著者
西田 彰一
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 = NIHON KENKYŪ (ISSN:24343110)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.139-167, 2018-11-30

本稿では筧克彥の思想がどのように広がったのかについての研究の一環として、「誓の御柱」という記念碑を取り上げる。「誓の御柱」は、一九二一年に当時の滋賀県警察部長であり、筧克彥の教え子であった水上七郎の手によって発案され、一九二六年に滋賀県の琵琶湖内の小島である多景島に最初の一基が建設された。水上が「誓の御柱」を建設したのは、デモクラシーの勃興や、社会主義の台頭など第一次世界大戦後の急激な社会変動に対応し、彼の恩師であった筧克彥の思想を具現化するためであった。
著者
名城 邦夫
出版者
名古屋学院大学総合研究所
雑誌
名古屋学院大学論集 社会科学篇 = THE NAGOYA GAKUIN DAIGAKU RONSHU; Journal of Nagoya Gakuin University; SOCIAL SCIENCES (ISSN:03850048)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.97-130, 2018-10-31

西アジアにおいて最初の都市文明が成立し,社会的規律化が要請され,人格神・王権・法治・計算貨幣・官僚制による財政国家が成立した。神官・王族・貴族・平民・奴隷の身分ごとにその義務と役割が定められ,計算貨幣による分配が行われた。特に重要な軍役について最初にリディア王国において打造貨幣で支払われるようになった。このような打造技術による貨幣製造は,計算貨幣による社会的規律化と国家形成とともにギリシャからローマへと伝播した。ローマでは至上権・官職官僚制・ローマ法・金銀銅三貨制度・造幣役による貨幣システムが成立し,6000万人の帝国に発展した。帝政末期には帝国の属州に地域貨幣システムが形成され,それがゲルマン部族王国に継承された。最終的に西ゴート王国とフランク王国のみが独自の貨幣システムを確立することとなった。特にフランク王国はカロリング王朝によってローマ末期の金貨システムから独自の銀貨システムを確立することとなった。
著者
浅川 智恵子
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.184-185, 2021-03-15
著者
小松 英彦
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.22-28, 2009-01-15

大脳皮質で視覚情報処理に関係する部分はいくつもの領域に分かれる.これらの領域は並列階層的に構成されており,異なる種類の視覚情報は異なる経路で処理され,局所の特徴から段階を経て階層的にグローバルな特徴が取り出されるが,最近の研究はその中間段階の処理の内容や高次領野において物体のカテゴリがどのように表現されているかを明らかにしつつある.また,認知的な行動の制御を行うために前頭前野からの信号により視覚皮質の活動が適応的に修飾を受けていることが明らかにされつつある.脳における視覚情報処理の全体像について,ヒトのモデル動物であるサルから得られた新しい知見を交えて解説する.
著者
高木 まどか
出版者
成城大学
雑誌
常民文化 = Jomin bunka (ISSN:03888908)
巻号頁・発行日
no.38, pp.180-154, 2015-03

This study examines the discourse that visitors' social position did not make sense in Yoshiwara of Edo, using Yujo hyoban-ki, which is one of the classifications of a story book Kanazoshi, in this paper. In the Edo period, there were some districts of licensed brothels, such as Shinmachi in Osaka, Shimabara in Kyoto, and Yoshiwara in Edo. Previous studies often explained that these brothel districts were places beyond the social order that visitors' social statuses did not make sense. Although there were also some positions contrary to such explanation, the dispute in a scientific meaning has not arisen between different positions. Moreover, each dispute does not show clear basis and is not necessarily an empirical discussion. In this paper, I focus on the difference in positions and the insufficient demonstration in such previous studies. Then, I'll consider why the opinions about the treatment of a visitor's status in brothel districts are divided, and how the visitor's status was in fact treated in brothels. In considering these, I use Yujo hyo-banki, which is one of the classifications of Kanazoshi, as the primary historical sources. Although Yujo hyo-banki is a document which describes the reputation of each prostitute, there are some description of visitors' aspects finely, which observe visitors' actual conditions in brothels. In this paper, I verify how visitors' social positions in brothel districts are treated, by mainly focusing on Yoshiwara from the second half of the 17th century to the middle of the 18th century, when many description about visitors to the brothels are seen in Yujo hyo-banki.
著者
坂本 一仁
雑誌
研究報告セキュリティ心理学とトラスト(SPT) (ISSN:21888671)
巻号頁・発行日
vol.2021-SPT-43, no.20, pp.1-8, 2021-07-12

