著者
中川 清
出版者
白鴎大学
雑誌
白鴎大学論集 (ISSN:09137661)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.161-176, 1997-03
著者
大舘 大學
巻号頁・発行日
2011-11

ジャコウネズミSuncus murinusはトガリネズミ科の小型哺乳類であり(いわゆるネズミ=齧歯類の仲間ではない)、名古屋大を中心として実験動物化され、その生物学的な性質はよく調べられている。ジャコウネズミは北インド・ネパール、東南アジア大陸部からインド南部が原産地とされている。インド洋-南シナ海は古来より海洋貿易がさかんであり、マレー系、インド系、中国系、そしてなによりもイスラーム勃興以降にアラブ人やペルシャ人がさかんに貿易活動を行った。さらに大航海時代以降にはヨーロッパ各国の商業活動も行われるようになった。日本では16世紀-17世紀前半の朱印船貿易、琉球の進貢船、江戸時代の長崎貿易がこの海洋貿易ネットワークの東端を担っている。このような人間の活動によって、ジャコウネズミは原産地から東南アジア島嶼部、ペルシャ、アラビア半島、アフリカ東海岸、マダガスカル、コモロ諸島、九州などに人や品物と共に移動したと考えられている。遺伝子解析や核型分析では東南アジア島嶼部への人為移入が強く示唆され、さらにはインド中部においては二つの系統のジャコウネズミが陸路で牧畜民に伴い移動して中部で交雑した可能性も示唆されている。しかし移動の歴史についての詳細は不明で、特にインド洋西部沿岸地域の移動の詳細は分かっていない。 この研究プロジェクトではジャコウネズミがどのような歴史的過程で分布を広げたか、各地域でどのように認識されているのかなどを明らかにしたい。そのためには広範囲を対象地域として、動物学(系統地理学、集団遺伝学、核型分析、形態分析)、ウイルス学、生態学(絶滅と定着の条件)、歴史学(インド洋交易史、南蛮貿易史、イスラーム史など)、民俗学(フォークロアの比較、意図的移動の可能性)、文献学(文学作品や年代記)、言語学(呼称の分布)など理系・文系を超えた様々な学問分野の専門家との有機的協力体制が必要不可欠である。 ジャコウネズミはこのように小さなマイナーな(そして臭い)動物ではあるがその人為移動の歴史はまことにダイナミックである。住家性ネズミ(クマネズミ、ドブネズミ、ハツカネズミ)も人と共に移動することが知られ、多くの研究がなされているが、温暖な地域に分布が限定されること、陸路よりも海洋ルートで拡散したらしいこと、歴史学的な裏付けがとれることなどから、移動のルートと過程を特定しやすいメリットがある。当学会では特に人と動物の関係史という観点から、この研究の面白さを理解していただき、人文境界研究として興味ある方の協力、参加を願いたい。対象地域が広大な地域(しかも危険地帯)でかつ異分野の学際にまたがるのでこのプロジェクトは大型研究予算の獲得を目指していますが、科研費の当否に関わらずこのプロジェクトは進める積もりです。
著者
坂牧 成恵 中里 光男 松本 ひろ子
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.85-88, 2006-04 (Released:2011-03-05)

市販青汁41製品について、ビタミンKの分析を行い、製品中の含有量と一日摂取量を調査した。青汁製品中のビタミンKはn一ヘキサンを用いて直接抽出し、HPLC試験溶液とした。ビタミンKはODSカラムで分離した後、白金黒カラムで還元して得られる蛍光(励起波長240nm、蛍光波長430nm)により測定した。その結果、製品中のビタミンK1含有量は冷凍製品90-190μg/100g、粉末製品410-3300μg/100g、粒状製品640-3100μg/100gであり、各種青汁製品を喫食した場合、一日あたり20-380μgのビタミンK1を摂取すると推定された。ワーファリン服用者の場合、青汁製品の喫食がワーファリンの投薬効果に影響を与える可能性があることが明らかとなった。
著者
山本 昭宏
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
no.84, pp.9-27, 2014-01-31

