著者
岸本 遧 用皆 依里 米川 聡
出版者
特定非営利活動法人 産学連携学会
雑誌
産学連携学 (ISSN:13496913)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.2_7-2_12, 2022-06-30 (Released:2022-08-02)
参考文献数
3

鹿児島大学では研究支援を行うURAが社会導出支援を行う産学連携コーディネーターと同一の組織内でより強固に協働できる体制を構築した.本稿ではURAの業務のうち,研究力の評価分析と各種研究支援事業の企画立案のための『研究IR』,研究の礎である科研費への応募数と採択率を向上させるための『科研費申請アドバイザー制度』,総合大学の強みを生かすべく,異なる分野が融合した研究シーズの創出を支援する『異分野融合研究創出支援』について紹介する.
著者
南 了太
出版者
特定非営利活動法人 産学連携学会
雑誌
産学連携学 (ISSN:13496913)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.2_42-2_54, 2022-06-30 (Released:2022-08-02)
参考文献数
19

本論は,どれだけの大学教員が企業役員を兼業・就任し,企業経営に関与しているかについて考察するものである.これまでの産官学連携は,研究開発を目的に理工・生物系分野と関わりの深い共同研究数や特許件数などの指標をもって考察されることが一般的であった.その一方で,大学教員がどれだけ企業経営に関与しているかに関する実証研究はなされてこなかった.そこで本論文では,企業役員会において大学の教員がどれだけ経営に関与しているかを調査した.その結果,売上高上位200社の内,108社に171名の大学教員が関与していた.大学別では,私立大学115名(67%),国立大学50名(29%),公立大学5名(3%)の順番で企業役員会に関与していた.学問分野別では,人文社会系分野129名(75%),理工・生物系分野32名(19%)の順番で企業役員会に関与していた.以上の調査結果より,多くの大学教員が企業の役員を兼業・就任し,産官学連携していることや,特に人文社会系分野の教員が経営関与し産官学連携を行っていることがわかった.
著者
瀧本 真徳
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.200-203, 2014-04-20 (Released:2017-06-16)
参考文献数
6

カルシウム(Ca)は典型金属の一種であり,地殻中に豊富に存在する。カルシウムは工業的には主として,建設・建築用資材として多用されているが,金属元素としての需要は同族の金属元素であるマグネシウムに比較すると少量に留まる。また,有機合成化学においても,マグネシウムがグリニャール試薬の原料として多用されるのに対し,カルシウムの利用は限られた範囲に留まっている。しかし,カルシウムカーバイドなど有機化学と歴史的に関係の深いカルシウム化合物が存在し,また近年,新たな用途も見いだされつつある。ここでは,カルシウムと有機化学の関係についていくつかの話題を紹介する。
著者
中原 一郎 森竹 浩三 半田 肇 小林 修一 長安 慎二 奥野 武彦 中野 善久
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.14-20, 1986-01-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
19
被引用文献数
1

ビタミンK欠乏性頭蓋内出血6例の臨床分析を行った結果, 適切な治療を行ったにもかかわらず, その臨床神経学的予後は不良であった. 微小脳血管構築の特殊性, 脳血液関門の未熟性など, 本症発症時期における小児脳の発達上の特殊性が, 本症の不良な予後ならびにその特徴的なCT所見に密接に関連するものと推定される. 以上の観点から, リスク児の早期のスクリーニング, ビタミンK製剤の予防的投与など, 本症の発症予防の重要性を改めて強調した.
著者
門脇 正史
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.1-7, 1992-04-10 (Released:2017-05-24)
参考文献数
26
被引用文献数
1