Apple 社は iPhone などのモバイル端末 OS である iOS14 からアプリトラッキング透明性 (App Tracking Transparency) を適用し,その一環として広告用識別子の IDFA (Identifier for Advertisers) の利用をユーザのオプトイン形式とした.アプリ事業者は IDFA を利用した複数事業者間での広告測定を行う場合,アプリユーザにトラッキングを許可してもらう必要がある.Apple 社の公式ドキュメントでは,トラッキングの許可を求める画面の前に追加の説明を表示してもよいとしているが,不要なデータアクセスに同意するようユーザを誘導したり,だましたり,強制したりするダークパターンは禁止している.本論文では,Apple のアプリ配信プラットフォームである App Store の日本の無料 Top100 アプリを調査し,IDFA 許可に関する画面においてダークパターンがどの程度存在するかを調査した.調査の結果,35 アプリで IDFA 許可に関する画面が確認され,31 アプリ(88.6%) で少なくとも 1 つのダークパターンが観測された.本論文の貢献として,これまでのダークパターン項目を横断的に整理し,IDFA のオプトイン化に伴うダークパターンの実態を早期に発見し,加えて新たな分類のダークパターンを定義した.
著者
片山 慶隆 Yoshitaka Katayama
出版者
関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部
雑誌
研究論集 = Journal of Inquiry and Research (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
vol.100, pp.167-182, 2014-09

本稿は、1902年の日英同盟成立から、韓国が保護国化された1905年の第二次日韓協約に至る日英関係を検討した。特に、従来あまり検討されてこなかったイギリスの対韓政策を実証的に明らかにした。従来、イギリスは日本の韓国支配を後押ししたとされてきた。しかし実際には、イギリスは日本による韓国への進出を防いで、その独立を維持する援助を行なうつもりだったのである。だが、日露戦争勃発を機にイギリスの政策に変化が見られるようになった。戦争前は、韓国の立場に同情を示していたイギリスも、韓国への失望や伊藤博文訪韓への高い評価もあって、日本の韓国支配に理解を見せたのである。そしてイギリスは、伊藤の韓国支配における手腕に期待し、イギリスの植民地支配の「成功例」であるエジプトのクローマー卿になぞらえて期待をかけていた。これは、「非近代的な」韓国の問題点が日本を近代化させた伊藤により解決されることへの期待だったのである。
著者
竹居 明男 Akio Takei
出版者
同志社大学文化学会
雑誌
文化學年報 = Bunkagaku-Nempo (Annual report of cultural studies) (ISSN:02881322)
巻号頁・発行日
no.67, pp.25-64, 2018-03-15

松藤和人先生 中井義明先生 石坂尚武先生 退職記念論文集
著者
黄 淵煕
出版者
東北福祉大学教育・教職センター特別支援教育研究室
雑誌
東北福祉大学教育・教職センター特別支援教育研究年報 (ISSN:21850275)
巻号頁・発行日
no.11, pp.3-13, 2019-03-31

本研究では、数概念の形成が難しい事例を対象とし、数概念の獲得のために有効な指導方法を探ることを目的とした。その結果、水のように連続性のあるものを用いて量としての数の概念を指導することが、連続量から分離量への理解を促し、数概念の形成に有効であることが明らかになった。