著者
遠藤 薫
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.118-121, 2016-01-15

いま「カワイイ」文化に世界が注目している.なぜ,「カワイイ」文化に人びとは惹きつけられるのか.「カワイイ」といった感性的価値は,単なる表層的な感覚,社会や人生に重大な意味をもたない残余的な事柄と扱われがちである.しかし,本稿では,日本の「カワイイ」文化の系譜をたどることによって,それが通時的不変性と経時的可変性性の双方によって構成されていること,およびその本質が弱者や対抗者の包摂と異文化間のハイブリッドにあることを明らかにし,グローバリゼーション時代におけるその社会的意義について考察する.
著者
遠藤 薫
出版者
横断型基幹科学技術研究団体連合(横幹連合)
雑誌
横幹連合コンファレンス予稿集 第3回横幹連合コンファレンス
巻号頁・発行日
pp.72, 2009 (Released:2010-04-05)

This paper makes clear differences between the fads in former times and the internet fads mediated by social media today. Then, it points out that various fads or collective effervescences have been triggers of big social changes, or rather the triggers of social formation. Finally, it discusses that in today's world, which can be called as "inter-media" society because multi-layered media including social media are embedded, collective effervescences are easy to be caused.
著者
遠藤 薫
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.2_8-2_16, 2012-02-01 (Released:2012-06-04)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1
著者
遠藤 薫
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
vol.77, pp.105-126, 2010

As usage of Internet has been increasing, the problem how communications through Internet are related to the formation of public opinion arose with huge attention. At this time, such interests are argued with the keyword "Public Opinion on the Net". However, if "Public Opinion on the Net" separates from "Opinion", basically, "Public Opinion on the Net" may consist of "Public Opinion on the Net" as special theory. In this paper, I examined the assumption above, and discussed how to analyze "Public Opinion Formation" process, in line with the times, when it is expected that our media environment will be more complex and interact among different carriers.
著者
遠藤 薫
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.64-77, 2023-09-30 (Released:2023-10-31)
参考文献数
5

本稿は,2022年2月24日に開始されたロシアによるウクライナ侵攻について,間メディア社会における「言語戦争」という側面から分析をおこなう.「間メディア」とは,後述するように,多様なメディアが重層的に相互干渉し合う包括的メディア環境をさす.また「言語戦争」とは,覇権をめぐる闘争(戦争)が,広い意味での「言語」いいかえれば「状況の記述」によって生成・決定される様態をさすものとする.
著者
遠藤 薫
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.1-18, 2019-12-31 (Released:2020-01-18)
参考文献数
40

20世紀後半に始まった「情報社会」は,21世紀に入って,より高度なレベルに達した。現代では,単に高機能のコンピュータおよびそのネットワークによって社会が効率化されるというだけでなく,人工知能(AI)技術や,世界のあらゆるモノが常時相互にネット接続されるIoT (Internet of Things)技術が,すでに深くわれわれの生活に浸透している。このような状況の中で,いま注目されている学術領域が,社会情報学とも密接に関係する「計算社会科学(Computational Social Science)」である。計算社会科学とは,張り巡らされたデジタル・ネットワークを介して獲得される大規模社会データを,先端的計算科学によって分析し,これまで不可能であったような複雑な人間行動や社会現象の定量的・理論的分析を可能にしようとするものである。この方法論によって,近年社会問題化している,社会の分断,社会関係資本の弱体化,不寛容化など,個人的感情や社会規範,世論などの形成過程の解明に新たな可能性を切り開くことが期待される。その一方で,社会規範を逸脱する目的にこのような手法が応用されれば,かえって社会監視を密にしたり,情報操作を巧妙化したりする具になり,先に挙げた社会の分断などの問題を再帰的に拡大することも起こりうる。本稿では,計算社会科学をキーワードとして,ポスト・ヒューマンの時代を射程に入れつつ,社会を解明する具としての科学と,社会の動態とが入れ子状になった今日のAI/IoT社会の規範問題について考察する。
著者
遠藤 薫 吹角 隆之 足立 準 小嶋 益子 青木 敏之 吉田 政弘 森田 和矢 成 隆光 辻野 守典
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.1013-1024, 1997
被引用文献数
3

1. 3〜12歳のアトピー性皮膚炎患者30名を無作為に2群に分け, 1年間にわたって患者の部屋及び寝具を掃除することによって, ダニ数が減少し, 患者の症状と検査値の改善に寄与するかを, 二重盲検試験で検討した。2. 前後のダニ数は, モニター群とコントロール群の両群とも, 患者の部屋の床で有意に低下していた。終了時, モニター群の寝具でより大きいダニ数の低下の傾向が認められ, 特に掛け布団において有意なダニ数の差異が認められた。3. 終了時, 症状スコアはモニター群で有意に改善していたが, コントロール群ではそうではなかった。両群間で症状スコアの変動率を分析すると, モニター群においてより軽快傾向が見られたものの有意差は認められなかった。4. 血清IgE値は掃除前後で両群とも有意差はなかった。Dermatophagoides farinae (Df), D. pteronyssinus (Dp) に対するRAST値は, 有意差はなかったが, モニター群でより大きい低下がみられた。5. ダニ数の低下は, 臨床症状の改善とダニRAST値の低下に寄与する可能性が示唆された。
著者
遠藤 薫
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.1-17, 2016 (Released:2016-11-22)
参考文献数
16

