著者
田中 誠
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.86-90, 1991-12-20

和本や和紙などが虫害を受けやすいことは昔からよく知られている。その対策には古くから頭を痛めていたようで,さまざまな防除法が工夫されている。古来の防除法の主要なものには,紙を防虫効果のある染料で染色する方法と,防虫効果のある植物などを本に挟んだり書箱に入れたりする方法とがあった。ほかに環境的な対策として曝書(ばくしょ)(虫干し)や香料の利用がある。また,本を保存する箱や帙(ちつ)を防虫効果のある木(クスなど)で作ったり,紙そのものをクララなどの毒草で漉くようなエ夫もなされていた。ここでは,江戸時代以前に行なわれていた主要な防除法のうち,植物(植物質)を利用した例について,そのあれこれを紹介してみたい。
著者
村田 正武
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會誌 (ISSN:00214728)
巻号頁・発行日
vol.60, no.457, pp.188-194, 1957-02-05
著者
土田 英三郎 植田 克己 檜山 哲彦 畑瞬 一郎 亀川 徹 関根 和江 岩崎 真 畑 瞬一郎
出版者
東京芸術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

東京芸術大学が明治期以来の長い歴史の中で、学内各部署に分散蓄積してきた貴重な資料群の所在を確認し、目録を作成のうえ、近年とみに劣化が激しく、このままでは、死蔵されたまま歴史の片隅に埋もれてしまいかねないアナログ録音のオープンテープをデジタル化し、音のデータベース構築する基礎を形成できたこと、そして一部ではあるが、公開の機会を得ることができたことは、本研究の大きな成果である。今後は、本研究で採り上げられなかったアナログ資料をデジタル化し、積極的に公開する方法を探り、公共の財産として活用する方向を目指したい。
著者
遠藤 一博
出版者
福島県立医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

里吉病(全身こむら返り症)におけるタクロリムスとステロイド併用の治療経験13歳女性.進行性有痛性筋クランプ,脱毛,無月経の臨床症状から本症例を里吉病と診断した.平成12年8月以降免疫グロブリン大量静注療法(IVIg)を施行.筋症状は軽快したが脱毛,無月経は改善せず.2ヶ月後,筋症状の増悪及び脱毛の進行を認め,同年12月再入院.既往歴:十二指腸潰瘍,アトピー性皮膚炎,気管支喘息の既往あり.入院時現症:前頭部及び眉部の脱毛あり,腋毛,恥毛なし.筋力テスト時に有痛性筋クランプ症状が誘発される以外,神経所見正常.検査成績:CK正常.抗核抗体陽性.抗アセチルコリン受容体抗体強陽性.入院後経過:膠原病,重症筋無力症症状を認めないが自己抗体陽性から里吉病においても自己免疫説(里吉病(全身こむら返り症)における自己抗体の同定;第13回日本神経免疫学会(2001年2月),第42回日本神経学会総会(2001年5月):遠藤一博 発表)があり,ステロイドパルス療法施行後タクロリムス3mg/日,プレドニゾロン(PSL)30mg/隔日治療を導入した.直後から筋症状が増悪し,バクロフェン40mg/日内服を加えた.その後,有痛性筋クランプ症状は改善した.平成13年5月以降バクロフェンを中止しても無月経,筋症状,脱毛の改善をみた.里吉病の過去の報告例ではIVIg,ステロイドパルス療法は有効だが効果は一時的であり,またPSL100mg/日連日内服療法で無月経,脱毛の改善をみたとの報告があるがいずれも極少数例での検討であり本症に確立された治療法はない.連日PSL100mg内服は成長期女性にとって,低身長,満月様顔貌,またその他の副作用(本例では十二指腸潰瘍の既往もある)も無視できない.本症例にタクロリムスとステロイド併用療法を施行し全症状の改善をみた.同併用療法は里吉病治療の1選択肢となるのではないかと考えた.
著者
二宮 博義 猪股 智夫 白水 博
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.66, no.12, pp.1491-1495, 2004-12-25
参考文献数
10
被引用文献数
1 3

