著者
岩本 敏彦 中村 文彦 岡村 敏之 矢部 努
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.41.2, pp.39-48, 2006-10-25 (Released:2017-05-01)
参考文献数
19

本研究は首都圏の都市鉄道において、駅の拠点性向上や駅周辺地区の活性化、にぎわいの向上という社会ニーズに対応するため、従来のように駅、駅前広場、駅の周辺地区という個別要素について議論するのではなく、それらを包括した総合空間を「駅まち空間」と定義し、その空間を研究対象として取り上げ、これまで明確化されていない個別施設の連携効果について着目した。はじめに、調査対象駅において駅、駅前広場、駅の周辺地区から空間構成に影響を与える要素を選定し、クラスター分析により駅まち空間の類型化を行った。次に、分類結果に基づき、利用者評価の分析を行う駅を選定し、利用者への意識調査を実施した。続いて、駅まち空間に対する利用者の評価構造を解明するため、重回帰分析を行うとともに、駅、駅前広場と一体的に整備するのが望ましいと利用者が考える範囲について整理し、空間の施設構成との関連性について考察した。
著者
犬飼 望 田中 伸治 中村 文彦 有吉 亮 三浦 詩乃 小根山 裕之 柳原 正実
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_1327-I_1338, 2018 (Released:2019-01-10)
参考文献数
17

交差点の平面幾何構造と交通制御を工夫し,右折車と対向直進車の交錯を減らすAlternative Intersections(以下,AI)と呼ばれる新しい交差点概念が海外にて提案されている.本研究ではAIが我が国でも交通制御の選択肢の1つになり得るという仮説のもと,適用に向けた知見を得ることを目的とする.日本に存在する交差点からAIの適用可能性があると考えられる交差点を選定し,観測データを基本入力値としたシミュレーションを用いてAIを仮想再現し,交差点処理性能評価を行った.また,従来型交差点と構造が大きく異なるAIを日本人ドライバーが迷いや違和感なく運転できるかどうかドライビングシミュレータを用いて検証した.その結果,我が国におけるAIの適用領域の目安を示し,日本人ドライバーにとってAIは工夫次第で受容性があることを明らかにした.
著者
佐伯 竜彦 富山 潤 中村 文則 中村 亮太 花岡 大伸 安 琳 佐々木 厳 遠藤 裕丈
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E2(材料・コンクリート構造)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.98-108, 2020

<p> 本研究は,同一の薄板モルタル供試体を用いて,日本各地の101か所において暴露試験を行い,飛来塩分環境を評価した.暴露供試体への塩化物イオン浸透量をコンクリートの表面塩化物イオン濃度に換算し,標高,風向,波エネルギーの影響を考慮して離岸距離を補正した,「補正距離」によって,地域によらず一律に表面塩化物イオン濃度を評価できる推定式を提案した.</p>
著者
吉田 昇平 中村 文彦 田中 伸治 有吉 亮
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_765-I_772, 2015 (Released:2015-12-21)
参考文献数
7

近年導入が盛んなコミュニティバスについて,住宅地区内の狭隘な道路において大型車両は通行するべきでないとする問題点が存在することによって,一部の地域ではコミュニティバスの運行ルートの設定に難航している事例が存在している.本研究は,コミュニティバスの運行ルート計画において,幅員基準を満たす運行ルートを設定することが最も困難であることを示し,また一方で幅員基準に満たない場合でも運行ルートとして登録された道路も少なからず存在していることを明らかにした.幅員基準を満たさない道路においても登録された要因について,待避所などの整備状況や自動車交通量が影響していると考えられることを示した上で,幅員のみによって判断されないコミュニティバスの運行ルートに考慮できる道路の新たな指標の考え方について提案している.
著者
中村 文隆
出版者
渋沢栄一記念財団
雑誌
青淵 (ISSN:09123210)
巻号頁・発行日
no.850, pp.15-17, 2020-01
著者
大澤 修一 中村 文一 西谷 紘一
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.46, no.12, pp.733-736, 2010 (Released:2011-12-19)
参考文献数
4
被引用文献数
1

Self-localization is an important technique for vehicle automation. Extended Kalman Filtar (EKF) is a major sensor fusion technique for self-localization of mobile vehicles. To calculate Kalman gains, variance matrices are necessary. However, it is laborious to obtain variance matrices. In this paper, we compare the structure of the grid point observer with that of EKF, and propose a design method of decding variance matrices by using digital filter design method. In addition, effectiveness of the proposed method is confirmed by the experiments.
著者
鈴木 克洋 中村 文彦 大塚 慈雨 正井 克俊 伊藤 勇太 杉浦 裕太 杉本 麻樹
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.379-389, 2017

