著者
番庄 智也 片寄 晴弘
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:21888914)
巻号頁・発行日
vol.2021-EC-59, no.12, pp.1-7, 2021-03-09

本研究ではエンタテインメントコンピューティング領域の研究対象として注目が集まりつつある感情曲線の入力支援ツールの作成とその入力基準の策定に取り組む.感情曲線は物語や映画などの作品における感情の上げ下げを時系列に記述したグラフであり,作品制作時に利用されたり,また,鑑賞者の楽しみとして描かれることも増えてきている.基本的に感情曲線は主人公の幸福度を投影したものとされるが,鑑賞者の作品の理解や思い入れ,気分や性格によっても描かれる形状が変わると考えるべきである.本研究では,鑑賞者の作品の理解によって感情曲線がどのように変容するのかについての作業仮説獲得を目指して,人気アニメーションの 1 エピソード(シリーズものではあるが,それだけでも完結しているもの)を対象とした感情曲線入力実験を実施した.この結果,登場人物の関係性や登場人物の性格に対しての鑑賞者の理解が感情曲線の描出に影響を与えることを示唆するデータが観測された.
著者
程 天敏
出版者
中央大学経済研究所
雑誌
中央大学経済研究所年報 (ISSN:02859718)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.315-340, 2018-10-10

近年,中国企業の海外進出が顕著になってきている。海外市場を獲得する一方,現地社会に対する責任への増加も一途を辿っている。そこで,中国企業の社会的責任の特徴とは何かについて社会的関心が寄せられている。さらに,海外進出が進む中,労働や環境などの社会的責任に関連する様々な問題がリスクとして顕在化しており,企業にも影響をもたらすようになってきている。従って,企業が海外進出を通じて,持続可能な発展を実現するためにも,企業の社会的責任の課題やリスクに的確に対応することが求められる。本論文は,海外進出を展開する大きな資本を有する企業に注目して,中国74社大手企業を対象に,彼らの企業の社会的責任への取組について分析を行い,企業の社会的責任を実施するために必要とされること,推進における課題を模索する。海外における中国企業が社会的責任への取組を取りまとめることおよび,各種課題にどのように対応すべきかを検討するための一助とする目的として研究を行った。
著者
寺﨑 恵子
雑誌
聖学院大学論叢 = The Journal of Seigakuin University (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.第29巻, no.第1号, pp.1-16, 2016-10

青年期の特徴を表す用語として,「第二の誕生」がある。この語は,ジャン=ジャック・ルソーが『エミール または教育について』(1762 年)の第4 篇で用いた。第二の誕生は,ライフサイクルにおける,子どもから大人への変成という節目における移行の状況を説明する用語であり,また,人間発達における危機的で根元的な転換点を説明する用語である。ルソーは,こうした第二の誕生という閾の過渡的な状況において「わたしたちの教育」が必要であることを説いた。彼の言う「教育」は,学校教育を意味していない。むしろ,それは消極的教育,つまり,生態的で発生的な自然を地とする意味をもっている。彼は,教育の原義を示し,青年期における第二の発展状況を,言葉の起源である情念のありように把握して明らかにした。本稿は,第二の誕生と教育の連関について,ルソーの言説の内実を明らかにするものである。
著者
原 知子
出版者
神戸山手大学
雑誌
神戸山手短期大学紀要 = Journal of Kobe Yamate College (ISSN:13496808)
巻号頁・発行日
no.47, pp.11-22, 2004-12-20

天ぷら衣を歯もろさよく、軽くするための工夫として、食酢の添加効果について調べた。小麦粉の天ぷら衣の官能評価において、少量の食酢を添加すると無添加に比べて「さくさく度」の評価が、改善された。これは、卵添加衣の場合にも同様であった。ただし、添加量や衣の組成、揚げだねとの相性により、効果の小さい場合もあると考えられた。食酢の添加量により小麦粉ベースの天ぷら衣は流れやすさが変化し、添加生地のpHが4以上ではみかけの流れやすさが大きかった。これが、揚げた際に膨圧が高まるにつれ気孔の伸展性を助け、さくさく感のでやすい衣の生成につながると推察した。流れやすさの観点から均一に撹拌した衣が最も流れやすくなるのは、小麦粉対水が1:1.5の割合の衣では、0.1%から0.3%酢酸溶液であった。これは、衣全容積約50mlの場合食酢で1〜2.5ml添加にあたる。
著者
田中 英行
雑誌
夏のプログラミング・シンポジウム2012「ビューティフルコード」報告集
巻号頁・発行日
pp.17-26, 2013-01-11

