著者
野田 康太朗 中島 直久 守山 拓弥 森 晃 渡部 恵司 田村 孝浩
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.165-173, 2020-03-28 (Released:2020-04-25)
参考文献数
26
被引用文献数
3

本研究では,トウキョウダルマガエルを対象とし,第一に PIT タグの個体へおよぼす影響およびタグリーダーによる探知能力の両面から,越冬個体の探知に適した手法か検討した.第二に,対象地にて PIT タグを挿入した個体の越冬場所の探知を試みた.さらに,栃木県上三川町の水田水域において越冬個体の探知を試みた.PIT タグが個体へおよぼす影響を調べるため,PIT タグを挿入した群と挿入していないコントロール群を 15 日間飼育したところ,斃死及びタグが脱落した個体はおらず,体重の増減にも両群間に有意な差は見られなかった.探知能力の検討では PIT タグを土中に埋める試験区を設け実験した.その結果,深度 20 cm までの読み取りは可能であったが,30 cm より深くは読み取れなかった.さらに,栃木県上三川町で実施した水田水域における越冬個体の探知では,30 個体の越冬場所を確認した.Neu 法により解析したところ,30 個体の越冬地点は,畑地に集中していることが明らかとなった.また,越冬深度は 7.4-27.0 cm,平均 18.3±4.7 SD [cm] であった.この結果から,水田水域に生息するカエル類と比較し,本種はより深い地中で越冬する生態を有する可能性もあった.一方で,越冬深度の違いが PIT タグと掘削という手法の違いに起因する可能性もある.なお,本研究の結果は冬期湛水水田が卓越した地域において実施された事例的な研究である.今後は PIT タグを用いた越冬個体の探知方法により,異なる気象条件の地域,営農方法や圃場構造等が異なる地区での知見を集積することが望まれる.
著者
河本 雄介 中島 直人
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.501-506, 2013-10-25 (Released:2013-10-25)
参考文献数
12
被引用文献数
1

現在既存のストックを有効活用する都市計画が必要視され、建築のリノベーションにはじまり、広場や道路等公共空間の質的向上の動きが広まりつつある。しかし、広場に関してはその利用実態や個々の状況が把握されておらず 、まちづくりにおいて個々の空間に適した活用ができないという問題が指摘されている。これに対し、本研究では都市計画史の観点から都市広場の特徴、特に空間特性と計画理念についてその創出経緯や現代的意義も含めて明らかにした。対象は、戦災復興都市計画事業以降、1969年に都市再開発法が制定され、民間による積極的な都市再開発事業が普及するまでの間の期間を『再開発制度形成期』とし、この期間の都市広場を対象とした。本研究から 1)再開発制度形成期における広場の空間的特徴として、路線型広場、中庭型広場、屋上広場の3つの空間構成に分けられること 2)形成された広場はある程度閉鎖性が確保された空間であること 3)これらの広場はある特定の対象に向けたものではなく、多くの市民や訪問者が訪れることを踏まえた歩車分離計画の中で、歩行者ネットワークにおける拠点として設けられた都市的広場であったこと を明らかにした。
著者
中島 直也 福田 友紀子 梁 広石 饗庭 三代治 津田 裕士
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.302-305, 2007-06-30 (Released:2014-11-12)
参考文献数
6

リウマチ因子陰性の多発関節痛を訴える高齢者を診療する際に, RS3PE症候群Remitting Seronegative Symmetrical Synovitis with Pitting Edema Syndromeは鑑別すべき疾患の1つである. 当該症候群と診断した4例について, 診断・治療における留意点を指摘した. 何れの症例も高齢者 (76-85歳) であり, 突然の発症, 対称性多発関節炎, 両側手背足背のpitting edema, およびリウマチ因子陰性が共通した所見であった. プレドニゾロンの投与が著効を示したが, その減量は注意深く行う必要性があると判断された.
著者
中島 直人
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.42.3, pp.403-408, 2007-10-25 (Released:2017-02-01)
参考文献数
25

本論文は石川栄耀による都市計画の基盤理論の探求の特徴を把握することを目的としている。石川の主著書である『都市計画及び国土計画』は1941年に初版が出版された後、1951年に改定版、1954年に新訂版が出版された。先ず、初版出版に至るまでの過程の分析により、石川が都市計画の基盤理論構築のための都市学の確立を強く望んでいたことが明らかになった。石川は『都市計画及び国土計画』では、独自の基盤理論である「都市構成の理論」で都市計画を体系化してみせたのである。また、2度の改訂内容の分析からは、石川が「生態都市計画」と呼んだ新しい都市計画の姿を目指して、「都市構成の理論」に都市動態の理論を組み込もうとしていたことが明らかになった。こうした都市計画の基盤理論を探求する姿勢は、石川の同時代の誰よりも先進的であり、かつ現代的意義も有している。
著者
西川 亮 中島 直人 中林 浩 西村 幸夫
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.365-372, 2017-10-25 (Released:2017-10-25)
参考文献数
28

