著者
仲澤 順二 新関 浩人 京極 典憲 楢﨑 肇 上村 志臣 八木 優樹
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.575-579, 2022-07-15 (Released:2022-07-15)
参考文献数
8

胸水ドレナージ後の稀な合併症の一つにEx Vacuo Pneumothoraxというものがある.これは慢性胸膜炎により脆弱化かつ硬化した臓側胸膜が,胸水を抜かれた空間に生じる陰圧によって,損傷し発症する気胸である.当院では,過去10年でこのEx Vacuo Pneumothoraxを2例経験した.両症例とも悪性胸水ドレナージ後,肺が全拡張できずに気胸を発症した.悪性胸水に生じたEx Vacuo Pneumothoraxの治療方法は議論のあるところであるが,自験例は耐術能があり,エアリークも多かったため外科治療を行った.両症例とも胸腔鏡で胸腔内を確認すると肺にブラはなく,気瘻が複数認められた.癌性胸膜炎に伴う臓側胸膜の脆弱化を考慮して,気瘻部位の切除は行わずに,タコシールやネオベールシートなどで補強して手術を終了し,エアリークをコントロールすることができた.
著者
濱口 純 阿部 厚憲 松澤 文彦 水上 達三 廣方 玄太郎 及能 健一
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.74, no.7, pp.1876-1881, 2013 (Released:2014-01-25)
参考文献数
15
被引用文献数
3 3

症例は47歳,女性.昆布を摂食した翌日より腹痛を訴え前医を受診した.イレウスの診断にて保存的加療を行うも改善せず当院転院後,手術を施行した.Treitz靱帯より180cmの空腸内に堅い内容物が詰まっており,イレウスの原因となっていた.空腸を切開し摘出すると摂食した昆布であった.内容物の摘出後,切開創を縫合し腸管を切除せず終了した.術後イレウスの再燃はなかった.食餌性イレウスは時々見られる疾患であるが,昆布が原因となっている症例は本邦に特有であり比較的まれである.今回われわれは昆布により発症した食餌性イレウスの1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
著者
電通
出版者
電通
巻号頁・発行日
vol.20(9), no.227, 1975-09
著者
劒持 和貴 渡邉 慎二
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第69回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.444, 2022 (Released:2022-08-30)

近年、HMD型MRデバイスを用いた新しいスポーツ観戦体験が研究されているが、過去の試合をサマライズしたデータの表示や選手のプレーの結果を表示している点で共通している。一方、スポーツ選手は未来を予測しながらプレーを行っているが、競技観戦者にはそれらは分からないのが現状である。そこで本研究の目的を、過去の事実ではなく予測される未来をリアルタイムに現実空間に可視化するMR表現の制作、及び体験デモを通してその観戦体験の可能性を示すことにした。
著者
鐘本 英輝 数井 裕光 鈴木 由希子 佐藤 俊介 吉山 顕次 田中 稔久
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.15-22, 2017-03-31 (Released:2018-04-01)
参考文献数
26
被引用文献数
2 1

漢字の純粋失書を伴う皮質基底核症候群 (CBS) を呈したアルツハイマー病 (AD) 症例を経験したので, 本例の漢字の純粋失書の発現機序について検討を行った。症例は右利き男性で, 58 歳頃から軽度の物忘れを自覚。64 歳の当科初診時には日常生活に支障はなく, 口頭言語や読字に障害は認めなかったが字形想起障害による漢字の失書が目立ち, 右優位の軽度のパーキンソニズム, 右上肢の肢節運動失行を認めた。頭部 MRI では両側性の前頭葉と頭頂葉の軽度萎縮を認め, IMP-SPECT では左側頭葉後下部を中心に左半球の血流低下を認めた。臨床的に CBS が疑われたが, 髄液バイオマーカーから AD が示唆された。本症例の失書はAD で報告されている特徴に合致する一方, 皮質基底核変性症における失行性などの運動性要因を含むものが多いという失書の報告とは異なっていた。CBS の背景病理は多彩であることが知られているが, CBS における失書の様式はその背景病理を推定する一助となるかもしれない。
著者
斎藤 文恵 加藤 元一郎 村松 太郎 藤永 直美 吉野 眞理子 鹿島 晴雄
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.392-403, 2008-12-31 (Released:2010-01-05)
参考文献数
32
被引用文献数
5 2