The purpose of this paper is to propose a hypothesis about the process through which the media builds up collective expectations concerning nuclear power (the Nuclear Dream) and the transformation of such expectations. We focus on the Asahi and Yomiuri Newspapers and study not only editorials, but also regular features that are likely to have affected public opinion as much as editorials. The period targeted in this paper is the 20 years from 1945 to 1965. We divide these 20 years into three periods based on changes in the Nuclear Dream: the dream of war deterrence (1945 to 1949) ; the dream of peaceful use (1949 to 1957) ; and the dream of nuclear power generation (1957 to 1965). Japanese newspapers were unknowingly trapped in the Nuclear Dream that they built up through their own discourse; while they detached themselves from the Nuclear Dream in the late 1950s, they expanded the dream again in the 1960s. By describing this process, we examine how it is possible to meet collective expectations built up by the media.
著者
黒田 慶子 山田 利博 峰尾 一彦 田村 弘忠
出版者
日本植物病理學會
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.p606-615, 1988-12
被引用文献数
9

11年生クロマツにマツノザイセンチュウを接種し, 1週間ごとの伐倒の前日に根元から染色剤を吸収させて, その上昇パターンから木部の通水異常を検出した。木部含水率を測定し, 通水異常との関係を明らかにすると同時に, マツ組織の変化, 線虫の増殖との関係を調べた。接種2週後に水分の上昇に乱れが観察され, 含水率が低下し始めた。樹幹の木口断面では, 放射方向に長く白色の線状ないし紡錘形の部分が, 染色部と明確に区分されて出現した。この部分では仮道管は水を失い, 気体が入っていた。この現象は「キャビテーション(空洞化)」と呼ばれる。健全な樹木では, 木部の水はらせん状に上昇するが, 線虫接種木ではキャビテーション部位で流れが妨げられて通水パターンが乱れる。キャビテーションの範囲はしだいに拡大し, 4週後には木口断面のほぼ全面を覆った。マツ組織の変化と線虫の増殖は4週後, 木部の含水率が健全木の30%に低下してからであった。これらの事実から, 形成層や師部の壊死はキャビテーション部位に接した後に水不足により起こったものと判断した。仮道管のキャビテーションがマツの枯死の直接的原因である可能性が高い。他方, 漏出した樹脂による仮道管通水の機械的阻害は, 非常に小さな範囲に留まるため, 枯死の主因とは考えにくい。染色の阻止状況から, 疎水性の物質がキャビテーション部位の仮道管内に存在することが示唆された。マツノザイセンチュウがなぜマツを枯らすのかを明らかにするためには, まずキャビテーションの原因を解明する必要がある。
著者
岡野養之助 編
出版者
朝日新聞社
巻号頁・発行日
1926
著者
本間 正充
出版者
日本環境変異原学会
雑誌
環境変異原研究 (ISSN:09100865)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.285-286, 2004 (Released:2005-12-24)
参考文献数
5
著者
福島 在行
出版者
京都民科歴史部会
雑誌
新しい歴史学のために (ISSN:09123296)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.1, pp.16-22, 2003-02
著者
伊藤 華子
出版者
日経BP社
雑誌
日経パソコン (ISSN:02879506)
巻号頁・発行日
no.363, pp.172-179, 2000-06-12

「使ってみたいけどよく分からない」ソフトの代表格がデータベースソフトの「Access」。そんなAccessを、今号から3回にわたって解説する。第1回目は、Accessの仕組みとデータベースの基本となるテーブルの作成手順だ。(伊藤 華子=テクニカルライター) 「データベースは便利そうだけど、Accessは敷居が高い」──。こう考えている人は多いようだ。
著者
加藤 隆 佐伯 昌子 宅間 三起 亀井 美砂 向田 茂 赤松 茂
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.452, pp.25-30, 1999-11-19
被引用文献数
1

顔情報の微妙な違いに対する人の感受性について,認知的・感性的観点から検討を加えた.実験1では,個々の顔と平均顔をモーフィング合成する際にテクスチュア情報と形状情報の混合比率を独立に操作し,記憶ベースの類似性判断におけるテクスチュア情報と形状情報に対する感受性を検証した.その結果,テクスチュアの違いが顕著に表れない場合のみ,微妙な形状の違いを認知できることが示された.実験2では,顔の見え方(view)によって印象が異なるかを検証したところ,「やさしそう-こわそう」という顔の形態に依存する印象は見え方による影響をあまり受けないが,「たのしい-かなしい」という心の情動状態を表す印象は顔の見え方によって比較的強い影響を受けることが示された.