著者
井上 弘貴
出版者
日本イギリス哲学会
雑誌
イギリス哲学研究 (ISSN:03877450)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.19-34, 2016

<p>In his<i> Triumphant Democracy</i>(1886)Andrew Carnegie claimed that American people found something lacking for the original Britons in some races including the German and the French, while he celebrated the British as a basic material to create the American republic. But he came to put more great value on the Teutonic origin for both Britain and America to envision the idea of an Anglo-American reunion in his article, A Look Ahead(1893)which was the new concluding chapter in the revised edition of <i>Triumphant Democracy</i>. Carnegie changed his view again in 1905, the year following the Entente Cordiale between Britain and France. He seemed to take the concept of republic as an important one which could include the three nations, Britain, France, and America while he continued to keep the idea of Teutonic because he thought that it could unite Britain and America with Germany, the Teutonic Power in a peaceful union. In this paper I argue how Carnegie shifted the emphasis in his writing on the balance between the notion of republic and that of race.</p>
著者
馬場 香里
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.207-218, 2015
被引用文献数
1

<b>目 的</b><br> 児童虐待防止への介入の必要性の判断や介入の評価指標とする児童虐待の本質を捉えた尺度の開発につなげ,さらに将来的な周産期における児童虐待防止への支援の発展と,児童虐待予防活動の基盤づくりへの示唆を得ることを目的とした。<br><b>方 法</b><br> Rodgers(2000)の提唱する概念分析のアプローチ法を用いた。9つのデータベースとして,医中誌Web,CiNii,MEDLINE,CINHAL,PsycINFO,SocINDEX,Minds,National Guideline clearing-house,trip databaseを使用し,検索用語は「児童虐待(child abuse),妊娠(pregnant women),産後(postnatal),育児(child care)」とした。最終的に,英語文献26件,日本語文献32件の計58件と,日本小児科学会の発行している「子ども虐待診療手引き(2014)」を分析対象とした。<br><b>結 果</b><br> 5つの属性【養育者から子どもへの一方的な支配関係】【養育者の自覚の有無に関係しない行為】【子どものwell-beingを害する行為】【子どものwell-beingを保つ行為の欠如】【子どもの状況】,5つの先行要件【養育者の要因】【子どもの要因】【社会環境の要因】【複数要因の重なり】【適切な介入の不足】,5つの帰結【子どもの保護】【養育者の否認と孤独】【サバイバーの健康への影響】【母になったサバイバーの苦悩】【世代間伝播】が抽出された。代用語に「child maltreatment」が抽出され,関連概念に「しつけ」「shaken baby syndrome(揺さぶられっこ症候群)」「Munchhausen Syndrome by proxy(代理ミュンヒハウゼン症候群)」が抽出された。分析の結果,本概念を「養育者から子どもへの一方的な支配関係から成る,養育者の自覚の有無に関係しない行為による子どもの状況を基盤とした,子どものwell-beingを害する行為,及び子どものwell-beingを保つ行為の欠如である」と再定義した。<br><b>結 論</b><br> 本概念分析の結果は,児童虐待の本質を捉えることにつながり,今後の研究において児童虐待を測る尺度を開発する基盤となりうる。また本概念分析により,児童虐待による子どもへの長期的な健康への影響や,次世代への児童虐待の繰り返しの可能性が示され,児童虐待発生前の妊娠期からの予防の必要性,特に周産期で主な支援対象となる母がサバイバーであった場合の母に対する介入の必要性が示唆された。さらに周産期における児童虐待防止への支援については,妊婦のみならず,そのパートナーや子ども,社会環境も含めて支援対象であると認識し,それらの要因に対する適切な介入が必要である。
著者
原田 利宣 吉本 富士市
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.77-84, 2004-05-31
被引用文献数
4