漢字に選択的な失書を呈したアルツハイマー病と思われる症例を報告した。症例は51 歳右利きの男性で,漢字が思い出せずまた書けないことが主訴であった。本症例の特徴は,軽度の記憶障害および構成障害を認めるが,全般的知的機能障害が軽度であり,また失行,失認は認められず,さらに言語症状としては失語が存在せず,文字の読みにも問題がなく,仮名書字の障害が極めて軽度であるのに対して,漢字書字の障害が重度であったことである。漢字構造の結合・分解課題や漢字の正誤弁別課題の結果から,本症例における漢字失書は,漢字の視覚的イメージ (字形) の想起困難,および書字行為の間,そのイメージを保持することの障害により生じた可能性が高いと考えられた。またこの背景には,漢字の視覚的イメージの細部の想起障害と書字運動覚の障害の存在が示唆された。MRI および脳血流画像所見から,本症例の漢字失書の出現には,両側頭頂葉および左側頭葉後下部の障害が関与していると想定された。
著者
関根 嘉香 橋本 芳一
出版者
Japan Society for Atmospheric Environment
雑誌
大気汚染学会誌 (ISSN:03867064)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.216-226, 1991-07-10 (Released:2011-11-08)
参考文献数
29
被引用文献数
5

日本は, 冬季から春季の北西季節風が卓越する時期に, 中国大陸の風下にあたる。近年, 中国および韓国の諸都市は急速に工業化, 都市化が進み, 大気汚染問題が生じている。これら大陸都市において発生した大気汚染物質が季節風によって輸送され, 日本の大気質に影響を及ぼす可能性が考えられる。そこで東アジア地域における粒子汚染物質の長距離輸送現象を調べるために, 島根県松江市において大気エアロゾル試料を採取し, その成分分析結果から大陸都市の影響について検討を行った。大気エアロゾル中の成分組成比を韓国ソウル市のものと比較すると, 冬季の松江市における成分組成比はソウル市のものと類似し, 特にPb/Zn比は松江の夏季が0,22であるのに対して冬季は0.83となりソウル市での値と良い一致を示した。Pbは大陸都市において特徴的な有鉛ガソリン自動車から排出されるものであり, 松江市において冬季に観測された大気中Pbの一部は長距離輸送を起源とするものと考えらるれ.そこで拡散ボックスモデルにより長距離輸送の寄与を大まかに推定したところ, 松江市で観測された冬季のPb濃度の一部はソウル市からの長距離輸送による影響であると推定された。またTe/Se比により大陸都市の主要エネルギー源である石炭の燃焼排出物の影響を検討したところ, 同様に大陸都市の影響を受けている可能性が示唆された。
著者
山田 崇史
出版者
Japanese Society for Electrophysical Agents in Physical Therapy
雑誌
物理療法科学 (ISSN:21889805)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.19-25, 2022 (Released:2022-08-20)
参考文献数
48

多くの理学療法士が筋力低下の改善に難渋するのはなぜだろうか? それは,「強度」という有効限界を超えるための壁が存在するためである.では,高齢者や患者に,どのようにしたら少しでも高い強度の運動を負荷できるだろうか? NMESは,その補助療法として有望なツールの1つである.しかしながら,筋力増強のためのNMESの至適条件については,基盤となる科学的根拠が不足しており,効果や適応が最大化されていないと言わざるを得ない.本稿では,主に基礎研究により得られた知見をもとに,筋力増強のためのNMESのポイントについて整理する.また,NMESを処方する上で,理解しておくべき筋力低下のメカニズムについて,細胞生理学的視点から概説するとともに,筋疾患に対するNMESトレーニングの作用について紹介し,筋力低下に対する安全で効果的なNMES処方の実現に向け,その可能性と課題について考えたい.
著者
Nozomu Sakurai
出版者
Japanese Society of Breeding
雑誌
Breeding Science (ISSN:13447610)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.56-65, 2022 (Released:2022-03-08)
参考文献数
90
被引用文献数
11

Metabolites play a central role in maintaining organismal life and in defining crop phenotypes, such as nutritional value, fragrance, color, and stress resistance. Among the ‘omes’ in biology, the metabolome is the closest to the phenotype. Consequently, metabolomics has been applied to crop improvement as method for monitoring changes in chemical compositions, clarifying the mechanisms underlying cellular functions, discovering markers and diagnostics, and phenotyping for mQTL, mGWAS, and metabolite-genome predictions. In this review, 359 reports of the most recent applications of metabolomics to plant breeding-related studies were examined. In addition to the major crops, more than 160 other crops including rare medicinal plants were considered. One bottleneck associated with using metabolomics is the wide array of instruments that are used to obtain data and the ambiguity associated with metabolite identification and quantification. To further the application of metabolomics to plant breeding, the features and perspectives of the technology are discussed.