Niche breadth and overlap of diets among two sympatric snake species, Elaphe quadrivirgata and Rhabdophis tigrinus, in the paddy fields in Yamagata were studied for four years (1983-1986). Stomach contents were taken by forced regurgitation and classified into five major categories or eight minor categories : major categories mainly consist of taxonomical groups (e.g. frogs or voles) and minor categories indicate species in a major category. In the major categories, frogs were found to be the most dominant for both E. quadrivirgata and R. tigrinus with food niche breadth, 0.331 (E. quadrivirgata) and 0.441 (R. tigrinus). Food resource overlap was 0.879 in the major categories. In the minor categories, Japanese tree frogs, Hyla japonica were most dominant among the two snake species with food niche breadth, 0.513 (E. quadrivirgata) and 0.600 (R. tigrinus). Food resource overlap was 0.875. Thus, the food breadth was slightly wider among R. tigrinus than E. quadrivirgata with high food resource overlap in both categories. No difference in food size and the distribution of the captured spots was found between the two snake species. Seasonal niche overlap was high (0.788). Abundant frogs as prey items of the snakes would permit a high overlap of food resources between the two snake species in the field studied.
著者
梶本 寿洋 長勢 大介 秦 菜苗 坂上 未咲 高橋 由依 安住 昌起 吉川 文博 高橋 光彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.AbPI1084, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】 ブリッジ動作は臨床で頻繁に使用される一般的な理学療法プログラムのひとつである。これまで下肢の肢位や負荷条件の違いによる検討が多数報告されているが、十分に解明されているとは言えない。両脚・片脚にて膝屈曲70~130°の角度変化では膝屈曲角度が増すにつれて大殿筋の筋活動量は増加し、ハムストリングス(Ham)では減少したとされる。膝屈曲の参考可動域は130°とされるが、実際にはさらに屈曲可能である。今回、参考可動域以上に膝を屈曲した場合のブリッジ動作を筋電図学的に検討し、筋力トレーニングとして有効かを検討した。【方法】 対象は健常成人男性8名で、平均年齢25.5歳、平均身長172.6cm、平均体重65.8kgである。試行動作は、両脚膝屈曲130°位ブリッジ動作(両膝130°)、両脚膝屈曲150°位ブリッジ動作(両膝150°)、片脚膝屈曲130°位ブリッジ動作(片膝130°)、片脚膝屈曲150°位ブリッジ動作(片膝150°)の4種目で、終了姿勢は股関節伸展0°位とした。 筋活動量は表面筋電計を用いて計測し、大殿筋(GM)、大腿二頭筋(BF)、半腱様筋(ST)、脊柱起立筋(ELS :L4レベル)、中殿筋(Gm)、外側広筋(VL)の計6筋から導出した。測定は終了姿勢で3秒間の筋電図測定を各3回実施し、計測開始から2秒間の筋電積分値(IEMG)を算出し3回の平均値を求めた。また、徒手筋力検査法における正常段階でのIEMGで正規化し、各筋の%IEMGを求めた。統計学的処理は一元配置分散分析後に多重比較を行い、有意水準を5%未満で検討した。【説明と同意】 対象者には本研究の趣旨および目的を説明し、同意を得て行った。【結果】 筋活動量は、GMで両膝130°・150°、片膝150°で21.5%・21.2%、22.2%であった。片膝130°は47.5%とその他と比べ有意に増加した。BFは両膝130°・150°で18.5%・12.3%、片膝130°・150°は37.3%・32.8%であり、両脚・片脚ともに130°に比べ150°で活動量が低かった。また、両膝130°と片膝130°、両膝150°と片膝130°・150°に有意差を認め、両脚ブリッジ動作に比べ、片脚ブリッジ動作が有意に高値を示した。STでは両膝130°・150°は14.5%・9.3%、片膝130°・150°は24.9%・21.6%であり、BFと同様に両膝150°に比べ、片脚でのブリッジ動作が有意に高値を示した。ELSの筋活動量は60.5%~63.6%間で、全てで有意差はなかった。Gmは両膝130°・150°は19.8%・14.8%、片膝130°・150°は50.6%・54.5%で両脚ブリッジ動作に比べ、片脚ブリッジ動作が有意に高値を示した。VLでは両膝130°・150°は5.1%・15.0%、片膝130°・150°は24.3%・65.7%で片膝150°が両膝130°・150°に比べ有意に高値を示した。【考察】 膝の角度変化と作用する筋に特異性が認められた。片膝130°はGMが他の肢位に比べ有意に増加したが、片膝150°では増加しなかった。このときVLで筋活動量が増加した。膝屈曲130°位では下腿長軸が頭側へ傾斜し、ブリッジ活動で足底を床に押し付けるとHamによる膝屈曲が生じる。これに対し、膝屈曲150°位では足部が殿部に近づき下腿長軸が尾側へ傾斜する為、膝においては大腿四頭筋による膝伸展が生じる。このことから膝屈曲130°と150°では主動作筋と拮抗筋が逆転する現象が起こり、目的動作の遂行に対する運動特性が変化すると考える。 ELSは両脚・片脚の膝屈曲70~130°で、膝の角度変化はGMとHam間で比率が変化し、体幹筋活動に影響しないとされる。今回の結果も60.5%~63.6%の範囲で同様の結果が得られた。両膝90°でELSは37.7%MVCであったと報告がある。筋電位と発揮筋力には直線関係があり、30~40%MVC負荷で筋力増強が得られるといわれる。ELSは膝の角度に影響されず、臥床を強いられる術後や虚弱高齢者に対して簡便に行える筋力トレーニング方法と言える。 Gmは片脚で著しく増加し、骨盤固定に対する股内旋作用が高まった為と考える。股外転筋は骨盤の側方安定性に重要であり、高齢者の歩行安定性に関連がある。今回の結果では片脚で50.6%・54.5%であり股外転筋のCKC筋力トレーニングとして活用できると考える。【理学療法学研究としての意義】 片脚ブリッジ動作は膝を過度に屈曲するとGMの活動量が低下し、筋力増強としての負荷条件を満たせないことが示唆される。また、膝屈曲150°位ではVLの高い筋活動が観察され、床からの立ち上がりに必要となる膝深屈曲位からの膝伸展筋力トレーニングとして活用できる可能性を有している。ELSは膝屈曲角度に影響されず筋力増強の負荷が得られ、臥床を強いられる場合でも簡便な筋力トレーニングとして有用であると考える。
著者
倉田 淳之助
出版者
東洋史研究会
雑誌
東洋史研究 (ISSN:03869059)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.247-257, 1943-11-25

