著者
白井 暁彦
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.286, 2019-02-15
著者
菅沼 悠介 三浦 英樹 奥野 淳一 Yusuke Suganuma Hideki Miura Jun'ichi Okuno
雑誌
南極資料 = Antarctic Record (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.85-90, 2012-07-31

宇宙線生成核種を用いた表面露出年代測定法は,地球表層における様々な現象を理解するために非常に重要な年代測定法である.この年代測定法には,年代決定精度が試料形状に依存するという特徴があり,試料採取の際に試料の厚さと形を高精度で測定することが必要となる.しかし,ハンマーやタガネを用いた従来の手法では,このような要求を満たす試料採取は時として困難であった.そこで本研究では,新たに携帯型電動カッターを用いた試料採取手法を提案する.この手法は,迅速かつ精密な試料採取および形状測定を可能とすることから,結果として年代測定精度の向上につながるものである.簡単な理論計算に基づき不完全な試料形状に起因する年代差を求めたところ,試料の採取深度が大きくなるにしたがって年代差が大きくなることが分かり,表面露出年代測定法における精密な試料形状測定の重要性が示された.
著者
新納 泉
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.211, pp.51-77, 2018-03-30

レーザー計測などの新しい技術の採用によって,前方後円墳の立体的な形状をきめ細かく把握することが可能になってきた。本稿では,そうしたデータにもとづいて,大規模な前方後円墳を例に設計原理とその系列の復元を行う。主として取り上げるのは,近年レーザー計測などが実施された,大阪府藤井寺市仲津山古墳(仲姫皇后陵古墳),同堺市上石津ミサンザイ古墳(履中陵古墳),岡山市造山古墳,大阪府羽曳野市誉田御廟山古墳(応神陵古墳)の4基であり,それぞれの古墳の設計原理の解明と相互の関係を検討した。設計原理を読み解くにあたっては,主として,コンピュータのプログラムを用いて描画される復元図を,測量図に重ね合わせるという手法を用いた。設計原理に用いられた長さの単位を知るには,後円部の中心点と,前方部の隅角の各段を結ぶ稜線が主軸と交わる前方部中央交点(P点)との間の距離が最も信頼性の高い手がかりとなる。これらの点は少ない誤差で絞り込めることと,その2点間の距離が後円部の半径の1.5倍となる例が多く,墳端の位置がはっきりしない場合でも,後円部の半径を推定しやすいからである。以上の方法を用いることにより,次のような点を明らかにすることができた。(1)歩を長さの単位とし,直角三角形の底辺と高さの比で角度を決定している,(2)0.5歩の倍数で段築のテラスの幅を決定し,それを長さの基本単位としていたが,基本単位の長さは後円部と前方部前面で異なるのが普通である,(3)設計原理のままでは要請された墳丘長に合わないことが多いため,実施設計において墳丘を引き伸ばすなどの一定の調整がなされていた,(4)それぞれの古墳の築造に際しては,既存の設計原理を適用するのではなく,そのたびに新たに設計原理が構想されていた,(5)設計原理の継承には系統性が存在するが,その内容は複雑なものである。
著者
藤本 珠笛
出版者
埼玉大学大学院人文社会科学研究科日本語専攻内 さいたま言語研究会
雑誌
さいたま言語研究 (ISSN:2432857X)
巻号頁・発行日
no.6, pp.32-45, 2022

本稿は、複数形接尾辞「ら」「たち」の使い分けについて、コーパスを用いて使用実態の調査を行い、人称代名詞を中心にその特徴を考察するものである。調査の結果、「ら」においては三人称代名詞「彼」との共起が多く、排他性や客観性、謙譲の意などを示す性質がみられた。一方、「たち」では一人称代名詞「私」と多く共起し、同質性や親しみ表現などの特徴が挙げられた。これらのことから、「ら」「たち」の使い分けにおいて、話者と指示対象における心的距離との関連性を明らかにした。また、「彼たち」を用いにくい要因として、人称代名詞「彼」が指示代名詞から転用されたものであることを挙げ、考察を行った。以上を踏まえ、日本語学習者への指導に関して提案を行った。
著者
坂本 知弥 佐々木 良一 甲斐 俊文
雑誌
研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS)
巻号頁・発行日
vol.2011-DPS-146, no.5, pp.1-7, 2011-03-03

近年,インターネットの普及により,IPv4 アドレスの枯渇が懸念されている.その為,IPv6 の導入が進められており,IPv6 が導入された場合,IP アドレス数の大幅な増加だけでなく,様々な利点が期待されている.しかし,その利点を逆手に取った攻撃手法も同時に発見されており,迅速な対応が求められている.そのような攻撃手法の 1 つがアドレス自動割り当て時における,ルータへのなりすましによる不正 RA (Router Advertisement) 攻撃である.既存対策としてはネットワーク機器やルータへの機能実装による対策が提案されているが,実現性や有効性の問題により,現実的ではない.そこで,本研究では実験を通じて不正 RA 攻撃がどの程度容易に実現出来るかを示すとともに,PC 側でフィルタリングを行う簡易で効率的な手法の提案と評価を行う.
著者
打田 智子 加藤 誠
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.1-15, 2023-04-14

情報検索システムのクエリ自動補完において,現在主流の手法では,クエリ補完候補を生成するため,過去に蓄積された膨大なクエリログを必要とする.本論文では,専門ドメイン検索システムなど,クエリログが入手しづらい状況下において,入手可能な他のクエリログおよびその文書コレクションと,ターゲットとする文書コレクションから,クエリ補完候補を生成するアプローチについて述べる.具体的にはまず,他のクエリログのクエリ中に出現する単語N-gramのN-gram確率と,対応する文書コレクション中のN-gram確率との比率(「クエリらしさ」を表現する係数)を推定する回帰モデルを構築する.次に,得られた回帰モデルをターゲットとする文書コレクションに適用することで,実際のクエリ補完候補を生成するN-gramモデルを構築する.実験により,提案手法は,他のクエリログのみ,またはターゲットとする文書コレクションのみを用いて構築したN-gramモデルよりも,ユーザクエリの予測タスクにおいて良い性能を与えることが示された.
著者
関 哲夫
出版者
国学院大学法学会
雑誌
國學院法學 (ISSN:04541723)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.66-35, 2015-12
著者
高見 寛孝
雑誌
江戸川大学紀要 = Bulletin of Edogawa University
巻号頁・発行日
vol.33, pp.1-15, 2023-03-15

先祖と子孫を結び付ける文化装置としてのイエが大きく変容している今日の社会において、イエを中心に行われてきた死者祭祀のありかたもまた変わらざるを得ない。これからの社会において先祖を含む死者祭祀はどのように行うのがよいのか、その手掛かりを求めるべく、柳田國男と有賀喜左衞門の先祖論を取り上げた。柳田が人々の心の癒しを先祖祭祀に求めようとするのに対し、有賀はむしろ本家と分家とを政治的・経済的に結び付ける社会的機能を重視する。本家分家関係も、そして先祖子孫関係もますます変容していくことが予想される中で、死者と生者とはどのような関係を構築していけばよいのかを考察した。