著者
平石 界 中村 大輝
出版者
The Philosophy of Science Society, Japan
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.27-50, 2022-03-31 (Released:2022-03-31)
参考文献数
126

It has been almost ten years since Bem published the psi study in a prestigious social psychology journal, which ignited the replicability crisis in psychology. Since then, drastic and systematic changes in research practices have been proposed and implemented in the field. After a decade of such controversy and reformation, what is the current status of psychology? We provide an overview of the 10 years of credibility revolution in psychology by taking the perspectives of “researcher's degree of freedom” and “specification space.” Based on the view, we propose possible future directions for psychology to proceed as a scientific discipline.
著者
中村 大輝 松浦 拓也
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.89-97, 2023-07-31 (Released:2023-07-31)
参考文献数
24

幼少期の自然体験と将来の学力変数の関連を指摘する先行研究は多いが,その多くは観察研究であり,因果関係を検討する上での重大な問題を抱えている。因果関係を検証するための理想的な研究デザインはランダム化比較試験であるが,参加者が自然を体験するか否かをランダムに割り当てる研究の実施は倫理的に難しい。そこで次善の策として,本研究では傾向スコアを用いた統計的因果推論の手法に着目し,観察研究のデータから幼少期の自然体験の因果効果を推定した。具体的には,東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が実施した縦断調査の公開データを用いて,小学校1年生までの自然体験が小学校4年生時点での理科学習への動機づけに及ぼす因果関係を検討した。傾向スコア分析の結果,幼少期の単発的な自然体験の効果は認められないが,幼少期の日常的な自然体験は小学校4年生時点での理科学習への動機づけを向上させることが明らかになった。
著者
中村 大輝 原田 勇希 久坂 哲也 雲財 寛 松浦 拓也
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.3-22, 2021-07-30 (Released:2021-07-30)
参考文献数
90

近年,教育学を含む多くの学問分野において過去の研究知見が再現されないという再現性の危機が問題となっており,その原因の1つとして問題のある研究実践(Questionable research practices, QRPs)の存在が指摘されている。本研究では,国内の理科教育学分野におけるQRPsの実態を明らかにし,再現性問題への具体的な対応策を提案することを目的として,『理科教育学研究』に掲載された過去4年間の論文におけるQRPsの状況を分析した。その結果,8種類のQRPs(妥当性の確認不足,母集団の未定義,出版バイアス,誤った多重比較,検定力不足,HARKing,過度の一般化,記載情報の不足)が行われていることが示唆され,理科教育学分野の実証研究における研究方法の問題点が明らかになった。また,再現性問題の解決に向けて,QRPsを防止するために,本誌に関わる研究者,実践者,編集委員会が取り組むべき対応策として「追試の積極的な実施」「適切な研究方法の普及」「事前登録制度の導入」「オープンサイエンスの実施」の点から4つのアイデアを示した。
著者
中村 大輝 藤原 聖輝 石飛 幹晴 川崎 弘作 小林 和雄 小林 優子 三浦 広大 雲財 寛
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.137-154, 2023 (Released:2023-07-08)
参考文献数
124

The purpose of this study was to derive the types, characteristics, historical evolution, and issues for future research on assessment methods of understanding of the Nature of Science (NOS). The assessment methods for NOS understanding were extracted from an article database, and 69 assessment methods were identified. These assessment methods differed in response format and subjects, and there was some bias in the elements measured. Finally, we summarized issues for future research from the three viewpoints of “What should be assessed as NOS understanding,” “What methods should be used for assessment,” and “What is the purpose of assessment”.
著者
中村 大輝 田村 智哉 小林 誠 永田 さくら 大森 一磨 大野 俊一 堀田 晃毅 松浦 拓也
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.215-233, 2020 (Released:2021-02-05)
参考文献数
65

This study aims to determine the expected effect size of intervention studies in science lessons through meta-analysis. Intervention studies were collected from education-center websites in every Japanese prefecture to calculate the average effect size and examine the moderation effect. The results of the quantitative analysis showed that the mean effect size of multi-valued items was g=0.594 [0.557, 0.630] (k=626, N=9122). The moderator analysis revealed relatively low effect sizes for learning in the geology domain, and differences in effect size for various types of academic indicators. In addition, we provided basic statistics to help determine the sample size needed for future studies.
著者
中村 大輝 雲財 寛 松浦 拓也
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.215-233, 2021 (Released:2021-07-16)
参考文献数
58