本研究は西山夘三の観光計画論を明らかにするものである。具体的には、1) 西山の観光論を西山の意識の変化と共に詳細に捉えること、2) 計画者としての立場から見た西山の計画論を明らかにすること、3) 西山の関わった計画を通じて理論と計画の関係性を見ることである。戦前から西山夘三はレクリエーションの延長として観光に関心を寄せていたが、戦災復興期は、観光施設の建設による観光地整備を考えており、それは建築家としての一面を示すものであった。しかし、戦災復興期から高度経済成長期に移行し国民の消費を促す観光開発による自然破壊が目立つようになると、生活リズムを高めるための観光を主張し、国土スケールで観光資源の保存と開発を両立する計画論を提示するようになっていく。その理論を計画に適用させたのが京都計画や奈良計画等の構想計画であった。西山の、生活リズムを高めるものとして観光を捉える視点は、現代において1)地域が観光客から得る利益だけでなく、観光客が地域から得る利益を考える視点、2) レクリエーションと観光の総合的な空間計画の必要性、3) 適正な観光地創出に行政関与の必要性を提起する。
著者
山下 貴範 伊豆倉 理江子 中島 直樹 廣川 佐千男
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.2O405, 2018 (Released:2018-07-30)

文献レビューマトリックス方式は看護分野で一般的に利用されている文献調査のまとめ方である。文献レビューマトリックスでは、検索で得られる文献や文献グループを対象として縦軸に並べ、目的、データ、手法、結果、考察などの分析観点を横軸として並べ、各対象の特徴をセルに記載する。本研究は、人手で実施している観点の把握と特徴抽出に機械学習を応用することで、検索に応じて文献レビューマトリックスを動的に生成するシステムを構築した。看護におけるテキストマイニングについての文献215件を対象とし、分析事例を紹介する。
著者
中島 直
出版者
批評社
雑誌
精神医療 第4次 (ISSN:09190546)
巻号頁・発行日
no.62, pp.96-103, 2011
著者
中島 直人 関谷 進吾
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.81, no.725, pp.1549-1559, 2016
被引用文献数
4

Recently, reinvention of public spaces is receiving academic and practical attentions. The purpose of this paper is to make clear theplanning process of "pedestrian plaza" in Times Square as a result of collaborative efforts by Times Square Alliance, NYC-DOT andother professional organizations. The following four facts are pointed out and discussed as lessons from the process: 1) continuousinitiative by TSA as an area management organization, 2) supports from the professional sector, in particular, non-profitorganizations for remaking the public realm, 3) leaderships by the mayor and the commissioner, 4) connection between localpedestrianization and transformation of the city's structure.
著者
磯田 達也 井上 創造 花沢 明俊 野原 康伸 白水 麻子 杉山 康彦 平田 真理 町田 京子 中島 直樹
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.10, pp.2197-2209, 2016-10-15

本研究では,看護師の業務分析のため,33日間にわたり看護師の業務行動データを収集する実験を行い,業務中の看護師の行動の激しさおよび,業務時間に影響を与える要因について分析を行った.データ収集実験では,38人の看護師を被験者に設定して,装着型の小型センサ端末を装着した状態で業務を行ってもらい,加速度データおよび看護師間の対面情報,看護師業務情報を収集した.また,赤外線を用いた情報通信機器によって看護師の位置情報も同時に収集した.本稿では,看護師業務中の行動の激しさを目的変数,看護師業務ごとの回数,対面回数,場所ごとの訪問回数などを説明変数に設定して,決定木(回帰木)を用いた要因分析を行った.その結果,他の看護師との対面回数が多く,病室に何度も訪れている看護師や,リハビリ介助業務や行動介助業務などの患者の介助に関わる業務を行う看護師ほど,行動の激しさが大きくなるという結果を得た.また,業務時間が業務効率に直結していると考え,各業務時間の長さに影響を及ぼす要因について回帰分析によって調べた.その後,単回帰分析により有意水準5%で有意となった説明変数の業務だけを抽出し,その業務に対して決定木を用いた要因分析を行った.単回帰分析の結果,14の業務において有意な結果が得られた.また,決定木による要因分析の結果,ほとんどの業務において他の看護師との対面人数が業務時間に影響を与えていることが分かった.また,食事介助業務中に特定の場所に訪れる看護師ほど業務時間が長くなるという結果を得た.
著者
中島 直人
出版者
Architectural Institute of Japan
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.78, no.688, pp.1301-1310, 2013
被引用文献数
1