今日に於いても、プログラマにとってエラーハンドリングは頭の痛い問題である。正しいエラーハンドリングを行うことは、堅牢なソフトウェアを構築する上で大変重要な問題であるが、適切な抽象化が行われてきたとは言い難い状況にある。現在広く用いられている手法としては、古くからのエラーコードによるものと、例外によるものがある。エラーコードによる手法には大きく2つの問題がある。エラー処理のためのコードがコードのあらゆる部分に組み込まれ、コードの見通しが非常に悪くなることと、エラーを無視するのが非常に容易なので、予期せぬエラー処理漏れを犯しやすいことである。一方で例外を用いる方法は、正しいリソース管理とともに用いられる必要がある。メモリの管理をGCに任せた場合でも、GCの管轄外のリソースは正しく処理されないといけない。これを怠れば、多くの場合深刻なバグを引き起こすことになる。このような処理をもれなく記述すると、往々にして例外捕捉のために深いネストが必要となる。例外処理を正しく行うには、例外の正しい伝搬も必要であるが、これをきちんと行うのはかなり面倒なため、いわゆる例外の握りつぶしが横行する結果となるケースも少なくない。いずれの方法でも、エラーを正しく処理できているかどうかは簡単には推論できない。コードをじっくり観察する必要がある。かくして現代のプログラマは、退屈で面倒な、容易に間違いを犯し得る、そして何より「美しく」ないコードを神経をすり減らしながら書かなければならない状況にあり、また、ともすればそれを良しとする風潮すら見受けられる。しかしながらそれは解決できる問題であり、単にプログラミングモデルからくる制限に他ならないと考える。本発表では、モナドによってエラー処理の抽象化を行うための手法を紹介する。それとともにエラー処理に欠くことのできない、リソース管理の抽象化もあわせて紹介する。モナドを用いて、例外処理のための雑多のコードを、いわゆる「モナドの床下配線」によって隠蔽する方法を、実際のHaskellにおける応用例とともに見てゆく。それにより、エラーの通知側とそれを受け取って処理する側が完全に分離され、用途にマッチしたエラーハンドリングを自由に記述できるようになる。最終的に、正しいエラーハンドリングを美しく行えることを示す。
著者
荒木田 安弘 山森 徹雄 アラキダ ヤスヒロ ヤマモリ テツオ Yasuhiro ARAKIDA Tetsuo YAMAMORI
雑誌
奥羽大学歯学誌
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.137-144, 2007-12

Histatin-5 and the basic Proline-rich peptide P-E (PRP-PE) have been revealed as candidates of bitter binding proteins. However, it has not been confirmed whether these compounds were carriers of or blockers to bitter taste so far. On the other hand, it has been reported that psychical stress reduced the sensitivity of bitterness. The present study was carried out to measure the clinical concentrations of Histatin-5 and PRP-PE in saliva under the mental stress. Stimulated parotid saliva was obtained from the parotid glands of 10 healthy adult subjects before and after the load of stress of the Kraepelin psycho-diagnostic test with a loud noise (5,000Hz, 100dB) for 30 mins. The salivary cortisol concentration and the LF/HF ratio on ECG were adopted as indices of sympathetic nervous activity to check a liability for the load of stress. The concentrations of Histatin-5 and PRP-PE in saliva were quantified by ELISA test. A significant increase in the salivary cortisol after the stress was recognized in half of the subjects, among which an increase of LF/HF ratio was also observed. Histatin-5 in the parotid saliva was significantly reduced by the stress in this group, but PRP-PE was not. These findings suggest that Histatin-5 in saliva might be a carrier protein of bitter substances, but a function of PRP-PE was not clear in this study.
著者
長嶋 洋一 ナガシマ ヨウイチ Yoichi NAGASHIMA
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture bulletin
巻号頁・発行日
vol.1, pp.107-121, 2001-03-31

This paper is intended as an investigation of some methods of human interfaces in computer music, media installations and interactive multimedia art. I have been producing many sensors, interfaces and interactive systems for computer music and media installations as a part of my composition. In this study the main stress falls on designing systems with microelectronics technology, producing interactivity in media arts and controlling acoustics and graphics in real-time and interactivity with human performances. I will report some methods and discuss the problems with many works of my own presented and performed in recent years.