The purpose of this study is to redevelop the Need for Cognition Scale in Science Education (NCSE) and provide basic data for its application. We define NCSE as the intrinsic tendency that allows one to engage in and enjoy cognitive activities; these are scientific inquiries through observation and experimentation. This study is divided into four parts. In Study 1, we conducted a questionnaire survey on 1,875 elementary and junior high school students and clarified the structure of the scale based on item response theory (IRT). Several IRT model fits were compared, and finally, we identified the characteristics of each question item based on the graded response model (GRM). In Study 2, we verified the validity and accuracy of NCSE. In addition, we showed that there was no differential item functioning (DIF) of gender. In Study 3, we examined gender and grade differences. We found that NCSE tended to be higher in males than in females and may decrease as the grade progresses. In Study 4, we divided the questionnaire into two groups based on item parameters estimated in Study 1. These two sets, known as the horizontal test, will contribute to future investigations using the pre-post design approach.
著者
森川 大地 石飛 幹晴 中村 大輝
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.61-69, 2022-07-31 (Released:2022-07-31)
参考文献数
26

本研究は,問題事象から変数を見いだす力に着目し,その測定方法を開発することを目的とした。研究の目的を達成するために,当該能力を「目の前の問題事象の中から,変化し得る要素を特定する力」と定義した上で,複数の調査問題を作成した。作成した調査問題を用いて,小学生1044名(第3学年195名,第4学年96名,第5学年382名,第6学年371名)を対象とした調査を実施し,項目反応理論の2母数モデルに基づく分析を行った。その結果,開発した問題は十分な識別力を持っており,当該能力が平均よりやや低い集団において高い弁別性を有していることが明らかになった。また,測定した能力値を学年ごとに比較した結果,問題事象から変数を見いだす力は,上位の学年ほど高い傾向にあることが明らかになった。
著者
中村 大輝 松浦 拓也
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.279-292, 2018-03-19 (Released:2018-04-06)
参考文献数
47
被引用文献数
8

理科における問題解決や探究の入り口として, 学習者自身に仮説を立てさせることの重要性が指摘されている。一方, 仮説設定に関する先行研究においては, 学習者が仮説を設定する際の思考過程の実態が明らかにされてこなかった。そこで本研究では, 仮説設定を求める調査問題を6問作成するとともに, 大学生・大学院生を対象とした面接調査を実施した。結果の分析に際しては, まず, 発話プロトコルから思考過程を推定し, その内容によって6つのカテゴリーに分類した。次に, それらのカテゴリー間の推移を集計し, 仮説設定には共通した思考過程が存在することを明らかにした。また, 思考過程の合理性を得点化し, 思考過程との関係性を検討した結果, 変数の同定過程においては複数の変数の吟味が, 因果関係の認識過程においては因果関係の慎重な検討が合理性に正の影響を及ぼすことが明らかになった。
著者
中村 大輝 松浦 拓也
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.21-24, 2022-03-06 (Released:2022-03-03)
参考文献数
14

多くの先行研究が幼少期の自然体験と将来的な学業変数の関連を指摘しているが,そのほとんどは観察研究のデザインを採用しており,因果効果を検討する上での重要な問題を抱えている.因果効果を検討する上で最も望ましい研究デザインはランダム化比較試験だが,自然体験を行うか否かをランダムに割り付ける研究は実施困難である.このような状況における次善策として,本研究では傾向スコアを用いた因果推論の技法に着目し,観察研究のデータから幼少期の自然体験が持つ因果効果を推定することを目指した.東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が実施している縦断調査である「子どもの生活と学びに関する親子調査」の公開データを用いて,小学校1年生までの自然体験が小学校4年時の理科学習への態度に及ぼす因果効果を検討した.傾向スコアを用いた分析の結果,単発的な幼少期の自然体験の効果は認められない一方で,日常的に習慣化された幼少期の自然体験は,小学校4年時の理科学習への好意的な態度を向上させることが示された.
著者
中村 大輝 雲財 寛 松浦 拓也
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.183-196, 2018-11-30 (Released:2018-12-05)
参考文献数
64
被引用文献数
2

