逆に「sensitivity」と「anger」についての頻度が多かった。これは, 「depression」と「tension」は日本人に普遍的感情なため一般的には自覚されにくいのではないかと考えられた。(3) その他, 老年層に有意に多い愁訴には, 「insomnia」(40%以上), 「making mistakes when doing things in a hurry」(20%以上), さらに頻度は少ないが「hopelessness」(10%以下)などがあった。(4) CMIを老年層に施行するときは, 老化過程を反映しやすい「memory」と「sexual function」の項目を追加するように改訂すべきである。(5) 「Disturbance of hearing」, 「hypertension」, 「cardiac diseases」や「diabetes mellitus」などの疾患は, 自覚症は目立たず, ドック検査ではじめて指摘される可能性が高い。

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著者
信暁 著
出版者
弘業館
巻号頁・発行日
vol.8篇中ー12篇下, 1892
著者
大平 晃久
出版者
人文地理学会
雑誌
人文地理学会大会 研究発表要旨
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.59-59, 2009

人文地理学において記念碑を対象とした研究は隆盛をみているが、個別の記念碑研究ではなく、記念碑と場所の関係の一般化を指向する研究は少ない。本発表では,まず,既存のモニュメントを否定するアンチ・モニュメントの事例,とりわけベルリン・バイエルン地区の「追憶の場」を紹介し,そこにみられる記念碑と場所との関係を考える。その上で,バイエルン地区「追憶の場」の事例から,場所間の見立てという記念碑の働きに注目する。<BR> アンチ・モニュメントとは,ドイツにおいてナチスの記憶と向き合う中で生まれた,従来の記念碑の概念を打ち崩そうとする作品群に与えられた名称である。ザールブリュッケンやカッセルの不可視の「記念碑」,ベルリン・ゾンネンアレのセンサーが感知したときのみ説明文が浮かび上がる「記念碑」、ホロコースト記念碑の計コンペで落選した、ブランデンブルク門を破壊してその破片をばらまくというプラン,ブランデンブルク門南の敷地にヨーロッパ各地の強制収容所跡地行きのバスが発着するバスターミナルを建設し,アウシュヴィッツなどの行き先を表示した真っ赤なバスが市内を毎日行き来すること自体を「記念碑」とするプラン,アウトバーンの一部区間を走行速度を落とさざるを得ない石畳にすることで「記念碑」とするプランなどが事例としてあげられる。<BR> ベルリンの「バイエルン地区における追憶の場」はそうしたアンチ・モニュメントの系譜に位置づけられるプロジェクトである。戦前にアインシュタイン,アーレントなど中流以上のユダヤ系住民が数多く暮らしていたこの地区では,地域の歴史を掘り起こす住民運動が起こった。その結果,1993年に記念碑の設計コンペが実施され,シュティ, R.とシュノック, F.によるプランが1位となった。閑静な住宅地区であるここバイエルン地区では,あちこちの街灯に妙な標識が取り付けられている。全部で80枚のそれらの標識は,例えば片面がカラフルなパンのイラスト,もう片面には「ベルリンのユダヤ人の食料品購入は午後4時から5時のみに許可される。1940. 4. 7」というナチス時代のユダヤ人を迫害する法令の文章が記され、,標識の下に簡潔な記念碑としての説明が取り付けられている。商店の看板とみまがうようなポップなイラストと恐ろしい文言からなる標識群は,その形態からも,またそれらが日常の生活の場にあり生々しい過去と日々向かい合うように設けられている点からも,まさに既存の記念碑を否定するアンチ・モニュメントといえよう。<BR> これらのアンチ・モニュメントにおける,場所と記念碑の関係を検討すると,まず,脱中心的であったり不可視であったりすることから,そもそも場所との位置的な対応を問うこと自体が無効である可能性がある。一方で,アンチ・モニュメントが決まったメッセージを伝えるのではなく,記念碑をめぐる実践が意味を作り出す点は場所的な特性として指摘できる。このようにアンチ・モニュメントは場所と記念碑の関係に新たな視点をもたらすものなのである。<BR> バイエルン地区「追憶の場」については、個々の標識については第三帝国当時ではなく現在の景観とおおむね対応している点も特徴的である。過去におけるパン屋や病院など小スケールの事物を記念するというオンサイトの記念碑の文法に則りながら,通常の意味でオンサイトの記念碑ではない点は訪れる者を戸惑わせるものである。しかし,歴史地理的な探索ではなく,現代における実践を誘うものとしてこの記念碑(標識群)は捉えられるべきであろう。現代のスーパーマーケットの前の標識をみてナチス期の商店を想起するという実践は,場所間の見立てであり、バイエルン地区の標識は,そうした見立てを誘うものとして捉えられることを指摘したい。そして,管見の限り,アンチ・モニュメントはいずれも場所間の見立てである一方,大半の記念碑はそうではない。例外は記念碑としては周辺的である文学碑の一部と,聖地など宗教関係の記念碑に限定されると考えられる。<BR> ここで垣間みた場所間の見立ては記念碑の対場所作用の一例に過ぎない。そうしたレトリカルな分析の可能性,また広義の記念碑=「記憶の場」まで含めた考察の必要性を試論的に指摘しておきたい。
著者
増田 紀隆
出版者
オーム社
雑誌
エレクトロニクス (ISSN:04213513)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.p586-598, 1978-06
著者
濱崎 雅孝
出版者
日本基督教学会
雑誌
日本の神学 (ISSN:02854848)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.45, pp.108-125, 2006-09-21 (Released:2009-10-23)
参考文献数
20
著者
大森 弘喜
出版者
成城大学
雑誌
成城大學經濟研究 (ISSN:03874753)
巻号頁・発行日
vol.162, pp.279-314, 2003-11-20
著者
Srinuan SOMROOP Noritoshi HATANAKA Sharda Prasad AWASTHI Kentaro OKUNO Masahiro ASAKURA Atsushi HINENOYA Shinji YAMASAKI
出版者
公益社団法人 日本獣医学会
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
pp.16-0654, (Released:2017-02-16)
被引用文献数
3

Cytolethal distending toxin (CDT) consisting of CdtA, CdtB and CdtC has been reported to be a possible virulence factor of campylobacters including C. upsaliensis. In our previous study, the cdtB gene-based PCR-restriction fragment length polymorphisms (RFLP) assay for detection and differentiation of 7 Campylobacter species yielded 3 different RFLP patterns (Cu-I to Cu-III). In this study, entire cdt (Cucdt) genes of each pattern were sequenced to see whether there are any differences in cdt genes, its amino acid sequences and biological activity of CuCDT. We found that all 3 representative strains harbor the entire Cupcdt genes and homology between prototype and newly determined Cucdt genes was 94 to 98% with cdtA, 93 to 94% with cdtB and 92 to 93% with cdtC, while that between amino acids of CuCDT was 95 to 99% with CdtA, 97 to 98% with CdtB and 92 to 93% with CdtC. Furthermore, CDT activity produced by C. upsaliensis strains was examined by cytotoxicity assay with HeLa cells. Interestingly, C. upsaliensis produced 64 to 2,340 times higher CDT titer in comparison to other campylobacters did. In addition, Cu-III showed 64 times higher CDT titer than Cu-II, although CDT production level was almost the same by western blotting. These data suggest that CDT produced by C. upsaliensis might contribute more to human diseases in comparison to that produced by other campylobacters and Cu-III CDT seems to be more toxic to HeLa cells in comparison to Cu-I and Cu-II CDTs.