著者
横山 聖美
出版者
天使大学
雑誌
天使大学紀要 = Bulletin of Tenshi College
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.55-64, 2015-08-31

わが国の医療機関で行われるグリーフサポートへの示唆を得ることを目的に研修に参加した。アメリカのホスピス・緩和ケアの中でグリーフサポートは保険適応されており、医師、ソーシャルワーカー、チャプレン、ボランティアなど多職種が担っていた。アメリカでは、人種や宗教の多様性から、様々な対象特性に合わせた遺族のためのサポートグループが継続的に開催されており、遺族が自ら選び取れるシステムになっていた。わが国の医療機関で行われるグリーフサポートを主に担っているのは臨床看護師であるが、専属業務ではなく、遺族の多様なニーズに対応できていない現状がある。また、グリーフサポートに関わる専門的な教育システムや、専門職種が不足していることも課題である。本研修を通して、わが国におけるグリーフサポートを誰が担うことが適切なのかを含めた検討と共に、現在グリーフサポートを担っている臨床看護師への教育的支援の必要性が示唆された。
著者
堀内 正浩 佐藤 雅幸
出版者
専修大学スポーツ研究所
雑誌
専修大学スポーツ研究所紀要 (ISSN:21895260)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.27-31, 2022-03-31

上肢ジストニア(書痙,奏楽手痙)に対するボツリヌス毒素療法(Botulinum toxin therapy : BTX)・MAB療法(muscle afferent block)について検討した.2021年9月時点で,針筋電図を用い上肢ジストニア(書痙,奏楽手痙)の患者に対してBTX療法やMAB療法を継続している患者18名(男性9名,女性9名,平均年齢53.3歳,平均投与回数18.9回)について検討した.疾患は,書痙が7例,奏楽手痙が3例,上肢ジストニア(範囲が広いもの)が8例であった.症状を分類すると①母指が屈曲するもの ②手首が掌屈するもの ③手首が背屈するもの ④範囲が広いもの ⑤母指以外の指に限局するもの5種類であった.全例においてBTX療法やMAB療法の有効性が認められ治療が継続されており,有害事象も認められなかった.上肢ジストニア(書痙,奏楽手痙)にはBTX療法やMAB療法は有用であるが,注射部位の選択には注意を要する.
著者
畠山 正行 金子 勇
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.2060-2073, 1998-07-15

オブジェクトに基づくシミュレーションシステムは,大きな特長を持ちにもかかわらず,従来のモデリング方法との差異による違和感やプログラミング(実装)の難しさ等の実用技術上の難点のゆえにその普及ははかばかしくない.そこで本研究では,これらを克服すべくUNIXシステム上にオブジェクトシミュレーションシステムを構築する新規な方法論を提唱し,従来のシミュレーションシステムやUNIX環境との整合性が良くプログラム言語に依存しない,実用性の高いシステム構築方法の確立を目指す.そのために,UNIXファイルシステムのディレクトリをオブジェクト単位ととらえ,その構成要素であるファイルへのアクセスを同一ディレクトリ内からのプロセスに制限する.その目的実現のため,我々はオブジェクトの構成とUNIXシステムとの対応関係を見直してわずかなシステムを加えた.それを用いることでカプセル化および情報隠蔽化されたプロトタイプベース・オブジェクトの構成要件を満たし,オブジェクトとしての振舞いや相互作用条件も満たした汎用的なオブジェクトシステムとして再構成した.これに基づいてオブジェクトシミュレーションの実際例を構築・駆動させ,当初の目標をほぼ達成した.著者たち自身の使用経験によれば,従来のシステムと比較しても実装の簡潔性,分かりやすさ,使いやすさ,表現能力は良好である.結論として,すぐにでも実装・実行可能なほどに実用性の優れたオブジェクトシミュレーションシステムがUNIXシステムを再構成することで,実際に構築され,高い有効性や有用性が検証された.
著者
今村 俊幸 村松 一弘 北端 秀行 金子 勇 山岸 信寛 長谷川 幸弘 武宮 博 平山 俊雄
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.22(2000-ARC-142), pp.49-54, 2001-03-08

世界各国の計算機資源のみならず様々なネットワーク上の装置を有機的に結合し,一つの仮想計算機システムを構築する試みとしてメタコンピューティングが提案されている.日本原子力研究所では,これまで所内LANでの仮想計算機上を構築し数値アプリケーションの実験を行ってきたが,さる2000年11月アメリカ,ダラスにて開催された国際会議SC2000期間中に日独米英4ヶ国のスパコンを結合して世界規模での実験の試みに成功した.本実験では,放射線情報推定システムを題材として世界5機関の並列計算機を利用し最大計510CPUの仮想計算機の構築並びに,仮想計算機上での計算を行った.また,計算と同時に仮想計算機から大気中に放出された放射性物質の拡散過程を可視化することも実施した.本報告では,世界規模での実アプリケーションの実験の概要とその結果についてまとめる.
著者
金子勇太 久津間啓右 泉隆
雑誌
第74回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, no.1, pp.571-572, 2012-03-06