<p>The head-mounted displays (HMD) allow people to enjoy immersive VR experience. A virtual avatar can be the representative of a user in the virtual environment. However, the expression of the virtual avatar with a HMD user is constrained. A major problem of wearing an HMD is that a large portion of one's face is occluded, making facial recognition difficult in an HMD-based virtual environment. To overcome this problem, we propose a facial expression mapping technology using retro-reflective photoelectric sensors. The sensors attached inside the HMD measures the distance between sensors and a face. The distance values of five basic facial expressions (Neutral, Happy, Angry, Surprised, and Sad) are used for training the neural network to estimate the facial expression of a user. Our system can also reproduce facial expression change in real-time through an existing avatar by using regression.</p>
著者
木村 希 松行 美帆子 中村 文彦 三浦 誌乃 有吉 亮
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.341-348, 2018-10-25 (Released:2018-10-25)
参考文献数
11
被引用文献数
1

現在、コンパクトシティが人口減少時代の都市像の一つとして、その実現が求められているが、単に都市機能を駅近くに集積させただけでは、人が中心市街地に戻ってくるとは考えられず、中心市街地自身を魅力的な空間にする必要がある。その手段の一つとして、中心市街地における公共空間の設置があると考えられ、その意義を検証する必要がある。本研究は、中心市街地における公共空間の役割として、とくに周辺エリアのイメージの向上と回遊行動の助長に着目し、南池袋公園周辺においてアンケート調査を実施し、これらの効果があるかの検証を行った。分析の結果、公共空間の認知が周辺エリアへの愛着と防災の面からの安心感などの周辺エリアのイメージに対して間接的に影響を与えていること、公共空間に立ち寄ると回遊行動が助長されることが明らかになった。
著者
榎本 拓真 中村 文彦 岡村 敏之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.347-354, 2009

中心市街地活性化において,商店街をはじめとした商業集積地の再生は重要課題のひとつである.本研究では,商業集積地再生のための空間デザインを考える上で,重要と考えられる歩行空間に着目し,街路における歩行者挙動と自動車挙動,道路構造との間の関係を解明し,商業集積地内街路の歩行空間デザインへの知見を導き出すことを目的としている.結果として,自動車速度,交通量をコントロールし,歩車道を明確に分離しない道路構造を用いることで,乱横断が発生可能な状況となり,自動車交通との兼ね合いを図ることで安心,安全で快適な歩行空間が実現可能であるということを示した.
著者
岩柳 智之 田中 伸治 中村 文彦 有吉 亮 三浦 詩乃
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_1069-I_1079, 2018 (Released:2019-01-10)
参考文献数
12

わが国では道路橋の急速な老朽化を迎え,またその損傷が深刻なために修繕・更新費は莫大であり,その全てを予防保全型で維持管理することにも限界がある.そのため廃橋を維持管理の選択肢として取り入れる必要があるが,地域の理解を得るために廃橋の効果や影響を客観的に示す方法が必要となる.そこで本研究では廃橋による費用対効果計算として将来の維持管理・更新費用の縮減効果と地域の効用の低下による損失を比較する方法を提示した.そして実地域を対象とした計算を行い,廃橋が受け入れられる余地を検討し,廃橋を含めた維持管理のあり方を議論した.計算の結果,廃橋の効果がある橋梁はなかった.しかし,他の橋梁と比較し,維持管理・更新を続ける効果の低い橋梁が見られ,廃橋にする場合,しない場合それぞれの望ましい管理方針を示した.
著者
中村 文哉
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:21894825)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.33-58, 2017-02-28

ミーニシ(冬期の南西諸島に吹く北西の季節風)が吹き出す候の1935年11月25日、星塚敬愛園園長・林文雄他四名のスタッフは、沖縄・奄美のハンセン病罹患者を収容するため、鹿児島を発った。この収容により、沖縄から129名、奄美から116名の病者たちは、時化で荒れる海に打ち克ち、開園間もない敬愛園に収容された。本稿は、この収容準備の過程を追うことにより、船による、僻地の離島からの、遠距離病者移送の問題点と危険性について考察する。この考察から引き出される見解は、以下の通りである。第一に、今回の収容方は、日本MTLを介した沖繩MTLと敬愛園の連携により、それまで療養所構築の件で失策が続いた沖繩縣の協力を引き出したこと、第二に、僻地の離島収容は、病者と療養所の直接的関係だけでなく、病者・地域社会・療養所から成る三者関係の構築が必要なこと、第三に、船による遠距離の病者移送、しかも僻地の離島からの病者移送は、それまで放置され、社会的孤立を余儀なくされた病者たちのニーズに応える機会を創出した点で、新たな病者救恤の可能性を開いたこと、以上のことが明らかにされる。At 25 November 1935, Fumio Hayashi who was the first president of national leprosarium "Hoshizuka-Kei'aien" departed for Amami-Ohshima and Okinawa Islands with his four stuffs. Their purpose of departure was planed to accommodate the peoples with Hansen's disease at these islands for Kei'aien at Kagoshima Prefectural. To actualize their accommodation, there is the danger that go across the route for Amami-Oshima at stomy season. And at all seasons, there is a danger-path for any ships going across to Tohshima(the Sea of Shicitoh) between Amami-Ohshima and Yakushima Islands. They accommodated the poor and serious patients with Hansen's disease. In all of them, 129 patients went across to the Sea of Shichitoh from Okinawa and 116 from Amami, overtaking by the very hard storm. In this paper, as tracing some preparatory processes of accommodation, we consider on some risks to the serious patients with Hansen's disease from the detached islands in the out-of-the-way place and the far-off-sea by small ship. Our conclusion is follow; first, to accommodate the peoples with Hansen's disease from the detached islands is possible to actualize the construction of social networks between not only patients with Hansen's disease and stuffs of leprosarium but also local community(center); second though the accommodation at remote place through far-way transfer by small ship had some difficulties and risks, it is possible to accommodate a patient who is helpless and social isolation.
著者
岩柳 智之 中村 文彦 田中 伸治 三浦 詩乃 有吉 亮
出版者
一般社団法人 交通工学研究会
雑誌
交通工学論文集
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.A_223-A_229, 2017