日本刀は,日本人における美の原点のひとつであり,デザイナーにとっても曲線美の基準である。しかし,日本刀の曲線の曲率半径を算出し,厳密に日本刀の曲線の性質を分析した研究例はほとんどない。そこで,本研究では,60振り(刀[太刀を含む]を45振り,短刀15振り)を用いて,日本刀の曲線の性質とはいかなるものであるか,またそれらの日本刀においてどのような共通点があるのかを調べた。具体的には,まず日本刀の写真をスキャニングし,その刃先の曲線を表す点列データを画像処理で抽出した。次に,それらの点列データから曲線を創成し,筆者らの提案した曲線の性質の定量化手法によって分析を行った。その分析結果を基に,それら曲線に共通する特徴や相違点の考察を行った。その結果,太刀,刀における曲線を5つのタイプに,短刀を2つのタイプに分類することができた。また,各タイプの曲線における特徴を明らかにすることができた。加えて,それらの曲線の工業デザインヘの応用を提案した。
著者
今里 佳奈子
出版者
同志社大学
巻号頁・発行日
2015

This study focuses on the characteristics of the welfare regime of Japan after the second world war with the aim of forecasting its future. This study has found one of the major features of the welfare regime of Japan in its strong demand on families to be financially and physically independent. The risks the Japanese families had been forced to take by themselves, however, reduced to some extent by the governmental policies I call "communalization" or "kyodotaika."
著者
新井 信之 内山 範夫 佐藤 哲郎 佐藤 とも子 植田 さおり 渡辺 和美 大谷 知子 須田 剛
出版者
順天堂大学
雑誌
医療看護研究 (ISSN:13498630)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.9-14, 2007-03
被引用文献数
1

目的:精神障害者生活訓練施設における精神障害者の賃貸アパート契約に至るまでの支援内容とその実際から,住宅確保に向けた課題を明らかにする。方法:T援護寮を退所し単身生活をはじめた29名を対象に,担当職員9名への半構造化面接及び利用者個人記録の内容を項目ごとに整理し、その人数を比較した。研究期間は2001年10月から2002年2月である。結果:対象者の診断名は統合失調症が最も多く24名で,その他は神経症,躁鬱病,人格障害などであった。年齢は平均41.2歳で,最年少20歳,最高齢65歳であった。賃貸アパートに退所した25名(86%)の経済基盤は障害年金や生活保護費の受給が主で,賃貸アパートの契約時に申告する職業がなく,また家族関係の悪化から保証人を家族に依頼できない者も5名いた。更に21名が精神疾患の罹患が契約上不利になると判断し病気を隠していた。結論:精神障害者の賃貸アパート契約では,家賃支払いの基盤となる就労先や保証人の確保,精神疾患に罹患しているという事実の扱いが大きな課題となっていた。今後の支援では,就労先の確保,保証人協会などの保証人制度の充実など具体的かつ実際的な支援の充実の必要性が示唆された。
著者
李 建志
出版者
広島芸術学会
雑誌
藝術研究 (ISSN:09149872)
巻号頁・発行日
no.23, pp.59-73, 2010

日本のテレビドラマでは、在日朝鮮人がどのように描かれてきたのだろうか。本稿では在日朝鮮人と呼ばれるエスニック・グループに出自をもつ松田優作の主演ドラマ「探偵物語」で、多くのマイノリティが登場しながらも日本最大のマイノリティとでもいうべき朝鮮人が描かれなかったことから、在日朝鮮人の隠蔽という問題を考える。これは、アメリカ発の世界的テレビドラマといっていい「刑事コロンボ」における黒人表象と重なるものだといえる。すなわち、イタリアン(ホワイト・マイノリティ)であるコロンボが、WASPの犯人を追いつめるというドラマの影に、本当の民族問題としての黒人やプエルトリカン(あるいはユダヤ系)は描かれないという構図をもっており、これが「探偵物語」の朝鮮人隠蔽と相似形であると考えるからだ。また、その「探偵物語」に先行するドラマとして渥美清主演「泣いてたまるか!」のなかの「豚とマラソン」を取りあげ、日本のテレビドラマで朝鮮人がいかに描かれていったのか、そして在日朝鮮人の描き方として「人格者」としてしか描けない、すなわち隠蔽のコードに埋もれてしまうまでの筋道を論じる。