マスメディア,ソーシャルメディア,リアル空間という異なる特性をもったメディアが重層的に併存し,緊密な相互作用を行う,現代の「間メディア社会」において,民主主義の根拠というべき「世論」は,静態的な規範ではなく,再帰的自己創出を行う動的な〈世論〉として捉えられる必要がある。本論では,この視座から,2016年前半に起こった,舛添スキャンダルの〈世論〉化をめぐる一連のスキャンダル・ポリティクスを分析し,間メディア社会における〈世論〉の動的特性を明らかにする。
著者
遠藤 薫
出版者
日本情報経営学会
雑誌
日本情報経営学会誌 (ISSN:18822614)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.3-12, 2009-08-17

This paper makes clear differenves between the fads in former times and the internet fads today. Then, it points out the shortage of The existing discussion on viral marketing which intends to cause fads for promotion. At last, it suggests that the key of the fads which have social influence is "authenticity".
著者
遠藤 薫
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.27, no.7, pp.7_46-7_50, 2022-07-01 (Released:2022-11-25)
参考文献数
16

社会学の視座から自動運転技術を考えるとき、三つのアプローチがあり得る。第一は、現代の社会的課題に対して、自動運転技術は、どのようなソリューションとなり得るか、というアプローチである。第二は、自動運転技術の社会的受容の問題である。新しい技術が、その特質を活かして、人びとの生活に埋め込まれていくためには、どのような点に留意しなければならないか、という問題である。第三は、自動運転技術がサイバー−フィジカル連携システムの重要な一部を構成するという問題である。本稿では、この三つのアプローチのそれぞれについて概括的に検討し、人と技術の信頼関係の構築を論ずるものとする。
著者
遠藤 薫
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.113, no.6, pp.945-959, 2003-05-20 (Released:2014-12-13)
被引用文献数
1

アトピー性皮膚炎入院患者504名(男202名,女302名)に施行した矢田部―ギルフォード(YG)性格検査の結果を健常人164名(男45名,女119名)と比較すると,男性患者は健常人男より性格因子D(抑うつ的),I(劣等感),N(神経質)が高く,G(活動的)が有意に低くなっていた.女性患者は健常人女よりAg(攻撃的)とR(のんき)が低くなっていた.健常人女は健常人男よりD,C(回帰性傾向),Iが高く,情緒的に不安定であった.逆に男性患者は女性患者よりNが高く,S(社会的外向)が低く,女性患者は男性患者よりAgとRが低くなっていた.アトピー性皮膚炎の症状で比較すると,男では,入院時重症になるほど,DとCが高く,Sが低くなっていたが,女では性格因子に差がなかった.治療などを考慮した疾患重症度をみると,男では,D,Cの有意差が消失していた.顔面重症度を見ると,女性患者では中等症に比べて軽症及び重症患者で,GとSに低下が見られた.発疹型を6群(紅斑型,丘疹型,紅斑+丘疹型,貨幣状型,肥厚・苔癬化型,痒疹型)に分類すると,男において,紅斑型と肥厚・苔癬化型は,紅斑+丘疹型,貨幣状型に比べて,D,I,N,Co(非協調的)が高く,Ag,G,R,A(支配的),Sが低くなっていた.アトピー性皮膚炎を臨床経過から,現在の発疹が悪化してからの年数が5年未満の群と5年以上の群に分けると,5年以上の群は男性患者でCoが高くなっていた.入院直前1カ月のステロイド外用量から,5群(0g/月,5g/月未満,5~50g/月,50g/月以上,ステロイド内服・注射)に分類した.男性患者では,5g/月未満と5~50g/月の群は0g/月とステロイド内服・注射の群に比べてAgが高く,女性患者では50g/月以上の群でAgが高くなっていた.さらに,入院中のステロイド外用量から同様に分けると,男性患者ではステロイド内服した群において,性格因子D,Iが高く,G,R,A,Sが低下していた.女性患者では,ステロイドの外用が多くなると,AgとSが低くなっていた.検査値との関係を見ると,血清LDH値では,高値であるほど女性患者でRが低下していた.血清IgE値が高いほど,男性患者ではDが高く,女性患者ではRが低下していた.また,血清cortisol値が低いほど,男性患者では,O(主観的)が高く,女性患者では,DとIが高くなっていた.アトピー性皮膚炎の男は,健常人より情緒が不安定で人間嫌いで閉じこもる傾向があり,女は優柔不断で他人の意見に左右されやすく,特に顔面が悪化すると人間嫌いで閉じこもる傾向があると言える.また,皮膚症状が性格因子に影響する以上に,性格因子の問題点が臨床経過に重大な影響を及ぼしている可能性がある.
著者
遠藤 薫
出版者
特定非営利活動法人 横断型基幹科学技術研究団体連合
雑誌
横幹 (ISSN:18817610)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.43-50, 2007 (Released:2016-04-14)
参考文献数
26
被引用文献数
1

This paper considers the view of artifact in the Japanese culture, through the comparison with aWestern Europe modern culture. Concretely, though the clock technology had been introduced into Japan in the Muromachi age, why it had not developed to the automatic technology as inWestern Europe is discussed.