著者
酒井 直樹
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 = NIHON KENKYŪ (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.11-22, 2016-06-30

アジア太平洋戦争後の東アジアで、日本はアジアの近代化の寵児とみなされ、アジアで唯一の先進国と呼ばれてきた。冷戦秩序下のパックス・アメリカーナ(アメリカの支配下の平和の意味)で日本は、東アジアにおけるアメリカ合州国の反共政策の中枢の役割を担い、「下請けの帝国」の地位を与えられ、経済的・政治的な特別待遇を享受してきた。日本研究は、この状況下で、欧米研究者による地域研究と日本人研究者の日本文学・日本史の間の共犯構造の下で、育成されてきたと言ってよい。「失われた二十年」の後、地域研究としての日本研究も日本文化論としての日本研究も根本的な変身を迫られている。それは、東アジアの研究者の眼差しを無視した日本研究が最早成り立つことができないからで、これまでの日本文化論に典型的にみられる欧米と日本の間の文明論的な転移構造にもとづく日本研究を維持することができなくなってきたからである。これからの日本研究には、合州国と日本の植民地意識を同時に俎上にあげるような理論的な視点が重要になってきている。
著者
西野 順二
雑誌
情報処理学会研究報告ゲーム情報学(GI)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.27(2001-GI-007), pp.17-23, 2002-03-15

本論文は複数の道具を投げるトスジャグリングの技の表記について整理し、とくに複数の技の接続方法について検討するこを目的とする。このため、複数の技の性格付けを行い、また技同士の接続可能性について分析するため、状態と相という概念を導入した。技を数列表記するサイトスワップ表記をもちいて、接続を可能とする余分な動作を必要とすることを示した。この接続のための動作の系列を生成がつねに可能であることを、技の差分表記を提案しこれを用いて生成アルゴリズムを構成することで明らかにした。
著者
勝田 英紀
出版者
近畿大学商経学会
雑誌
商経学叢 = Shokei - Gakuso The Journal of Business Administration and Marketing Strategy (ISSN:04502825)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.27-35, 2008-12-01

【要旨】医薬品産業では, M&Aが相次いでいる。そこで外資系製薬会社の合併事例はいかなるものであったか, 外資系製薬会社にとっての日本企業買収の主要な目的は何であるか, さらに今後の我が国の製薬会社の方向性について検証した。2007年5月より外資系企業による株式交換方式によるM&Aが日本でも可能となったことから, 日系製薬会社はM&Aを非常に警戒するようになった。各製薬会社は, 規模の拡大によって高騰する研究開発費を確保し, 革新的な新薬を開発してゆくことが目標となっていることから, 外資によるM&Aに対抗するには, 国内大手といえども, 新たな再編も視野に入れた対応を考える必要があると考える。さらに武田薬品,第一三共,アステラス製薬を先陣として, 他の製薬会社も企業規模を拡大し, 新薬の日米欧の3極での同時開発・同時発売をめざし, グローバル化を進めてゆくと思われる。 【Abstract】 M&A (Merger and Acquisition) cases have been recently occurred one after another in the world pharmaceutical industry. We, therefore, examine M & A cases by foreign pharmaceutical companies around the world and the purpose of the M & A by foreign companies in Japan. We also examine future course of Japanese pharmaceutical companies and their countermeasures for foreign companies' M & A. Japanese pharmaceutical companies came to watch M & A cases very carefully because the foreign companies become possible to conduct M & A by the stock exchange method in Japan from May, 2007. It is needed for Japanese all pharmaceutical companies to make a countermeasure for foreign companies' M & A including a new reconstitution or M & A within Japanese companies because each pharmaceutical company secures a R & D (research and development) cost by the increase of its sales scale, and its goal is to develop a innovative medicine. Moreover, I think that Japanese major pharmaceutical companies including Takeda, Daiichi-Sankyo and Astellas will globalize their activity by expanding their world sales scale and developing their new medicine in Japan, US and EU together.
著者
Toshiya Hikita MasaoJ.Matsumoto
雑誌
情報処理学会研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.25(1994-SE-103), pp.73-80, 1995-03-09

