著者
塩崎 亮
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.15-24, 2003-03

「無料貸本屋論」の台頭に見られるように,昨今の公共図書館サービスは外部から批判の声を浴びつつある。今後は,それら批判の妥当性や原因を明らかとするためにも,外部環境を探る調査の重要性が増している。にもかかわらず,既存の公共図書館調査・研究は内部環境調整を目的としたものが大半を占めてきた。本論の目的は,文献レビューを介し,外部環境適応の視座を公共図書館調査・研究へ導入することの必要性について示すことにある。まず,レビューを進める上での枠組みとして,図書館調査・研究を視点の差異により4つに類型化する。次いで,日本図書館情報学会における学会発表テーマを各々4類型に当てはめていく作業を行う。結果,内部環境調整型テーマへの偏重傾向,外部環境適応の視点の相対的軽視,特に今現在問題とすべき代替業者を対象とした調査研究の欠落を立証した。
著者
バックリー 節子
出版者
国際基督教大学
雑誌
国際基督教大学学報. I-A 教育研究 = Educational Studies (ISSN:04523318)
巻号頁・発行日
no.61, pp.39-47, 2019-03-31

1990年代のバブル経済崩壊により,日本は中流社会から格差社会へと移行し,さらに社会グループの急増により,多文化社会に突入した。この傾向は社会公正の論争を牽引しているが,責任ある市民の期待を担う青年の多数は公共問題に無関心で,公共,政治活動に従事していない。2015 年6 月,政府は政策を一新しようと,被選挙権年齢を20歳から18歳に引き下げた。しかし未だ単一文化同一性は中央集権政府に統制され,青年は社会から疎外され,引きこもるか社会的政治的暴力に走りがちである。社会の承認,恩恵のない社会参加不可能な状況下で,個人,社会の統合はあり得ない。本研究はまず単一文化同一性,社会格差の下で,青年が直面する問題を捉える。次に心理社会学的立場から,統合の壁となる個人と社会の関係を分析する。最後に公正に影響を及ぼす文化的意味,道徳的価値を分析する。開放的,包含的社会を重視した市民社会を構築するのに,この方法は有意義であろう。

3 0 0 0 OA 官報

著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1907年10月16日, 1907-10-16
著者
中村 かおる Kaoru NAKAMURA
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.82, no.臨時増刊(堀貞夫教授退任記念), pp.E59-E65, 2012-01-31
著者
前川 紀雅 森本 昌宏 森本 充男 打田 智久 白井 達 吉岡 愛 森本 悦司 古賀 義久
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.148-152, 2009-05-25 (Released:2011-09-01)
参考文献数
10

脳脊髄液減少症は起立性頭痛を特徴とし,脳脊髄液の減少により生じる.これに対する治療法として,硬膜外自家血注入法(自家血注入)が広く用いられているが,硬膜外生理食塩液注入法(生食注入)が診断法の1つとして推奨されている.筆者らは,2カ月から30年間脳脊髄液減少症に罹患していた10症例(外傷性8症例,特発性1症例,脊麻後頭痛1症例)の治療としてX線透視下に生食注入(造影剤との混合注入)を行い,その有効性について検討した.これらのうち6例では自家血注入の既往があり,RI脳槽シンチグラムで4症例で髄液の漏出,5症例で早期膀胱内集積があった.生食注入により起立性頭痛,視機能異常や耳鳴りなどの症状はすべての症例(7症例では1回,3症例では2回の施行)で改善した.以上より,脳脊髄液減少症に対して保存的療法が奏効しないときには,生食注入は試みてよい治療法の1つであると考えられた.
著者
吉田 信彦 河本 千恵 白鳥 美津子 伊藤 要
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
日本総合健診医学会誌 (ISSN:09111840)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.390-397, 1999-12-20 (Released:2010-09-09)
参考文献数
13

眼圧が高い人への生活指導の参考にするため, 眼圧値と人間ドックの各種検査成績を比較検討した。眼圧平均値および高眼圧率 (眼圧が20以上の割合) は女性より男性の方が有意に高かった。血圧や血糖値の高い人の眼圧平均値や高眼圧率は対照より高値で, 男女間の有意差は見られなくなった。脂肪肝や肥満, GOT, GPT, TGの高値も眼圧を高くした。飲酒者は圧倒的に男性に多く, 飲酒男性の高眼圧率は高かった。非飲酒者では高眼圧率や眼圧平均値の男女差はないことから, 高眼圧率や眼圧平均値全体の男女差は男性に多い飲酒によるものと考えられた。高血糖, 高血圧, TG高値, GPT高値, 飲酒, 脂肪肝, 肥満などが重なれば重なるほど高眼圧率は上昇した。また高眼圧症で治療を受けて眼圧が正常となっていても高血糖や高血圧の割合は他の正常眼圧者より高かった。以上のことからこれら諸因子は高眼圧の背景因子, 促進因子あるいは危険因子として重要であり, 高眼圧症は生活習慣病に関連があるのではないかと思われた。したがって高眼圧者に対しては糖尿病, 高血圧, 過度の飲酒, 脂肪肝, 肥満, 高脂血症などを改善するような生活指導を行う必要があると考えられる。
著者
大木 志門
出版者
日本近代文学会
雑誌
日本近代文学 (ISSN:05493749)
巻号頁・発行日
vol.92, pp.77-92, 2015

