著者
佐藤 達哉 菅原 ますみ 戸田 まり 島 悟 北村 俊則
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.409-416, 1994-02-20 (Released:2010-07-16)
参考文献数
34
被引用文献数
10 10

Mothers' difficulties concerning child-rearing were conceptualized as a rearing-related stress (RRS). Eight hundred and seventeen mothers who had six month-olds infants were asked to rate 28 RRS items and 20 items on the depressive severity scale (Zung, 1956). The main results were summarized as follows: (1) Twenty-two items of RRS were analyzed by Hayashi's quantification (type-III) method, and two hypothesized dimensions were extracted. These are named children-related reaing stress (CRRS) and mothers-related rearing stress (MRRS). (2) RRS was related to mothers depressive severity, (3) Linear relationships of “CRRS-MRRS-depression severity” was examined by partial correlation analysis. (4) Primiparae experienced more RRS than multiparae. These results suggested that RRS could be considered as a process, i.e., CRRS influences MRRS and then MRRS influences depressive severity. The RRS model is in accord with the psychological stress model of Lazarus and Folkman (1986). Lastly, possible preventive strategies for mothers' RRS were disscussed in the light of RRS model.

1 0 0 0 OA 英雄論

著者
福本日南 著
出版者
東亜堂
巻号頁・発行日
1919
著者
田 云明
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.85-100, 2016-06

空海の『性霊集』劈頭に置かれた「遊山慕仙詩」において、詩題は一見遊仙詩のように隠逸風であるが、内容は仏教的なものが少なからず含まれている。波戸岡旭氏はこの一首の構成や、出典、さらに創作動機及び主題などについて、従来の遊仙詩との類似を考察し、空海の「遊山慕仙詩」は仏教思想を説くものでありながら、本格的な遊仙詩であると主張した。これに対し、井実充史氏が「『文選』遊仙詩を踏襲した形跡はない。言及しつつ踏襲していないということは、意識的に無視あるいは排除したといえる」と異議を呈し、「形式・内容ともにまったく新たな遊仙詩を歌い上げようとする」空海の創作意図を強調した。両氏とも「遊山慕仙詩」と『文選』などに載せられた従来の遊仙詩との関係性について言及しているものの、入唐の経験によって渉覧できた中国本土の文学作品や思想界の動向から受けた影響については、十分に検討がなされていないと考えられる。 空海の「遊山慕仙詩」はいかに仏教的なものを取り入れ、『文選』の遊仙詩を再構築したのか。それはすべて空海の独創により生み出されたものであろうか。本稿では、主に空海の帰国後の著述に表われた文学観を手がかりに、彼の文学創作の姿勢を把握したうえで、特に入唐時に目にとまった詩文や儒・仏・老の三教論との関連を視野に入れながら、「遊山慕仙詩」における『文選』遊仙詩の受容と超克を考察していきたい。空海の詩作を分析するにあたり、まず、『聾瞽指帰』と『三教指帰』及び『文鏡秘府論』を通して彼の文学観を把握する。次に、『文選』遊仙詩の内容と構成を明らかにしたうえで、「遊山慕仙詩」の内容、構成について分析を行なう。最後に、中唐詩僧・皎然の「短歌行」との関わりについて考察する。以上の考察を通じて、入唐の経験によって成立した文学観、三教論、および渉覧できた詩文が、空海「遊山慕仙詩」の創作に与えた影響を明らかにしたい。
著者
比留間 政太郎
出版者
Japanese Dermatological Association
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.116, no.9, pp.1295-1302, 2006

皮膚糸状菌症(白癬)の臨床像は,菌種,病変部位,宿主の免疫状態などに影響され,微妙に異なる.診断で大切なことは,真菌症を疑ってみることで,次に直接鏡検によって菌を証明することである.頭部白癬は,菌が硬毛に寄生して生ずるので,毛の寄生形態を観察する.体部白癬は,多種の菌が分離され,それに伴い当然多彩な臨床像を呈する.足白癬は,全人口の4分の1を占めるとこが明らかにされ,その治療の大切さが再認識されている.爪白癬は,新しい経口抗真菌薬が開発され治療が容易となった.今後爪白癬のより良い臨床評価基準が作られることが望ましい.治療は,白癬の病型・病態また個々の症例によっても治療方針は異なる.治療薬剤の特徴を考慮して決定する.治療期間は,表皮,毛,爪のターンオーバーの期間を考慮して決める.生活指導は大切で,その感染経路を考慮して指導する.
著者
西澤 俊雄
出版者
中央大学経済研究所
雑誌
中央大学経済研究所年報 (ISSN:02859718)
巻号頁・発行日
no.45, pp.365-384, 2014

今日,わが国は少子高齢化の急速な進展により総人口の4分の1を65歳以上の高齢者が占める社会がやってこようとしている。医療,介護,年金といった社会保障政策はこの高齢者の需要に十分応えることができず,高齢者の将来生活への不安は切実である。 高齢者の将来への不安を解決する1つの方法が年金補填のスキームとなるリバースモーゲージである。わが国ではリバースモーゲージ制度は歴史も浅く,知名度も少ないため広く普及するに至っていない。 本稿は主要各国のリバースモーゲージ制度の歴史を探求し,その普遍的な性質を探ることにより普及への一助とするものである。 リバースモーゲージ制度はフランスに始まったビアジエと呼ばれる独特の方式で,イギリスでその不動産担保金融として,スキームを確立し,アメリカで政府の金融的保証に支えられて発展してきた。それと同様のスキームを韓国では2007年以降,政府の全面的保証を受けて導入され,急速に拡大している。第1次世界大戦以降の英,米,韓,日本のリバースモーゲージのスキームは,それぞれの時代や社会経済制度の違いによって異なった性格を帯びて発展してきている。わが国の制度は1981年から始まったが,この制度の持つリスクや適用対様の制約から広く行き渡るに至っていない。そこで,各国の制度の変遷と内容の比較を行う。次に,わが国の制度の変遷とスキームの違いを比較していく。各国の制度の比較,わが国との比較を通してリバースモーゲージの本質を探り,リバースモーゲージとは何かという定義を探るものである。 「自宅に住み続けながらその自宅を担保に不動産を処分することによって融資金を返済するものである」という定義はリバースモーゲージが不動産融資と金融商品の両面の性質を持つ金融システムの1つのスキームとして確立されたものとなる。
著者
柴田 元幸
出版者
現代文芸論研究室
雑誌
れにくさ
巻号頁・発行日
vol.2, pp.181-192, 2010-12-27

論文
著者
中橋 真穂 義永 美央子 ナカハシ マホ ヨシナガ ミオコ Nakahashi Maho Yoshinaga Mioko
出版者
大阪大学国際教育交流センター
雑誌
多文化社会と留学生交流 : 大阪大学国際教育交流センター研究論集 (ISSN:13428128)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.41-50, 2012-03-31

グローバル化が進む中、異文化理解教育が益々重要になってきている。そこで、世界有数の多文化国家であるアメリカの中学校で異文化理解教育に関する調査を実施した。その結果、中学校での異文化理解教育に関するカリキュラムや指導方法、教師の意識、また、中学生が実生活で様々な異文化に接触している実態と、それらに対する寛容な態度が明らかになった。