著者
東 朋美 森 理恵 TOMOMI AZUMA RIE MORI
雑誌
京都府立大学学術報告. 生命環境学 = The scientific reports of Kyoto Prefectural University. Life and environmental sciences (ISSN:18826946)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.1-17, 2008-12-25

日常的着物着用者が「なぜ着物を着るのか」ということを調査した結果,それぞれの着用者は,現代の着物の問題点を次のように克服していることを明らかになった。価格と販売方法については呉服店と親しくなることや古着店や骨董市,ネットオークションを利用すること。着付けや手入れのむずかしさについては,同じく呉服店と親しくなることや,近所に洗い張りの専門家を見つけること,着付けや手入れの技術を習得した母や祖母の身近にいること,和裁などを習得して自分で技術を身につけることである。とくに古着を着用する場合には,いつでも利用できるメンテナンスの方法を確保することが必須となる。着物のルールについては,わずらわしいと感じるより,着物特有のしきたりを身につけることで自分を高めようとする意識が見られた。友人のネットワークが日常的な着物の着用と関係していること,着物の「伝統文化価値」が着用者にとって着物の魅力となっていることも明らかになった。
著者
首藤 光大郎 横川 昌史
出版者
大阪市立自然史博物館
雑誌
大阪市立自然史博物館研究報告 = Bulletin of the Osaka Museum of Natural History (ISSN:00786675)
巻号頁・発行日
vol.72, pp.47-51, 2018-03-31

2017年9月に岸和田市久米田池において,大阪府新産となるリュウノヒゲモの生育を確認した.池南部を中心に調査を行った結果,本種は調査ルート沿いにおいて広く点在しており,特に南岸周辺で特に高い密度で生育していた.クローナル植物であるため正確な個体数は不明であるが,膨大な現存量をもつと考えられる.久米田池では過去に水生植物の生育が見られなかった時期があり,本種は過去の調査が行われた1989年以降に,水鳥によって散布・定着した可能性がある.
著者
岡崎 勝世
出版者
埼玉大学教養学部
雑誌
埼玉大学紀要. 教養学部 = Saitama University Review. Faculty of Liberal Arts (ISSN:1349824X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.21-64, 2016

はじめに第1章 学校教育体制創始期における世界史教育(1872、明治5~1879、明治12) 1.『史畧』(明治5)と『萬國史畧』(明治7)2.グッドリッチ『パーレー萬國史』3.普遍史型万国史教科書とその原典第2章 学校教育体制模索期における世界史教育(1879、明治12~1886、明治19)―啓蒙主義的世界史への傾斜― おわりに
著者
住元真司 安島雄一郎 佐賀一繁 野瀬貴史 三浦健一 南里豪志
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2014-HPC-143, no.8, pp.1-7, 2014-02-24

エクサスケールシステムでは、極限までの通信遅延の削減を省メモリに実現する必要がある。本論文では、エクサスケール通信をめざして開発中の ACP スタックの設計についての設計方針と ACP スタックの概要について述べる。
著者
三浦 宗介 杉本 雅則
雑誌
情報処理学会研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.59(2005-EC-001), pp.37-42, 2005-06-04

合奏や合唱において,複数の学習者に対し,触覚フィードバックを用いてリズムを伝えることで,他者のパートに惑わされることなく,自分のパートを正しく演奏できるよう支援するシステムT-RHYTHMを提案する.T-RHYTHMは,伴奏者の演奏からテンポを抽出し,それを元にリズムを無線通信で伝える.
著者
金津 穂 山田 浩史
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2018-OS-144, no.3, pp.1-6, 2018-07-23

IaaS 型のクラウドプラットフォームでは仮想化技術によって計算資源を細かに制御 ・ 分配することにより,ユーザがオンデマンドに必要最小限の計算資源を借りることができる反面,仮想マシンを借りることになるためユーザが OS の管理を行なわなければならない.PaaS 型のクラウドプラットフォームではユーザが直接アプリケーションをデプロイできるため容易にエンドユーザへサービスを提供できる反面,IaaS 型ほど細かにユーザが計算資源を制御することは不可能である.また,IaaS 型と PaaS 型のどちらにおいても,既存ソフトウェア資産の活用や普及度の問題から既存の汎用 OS が使用されるものの,特定のサービスを稼動させる目的だけを考えると汎用 OS は巨大であり,不要な機能が多い.そこで,カーネル機能をライブラリとしアプリケーションとリンクし単一のプロセス空間へ配置することで,機構を簡易化しオーバヘッドを大幅に削減することによって軽量化とパフォーマンスの向上を実現した Unikerne lが存在する.Unikernel はパフォーマンスや管理の面だけではなく仮想化環境上で直接動作するためカーネルをアプリケーションへ特化させることも容易であるというメリットがある.しかし,単一のプロセス空間で動作するためマルチプロセス機能が存在しないため,POSIX API を実装したものであっても既存のプログラムへの互換性が不十分である.そこで,マルチノードへスケールすることを前提としたマルチプロセス機構を有している Unikernel,Unikernel fork を提案する.Unikernel fork は (1) アプリケーションに応じて容易にカーネルを特化させることができる,(2) マルチプロセスに対応する,(3) 既存のプログラムを改変せず利用可能である,(4) 他ノードへアプリケーション透過的に子プロセスが配置可能である,という四点を特徴とする.本稿では Unikernel fork の実現のため,まずシングルノードで複数 VM を用いてマルチプロセスに対応する Unikernel の機構の設計 ・ 実装を示し,また,今後の課題について検討を行なった.
著者
湯本 剛 松尾谷 徹 津田 和彦
雑誌
第77回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.1, pp.199-200, 2015-03-17