ツチクジラ(5頭,成獣)の肺の血管系を組織学的および血管樹脂鋳型標本を作製して走査型電子顕微鏡で観察した.肺胞は厚く,結合組織を挟むようにして両面の肺胞毛細血管網で構成されていた.この二重の肺胞毛細血管網は肺胞管および肺胞中隔に常時認められた.末端の肺胞では,しばしば毛細血管網が一層であった.肺胞毛細血管は肺胞の末端に近づくにつれ,互いに融合して,二重の毛細血管網が次第に失われ,末端の肺胞では一層になる傾向が見られた.細静脈では膠原繊維がリング状に血管内皮下を走っており,樹脂鋳型では30〜100μm間隔のリング状の溝として観察された.最初の静脈弁は肺胞毛細血管が集合する集合細静脈に見られた.この静脈弁はフラップ様,漏斗状,煙突状の構造で,きわめて特徴的であった.
著者
伊原 亮司
出版者
岐阜大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

トヨタは、生産現場を緊密かつ巧妙に統合していると言われてきた。そのトヨタは「日本的経営」の代表例として扱われることが多いが、他の日本企業との比較研究は存在せず、それがトヨタに限った話なのかどうかは定かではない。そこで本研究は現場の中核層に焦点をあてて、トヨタと日産の統合力の実態を比較した。確かにトヨタは、管理の貫徹度が高い。工場の隅々までそして現場の「末端」にまで管理の手と眼差しが入り込んでいる。しかし、それは、トヨタに特異な管理制度によるだけでなく、長年かけて築き上げてきた文化によるところが大きい。また、統合力が強いトヨタでも、反統合の現象が多く見受けられ、それが現在問題になっている「品質」に少なからず影響を及ぼしていると考えられる。
著者
東 朋美
出版者
金沢大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

黄砂中の環境化学物質が、気管支喘息や花粉症などのアレルギー疾患の発症や悪化の原因になることが指摘されている。近年、気管支喘息、咳喘息、アトピー咳嗽を代表疾患とする長引く咳(慢性咳嗽)を訴える患者さんが増加しており、本研究では、黄砂と慢性咳嗽の症状の関係を調べることを目的として、黄砂期間中の患者調査を行った。前年度に引き続き、第2期、第3期の患者調査を継続した。金沢大学附属病院の呼吸器内科にて、気管支喘息、咳喘息、アトピー咳嗽のいずれかの診断を受けて通院している成人の方を対象に、アレルギー日記に毎日の症状を記録して頂いた。黄砂日の判定は、国立環境研究所のLIDAR観測データをもとに行い、黄砂消散係数が0.03/km、0.01/km(濃度0.03mg/m3、0.01mg/m3に相当)をそれぞれ黄砂日、非黄砂日の閾値とした。第1期調査の結果、咳、たん、くしゃみ、鼻みず、鼻づまり、眼のかゆみのすべての症状において、黄砂期間に症状を有する人数が、非黄砂期間より増加していた。特に、咳と眼のかゆみの症状においては、非黄砂期間に症状が無く、黄砂期間に症状を有した人が有意に認められ (p<0.05) 、黄砂が慢性咳嗽の症状に影響を及ぼすことを初めて報告した(Higashi et al. Atmospheric Environment in press)。我々の調査では、期間中毎日症状を記録する方法によって、黄砂情報に影響されることが無く、症状変化を捉えることが可能になった。また、気象庁発表の目視による黄砂日ではなく、LIDAR観測データによる黄砂日を設定したことによって、軽い黄砂飛来時の影響を捉えることができた。今後、この調査と解析を継続し、黄砂以外の要因として考えられている大気汚染物質や花粉の健康影響を考慮した詳細な解析が必要であると考える。
著者
近藤 佐保子 南雲 浩二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.526, pp.39-46, 2007-01-31
被引用文献数
1

近時,ネットワークを巡って著作権問題が顕在化し,また,ファイル共有ソフトの作成者が著作権侵害の幇助で逮捕されるという事件が発生するにいたって,著作権侵害の問題は再考察せざるを得ない状況になっていると思われる.本稿では,いわゆるWinny事件に焦点を当て,現行著作権制度をインターネットに適用した場合の問題点を指摘し,今後の著作権制度とその規制のあり方を検討するものである.
著者
後藤 道彦 植松 裕子 斎藤 英雄 仙田 修司 池谷 彰彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MI, 医用画像 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.28, pp.1-6, 2010-05-06

