5 0 0 0 OA 秋田叢書

出版者
秋田叢書刊行会
巻号頁・発行日
vol.第1巻, 1933
著者
佐藤 岳詩
出版者
北海道大学大学院文学研究科応用倫理研究教育センター
雑誌
応用倫理 (ISSN:18830110)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.45-62, 2010-03

本稿では気分明朗剤(mood-brighteners)の服用の是非とそれを通して快楽主義的功利主義の是非について論じる。快楽主義とは快や幸福のみが善であると主張する道徳的な立場であり、経験機械の議論をはじめ様々な批判にさらされながらも一定の支持を集めてきた。しかし近年開発された気分明朗剤という薬がもたらす倫理的問題は、快楽主義に対して新たな疑義を呈しうるように思われる。気分明朗剤とは簡単に言えば不安を緩和し気分を明るくする薬物であり、服用者の快につながるものである。そのため気分明朗剤の使用は快楽主義的に見て肯定されるものである。しかし一方で我々の間にはこの薬物に対する否定的な感情、道徳的な直観がある。この直観が妥当なものであるならば、気分明朗剤の服用は否定されるべきであり、また気分明朗剤の服用を肯定する快楽主義もまた否定されるべきということになるだろう。そこで本稿では主に気分明朗剤の服用を批判する言説を検討し、それが妥当であるか否かを検討する。筆者の考えるところでは、L. カスらが呈示する偽物と本物の区別、適切な感情などに基づく批判は誤りであり、気分明朗剤および功利主義に対する決定的な批判とはならない。しかし苦痛とその受容が持つ価値にかかわる議論は快楽主義にとって直接的な疑義を投げかけうる。
著者
松田 安弘 定廣 和香子 舟島 なをみ
出版者
日本看護教育学学会
雑誌
看護教育学研究 (ISSN:09176314)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.9-22, 2004
被引用文献数
1

本研究の目的は、男性看護師の職業経験の説明概念を創出することにより、その総体を明らかにし、看護職集団における少数者である男性看護師の職業経験の特徴を考察することである。研究方法論には、看護概念創出法を適用し、病院に就業する男性看護師23名を対象とした半構造化面接によりデータを収集した。持続比較分析の結果は、男性看護師の職業経験が次の6概念により説明できることを示した。その6概念とは、【I.他者関係の円滑化による孤立回避】【II.期待・関心の享受と喪失による存在意義の模索】【III.付加価値獲得の試みと失敗】【IV.職業選択への迷いと価値づけ】【V.問題克服による看護職者としての自立と役割の拡大】【VI.職業活動と私的活動の均衡維持】である。この内、I、II、IIIは、男性看護師が、大多数の女性看護師とは異なる存在であることを自覚し、自己の異質性の抹消や特異性の発揮に翻弄されるという「看護職集団における性の異なる少数者ゆえの職業経験」をすることを示す。また、IV、Vは、男性看護師が、職業活動を通し、改めて看護職を選択すると共に、様々な問題を克服しながら看護職を価値づけ、自立していくという「性差に関わらない看護師に共通する職業経験」をすることを示す。さらに、VIは、男性看護師が、どのような状況にあっても職業を続けていくことを第一に考え、それを中心に職業活動と私的活動の充実を目指し、安定した生活を築いていくという「成人期の就業男性に共通する職業経験」をすることを示す。
著者
巽 申直 服部 恒明
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.23-24, 1987-11-30 (Released:2012-11-27)
参考文献数
2
著者
豊澤 修平 村井 源
雑誌
じんもんこん2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.75-82, 2018-11-24

本論文では星新一のショートショートにおけるオチに至る物語構造の分析をするために,古典的なプロット分 析を利用しオチパターンの抽出を行った.物語の自動生成において意味の通る作品を作ることが困難であるが, オチに至る物語構造を分析することにより,より自然な物語の自動生成を実現できる能性がある.星新一の代表 的なジャンルである SF から「宇宙」と「薬」,特徴的なテーマとして「悪魔・魔人」に作品を限定しオチのパ ターン化と必要条件,前提条件の抽出を行った.結果として各テーマにおける特徴的なパターンの抽出を行うこ とができた.テーマのパターン化及び必要条件と前提条件の記述の統一化と抽象化の結果を用いることで,今後 より星新一らしい自然な物語の自動生成が可能になると考えられる.

5 0 0 0 OA 史籍雑纂

出版者
国書刊行会
巻号頁・発行日
vol.第5, 1912
著者
久野 智之 打田 佑人 宇佐美 寿彦 小林 晋 高田 幸児 大村 真弘 松川 則之
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
pp.10722, (Released:2019-11-26)
参考文献数
12

要旨:症例は21 歳の男性である.8 カ月前から男性型脱毛症に対してフィナステリドとミノキシジルを服用していた.ウエイトトレーニング中に突然,頭痛と視野異常を自覚した.視野検査では,左上四分盲を認め,画像検査では,右後頭葉に出血性脳梗塞を認めた.右後大脳動脈の塞栓症と考えられたが,塞栓源は明らかではなく,フィナステリドとミノキシジルの関与が疑われた.若年性脳梗塞を発症した場合,非認可薬を含めた服薬歴を詳細に問診する必要がある.
著者
隠岐 さや香
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.5_42-5_47, 2021-05-01 (Released:2021-09-24)

この総合コメントにおいては、2020年における科学技術基本法改正以降の日本におけるイノベーション政策の方向性が、国際的動向に対していかなる同時性と差異を伴っているのかを展望する。日本政府はその歴史的経緯や言語の関係から、国際的動向とは時差のある形で科学技術およびイノベーション政策を展開してきた。科学技術基本法改正以後に始動する第6期科学技術・イノベーション基本計画ではトランスフォーマティブ・イノベーションが意識されており、人文社会系学問が振興対象となる。これは、社会システム変革を掲げるグローバルなイノベーション政策の動向を取り入れた結果といえる。ただし、日本の議論においては、環境危機の増大や社会的不平等という複合化する現代の課題を扱うことが強く意識されているとはいえない。また、受容・ユーザ主導型のイノベーションへの関心やそれを支える民主主義的諸制度に関する議論が脆弱といえる。