著者
小友 進
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.606-612, 1992-03-20 (Released:2014-11-18)
参考文献数
55
被引用文献数
1 1

ミノキシジルは血管拡張作用を有し, その作用は代謝物であるミノキシジルサルフェートのK+チャンネル開放作用にもとづくことが知られている. 一方, ミノキシジルは発毛効果も示し, その効果は臨床試験においても確認されているが, 作用メカニズムに関してはかならずしも完全に解明されているとはいい難い. ミノキシジルの動物実験での発毛効果は, サル・ラット・マウス等において発現し, この効果の一部には, 皮膚血管の拡張による血流増加が関与するものと考えられている. しかし, これ以外に毛包に対する直接作用があることが, in vitroの皮膚細胞や毛包の培養試験から明らかにされてきた. しかも, これにはミノキシジルから毛包スルホトランスフェラーゼによって変換されたミノキシジルサルフェートが関与し, さらに血管拡張作用と同じく, そのK+チャンネル開放作用が重要な役割を果たしていることが示唆されてきている.
著者
Hiroshi YAMADA Takashi DAIMON Katsuhiko MATSUDA Masayuki YOSHIDA Norikata TAKUMA Yukihiko HARA
出版者
The Japanese Society of Clinical Pharmacology and Therapeutics
雑誌
臨床薬理 (ISSN:03881601)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.323-330, 2007-09-30 (Released:2008-10-31)
参考文献数
30
被引用文献数
11 14

Experimental studies have revealed that tea catechins prevent influenza virus infection ; however, the clinical effects have been inconclusive. At the onset of the influenza season, a randomized, double-blind, placebo-controlled study was conducted from December 2005 to March 2006 in Japan. A total of 404 healthy volunteers, 20-65 years of age, were enrolled and randomly assigned to two groups : the catechin group gargling with tea catechin extract solution (approximately 400 μg/mL catechins) or the placebo group gargling without tea catechin extracts. In both groups, gargling was performed three times daily for 90 days. All participants were inoculated with the influenza vaccine before participating in the study. The primary outcome measure was the incidence rate of influenza infection during the study identified by a rapid assay for influenza virus antigens. On an intention to treat basis, 195 participants in the catechin group and 200 in the placebo group who started the intervention were included in the analysis. Of the participants, 6 (1.5%) were infected with influenza. The incidence rate of influenza infection in the catechin group (1.0%, 2 participants) was half that in the control group (2.0%, 4 participants), but not significant between the two groups. We could not find significant effects of gargling with tea catechin on prevention of influenza in the healthy adults inoculated with the influenza vaccine of the 2005-2006 season. However, the effects in more susceptible groups, i.e., those not vaccinated against the influenza virus, children, elderly or immunosuppressed people remain inconclusive.
著者
櫻井 弘久
出版者
The Japan Society of Calorimetry and Thermal Analysis
雑誌
熱測定 (ISSN:03862615)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.137-144, 1990-07-25 (Released:2009-09-07)
参考文献数
16
被引用文献数
1
著者
Qinying Lyu Li Jiang Hao Zheng Shotaro Hayashi Kotaro Sato Shinya Toyokuni
出版者
SOCIETY FOR FREE RADICAL RESEARCH JAPAN
雑誌
Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition (ISSN:09120009)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.55-63, 2022 (Released:2022-07-01)
参考文献数
56
被引用文献数
3