ソフトウェアテストにおいては,重複が無く抜け漏れの無いテストケースをテストの実行前に作成しておくことが重要である.ブラックボックステストにおけるテストケースの作成は分析対象が仕様であり,一貫性を持ったルールのもとで行われることが少ない.結果的にテストケースの重複や抜け漏れを引き起こすことも多い.既存の研究にて,一貫性を持ったルールの基で分析を行う方法を提案しているが,本論文では,既存の方法に対して,更にテスト実行時のデータのI/Oに着目することで,より一貫性の高い分析を行う方法を提案する.
著者
横倉 聡
出版者
東洋英和女学院大学
雑誌
人文・社会科学論集 (ISSN:09157794)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.137-157, 2018-03

In Japan, the mental health and medical welfare measures started in 1900. About 100 years have already passed. In recent years, various client-centered measures have been promoted based on the philosophy of “from hospital-based care to community-based support.” Today in the relevant areas of mental health and medical welfare, the cooperation among medical care, health care, welfare, employment, housing support are strengthened.In this paper, I will first summarize the historical changes in the past 100 years of mental health and medical welfare measures. Second, I will discuss the main issues in the field of mental health and medical welfare that is undergoing a rapid transformation these days.
著者
清松 天樹 池部 実 吉田 和幸
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:21888787)
巻号頁・発行日
vol.2018-IOT-42, no.8, pp.1-6, 2018-06-21

Mirai をはじめとした IoT 機器を狙ったマルウェアが次々と出現している.このようなマルウェアは IoT 機器の管理の不十分さ,IoT 機器の脆弱性を狙っており,感染した IoT 機器は踏み台となるため IoT 機器のシステム管理者にとって大きな脅威となっている.我々は,学内 LAN に設置したハニーポットを用いて Telnet サーバ (TCP / 23,TCP / 2323) へのコネクション接続状況を調査している.これまでの Telnet サービス向けハニーポットでは TCP コネクションを確立した後,接続を切断していた.本研究では Telnet サービスのエミュレートプログラムを開発し,ログイン ID とパスワード収集機能を実装した.Mirai はソースコードが github で公開され,利用しているパスワードリストは既知である.本論文では約 3 か月間収集したパスワードリストや攻撃の送信元とその分析結果について述べる.今回観測したログイン ID とパスワードの組み合わせは 522 種類,観測したパスワードリストは 965 種類であった.最も多く使用されたパスワードリストは Mirai の持つパスワードリストをすべて含み,さらに Mirai の保持していないログイン ID とパスワードの組が存在していた.
著者
藤田 裕一郎
雑誌
朝日大学留学生別科紀要 = Review of Asahi University Japanese Language & Culture Course
巻号頁・発行日
vol.15, pp.17-21, 2018-03-31

本稿では、自身の初級クラスの授業を振り返り、会話練習がより活気に溢れたものになるよう授業設計を改善し、実践した。改善点は、学習目標を明確にするため、1回の授業で扱う3つ程度の文型項目を一連の場面としてつなげ、それぞれの文型項目における練習までをワンステップとし、毎回の授業の最後に教師の前でペアで一連の会話を発表することで授業の目標を達成するようにしたことである。 本実践を1学期間行い、1)教師自身の振り返り、2)機関が実施する学習者アンケート、3)この授業設計について学習者に直接聞いたアンケートによって評価した。その結果、機関の学習者アンケートによる他教師との比較では差が見られなかった一方で、教師自身の振り返りと学習者に直接聞いたアンケートでは肯定的な意見が多く、ペアで目標を達成しようとする取り組みの中で協働やペア間の競争意識が生まれ、それが会話練習のやる気を喚起したのではないかと考えた。