<p>2011 年 3 月11 日に発生した東北地方太平洋沖地震により、千葉県浦安市では液状化現象が発生し、交通障害や断水の被害が生じ、応急給水活動が行われた。本研究では浦安市での応急給水活動に着目し、最短経路探索を用いて水の運搬による身体的負担について評価し、また給水支援が不足した場合の備えを給水の待ち行列計算から推定した。その結果、前者について現況では全体として運搬時間 6 分以上の無理な負担が存在し、対策として耐震化した受水槽等の整備により運搬時間 10 分以上の過大な負担が大きく減少することが明らかになった。後者について 8000 人程度の断水人口を受け持つ応急給水拠点では給水車が不在となる時間や給水所開設時間内に水を受け取れない人が発生し、これを避けるには 1L/人・日の備蓄が必要であることが明らかになった。</p>
著者
中道 久美子 中村 文彦
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.867-872, 2014

南米コロンビアの中規模都市であるメデジン市では、所得格差とスラム街形成、自家用車やオートバイの増加といった都市交通問題を抱えていたが、約20年間で都市再生と都市交通システムの戦略的整備に取り組み、革新的な成長を遂げた。本論文では、メデジン市の現代都市交通システムの動向について、現地ヒアリング調査に基づいてとりまとめ、今後の都市交通戦略のあり方について示唆を得ることを目的とする。具体的には、高架鉄道、ロープウェイ、BRT、LRT、自転車シェアリング、エスカレータ等の現代的な都市交通システムに関して、現地自治体へのヒアリングや利用者へのインタビューを通して、動向をまとめるとともに、南米のその他の都市との体系的比較も行った。それらの結果から、機動力のある実働的な自治体組織、低費用かつ論理的に矛盾のない導入順序、市民が誇りを持つよう重視していることなどの特徴が見られ、途上国の交通戦略やわが国の地方都市の交通問題解決に際しての知見を得た。
著者
中村 文哉
出版者
山口県立大学
雑誌
山口県立大学学術情報 (ISSN:18826393)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.59-118, 2016-03-31

本稿の主題は、沖繩MTLが1930年代後半に為した営みを同時代的状況のもとに照射し、同組織が果たした役割とその意義を考察することにある。一章では、まず、沖繩MTLの会則が成立した過程を追い、同組織のミッションの所在を確認する。次に、そのミッションが依って立つ基盤を、1907年の「癩予防に関する法律」、及び1931年の「癩予防法」との関連、及び「日本MTL会則」との関連から照射し、同時代の沖縄社会に生きた病者たちの現実に向きあおうとした同組織のスタンスを示す。二章では、このようにして構成された沖繩MTLのミッションとスタンスが、如何なる活動を生み、その結果、如何なる現実が帰結したのかを、「沖繩MTL報告(書)」の刊行年次および記事と予算会計から追う。1号期は屋部の焼討事件と病者の鹿児島収容、2号期は会則成立、屋我地済井出住民との救護所をめぐる交渉、3号期は「沖繩MTL相談所」の開所と移管問題、4号期は国立移管と国頭愛楽園への信仰上の救済、納骨堂建設運動、5号期は納骨堂構築と国立移管の実現、といった出来事が生起した。沖繩MTLが同時代の沖縄社会において果たした役割は、沖縄社会における病者たちの厳しい現実に寄り添いながら、長年かなわなかった療養所構築により、多くの病者を救済する手段を構築した点において、沖縄救癩史の転換点を準備したことにある。In this paper, we consider on the social rescue for some crises with leprosy at 1930' Okinawa. Our theme concern to the social relevance between the society "Okinawa Mission to Lepers"(OMTL)and 1930's Okinawan Island. OMTL was organized at 13 May 1935 in Shu-ri Baptest Churche by some earinest relieffers ; Takeo HANASHIRO, Danziro HATTORI、Yoshio NOMACHI and others. ...