2 0 0 0 日本植物誌

著者
大井次三郎著
出版者
至文堂
巻号頁・発行日
1953
著者
後藤 浩
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.25, no.59, pp.521-525, 2019-02-20 (Released:2019-02-20)
参考文献数
23
被引用文献数
3 2

The serious flood disaster occurred at the river basin of Kinu-river in September of 2015. The disaster was called “Kanto-Tohoku heavy rain fall in September 2015”. In this disaster, the levee of Kinu-river was breached, and the flood flow had spread over the urban area of Joso city in Ibaraki prefecture. In this study, research on flood resistant architectures was reviewed. Also, the numerical simulation on the flood flow was performed. And, the reason why the houses had been swept away was discussed on the basis of the result of simulation. Furthermore, a necessity of hazard maps considering an inundation depth and a flood velocity was pointed out.
著者
田島 明子 今福 恵子
出版者
聖隷クリストファー大学社会福祉学会
雑誌
聖隷社会福祉研究 (ISSN:18826199)
巻号頁・発行日
no.12, pp.24-33, 2019-11-30

目的:静岡県内のパーキンソン病在宅療養者の災害に対する準備状況についてアンケート調査とインタビュー調査を行い、それらの結果からパーキンソン病在宅療養者の災害に対する準備の現状を明らかにし、課題と対策を検討した。対象:静岡県内に居住するパーキンソン病在宅療養者。方法:パーキンソン病友の会を通してアンケート調査とインタビュー調査の依頼をした。結果:水・食料・薬の備蓄をしている人が多かったものの、避難経路や避難方法、近隣との日頃からの付き合いや災害時の協力の依頼はしておらず、家族とも特段話し合いをしていない人が多かった。考察:実践的で具体的な計画を家族で話し合いながら立案する、参加しやすい、災害時に役に立つ防災訓練の工夫、災害時に役だつ薬や障害についての情報を共有できる機会が必要であると考えた。
著者
村上 聖一
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.40-57, 2021

太平洋戦争下、日本の陸海軍は「南方」と呼ばれた東南アジアの占領地に30以上の放送局を開設した。これらの放送局の活動については、1950年代にNHKによる資料収集や聞き取り調査が行われ、成果が取りまとめられたが、その後の軍政全般に関する研究も踏まえ、改めて検証を行う余地があると考えられる。このため、今号から3回シリーズで南方放送史について再考することにした。南方地域で行われた放送の目的は、▽日本人向けの情報伝達、▽対敵宣伝、▽現地住民の民心安定の3つに分けられるが、本シリーズは、大東亜共栄圏構想を浸透させるうえで放送が果たした役割を検証する観点から、現地住民向け放送に焦点を当てる。シリーズでは、放送の概要を確認したうえで(第1回)、地域別に蘭印(第2回)、フィリピン・ビルマ(第3回)で行われた放送について検討する。このうち今回は、放送実施までの過程を中心に、陸海軍、日本放送協会の文書に基づきつつ検証した。その結果、南方地域を軍事占領する構想が現れたのが1940年以降だったこともあり、放送に関しても開戦数か月前になって放送協会が南方の放送事情の調査を本格化させるなど、戦前にはほとんど検討がなされていなかったことがわかった。また、開戦後も、運営主体を軍にするか放送協会にするかで議論になるなど実施の枠組みが定まらず、番組内容も放送局の設置と並行して検討が進むなど、準備不足の中で放送が始まったことが資料から浮かび上がった。長期的展望に立った計画が存在しない中、南方での放送が始まっていったことになる。
著者
村上 聖一
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.70-87, 2021

太平洋戦争下、南方の占領地で日本軍が行った放送について検証している本シリーズ、今回は、現在のインドネシアに当たる蘭印で行われた放送の実態を探った。蘭印は、石油などの資源地帯として戦略上、重要だった地域で、日本軍は、占領後、20近くの放送局を開設し、一部を除き、終戦まで放送を続けた。この地域はジャワやスマトラといった島ごとにラジオ放送の発達状況が異なり、また、陸軍、海軍が担当地域を分けて放送を実施した。このため、本稿では、それらの条件に応じて、放送実施体制や番組内容、聴取状況にどのような違いが生じたのかといった点に着目しつつ、検討を進めた。このうち、陸軍担当地区を見ると、戦前からラジオ放送が発達していたジャワでは占領後、速やかに放送が始まったのに対し、スマトラでは開局が遅れ、放送局数も少数にとどまった。また、海軍担当地域のセレベス・ボルネオは、戦前、まったく放送局がなく、軍が放送局を新設する必要があるなど、放送の実施体制は地域によって大きく異なった。しかし、聴取状況を見ると、防諜のために軍が受信機の多くを接収したこともあって、いずれの地域でもラジオの普及はわずかにとどまった。そして、現地住民が放送を聴いたのは主に街頭ラジオを通じてだった。番組も、各地域とも、集団聴取に適した音楽演奏やレコード再生が中心となった。各放送局の担当者は、具体的な宣伝方針が定まらない中、手探り状態で放送を継続する必要に迫られた。放送を通じて占領政策への理解を得るという目標が達成されたか検証できないまま、占領地での放送は終焉を迎えた。