<p>本論は、「文学館」をめぐる歴史研究の試みである。一般に「文学館」の歴史は戦後の「日本近代文学館」設立(一九六二年)に始まるとされるが、実は戦前にも文壇をあげた「文学館運動」の萌芽が存在した。昭和九(一九三四)年に組織された「文芸懇話会」最初の事業「物故文芸家遺品展覧会」と併せて提起された「文芸記念館」構想がそれであり、主唱者である島崎藤村は文芸統制を利用して近代文学資料の保管施設を作ろうとしたのである。藤村が着想を得たのは昭和七(一九三二)年に新装された靖国神社「遊就館」からであり、この事業を菊池寛と「文芸家協会」が継承し昭和一四(一九三九)年に「文芸会館」を建てたが、それは当初の計画とは外れたものであった。しかし藤村の執念は昭和二二(一九四七)年開館の「藤村記念館」を生み、これが戦後の文学館運動を準備したと考えられる。</p>
著者
佃 為成
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.11-20, 2003-06-02 (Released:2010-03-11)
参考文献数
7
被引用文献数
2 1

A new probability process model for earthquake forecast is presented based on Bayesian treatment. The prior probability at the beginning of this process is estimated from long-term data from earthquake history and active fault activities in a target area. The posterior probability is deduced from Bayes' theorem in terms of the prior probability and two conditional probabilities: “alarm rate” and “null alarm rate”. The former is defined to be the probability that a precursory anomaly is detected on condition that an earthquake is accompanied, and the latter to be that on condition that no earthquake is accompanied. These probabilities are estimated mainly by statistical tests of previously accumulated observation data. The test consists of trials of detecting anomaly during each assigned detecting period and of registering earthquake events during the corresponding hypothetical forecasting period. Regarding the estimated posterior probability as the prior probability for the next step of the Bayesian process, we will obtain a new posterior probability when data from another anomaly event is input into the process. Successive application of this procedure continues to renew the posterior probability until a dicision is made to issue an earthquake warning. The final posterior probability pN for N independent anomaly observations with alarm rate qi and null alarm rate si for i=1, 2, …N is given byPN=x1x2…xN/x1x2…xN+a1-p0x1x2…xN, where p0 is the first prior probability, a1=(1-p0)/p0, xi=qi/si and the approximation (-) is valid if pN<<1. The well known terms, “secular probability” and “success rate” are interpreted in the above framework to be a prior probability and the induced posterior probability, respectively. The ratio of alarm rate to null alarm rate, i. e., xi in the above formula, for each precursory anomaly observation is a key factor for reliability on earthquake prediction. The probability gain, i. e., the ratio of the posterior probability to the prior probability, is approximated to be the product of the above ratios.

3 0 0 0 OA 〔日本図〕

出版者

手書 370×434cm

3 0 0 0 OA 鉄道省年報

著者
鉄道省 編
出版者
鉄道省
巻号頁・発行日
vol.大正13年度, 1926
著者
堤 邦彦
出版者
明治書院
雑誌
国語と国文学 (ISSN:03873110)
巻号頁・発行日
vol.95, no.10, pp.3-19, 2018-10
著者
大場 博幸
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.83-98, 2018 (Released:2018-09-30)
参考文献数
40

図書館所蔵が書籍市場に与える影響を検証した。古書市場を対象とし,サンプルとして 2004 年の4 月から6 月にかけて発行された234 点の教養新書を採りあげ,図書館における所蔵数の違いが古書価格の差と関連があるか否かを調べた。方法として,古書価格は需要と供給で決定されると仮定し,供給のうちに図書館所蔵数を含めて重回帰分析を施した。 従属変数となる古書価格の指標として,Amazon.co.jp のマーケットプレイスとほか二つのオンライン古書店の価格を用いた。独立変数には,需要としてAmazonのランキング順位を,古書の供給数としてオンライン古書店での出店数を,図書館による供給数として日本全国の公共図書館の所蔵冊数および大学図書館の所蔵館数を合計した数値を用いた。このほか図書館所蔵数とAmazon ランキングの交差項も加えた。結果として,図書館所蔵数単独での価格への影響はプラスとなることが明らかになった。しかし,所蔵も需要もともに多い書籍については価格へのマイナスの影響がある可能性も観察された。
著者
古賀円蔵 著
出版者
大学館
巻号頁・発行日
1904