著者
松原 秀江
出版者
大手前大学・大手前短期大学
雑誌
大手前大学論集 (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.(51-80), 2013

辰雄の文学を考える上で、『風立ちぬ』以後、綾子との出会いを通して、特に『フランダースの犬』の果した役割の大きいことを、苛酷な人生を生きぬいた辰雄にとっての志気や多恵、広子の存在と共に述べた。
著者
中澤 高志 荒井 良雄
出版者
経済地理学会
雑誌
経済地理学年報 (ISSN:00045683)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.162-174, 2004-06-30
被引用文献数
1

本稿では,地方圏における情報サービス企業の起業について,創業者個人の移動経歴に焦点を当てて分析し,創業者の移動経歴によって,起業にかかわる事象やその後の経営のあり方が異なっていることを示した.地方圏で誕生した情報サービス企業の多くは,その道県の出身者が創業したものであり,出身地以外で企業を経営している他地域出身の創業者は,全体の2割程度にとどまる.一方Uターンの創業者のほとんどが東京大都市圏で他社に勤務した経験を持ち,地元定着の創業者についても,出身地外の高等教育機関に進学した者が多いなど,創業者の移動経歴の空間は広範囲にわたる.最大の顧客の立地場所を創業者の移動類型別にみると,地元定着創業者の企業では,もっぱら周辺の企業と取引している場合がほとんどであるのに対し,Uターンや他地域出身の創業者の企業では,ともに最大の顧客を東京大都市圏内に有する企業が約3割に上る.また,他地域出身の創業者の企業では創業資金が相対的に多く,自宅以外にオフィスを構える例が多いほか,創業者の右腕となる社員がいる割合も高い.これに対してUターンでは,十分な創業資金が得られないまま自宅で創業に至る例が多く,創業者の右腕となる社員を欠く企業も多い.創業者の移動経歴ごとにみられるこうした違いは,他地域出身者の企業において売上高の伸び率の高い企業が多いこと,Uターン者の企業では売上高の少ない事例が目立つといった経営状態に反映している可能性がある.
著者
丹原 哲夫
出版者
応用森林学会
雑誌
森林応用研究 (ISSN:13429493)
巻号頁・発行日
no.8, pp.137-142, 1999-03-25
被引用文献数
1

ブナ,ミズナラ,クリ,ケヤキ,トチノキ,オニグルミ,ヤマザクラおよびウワミズザクラの8樹種12カ所の広葉樹母樹林において1992〜1998年の5〜7年間にわたり,シードトラップによって種子落下数を調査した。ブナ,ミズナラ,クリ,ケヤキ,ウワミズザクラおよびオニグルミは調査年次によってはほとんど結実しない年もあった。また,ブナ,ミズナラ,ケヤキ,ウワミズザクラおよびオニグルミは隔年結果性を示した。一方,トチノキ,ヤマザクラは調査年次による大きな違いがみられなかった.豊作年とみられる年の1m^2あたりの種子落下数は,ブナ約150〜300粒,ミズナラ約100粒,クリ約30〜60粒,ケヤキ約500〜3,000粒,オニグルミ約10〜20粒,ウワミズザクラ約750粒であった。また,ヤマザクラ,トチノキの平均種子落下数はそれぞれ約880粒,約40粒であった。12調査地の平均種子重量と最大種子落下数には両対数軸上で負の直線関係が認められた。このことから,樹冠単位面積あたりに生産される種子数は,樹種が異なってもその種子重量に対応した上限値が存在すると推察した。
著者
松原 秀江
出版者
大手前大学・大手前短期大学
雑誌
大手前大学論集 (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.(77-91), 2012

『フランダースの犬』は、日本の子供たちにとって、「永遠の名作」とも云える作品である。明治四十一年日本語版が出て以来、平成十六年まで百点以上も刊行された。この作品と、『ルウベンスの偽画』・『聖家族』、及び堀辰雄その人とのかかわりについて、愛と友情・偉大な芸術(家)への憧れを中心に述べる。
著者
山本 明夫
出版者
宮崎公立大学
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.271-290, 2011-03-04

「ますます気忙しくなった」といわれる現代だが、ことばの簡素化や外来語の氾濫とともに、人間関係が実利一方・カサカサな状況になってきてはいないだろうか。放送に使われることばも、いわゆる[体言止め]を多用するケースが多くなったようで、言い切り口調が我々の世代にはいささか気になる。どのような意図で体言止めが使われるのか。また「放送が始まって以来、ニュースのことばがどのように検討され、変わってきたのか」を『20世紀放送史』をはじめとする書物や、NHK放送博物館に残された資料、さらにアーカイブズの保管ビデオなどを頼りに探った。
著者
山本 明夫
出版者
宮崎公立大学
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.279-297, 2012-03-02