本研究は, 理科の問題解決における仮説設定に関する国内外の研究を収集・整理し, 国内外の差に留意しつつ, 研究の動向や課題を明らかにすることを目的とした。仮説設定に関する研究を, 「仮説の定義」「実態の評価」「思考過程」「指導」の4観点から整理し, 各観点における研究の動向や課題を検討した結果, 主に次の4点が明らかになった。1)仮説の定義の多様性は, 仮説の定義を構成する要素全体に見られるものではなく, 説明する対象の違いに由来するものであること。2)仮説設定の評価方法は, 国内外で用いられる方法に傾向差が存在すること。3)思考過程に関する研究では, 実際の理科授業における仮説を設定する際の思考過程を捉えられるよう改善を図る必要があること。4)国内における指導方法研究はその具体性で国外の研究に勝るものの, 各指導方法には課題も存在すること。
著者
中村 大輝
出版者
Japan Society for Science Education
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.223-228, 2023-12-09 (Released:2023-12-07)
参考文献数
7

学校現場の業務量が増加する中で,学力調査の実施負担を軽減することは喫緊の課題である.本研究では,調査の対象となる教科の学力得点が教科への態度得点と相関を持つことに着目し,質問紙によって得られる態度得点の情報を利用して教科の学力を推定する方法を検討した.全国学力・学習状況調査の個票データを用いたシミュレーションの結果,教科への態度を補助変数とする一般化回帰推定量(Generalized Regression Estimator)を利用することで,従来よりも効率的に誤差を減らすことができることが示された.これは,現在の調査方法よりもより少ない調査学校数で同程度の精度を実現できる可能性を示唆している.
著者
川崎 弘作 雲財 寛 中村 大輝 中嶋 亮太 橋本 日向
出版者
Japan Society for Science Education
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.85-90, 2023-12-09 (Released:2023-12-07)
参考文献数
14

本研究では,生命領域における探究の特徴を踏まえた学習指導が知的謙虚さの育成に有効か否かを明らかにすることを目的とした.このために,小学校第6学年「植物のからだのはたらき」において授業実践を行った.その結果,量的分析から,知的謙虚さ得点の平均値が実践後に向上していたと判断できる結果が得られなかった.このため,生命領域における探究の特徴を踏まえた学習指導が知的謙虚さの育成に有効であるとはいえないと判断した.その一方で,本研究の成果と先行研究の知見を比較することを通して,知的謙虚さの育成に関する新たな視点として,「自身の考えが誤っている可能性を常に疑い続ける学習」が有効であるという示唆を得ることができた.
著者
中村 大輝 佐久間 直也
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.357-371, 2022-11-30 (Released:2022-11-30)
参考文献数
49

本研究では,仮説設定の思考過程に関する先行研究に基づき,仮説設定を「変数の同定」と「因果関係の検討」に分割した段階的指導法を開発した。変数の同定の段階では,一部の条件(変数)が異なる複数事象の比較を通して事象に関連する複数の変数を見出させるとともに,見出した変数を学級内で共有する。因果関係の検討の段階では,変数間の因果関係を場合分けして整理した上で,自身の仮説を文章化させる。このような指導法の効果を明らかにすることを目的として,中学校第2学年「電流とその利用」の単元で2回の継続的な指導実践を行った。その結果,複数事象の比較を通した仮説設定の段階的指導法は,学習者の仮説設定の質を向上させることが支持された。
著者
雲財 寛 中村 大輝
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.301-313, 2018 (Released:2019-02-02)
参考文献数
29
被引用文献数
7

The purpose of this study was to develop a Need-for-Cognition-in-Science (NFCS) Scale and to clarify students’ NFCS. We confirmed reliability and validity by quantitative analysis. The results of the analysis revealed that primary school students’ NFCS is higher than that of lower secondary school students.
著者
雲財 寛 山根 悠平 西内 舞 中村 大輝
出版者
日本体育大学大学院教育学研究科
雑誌
日本体育大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:24338656)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.245-254, 2020-03-30