Augmented Reality(AR)技術を利用した作業支援は,ユーザに対して直感的な支援が可能である.一般に,ARシステムを構築するためには,重畳するコンテンツを用意する必要があり,従来はそのコンテンツを用途に合わせてCGなどで新たに作り出していた.本論文で提案するARシステムでは,そのコンテンツを新たに作るのではなく,既に多く存在しているビデオをお手本となる教師ビデオとして利用し,ユーザの視点に合わせて教師ビデオを変換して重畳表示することで,情報提示を行う.このとき,ユーザの作業と教師ビデオ映像が視覚的に混同しやすい問題を解決するために,教師ビデオに対して透明度変化や輪郭線の強調表示などの様々な加工を施す.また,作業内容に合わせて教師ビデオをいくつかの手順に分割し,ユーザ側の作業が完了してから次の手順へと進めるようなインタラクティブ性を持たせることで,ユーザが各自のペースで作業を行うことのできるシステムとなっている.本システムの有効性を検証するためのユーザ評価実験では,折り紙を折る作業とブロックを配置する作業の2つの状況を想定し,本システムでの教師ビデオの提示方法について評価を行った.その結果,本システムで提案するようにユーザの視点に合わせてビデオを提示することで,ユーザの視認性が向上するということが分かった.また,教師ビデオに施すエフェクトについての評価では,作業内容ごとに適したエフェクトを分類することができ,今後さらに他の作業へと適用する際の指標を得ることができた.
著者
内田 由理子 かどや ひでのり
出版者
津山工業高等専門学校
雑誌
津山工業高等専門学校紀要 (ISSN:02877066)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.119-124, 2006

本稿は,高専の技術系労働現場への女性技術者供給における役割に着目し,高専における女子学生への教育,特になかでも進路指導への示唆,提言を行うものである,高等専門学校開設来の女子学生の動向を明らかにするとともに,女子学生は高専に何を求め,何を期待しているのか確認する.また,卒業後の就労状況を取り上げ,女子卒業生は技術者として果たしてどのように活用されているのか,その就労からみえてくるものは何か,析出し,検証する.
著者
田村 貞雄
出版者
静岡大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

本年度は主として史料所蔵者・所蔵機関を訪ね、史料の収集を行なった。まず「ええじゃないか」発生地域の県立図書館等を訪れ、市町村史・郷土研究誌の閲読と重要部分の複写を行ない、それらを手がかりとして原史料の収集を一部行なった。とくに1867(慶応3)年に焦点をしぼり、その前年以後の地域の情勢に関する史料、江戸・京都の政治動向についての情報の伝播に関する史料を収集した。収集箇所は東京・神奈川・愛知・三重・岐阜・京都・大阪・和歌山・兵庫・岡山・広島・香川・徳島の13都府県立図書館およびその他の史料所蔵機関(京都府丹後資料館、三原市立図書館、岐阜市歴史博物館など)、また重要資料所蔵者である兵庫県三田市の朝野家、三重県一志郡美杉村の向田家を訪ねた。また幕末期の政治・経済情勢を把握するために、上記機関のほか鹿児島・山口・佐賀・山形の県立図書館およびその他の史料所蔵機関(山口県文書館・酒田市立図書館)などで資料収集を行なった。以上の資料収集は、また十分なものとは云えず、膨大な推別史料のごく一部を散見したに過ぎない。しかし以上の史料の中間的分析では、「ええじゃないか」は1867年(慶応3)5月末の第2次長州征代中止決定の公示がきっかけとなった物価の下落と「にわか踊り」の自然発生のもとで、その情報伝播が広がり、7月中旬に三河地方で発生した。その狂乱が逆に京阪地方に達するのは、10月14日の大政奉還の直後でありこれを封膜派が十二分に利用した形跡がある。今後さらに広範囲に史料収集を行ない、従来の狭い政治史や民族学プロパ-の分析を脱し、政治史、経済史、社会史、民族学を総合した分析を志したい。
著者
圓 幸史朗 河野 允宏
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.66, no.550, pp.47-55, 2001
参考文献数
35

Stochastic properties of broadband strong motions are investigated using the fractal source model. The model is described by the limited dynamic data reflecting uncertainty and heterogeneity on the fault plane. The soil ground model for source-site path is presented by the theoretical Green's function of the multi-layered half space. The simultaneous simulation test has been tried for the recorded ground motions at some sites in the 1994 Northridge earthquake and the 2000 Western Tottori prefecture earthquake. The average spectra and the duration time of the synthetics correspond well with those of the observed within 20 kilometers from the fault region.