Smoke from conventional cigarettes (C-cigarettes) contains various reactive oxygen species and toxic chemicals, which potentially cause oxidative damage not only to airways but also to the whole body, leading eventually to diseases, including emphysema, advanced atherosclerosis, and cancer. Many heat-not-burn tobacco products (HTPs) have been commercialized recently in Japan to maintain the smoking population by advertising that HTPs are less toxic. However, there were few studies reported from neutral organizations whether HTPs are indeed less damaging. To evaluate the potential capacity of HTPs to induce oxidative stress, we here compared two different HTPs with two types of C-cigarettes, using human fibroblast IMR90SV cells and 5% aqueous extracts in 10-ml phosphate-buffered saline (50-ml smoke/10 s). HTPs exhibited significantly lower oxidative toxicity in comparison to C-cigarettes. Whereas C-cigarettes induced ferroptosis in fibroblasts, the effects of HTPs were significantly reduced by measuring the levels of peroxides, pro-inflammatory cytokine expression, autophagy, catalytic Fe(II) and 8-hydroxy-2'-deoxyguanosine. Notably, major portions of C-cigarettes-induced pathogenic responses were inhibited by catalase. However, HTPs still induced p62 autophagy-adaptor at 5%-dilution and caused lethal effects to fibroblasts with undiluted solution. In conclusion, HTPs smoke per se can be toxic despite less toxicity in comparison to C-cigarettes, which warrants further investigation.
著者
世古 俊明 隈元 庸夫 高橋 由依
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48101430, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに】大殿筋、中殿筋は股関節の肢位の違いによって筋線維走行や筋線維長が変化し、発揮される筋活動や運動作用の逆転が起こり筋機能も変化する。そのため立位保持や歩行など運動機能を考える上で関節角度の変化に伴う筋の作用や筋力発揮の特性を解明することは運動療法で重要となる。とりわけ大殿筋と中殿筋のトレーニングは関節可動域制限などの理由にて股関節屈曲位での実施となることが多々みられる。本報告の目的は、股関節の肢位の違い及び運動の違いが大殿筋、中殿筋の筋活動に及ぼす影響を筋電図学的に検討し、その機能を考察することである。【方法】対象は健常者9 名(全例男性、平均22.5 歳、169.7cm、65.0kg)とした。施行運動は等尺性股関節伸展運動(股関節伸展運動)と等尺性股関節外転運動(股関節外転運動)の2 種類とした。施行条件は股関節の屈曲角度の違いとして、側臥位での股関節屈曲90 度位(90 度位)、股関節屈曲0 度位(0 度位)、股関節伸展15 度位(−15 度位)の3 条件とした。90 度位のみハムストリングスの影響を最小限とするため膝関節90 度屈曲位とした。筋活動の測定には表面筋電計(Tele Myo G2、Noraxon社製)を用いた。右側の大殿筋上部線維(UGMa)、大殿筋下部線維(LGMa)、中殿筋(GMe)、大腿二頭筋(BF)、腰部背筋(LE)を導出筋とし、得られた筋活動を徒手筋力検査判定5 の筋活動量で正規化し、これを%MVCとして算出した。なお筋電図は生波形を全波整流し、筋電図解析ソフトにて解析した。また施行運動での股関節伸展筋力と股関節外転筋力を施行条件ごとに徒手筋力測定器(MICROFET2、Hoggan Health社製)で計測し、体重で除した値をそれぞれの筋力値として採用した。筋電図と筋力値の測定は同期化し、被験者の施行運動中は検者と別の検者が体幹を固定して測定の再現性に努めた。各筋の%MVCを施行運動の違いで、筋力値を施行条件の違いで比較検討した。統計処理はt-test、Welch検定、Wilcoxon-t検定、Holmの方法を用いて有意水準を5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】対象者にはヘルシンキ宣言に則り、十分な配慮を行い、本研究の目的と方法、個人情報の保護について十分な説明を行い、同意を得た。【結果】UGMa、LGMaの%MVCは−15 度位で股関節外転運動時よりも股関節伸展運動時に高値を示した。UGMa、LGMaの%MVCは90 度位で股関節伸展運動時よりも股関節外転運動時に高値を示した。GMeの%MVCはすべての施行条件で施行運動の違いによる差を認めなかった。BFの%MVCは0 度位で股関節外転運動時よりも股関節伸展運動時に高値を示した。LEの%MVCは90 度位で股関節外転運動時よりも股関節伸展運動時に高値を示した。股関節伸展筋力値は施行条件の違いで差を認めなかったが、股関節外転筋力値は90 度位、−15 度位よりも0 度位で高値を示した。【考察】UGMa、LGMaは筋走行の特性から股関節伸展位では伸展作用、屈曲位では外転作用を有することが考えられている。今回、大殿筋の筋活動量が−15 度位では股関節伸展運動時に、90 度位では股関節外転運動時に筋活動量がそれぞれ高値を示したことは、この解剖学的筋走行の影響を筋電図学的に裏付ける結果になったと考える。また股関節伸展筋力値が施行条件で差を認めなかった。この股関節伸展運動時の筋活動量と筋力値の結果は、UGMa、LGMが90 度位では筋長が伸張位となるため活動張力よりも静止張力に依存し、−15 度位では筋長が短縮位となるため静止張力よりも活動張力に依存していた可能性を示唆するものと考える。また骨盤の代償動作を固定していたとはいえども90 度位での股関節伸展運動時にはLEが伸張位となり骨盤を介した股関節伸展運動の固定筋として活動しやすく、UGMa、LGMaによる伸展運動を効率的に発揮させていた可能性も考えられた。GMeがすべての施行条件で股関節外転運動時と股関節伸展運動時の筋活動量に有意差を認めない一方で股関節外転筋力値が0 度位で高値を示したことは、股関節深屈曲位よりも浅屈曲位でより活動すると筋電図学的に報告されている大腿筋膜張筋の影響が考えられ、膝関節屈曲角度要因とともに今後の検討課題となった。【理学療法研究としての意義】股関節屈曲角度の違いによる筋活動の違いとして、中殿筋は今後の検討課題が明確となり大殿筋は筋活動特性の一知見が筋電図学的に得られた。この知見は臨床での運動療法時や動作分析時における基礎的情報になると考える。
著者
赤浜 裕一 川村 春樹
出版者
日本高圧力学会
雑誌
高圧力の科学と技術 (ISSN:0917639X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.248-255, 2009 (Released:2009-12-02)
参考文献数
18
被引用文献数
5 5

