著者
外山 友里絵 中村 文彦
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.343-348, 2012-10-25 (Released:2012-10-25)
参考文献数
15

本研究は、BRT(Bus Rapid Transit)を開発途上国大中都市に導入する際の課題を明らかにすることを目的とする。幹線輸送としての需要がありながらも、財源不足などの理由により軌道系を導入することが困難な開発途上国大都市において、専用道路を走行するバスをベースとした新しい交通システムであるBRTは注目に値する選択肢である。1974年に導入されたクリチバ市以降、近年では多くの都市で導入が進んできているが、計画段階の事例も少なくない。先行事例及び調査研究事例のレビューに基づき、クリチバ市、ボゴタ市、ジャカルタ市の3事例の分析が必要十分との判断のもと、現地調査に基づき比較分析を行った。結果として、専用道路や駅などの基盤施設の丁寧な設計が欠かせないこと、速達性、定時性、輸送能力などの指標の向上には、十分な基盤施設整備のもとでの運用面における工夫の導入が不可欠なこと、運用面での工夫等において情報通信技術が果しえる役割は大きく、費用効果をもたらす可能性があること、システムの性能向上に、人材教育面での投資が有用なこと、などが考察された。
著者
中村 緑佐 本田 亘 宮澤 里紗 中村 文香 深沢 陽平 原田 夏樹 中村 高秋
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.285-289, 2009-04-30 (Released:2010-03-01)
参考文献数
14
被引用文献数
1

症例は53歳,女性.高校生時に多毛,低身長および生理不順にて先天性副腎過形成(CYP21A2異常症)と診断され以後,ステロイドの内服治療が,また42歳時より2型糖尿病の診断のもとにメトホルミン1,000 mg(朝,夕)の内服治療が開始された.2008年4月下旬より骨粗鬆症による腰痛のためNSAIDs (loxoprofen sodium) 180 mg/日を数週間にわたり内服し,その後より悪心および頻回の嘔吐の症状が出現し,2日後に痙攣発作にて救急搬送となった.入院時JCS; III-200で血糖値23 mg/dl, pH; 6.955, Lac; 106 mg/dl, Cr; 6.97 mg/dl, BUN; 103.7 mg/dl, ACTH; 16.7 pg/ml, コルチゾール24.9 μg/dlで,重症低血糖,乳酸アシドーシスおよび急性腎不全を認めたが副腎不全は認めなかった.入院前より肝機能および腎機能は正常であり,入院時にもalanine aminotransferase (ALT)およびaspartate aminotransferase (AST)値はそれぞれ20, 12 IU/mlと正常で,飲酒の既往歴はなかった.血中乳酸値は輸液管理のみにて改善し第5病日にて正常に回復した.入院時より自然排尿を2,000 ml以上認め,第4病日より血中Cr, BUNは改善傾向を示し,輸液管理のみにて第7病日にCr; 0.64 mg/dl, BUN; 18.2 mg/dlと正常に回復した.本患者は,メトホルミンとloxoprofenの併用により腎機能が悪化し,メトホルミンを排泄できず体内に蓄積した結果,重症低血糖および乳酸アシドーシスを発症したものと考えられた.ステロイド剤を長期にわたり内服している2型糖尿病患者では,ビグアナイド剤使用時の併用薬剤にも注意を喚起する必要があると考えられた.
著者
大澤 修一 中村 文一 西谷 紘一
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集 第51回自動制御連合講演会
巻号頁・発行日
pp.189, 2008 (Released:2009-04-14)

移動体の自己位置推定のためのセンサフュージョン手法として拡張カルマンフィルタ(EKF)が最もよく用いられている.しかし,カルマンゲインを設計するために必要な誤差分散行列を求めるためには繰り返し実験を行う必要があり,実装するためのコストが大きい. そこで,ゲイン設計を簡便化した手法としてわれわれが開発した格子点オブザーバを紹介する.さらにEKFとの推定構造を比較し両者の違いを明らかにする.
著者
汪 冰 中村 文 鈴木 誠
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.467-472, 2015 (Released:2015-12-22)
参考文献数
27