「ますます気忙しくなった」といわれる現代だが、ことばの簡素化や外来語の氾濫とともに、人間関係が実利一方・カサカサな状況になってきてはいないだろうか。放送に使われることばも、いわゆる[体言止め]を多用するケースが多くなったようで、言い切り口調が我々の世代にはいささか気になる。どのような意図で体言止めが使われるのか。また「放送が始まって以来、ニュースのことばがどのように検討され、変わってきたのか」を、『20世紀放送史』をはじめとする書物や、NHK放送博物館に残された資料、さらにアーカイブズの保管ビデオなどを頼りに探った。本編(下)では、戦後について民放を含めて変遷を見ることとした。
著者
小林 勝
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族學研究 (ISSN:00215023)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.407-428, 1992-03-30
被引用文献数
1

南インド・ケーララにおけるカースト制は,ナンブーディリ・ブラーフマンを中心=頂点とする<儀礼的位階>イデオロギーが著しく貫徹され,彼らが王権を超える地位を獲得していたことによって特徴付けられる。そのことの意味は,一番に,この地域が古代の統一王権を喪失して以来近代にいたるまで慢性的な政治的分裂状況にあり,そこにおける汎ケーララ的な次元での社会的統合の宗教的な要としての役割がこのブラーフマンに対して要請されてきたという歴史的な経緯に求められる。また,ナンプーディリは他に例をみない大土地保有者であり,そしてある場合には地方小王権に対抗し得るような強大な武力をさえ抱え込んでいたのであって,そうした彼らの世俗的な側面は一方で自らの汎ケーララ性を裏切りながら,しかし全体からすれば彼らの宗教的権威を王権から自立させて維持するのに大きな意義をもったのである。
著者
平川 毅彦 土橋 敏孝 武田 誠一
出版者
新潟青陵大学・新潟青陵大学短期大学部
雑誌
新潟青陵学会誌 (ISSN:1883759X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.11-18, 2010-03
被引用文献数
1

本研究は新潟市中央区に居住する55 歳から59 歳の男女を対象としたアンケート調査データに基づき、これから高齢者となる世代をいかにして「元気高齢者」にしていくのか、その課題を検討したものである。調査結果から以下のようなことが明らかにされた。65 歳以降の生活で、「収入」「自分の健康や病気」「家族の健康や病気」に不安を持っている。現在の生きがいは「友人との交流」「家族との団らん」「就労」が中心で、65 歳以降は「友人との交流」「家族との団らん」「趣味のサークル活動」を想定している。地域生活に関しては、近隣と「あいさつを交わす程度」であり、半数近くが地域活動に参加したことがない。65 歳を迎えたその日から「高齢者」に、そして地域に貢献する「元気高齢者」となることは不可能である。しかし準備段階世代のデータを見る限り、現時点における地域社会との関係性は強いものではない。「元気」、更には地域社会の在り方そのものに関する議論も含めた検討が必要である。
著者
志田 淳二郎
出版者
中央大学政策文化総合研究所
雑誌
中央大学政策文化総合研究所年報 (ISSN:13442902)
巻号頁・発行日
no.18, pp.59-75, 2014

The aim of this paper is to analyze President George H. W. Bush's efforts to solve the dispute over SNF (Short-range Nuclear Forces) modernization within the Western alliance early in 1989. Recently, many works on the end of the Cold War have been published, based on newly declassified documents. These studies, focusing on thespecific year "1989", aim to explain the international political process of German unification. Yet, many Cold War scholars don't pay enough attention to the details and impact of the SNF issue. To appreciate the process of the Cold War's demise, I think we have to revisit the SNF issue within NATO that occurred in early 1989, and which had a strong influence on the 41st President's administration. In this paper, I will investigate the political process of the SNF modernization dispute from the perspective of U.S. foreign policy, using some primary sources located at George Bush Presidential Library and Museum ( Collage Station, Texas). This paper will show that the administration struggled to relieve the strained situation over SNF modernization within the Western alliance and held a NATO summit successfully in May 1989.
著者
川端 庸子
出版者
明治大学大学院
雑誌
経営学研究論集 (ISSN:13409190)
巻号頁・発行日
no.16, pp.413-434, 2001
著者
竹内 俊隆 タケウチ トシタカ
出版者
大阪大学中国文化フォーラム
雑誌
OUFCブックレット (ISSN:21876487)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.279-300, 2013-03-20

現代中国に関する13の問い―中国地域研究講義―