著者
近喰 ふじ子 塚本 尚子 安藤 哲也 吾郷 晋浩
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.1171-1185, 2010-12-01
被引用文献数
1

筆者は,ここ数年,子どもが身体症状を訴えて母親とともに小児科外来を受診した際,子どもの症状を心配するよりも夫婦関係を重視した情報を聞かされ,家族関係が変化したことを母親の言葉から間接的に知らされた.すなわち,夫婦関係の親密性が想定された.そこで,今回,「夫婦親密度尺度」を作成した.本尺度は4因子の構造からなり,親関係項目からは「依存型夫婦」「安定型夫婦」「不満型夫婦」「尊重型夫婦」の31項目が,子ども関係項目からは「子ども重視型夫婦」「子ども干渉型夫婦」「子ども否定型夫婦」「子ども不信型夫婦」の25項目が抽出され,信頼性と妥当性が確認された.すなわち,従来使用されていた「家族機能測定尺度」との相関関係から,従来の家族機能とは異なる新しい家族機能へと変化し,子どもの混乱が生じやすいことが推察された.
著者
藪内 ふじ江 市川 孝夫 荒川 みゆき 千葉 吟子
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.47-55, 1984-03-01

現代の初潮平均年令は我が国の初潮年令の年次推移によっても欧米諸国の年次推移によっても同じ傾向で100年間に3年から4年, 10年間に4カ月位で若年化していることが報告されている. 体操競技では年々技が高度化し筋肉に強い刺激を与える影響からか全国高校選手権から世界選手権までの一部の選手の資料ではあるが初潮の若年化とは逆に選手の初潮は遅れの傾向にある事が判った. 例えば, 対照群である一般の女子グループは14才で既潮率が100%近くに達しているが世界選手権グループは24%と3年も遅れている. 16才では一般の女子グループが100%に対し世界選手権グループは60%と既潮率が低い. 最終的には選手群は対照群に比べて初潮が3年から5年遅れている. 筋肉の過重負担が月経周期の不定期にもつながり影響の大きい事が推察される.
著者
清水 基之 田中 英夫 高橋 佑紀 古賀 義孝 瀧口 俊一 大木元 繁 稲葉 静代 松岡 裕之 宮島 有果 高木 剛 入江 ふじこ 伴場 啓人 吉見 富洋 鈴木 智之 荒木 勇雄 白井 千香 松本 小百合 柴田 敏之 永井 仁美 藤田 利枝 緒方 剛
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
保健医療科学 (ISSN:13476459)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.271-277, 2023-08-31 (Released:2023-09-21)
参考文献数
22

目的:日本の新型コロナウイルス第6波オミクロン株陽性者の致命率を算出し,これを第5波デルタ株陽性者と比較する.方法:2022年1月に7県3中核市3保健所で新型コロナウイルス感染症と診断され届出られた40歳以上の21,821人を,当時の国内での変異型流行状況からオミクロン株陽性者とみなし,対象者とした.死亡事実の把握は,感染症法に基づく死亡届によるpassive follow up法を用いた.2021年8月~9月にCOVID-19と診断された16,320人を当時の国内での変異株流行状況からデルタ株陽性者とみなし,同じ方法で算出した致命率と比較した.結果:オミクロン株陽性者の30日致命率は,40歳代0.026%(95%信頼区間:0.00%~0.061%),50歳代0.021%(0.00%~0.061%),60歳代0.14%(0.00%~0.27%),70歳代0.74%(0.37%~1.12%),80歳代2.77%(1.84%~3.70%),90歳代以上5.18%(3.38%~6.99%)であった.デルタ株陽性者の致命率との年齢階級別比は,0.21,0.079,0.18,0.36,0.49,0.59となり,40歳代から80歳代のオミクロン株陽性者の30日致命率は,デルタ株陽性者のそれに比べて有意に低かった.また,2020年の40歳以上の総人口を基準人口とした両株の陽性者における年齢調整致命率比は0.42(95%信頼区間:0.40-0.45)と,オミクロン株陽性者の致命率が有意に低値を示した.結論:日本の50歳以上90歳未満のCOVID-19第6波オミクロン株陽性者の致命率は,第5波デルタ株陽性者に比べて有意に低値であった.
著者
ふじた まさえ
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.272-275, 2018-06-01 (Released:2018-06-01)

2010年からサービスを開始した図書館検索サイト「カーリル」は2012年から株式会社カーリルが運営している。「図書館をもっと楽しく。」を掲げ,エンジニアの技術とデザイナーのパワーによって図書館の利用者に役立つサービスを展開している。最近では,図書館と連携してサービスを提供する機会も増えてきた。公共図書館の現場を経験した司書としての視点からカーリルの動向をまとめる。
著者
水谷 智洋 志塚 ふじ子 松澤 恒友 天野 良彦 蟻川 幸彦
出版者
長野県工業技術総合センター
雑誌
長野県工業技術総合センター研究報告 (ISSN:18813119)
巻号頁・発行日
no.9, pp.174-176, 2014

当センターでは,栗渋皮抽出物に,in vitroで抗糖化活性があることを見出した。そこで,in vivoでの効果を検討するために,ストレプトゾトシン(STZ)誘導1型糖尿病モデルラットに,4週間の混餌投与を行った。その結果,抗糖化効果は確認できなかったが,腎臓において,酸化ストレスの指標であるTBARSの上昇を有意に抑制し,抗酸化効果があることが示唆された。
著者
岸 恭一 力丸 共子 松本 善子 志塚 ふじ子 井上 五郎
出版者
THE PHYSIOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN
雑誌
The Japanese Journal of Physiology (ISSN:0021521X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.959-970, 1982 (Released:2011-06-07)
参考文献数
27
被引用文献数
6 6