This study was focused on modern fountains in the Japanese garden. The fountain has not previously been emphasized as a garden facility in Japan, and there are not many previous studies on this subject. So, we discussed the hi storical development of modern fountains in Japanese gardens from the Meiji period to the pre-war days of the Showa period. First, considering the examples of the vocabulary of fountain in the landscape architecture-related terms, its transition shows that the fountain which was new in the Meiji period was generalized after 1955 circa. And then, examining the examples of modern fountains in gardens of Japan as much as possible, and the development of garden modern fountains in Japan were considered historically. We collected 449 image materials of fountains and 36 newspaper and magazine articles. Through the analysis of those research material, the modern fountains of Japanese gardens were appeared in the mid of Meiji period. Those fountains were installed at the redeveloped park of precincts of temples and shrines. Also early examples of fountains were observed at the gardens of nobles and authority. Through Taisho and Showa periods, fountains of Japanese gardens were seems to be increasing. And then after the Pacific War era, fountains were getting popular but the fountains of the Japanese garden were losing its popularity.
著者
榎本 拓真 中村 文彦 岡村 敏之
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.385-394, 2008-09-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
17
被引用文献数
2 1

本研究では, 近年, 導入が進む大型SCの公共サービス機能の導入の中で, 特にアクセス公共交通導入に着目し, アクセス費用のモード問比較, 買物行動の実態評価を通じ, 郊外大型SCのアクセス公共交通導入実態と, 郊外大型SCへの公共交通乗り入れによる地方都市における買物行動の手段転換可能を明らかにした. 結果として, 郊外大型SCへのアクセス公共交通は, 多様な導入形態があり, 高いLOSを担保する事例も確認した. さらに, 買物行動の実態分析と自動車とのアクセス費用比較から, アクセス公共交通の優位性は認められず, チョイス層でも買物行動時の自動車利用が固定化し, 所要時間が公共交通より長くても自動車を選択する傾向を示し, 手段転換が困難であることを示した.
著者
村上 圭一 篠田 英史 中村 文子 後藤 逸男
出版者
一般社団法人 日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.339-345, 2004-06-05 (Released:2017-06-28)
参考文献数
24
被引用文献数
8

群馬県吾妻郡嬬恋村の土壌は黒ボク土であるが,その下唐土は,根こぶ病の発病抑止的土壌として知られている.本報では,土壌の酸性改良が根こぶ病の発病を抑止するメカニズムおよび黒ボク下層土が根こぶ病の発病を抑止するメカニズムを明らかにする目的で,根こぶ病の発病に及ぼす土壌の種類とpHの影響について検討を行った.1)根こぶ病の発病を抑制するために必要な酸性改良の程度は土壌の種類により著しく相違し,黒ボク表層土や灰色低地土のように発病しやすい土壌では,土壌のpHを少なくとも7以上にまで高める必要がある.一方,発病しにくい黒ボク下層土や赤黄色土では極端な酸性改良を必要としないことが明らかになった.2)土壌の酸性改良による根こぶ病の抑制メカニズムは従来から高pH条件下で土壌中の休眠胞子の発芽を抑制することに起因すると考えられてきたが,高pH条件においても休眠胞子の発芽あるいは,根毛への第一次感染が確認されたことから,これらのメカニズムは第一次感染以降にあると推定された.3)黒ボク下層上が根こぶ病の発病を抑止するメカニズムは,休眠胞子が有する陰電荷と土壌コロイドの電荷特性の変化に起因する.すなわち,腐植質黒ボク土は腐植に由来する陰電荷を,腐植を含まない黒ボク下層土はアロフェン由来の陽電荷を持っている.黒ボク下層土中では休眠胞子が上壌コロイドに電気的に吸着されるため,休眠胞子密度が低下する.このような土壌中での見かけ上の休眠胞子密度の低下が発病を抑止する原因と考えられた.
著者
栗林 志行 保坂 浩子 中村 文彦 中山 哲雄 中田 昂 佐藤 圭吾 關谷 真志 橋本 悠 田中 寛人 下山 康之 草野 元康 浦岡 俊夫
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.308-315, 2020-03-25

要旨●食道アカラシアは,EGDで拾い上げが可能であることが多いものの,治療選択に関わるサブタイプの診断は困難である.また,その他の食道運動障害では内視鏡検査時に異常所見を認めることはまれである.食道X線造影検査は食道運動障害の拾い上げに有用であるが,やはり食道アカラシアのサブタイプやその他の疾患の診断には,食道内圧検査,特にHRM(high-resolution manometry)が欠かせない.食道アカラシアをはじめとする食道運動障害の診断では,EGDや食道X線造影検査,HRMなどの検査所見を総合的に評価することが必須と考える.
著者
東 尚弘 岩本 桃子 中村 文明
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.10, pp.672-675, 2015 (Released:2015-10-25)
参考文献数
2