2 0 0 0 OA 近代海戦論

著者
富永謙吾 述
出版者
成徳書院
巻号頁・発行日
1943

2 0 0 0 日本語

出版者
日本語教育振興会
巻号頁・発行日
vol.4, no.8, 1944-08

2 0 0 0 OA 法制史の研究

著者
三浦周行 著
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
vol.続, 1925
著者
高橋 静夫 ドムニング D. P. 斎藤 常正
出版者
PALAEONTOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
vol.1986, no.141, pp.296-321, 1986-04-30 (Released:2010-05-25)
参考文献数
35

1978年8月, 山形県西村山郡大江町を流れる最上川で, 異常渇水のため露出した河床に大型哺乳類の骨格が含まれているのを2名の小学生が発見した。河床の岩層は, 本郷層の橋上砂岩部層で, 初期後期中新世のDenticulopsis katayamae Zone (9-10.4 Ma)を指示する珪藻化石を産する。一節の長さ6~8センチ, 直径14~15センチの椎骨が140センチの長さに連なり, 長さ20~90センチの大きく湾曲した肋骨が26本程度数えられた。骨格前部には長さ51センチの頭骨が, 口蓋を上に頭頂を下にした状態で保存され, 長さ41センチの一対の肩甲骨も認められた。骨格を砂岩からとり出すにつれて, この標本は体前半部の骨格がほぼ完全に揃った, 極めて良く保存された大海牛の化石であることが明らかになった。指・掌骨を含む右前肢は, 絶滅した大海牛類の前肢の構造を示す, 現存する世界唯一の標本である。骨格の特徴により山形の化石は, カリフオルニアから記載されたDusisiren jordaniに近似するが, 歯の大きさがjordaniのものの3/4と小さく, しかも咬合面の模様が単純で, 歯が著るしい退化を示す点で大きく異なる。歯の退化は, 大海牛の進化系列のもっとも際立った形質変化で, 大型の歯を備えた先祖型のDusisiren属から, 歯が退化して失われたHydrodamalis属への進化系列が北太平洋地域で確立されている。歯の特徴および肩甲骨, 胸骨, 手根骨の性質から, 本骨格はD. jordaniとHydrodamalis cuestaeを結ぶ, これまで未記載の中間型の種であることが判明し, ここにDusisiren dewana(和名 : ヤマガタダイカイギュウ)という新種を提唱した。H. cuestaeは, ベーリング海で1768年に絶滅したステラー大海牛(H. gigas)の先祖なので, 本新種の設定により, 中期中新世のD. jordaniにさかのぼる四代の大海牛の進化系列が明らかになった。
著者
田村 幸介
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.545, 2021 (Released:2021-06-01)
参考文献数
3

医薬品中に含まれる不純物および分解生成物は予期せぬ副作用をおよぼす恐れがあるため,各国規制当局のガイドラインに定められた限度値に基づいて,厳格に管理されている.近年,サルタン系医薬品において,限度値を超える発がん性物質N-ニトロソジメチルアミン(NDMA)およびN-ニトロソジエチルアミン(NDEA)の混入が認められ,各国で回収が行われている.限度値は各医薬品の1日最大摂取量に応じて異なるものの,原薬含有量に対するニトロソアミン類の限度値を0.03ppm以下と規定している事例もあり,高感度分析を必要とする厳しい管理が求められている.本稿では,医薬品の原薬製造工程におけるニトロソアミン類混入の可能性評価として,アルキルアミンのニトロソ化機構を計算化学により検証した研究について紹介する.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Snodin D. J. et al., Regul. Toxicol. Pharmacol., 103, 325-329(2019).2) Ashworth I. W. et al., Org. Process. Res. Dev., 24, 1629-1646(2020).3) Abe Y. et al., Chem. Pharm. Bull., 68, 1008-1012(2020).
著者
水野 祐
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.101-107, 2022-03-01 (Released:2022-03-01)

クリエイティブ・コモンズ,Rights Statements等の著作権等に関する意思表示または権利状態を表記するツールは,情報資源の円滑な流通や利活用に資する。本稿では,著作権等に関する意思表示または権利状態を表記するツールを,(1)意思表示表記型,(2)権利状態表記型の2つに大別したうえで,(1)意思表示表記型については,(1-a)ライセンス表記型,(1-b)純粋意思表示表記型に区別する,という分類を試みている。そのうえで,これらの表記ツールの仕組み,普及状況及び意義に加えて今後の課題について考察している。
出版者
宇部短期大学
巻号頁・発行日
vol.第2集, 1967