Voluntary intake of proteins of various qualities in relation to dietary protein utilization was investigated in growing and adult rats. The rats were given two diets, one containing high protein and the other no protein, and were allowed to self-select protein and energy intakes freely from both diets. The results showed that total food intake (protein diet plus protein-free diet) and body weight gain were similar among five proteins tested. However, the amount of protein consumed by the growing rats per 100 g of total food intake (i.e., dietary protein level) was different depending upon the protein qualities, that is, wheat gluten (WG) 44 g, casein (CA) 30 g, soy protein (SP) 21 g, lactalbumin (LA) 19 g, and amino acid mixture simulating egg protein (AA) 11 g. Net protein utilization (NPU), estimated as the proportion of protein intake that is retained in the body, was as follows: WG, 20%; CA, 33%; SP, 44%; LA, 50%; and AA, 74%. From the above figures, net dietary protein value, which is a measure of utilizable protein in the diet, was calculated by multiplying the dietary protein level by NPU. In contrast to the difference in protein intake, net dietary protein value was quite constant in spite of large differences in the dietary protein quality, being 8 to 10%. A similar relationship between protein intake and protein utilization was obtained also with adult rats, except that the net dietary protein value was smaller in adult rats than in growing rats. These results may suggest that the animals can regulate the intake of dietary protein to keep the amount of protein available for the body constant.
著者
儀間 繼子 仲村 美津枝 大嶺 ふじ子 玉城 陽子 宮城 万里子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 = Japanese Lournal of Maternal Health (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.358-364, 2006-07-01
参考文献数
16
被引用文献数
2

妊娠中に行った運動(骨盤底筋体操,ストレッチング,ウォーキング)が分娩にどう影響を及ぼすかを検討した。対象者は,妊娠異常・合併症のない初産婦161人で帝王切開例,吸引分娩例や分娩時薬剤使用例などを除く自然分娩例57人とした。調査期間は2000年1月〜2001年7月である。骨盤底筋体操,ストレッチング,ウォーキングの3運動の実施状況から点数化し,合計得点0点を非運動群とし,運動群は運動の実施強度により,1〜6点の6群に分け,運動との関連を検討した。自然分娩例57人の運動群は47人,非運動群は,10人であった。3〜6点の運動群は34人で59.6%いた。運動群47人中45人はウォーキングを行っていた。運動群間で有意差がみられたのは分娩第1期所要時間であった。3〜6点の運動群の分娩第1期所要時間393±198分は,非運動群640±428分より有意に短縮していた。ウォーキングと骨盤底筋体操,ストレッチの3運動群,または,ウォーキングとどちらかを組み合わせた2運動群は,非運動群に比べ分娩第1期所要時間で有意に短縮していた。運動によって,初産婦は分娩第1期所要時間が短縮されることは,産後の疲労を軽減し,産後の回復にもつながることが示唆された。
著者
大嶺 ふじ子 浜本 いそえ 小渡 清江 宮城 万里子 砂川 洋子 杉下 知子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.64-73, 1999-11-30 (Released:2012-10-29)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

正しい性知識を伝授することと性をより肯定的に捉えられるような動機付けを目的として, 大学生8人がピァ・カウンセラーとなり, 高校生42人に対しロールプレイ等を取り入れたピァ・エデュケーションを3回にわたり実施した. ピァ・エデュケーションの具体的な方法と展開内容および留意点を検討し, その実施前後に高校生の性に関する知識及び意識についての変化と男女差を明らかにするための自記式質問紙調査を行った.ピァ・エデュケーション実施後の感想では,「性についてよく考えられた」,「もっと性のことを知りたい」,「カウンセラーの人たちは話しやすくて, 質問をしやすかったので安心できた」,「3回だけではなくもっと計画してほしい」など否定的な感想は無く好評であった.今回の性知識・性意識の調査結果からも, この時期の特徴が反映されており, 性意識は活発化してきているといえるが, 性知識は不十分であった. 特に, 性知識の面では,男女ともに, 避妊法では「コンドーム」, STDでは,「エイズ」と知識に偏りが大きかった. 性意識の面では, 性の責任性において, 男子は実施後に高い得点を示し, 変化がみられた. また,「望まない妊娠を避けるには」において, 男女とも実施後に「男女が性について本音で話し合える」と答えたものが倍増し, 変化がみられた.このことより, ピァ・エデュケーションは, 生徒が性をより建設的, 肯定的に考えることに役立つ教育方法として, 効果があることが示唆された.
著者
大場 眞理子 安藤 哲也 宮崎 隆穂 川村 則行 濱田 孝 大野 貴子 龍田 直子 苅部 正巳 近喰 ふじ子 吾郷 晋浩 小牧 元 石川 俊男
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.315-324, 2002-05-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
16
被引用文献数
3

家族環境からみた摂食障害の危険因子について調べるために,「先行体験」「患者からみた親の養育態度」について,患者からよく聞かれるキーワードを用いて質問表を作成し,健常対照群と比較検討した.その結果,「母親に甘えられずさびしい」がどの病型でも危険因子として抽出された.また患者群全体で「父親との接点が乏しい」も抽出され父親の役割との関連性も見直す必要性があると思われた.さらにANbpとBNにおいては,「両親間の不和」「両親の別居・離婚」といった先行体験の項目も抽出され,"むちゃ食い"が家庭内のストレス状況に対する対処行動としての意味合いをもつのではないかと考えられた.