我々は,PCを利用した基本情報技術者試験対策のe-Learningシステムの開発を行ってきた.本研究では,PCに加えて,携帯端末を利用したシステムの検討,開発を行うことでいつでも,どこでも,どんな端末でも利用できるシステムを目指している.本報告では,現状のシステムの問題点について検討した.
著者
金子勇太 泉隆
雑誌
第75回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.597-598, 2013-03-06

近年、PCおよび携帯端末の普及率、インターネットの利用者数の増加に伴い時間や場所の条件にとらわれにくいe-Learningが利用されている。先行研究では、PCを利用したe-Learningシステムの開発を行ってきたが、本研究では、PCに加えて携帯端末を利用したe-Learningシステムの開発を行うことで「いつでも、どこでも、どんな端末でも」利用できるシステムを目指す。本稿では、出題問題の分類に着目した利用者評価の検討を行ったので報告する。
著者
畠山 正行 金子 勇
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第46回, no.ソフトウェア, pp.137-138, 1993-03-01

対象世界のモデル化単位として「オブジェクト」の概念を用いてモデル化する方法は「現状では」最も自然なモデリング法の一つであろう。しかし、そのモデル表現を「変換」し続けて、シミュレーションに持ち込むまでの多くの過程において、ずっとオブジェクト単位のまま変換モデリングを続けて行くこと(つまり一貫モデリング)は現在ではまだ殆ど確立されていないといってよいであろう。なぜならそのモデル表現をシミュレーションにまで持ち込む途上において、モデルの本質的変性が生じるからである。つまりデータと操作が完全に分離されたプログラミング言語表現に「置換」されてしまうからである。これはモデリング過程の最終段階としてのシミュレーションには極めて都合が悪い。モデル化単位のオブジェクトがそのモデル化単位のままでシミュレーションに持ち込める方式の方が、人間のモデリングに関する思考との一対一対応の観点からも、精密で一貫したモデリング論の観点からも、シミュレーションプログラムの構築や変更などの観点からなど全てに関して良い結果を生むことが十分合理的に予想出来る。その様なモデリング変換方法が確立されていない理由はデータとプログラムの永続的な共存格納管理の手法が確率されていなかったことにもあると考えられる。シミュレーションに関するこのような基本的要求を満たすソリューションとして、我々はオブジェクト指向データベース(OODBMS)をプラットフォームとして、擬似オブジェクトベースと称する実行支援環境を構成,実装し、これを用いた数値シミュレーションを実現した。今回はその擬似オブジェクトベース機構の実現及び駆動の方法、及びその応用例について述べる。
著者
藤村 宣之 太田 慶司
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 = The Japanese journal of educational psychology (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.33-42, 2002

本研究では,算数の授業における他者との相互作用を通じて児童の問題解決方略がどのように変化するかを明らかにすることを目的とした。小学校5年生2クラスを対象に「単位量あたりの大きさ」の導入授業が,児童の倍数関係の理解に依拠した指導法と従来の三段階指導法のいずれかを用いて同一教師により実施された。授業の前後に実施した速度や濃度などの内包量の比較課題と,授業時のビデオ記録とワークシートの分析から,以下の3点が明らかになった。1)倍数関係の理解に依拠した指導法は従来の指導法に比べて,授業時と同一領域の課題解決の点で有効性がみられた。2)授業過程において他者が示した方法を意味理解したうえで自己の方略に利用した者には,他者の方法を形式的に適用した者に比べて,洗練された方略である単位あたり方略への変化が授業後に多くみられた。3)授業時の解法の発表・検討場面における非発言者も,発言者とほぼ同様に授業を通じて方略を変化させた。それらの結果をふまえて,教授・学習研究の新しい方向性や方略変化の一般的特質などについて考察した。The present study examined how children change their problem-solving strategies through social interaction in mathematics classrooms. A mathematics teacher taught a lesson on intensive quantity to 2 fifthgrade classes by means of either a method based on children's intuitive strategies or a conventional method. Children in both classes were asked to solve proportion problems before and after the lesson. Videotaped records of the lesson, and worksheets used by the children, were analyzed. Instruction based on children's intuitive thought was more useful when children were solving near-transfer tasks than was conventional instruction. Those who understood others' ideas presented in the classroom and incorporated those ideas into their own strategies used a sophisticated strategy (a unit strategy) on the posttest more often than those who superficially imitated others' ideas. Both children who had not said anything during the lesson and those who had made comments benefited from the experimental instruction method. A new direction of research in cognition and instruction, and general characteristics of strategy change, were discussed.