著者
川村 隆枝
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.293-303, 2007 (Released:2007-08-12)
参考文献数
16

ラリンジアルマスク (LMA) は, 気管挿管とフェイスマスクの中間に位置する気道確保の一手段である. 利点としては, 侵襲が少なく, 操作が簡単であり, 咽頭喉頭を損傷することが少ないこと, 欠点としては, 誤嚥の危険性, シール圧の限界があげられる. 確実性・安全性に関しては, 気管挿管には及ばないが, フェイスマスクに比べればはるかに優れており, 特に挿管困難症例に有益である. しかし, 残念なことにLMAの利点を経験することなく遠ざけている麻酔科医も多い. 本稿では特に未使用者のためにLMA誕生の歴史と背景, 使用方法の実際的なコツとポイントに重点をおいて記述した. 開発者Dr. Brainの意図を理解し, 一人でも多くの麻酔科医がその恩恵にあずかれることを期待する.
著者
大庭 哲治 松中 亮治 中川 大 工藤 文也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.I_1047-I_1056, 2016 (Released:2016-12-23)
参考文献数
9

厳しい経営状態にある地域鉄道を維持するにあたっては,むやみに運行費用の削減をするのではなく,事業者ごとに路線特性を考慮し,運行費用の適正化を目指すことが必要である.そこで本研究は,平成23年度に運行されていた日本全国の地域鉄道事業者を対象に,運行費用の相違が生じる要因を明らかにすることを目的として,運行費用と路線特性の関連性について分析した.その際,従来から作業量の指標として用いられている鉄道車両の走行距離に加え,時刻表に基づいて算出した鉄道車両の走行時間を新たに分析指標として加えた.その結果,線路保存費,電路保存費,車両保存費,運転費,運輸費の5費用項目において路線特性と運行費用の関連性について統計的に明らかにし,また鉄道車両の走行時間が運行費用を分析するにあたって有効であることを示した.
著者
吉井 昌彦
出版者
比較経済体制学会
雑誌
比較経済体制学会会報 (ISSN:18839797)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.25-30, 1999-03-01 (Released:2009-07-31)
参考文献数
8
被引用文献数
1
著者
板倉 陽一郎
雑誌
研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS)
巻号頁・発行日
vol.2013-DPS-156, no.28, pp.1-8, 2013-09-04

復興庁職員によるツイッターでの不適切発言事案が発生したことから,総務省は,同様の事案の再発防止を期する観点から、各府省庁等に対して職員の服務規律の徹底を求めるとともに、「国家公務員のソーシャルメディアの私的利用に当たっての留意点」 を取りまとめ、各府省庁等に対して、これを参考に職員への周知徹底を行うほか、必要に応じて、内規の制定、研修の実施等を行うよう求めている。本発表では,同取りまとめの意義を,具体的事例を交えて解説するとともに,その影響等につき考察する。
著者
藤井 孟大 浅井 光輝 井元 佑介
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.I_247-I_257, 2020 (Released:2021-02-01)
参考文献数
23

安定化 ISPH 法は,非圧縮性流れに対する粒子法の一種であり,圧力ポアソン方程式に粒子配置を平滑化するための安定化項を付加した粒子法である.固液混相流解析においては,固液の境界付近で生じる粒子密度の誤差を補正するため,安定化項の影響を大きくする必要がある.一方で,安定化項は物理変数に非物理的な影響を与えるため,激しい流れを伴う固液混相流解析では物理変数の誤差が影響して計算が不安定化する.そこで本研究では,物理変数の更新に用いる流速(物理速度)と粒子の位置更新に用いる流速(輸送速度)を区別し,輸送速度にのみ安定化項の影響を与える選択型デュアル流速 ISPH 法を提案する.提案手法の精度検証としてダム崩壊混相流れの再現解析を行い,実験および従来手法と比較することで提案手法の妥当性と有効性を確認した.
著者
安藤 忠雄
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.761, pp.56-59, 2004-01-12

——安藤さんの手がける旧同潤会青山アパートの建て替え工事がはじまりました。設計のプロセスでポイントになった部分を聞きたいのですが。 私が表参道の辺りを初めて歩いたのは、オリンピックが開催された1964年のことです。代々木体育館に行った帰り道に、同潤会青山アパートに出会い、魅力的な建物だと思ったのを覚えています。
著者
天野 健作
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES
雑誌
水文・水資源学会誌 (ISSN:09151389)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.77-83, 2014-05-05 (Released:2014-12-27)
参考文献数
46
被引用文献数
2

国際河川であるメコン川の流域に超大国である米国が急速に接近し始めている.オバマ政権発足後,米国の外交政策が「アジア回帰」に転換したことの一環だが,その目的の一つは,東南アジアに多大な影響力を及ぼす中国を牽制する意図がある.非流域国である米国の関与は,ミャンマーの民政化の進展でさらに拍車がかかった.こうした中,中国は相次いでダムを建設するなどメコン川の一方的な水資源の利用により,下流国が批判の声を強めつつあることで,メコン川流域では緊張の度合いが増しつつある.国際社会は依然として「力の政治」が一面で支配しており,国際河川の利用をめぐっても,こうした超大国の動向は,国際機関を軸とする国際的協力枠組みを分析する以上に重要な要因である.
著者
ガンバト ジャミヤン
出版者
Japan Association for Comparative Economic Studies
雑誌
比較経済体制学会年報 (ISSN:13484060)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.72-84,100, 2004-06-30 (Released:2009-12-03)
参考文献数
21
被引用文献数
1

モンゴル市場経済移行期の初期10年間においては,農村地域県の経済水準が低下し,医療水準などの社会状況も悪化した。そして人口の都市地域県への移動が増加した。特に,首都ウラーンバートル市を中心とした一極集中の開発傾向が進行している。このような状況は地域間の格差を拡大し,首都ウラーンバートル市自体に悪影響を及ぼしている。農村地域県の牧畜業は国民経済の発展にとって重要な要因であることに変わりはないということを考慮に入れると,農村地域県の社会・経済状況の改善措置は緊急課題といえよう。