Recently, many buildings which were constructed in the first stage of redevelopment project are under consideration of "re-redevelopment", however without evaluation of their historic values. The purpose of this study is to clarify the historic value of the Fujisawa Ekimae Nambu Redevelopment Block. As a result, the following contributions to the development of planning are identified; 1) this project was a part of pioneering city-wide comprehensive survey and master plan, 2) patio style brock was realized by the combination of infrastructure planning and urban design, 3)three jointly-owned buildings were coordinately-constructed under the initiatives of the local government and the owners.
著者
中島 直人
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.283-288, 2011-10-25 (Released:2011-11-01)
参考文献数
15

本研究の目的は、根岸情治の履歴と業績を明らかにすることを通して、「都市計画事業家」の実質的内容について考察を行うことである。根岸は幾つかの区画整理事業の現場を渡り歩きながら、区画整理実務を身につけ、キャリアを形成していったが、その仕事内容は単なる事務仕事に留まらず、各種の折衝、啓蒙宣伝、事業後の宅地の販売促進までを含む広いもので、創造性や根岸の人格が反映されたものであった。池袋駅東口地下街の建設においても、都市計画事業の民間代行による地下街建設という新しい試みに際し、事業の進展に応じて、政治的活動を含む柔軟な活動を展開した。こうした姿から浮かび上がる「都市計画事業家」の存在は、公的セクターによる強力な土地利用規制ではなく、民間の地権者の協同による事業に支えられた我が国の都市計画の特質と深く関係している。
著者
中島 直人 西村 幸夫
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.67, no.557, pp.241-248, 2002
参考文献数
48
被引用文献数
3

In the first half of 1930's, the Society of Civic Art made the epochal proposals to establish the municipal art commission in Tokyo. This paper is to review the process of making the first proposal (1930) and the second proposal (1934). Specifically, this paper is to focus on : 1)contacts with art commissions of cities in the United States and their direct influence, and 2)changes of relation between the Society of Civic Art and Tokyo City Government under the movement, which motivated by Tokyo City Government in this period, for realization of Tokyo metropolitan system.
著者
中島 直也 福田 友紀子 梁 広石 饗庭 三代治 津田 裕士
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.302-305, 2007-06

リウマチ因子陰性の多発関節痛を訴える高齢者を診療する際に, RS3PE症候群Remitting Seronegative Symmetrical Synovitis with Pitting Edema Syndromeは鑑別すべき疾患の1つである.当該症候群と診断した4例について,診断・治療における留意点を指摘した.何れの症例も高齢者(76〜85歳)であり,突然の発症,対称性多発関節炎,両側手背足背のpitting edema,およびリウマチ因子陰性が共通した所見であった.プレドニゾロンの投与が著効を示したが,その減量は注意深く行う必要性があると判断された.
著者
毎熊 輝記 阿部 司 斎藤 徳美 小林 直太 中島 直吉 中村 操 野越 三雄 MAIGUMA Teruki ABE Mamoru SAITOH Tokumi KOBAYASHI Naota NAKAJIMA Naoyoshi NAKAMURA Misao NOGOSHI Mitsuo
出版者
社団法人物理探査学会
雑誌
物理探査 (ISSN:09127984)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.p338-356, 1987-10
被引用文献数
1

The 1983 Japan Sea Earthquake(M=7.7)caused heavy damage associated with remarkable liquefaction to many houses and the ground soils at certain areas(2kmx6km)in the Noshiro City region, Akita Pref. The geomechanical character of the ground there has been investigated through use of shear wave velocities from in-situ measurements, results of grain-size analyses, geoteclmical in formation from many drill holes and data for ground water depths. Almost all of the sites investigated in many places are underlain by loosely-packed sandy soils of fine-to medium-grained sediments(0.3 mm~0.5 mm), with low shear wave velocities less than 120m/s and small values of uniformity coefficients between 1.6 and 2.3. Seismicmicrozonation maps showing areas where local soil conditions would be favorable for liquefaction have been compiled for assessing future earthquake hazards in certain areas. In the Noshiro City areas investigated, all sites with shear wave velocities less than about 120m/s and with ground water depths less than 2 meters would be much likely to liquefy except for sites underlain mainly by silty and clayey soils. Sites with shear velocities greater than 150m/s would not have susceptibility to liquefaction.