がん医療の均てん化はがん対策の大きな課題である. そのためには医療の質の測定・把握が必要であるが, データ源として最も信頼の置ける診療録からの採録は作業負担への懸念から, 限界は許容しつつ院内がん登録とDPC (diagnosis-procedure combination) データをリンクしたデータによる指標の測定が始まった. 両データをリンクするためには病院内で共通の匿名番号をつける必要があるが, データの標準化も十分ではなく, さまざまな困難があった. 専用のソフトで作業を自動化し, ソフトも各種課題に対処して改良を重ねることで, 2012年症例では232施設からデータの収集が可能であった. 今後は, 参加病院のがん診療の質の向上と, がん対策の効果的推進の両方にこのデータを活用していく体制構築を行っていく.
著者
鈴木 克洋 中村 文彦 大塚 慈雨 正井 克俊 伊藤 勇太 杉浦 裕太 杉本 麻樹
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.379-389, 2017 (Released:2017-09-30)
参考文献数
17

The head-mounted displays (HMD) allow people to enjoy immersive VR experience. A virtual avatar can be the representative of a user in the virtual environment. However, the expression of the virtual avatar with a HMD user is constrained. A major problem of wearing an HMD is that a large portion of one's face is occluded, making facial recognition difficult in an HMD-based virtual environment. To overcome this problem, we propose a facial expression mapping technology using retro-reflective photoelectric sensors. The sensors attached inside the HMD measures the distance between sensors and a face. The distance values of five basic facial expressions (Neutral, Happy, Angry, Surprised, and Sad) are used for training the neural network to estimate the facial expression of a user. Our system can also reproduce facial expression change in real-time through an existing avatar by using regression.
著者
五所 万実 中村 文紀
出版者
学校法人 北里研究所 北里大学一般教育部
雑誌
北里大学一般教育紀要 (ISSN:13450166)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.1-20, 2020-03-30 (Released:2020-07-31)
参考文献数
33

本稿は、法領域において問題となる「商標の普通名称化(trademark genericization)」という意味変化現象について、言語学の立場から理論的考察を試みる。普通名称化とは、例えば、エスカレータや正露丸のように、もとは商標であったことばが、その商品カテゴリを指す一般名称となり、商標として機能しなくなる現象をいう。本稿では、一般的な言語現象でもある商標の普通名称化を、米国において普通名称化したと法的に判断されたエスカレータの事案を題材に、構文文法(Construction grammar)や使用依拠モデル(Usage-based model)という言語知識に関する理論モデルを用いて分析する。法学と言語学の接点を探る中で、法実務に限らず、言語学にも新たな知見をもたらす「商標言語学(Trademark Linguistics)」とも呼べる研究枠組みの可能性を探る。
著者
中村 文胤
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.475-486, 2009 (Released:2009-11-01)
参考文献数
6

近年,世界的に臨床試験情報の登録・公開が求められている。代表的な臨床試験登録・公開サイトであるClinicalTrials.govを対象に,登録数の推移,実施機関,実施国,対象疾患,試験のフェーズについて調査,分析を行った。さらに,その中から被験者登録が終了した試験(Closed Studies)に限定し,リファレンス情報の収録率およびPubMedへのリンク状況を調査した。その結果,2005年を境に,私企業および大学等を実施機関に含む試験の登録が著しく増加していること,フェーズ情報が収録されていない試験が3分の1を占めること,登録された試験の3分の2以上が欧米で実施された試験であることがわかった。また,Closed Studiesでは,約2割にリファレンス情報が収録されていること,リファレンス情報を持つ試験では,90%以上がPubMedへのリンクを併せて収録していることがわかった。
著者
中村 文彦 Adrien Verhulst 櫻田 国治 福岡 正彬 杉本 麻樹
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.298-309, 2021-12-24 (Released:2021-12-24)
参考文献数
19

In this paper, we propose Virtual Whiskers, a spatial directional guidance technique by stimulating a cheek using tiny robot arms attached to a Head-Mounted Display (HMD). We performed a directional guidance experiment to evaluate how accurately our method provide the target direction. The result shows our method achieves the average absolute directional error of 2.76 degrees in the azimuthal plane and 7.32 degrees in the elevation plane. We also investigated how effective the cheek stimulation is in a target search task. The average of task completion time in visual condition was M=12.45s, and visual+haptic condition resulted in M=6.91s. Statistical test revealed a significant difference between visual condition and visual+haptic condition.