Recently, we have succeeded to extend the attainable static pressure to 410 GPa using a diamond anvil cell (DAC). In this article, our recent advances in the ultra-high pressure generation technique of the DAC are reviewed, and the key factors for the high-pressure generation beyond 300 GPa were discussed. In addition, in such extremely high-pressures range, an optical pressure determination method and a direct observation method of the stress-state by the diamond anvil Raman spectroscopy have been presented.

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著者
大蔵省印刷局 [編]
出版者
日本マイクロ写真
巻号頁・発行日
vol.1951年10月12日, 1951-10-12
出版者
斯文会
巻号頁・発行日
no.20, 1958-02
著者
浦田 亜希子 上田 恵介
出版者
The Ornithological Society of Japan
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.107-111, 2003 (Released:2007-09-28)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

ヤマガラとシジュウカラに,サイズの異なるヒマワリの種子(小粒,中粒,大粒)を給餌して,両種間で餌サイズの選好性に差がみられるのかを,福岡市南部の油山の林縁で調査した.ヤマガラは採食効率の高い中粒,大粒の種子を選んでいた.またヤマガラはシジュウカラよりも大きなサイズの種子を選んでいた.ヤマガラは持ち去るにしろ,その場で食べるにしろ比較的大きな種子を選び,シジュウカラはその場で食べるときも,持ち去るときも,比較的小さな種子を選ぶ傾向があった.シジュウカラに比べ,ヤマガラの嘴が大きいことと餌場における両種の力関係が,この両種の餌サイズ選好性の差に影響しているのかもしれない.
著者
逢坂 美冬 上野 雄大 大堀 淳
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.3_79-3_95, 2018-07-25 (Released:2018-09-25)

一般にWebアプリケーションにおけるWebページの動的生成は,テンプレートエンジンを用い,事前に用意されたテンプレートに対して動的に値を埋め込むことで行う.テンプレートはテキストファイルとして用意され,実行時に読み込まれる.そのため,テンプレートに対する操作は一般に型無しの文字列操作となる.従って,たとえホスト言語が強い型付けを持つ関数型言語であったとしても,実際のテンプレート構造とプログラムの想定の間の不整合は静的に検出されない.本論文では,動的に読み込まれるテンプレートに対して,部分動的レコードに基づく動的型検査を行うことで,型付きのテンプレート操作を実現する言語機構を提案する.この機構は,テンプレートにホール名をラベルとするMLの部分動的レコード型を与え,テンプレートに値を埋め込む操作をレコードの更新演算と同様に型付けする.テンプレートに存在しないホールへの値の埋め込みは型エラーとなる.プログラムが想定するテンプレートの型と実際のテンプレートの構造の整合性は,テンプレートファイル読み込み時に動的に検査する.本論文ではさらに,この機構をML系関数型言語SML#のコンパイラを拡張することで実装し,実例を通じて実用性を検証するとともに,実用上の課題について議論する.