本稿の目的は,教科教育学における量的研究を分類するとともに,帰無仮説検定の問題点を踏まえて,教科教育学における量的研究を行う際の留意点を導出することである。本稿では,教科教育学における量的研究を1.評価方法を開発する研究,2.子供や教師の実態を明らかにする研究,3.教育実践の効果を明らかにする研究,4.研究成果を統合する研究に分類した。そして,量的研究を行う際の留意点として,有意であるか否かといった二分法による安易な判断を避けること,帰無仮説検定における前提を意識すること,問題のある研究実践になっていないか振り返ることの3点を導出した。
著者
中村 大輝 松浦 拓也
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.37-40, 2022-03-27 (Released:2022-03-24)
参考文献数
9

幼保一元化に関する議論の中では,幼稚園と保育所のどちらを中心とした統合を行うべきかが問題となっている.先行研究では,幼稚園出身の子供の方が保育所出身者よりも将来的な学力が高いという結果が示されているものの,幼児教育の形態が将来の学力に及ぼす因果効果については明らかになっていない.このような因果効果を検討する上で最も望ましい研究デザインはランダム化比較試験だが,幼稚園と保育所のどちらに通うかをランダムに割り付ける研究は実施困難である.このような状況における次善策として,本研究では傾向スコアを用いた因果推論によって,幼児教育の形態が将来的な理数学力に及ぼす因果効果を明らかにすることを目指した.東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が実施している縦断調査である「子どもの生活と学びに関する親子調査」の公開データを用いて,幼稚園と保育所のどちらに通ったかが小学校4年時点の理数学力に及ぼす因果効果を検討した.傾向スコアを用いた分析の結果,幼稚園での教育は保育所における保育と比べて将来的な理数学力に対して相対的に高い効果を発揮するものの,その差は決して大きくはないことが示された.
著者
中村 大輝 山根 悠平 西内 舞 雲財 寛
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.82-91, 2019 (Released:2019-07-05)
参考文献数
47

In this study, we estimated the overall effect of technology utilization in mathematics and science education. Integrating effect-size quantitatively, we collected data on the use of technology in mathematics and science classes in elementary, secondary, and higher education curricula in Japan. As a result of integrating the effect quantity of 11 papers extracted from previous research, it became clear that the average effect-size was g=0.40. This result revealed that the effect size was small to moderate on the use of technology in science education, and the effect size cannot be said to be great compared with other educational methods. Moreover, additional analysis revealed heterogeneity between the studies and that the effect quantity varies depending on the intended use.
著者
中村 大輝 松浦 拓也
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
科学教育研究 (ISSN:03864553)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.542-548, 2023 (Released:2024-01-24)
参考文献数
21

Many interventions have been implemented to increase STEM aspirations among high school students. However, recent research has pointed out the possibility that the self-perception of the humanities and sciences is formed at a stage prior to high school. In this study, we hypothesized that a strong self-perception of the humanities and sciences is already formed at the junior high school stage, and examined the validity of this hypothesis through a secondary analysis of a nationwide survey. Specifically, using publicly available data from the Parent and Child Survey on Children’s Life and Learning, an ongoing longitudinal survey since 2015, we examined the timing of awareness of one’s aptitude for the humanities and sciences (Analysis 1), the evolution of self-perception of the humanities and sciences (Analysis 2), and the predictability of future choice of humanities or sciences (Analysis 3). The results showed that self-perceptions of the humanities and sciences were fixed from the third year of junior high school to the third year of high school, and that machine learning using data from the third year of junior high school could predict the future choice of humanities or sciences with a certain degree of accuracy (approximately 70%).
著者
中村 大輝 堀田 晃毅 西内 舞 雲財 寛
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.45098, (Released:2022-01-21)
参考文献数
47

本研究は,社会認知的キャリア理論(Social Cognitive Career Theory, SCCT)に基づき,我が国におけるSTEMキャリア選択に影響する要因とその性差を検討した.OECDが実施したPISA2015調査の日本データを用いて,SCCTのキャリア選択モデルを追試した結果,当該モデルは日本の高校生のデータにも十分に適合することが明らかになった.多母集団同時分析の結果より,STEM職業志望への有意な影響が認められた要因としては「自己効力感」「結果期待」「興味」「社会経済文化的背景」があった.このうち,「結果期待」「興味」「社会経済文化的背景」の影響には有意な性差が見られたが,「自己効力感」の影響には性差が見られなかった.本研究の結果に基づけば,STEMキャリア選択者を増加させるためには,性別ごとに異なる介入方法が有効である可能性がある.