In recent years particular CASE tools/languages called the application builders has enabled major part of programming process in software development to be automated. This paper discusses the approaches to simplify specifications giving for application builder which is based on concepts and terms of business application domain. We proposed a domain-oriented specification language called "kusanagi" using knowledge of business application domain. At last this paper reports that productivity has been largely improved by kusanagi in real software developments.
著者
浦上 浩希 西出 俊 康 シン 任 福継
雑誌
第80回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.399-400, 2018-03-13

人間とロボットの自然な対話において,感情情報を活用することは必要不可欠である.従来の感情認識・生成システムでは,あらかじめ設計された離散的な感情状態間を遷移するものが多いため,中間的な感情を表すことが困難であった.本研究では,感情状態を連続的な空間上で表現するモデルを提案する.本モデルはラッセルの円環感情モデルの各感情に対して座標を設定し,ロボットの感情状態を座標で表現する.人間とロボットの対話によって感情状態を表現する座標が変化するシステムを提案する.本手法を柔軟な表情表現が可能なアクトロイドに実装し,有効性を検証した.
著者
米田 貴
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.746-749, 2014-06-15

「SNS上での仲間外し」のロールプレイングを学校の普通教室で行い,他者に対するおもいやりや人権等に対する意識を向上させる事で,情報社会に参画する態度の育成を試みた.SNSやLINE等のコミュニケーションツールを介してやり取りをする事により,以前ならば小さな衝突で済んでいた事案でも,問題が急速に拡大・悪化する事がある.「SNS上での仲間外し」をロールプレイングする事で生徒の倫理観を向上させ,情報社会に参画する態度の育成を目指した筆者の指導内容について,実践する上で留意した点や工夫した点を踏まえて報告する.
著者
為栗 敦生 中村 鴻介 高橋 良颯 山口 実靖
雑誌
研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:21888779)
巻号頁・発行日
vol.2021-NL-249, no.1, pp.1-7, 2021-07-20

深層学習は文書分類等の自然言語処理にて活用され,Self-Attention などが大きな成果をあげている.一方で深層学習による分類は,分類精度は高いがその判断根拠を人間が理解することが困難であるとの指摘がされている.本稿では,テーマが定められたニュース記事群のテーマによる分類のタスクに着目し,深層学習による分類の判断根拠の提示手法について考察する.具体的には,LSTM Attention により記事分類を行い,高い精度で分類をできることを示す.そして,Attention 値や既存の判断根拠提示手法 Smooth-grad に着目し,自然言語記事分類の判断根拠提示手法について考察する.また性能評価により,これらに着目することにより判断根拠を提示できることを示す.
著者
谷口 秀夫 遠城 秀和 井村 佳弘/境孝之
雑誌
情報処理学会研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.94(1989-OS-045), pp.1-8, 1989-11-10

DIROSは、バス/LAN/SCSIの各通信路で結合された分散プロセッサ環境においてのトランザクション処理を可能にする分散型リアルタイムオペレーティングシステムである。DIROSは、リクエスト制御と呼ばれるプログラム構築方式に基づいて作成されており、非完了システムコール機能やリモートファイルアクセス/リモートデバイスアクセス/マルチプロセス生成/リモートプロセス間通信の各機能を実現している。また、UNIXとの協調処理を可能にするため、UNIXシステムコール機能とDIROS-UNIXマシン間の分散ファイルシステム機能を実現している。
著者
平田 昌弘
出版者
食品資材研究会
雑誌
New Food Industry (ISSN:05470277)
巻号頁・発行日
vol.53, no.7, pp.65-73, 2011

前号Vol.53 No.6に引き続き,インドの都市と農村での乳製品の種類とその製造法,そして,乳製品の利用のされ方について紹介する。本稿では,乳のみの乳製品に様々な添加物を付加して加工した「乳菓」を概説する。そして,インドの乳加工体系の特徴を分析し,複雑なインドの乳加工体系の本質に迫ってみたい。