著者
土谷 信高 武田 朋代 足立 達朗 中野 伸彦 小山内 康人 足立 佳子
出版者
一般社団法人 日本鉱物科学会
雑誌
岩石鉱物科学 (ISSN:1345630X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.69-90, 2015 (Released:2015-05-02)
参考文献数
89
被引用文献数
4 14

Early Cretaceous igneous rocks in the Kitakami Mountains consist of volcanic rocks, dike rocks, and plutonic rocks, from older to younger. Plutonic rocks are composed mainly of adakitic granites in central part of zoned plutonic bodies surrounded by adakitic to non-adakitic granites in marginal part. These adakitic plutons is divided into E and W zones based on the ages and geochemistry. Zircon U-Pb ages were determined with laser ablation inductively coupled plasma mass spectrometry (LA-ICP-MS) for 22 samples from 13 rock bodies including the Early Cretaceous adakitic granites in the Kitakami Mountains. Zircons from the adakitic granites of E zone give older ages (127-117 Ma) compared with those of W zone (119-113 Ma). Zircon ages of the calc-alkaline to shoshonitic rocks and dike rocks range from 128-124 Ma, which are similar to the oldest rocks of the E zone (127-125 Ma). Zircon ages become younger from the northern Hashikami pluton and marginal facies of the Tanohata pluton (127-125 Ma) to southern Takase granites (118-117 Ma), in the E zone adakitic granites. Petrochemical differences between the E zone and W zone rocks indicate that the adakitic melt of E zone rocks are considered to be derived from vapor-absent melting condition, while those of W zone rocks are from higher pressure and vapor-present condition.   Taking all these data into consideration, the Early Cretaceous magmatisms in Kitakami can be explained by the differential subduction model of the Farallon-Izanagi plates or slab rollback model accompanied with asthenospheric upwelling.
著者
土谷 信高 柴田 知之 芳川 雅子 足立 達朗 中野 伸彦 小山内 康人
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2014, 2014

オマーンオフィオライト中の珪長質岩類は,海嶺期のもの,後期火成岩類に伴われるもの(衝上開始期),オフィオライト層序の下部に貫入する花崗岩質小貫入岩類(大陸衝上期)の3種類に区分できる.本報告では,これらのうちワジ・フィズ上流ザイミ付近のマントルかんらん岩中に貫入するものと,南部のハイレイン・ブロックのワジ・ハイミリアのマントルかんらん岩に貫入する大陸衝上期の花崗岩質小貫入岩体について,年代と岩石化学的特徴を述べる.これらの珪長質岩類の年代は,これまでに得られていた海嶺期および衝上開始期のものとほぼ同じかやや若い.また全岩化学組成は,海嶺期および衝上開始期のものと著しく異なることから,これらとは全く起源物質が異なることが分かる.詳細な検討から,ザイミのものは基底部変成岩類の白雲母を含むものの脱水分解溶融で,またワジ・ハイミリヤのホルンブレンドを含む岩石は角閃岩の部分溶融で説明可能である.
著者
杉山 裕子 Hatcher Patrick 熊谷 哲 Valentin Drucker Vladimir Fialkov 片野 俊也 三田村 緒佐武 中野 伸一 杉山 雅人
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.190-190, 2008

バイカル湖深層水中の陸起源有機物の存在を分子レベルで明らかにすることを目的として、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴型質量分析器による分析を行った。分析の結果、バイカル最深部945mの試料水で検出された質量ピークの89.6%は流入河川水中で検出されたピークと全く同じ分子式で示される物質であることが明らかになった。
著者
小山内 康人 豊島 剛志 馬場 壮太郎 外田 智千 中野 伸彦 阿部 幹雄 足立 達朗
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.291-398, 2008-07-30

第49次日本南極地域観測隊(JARE-49)夏隊・セール・ロンダーネ山地地学調査隊は,ドロンイングモードランド航空ネットワークを利用して航空機で日本から直接南極内陸山地に赴き,2007年11月23日〜2008年2月5日の75日間,キャンプ生活を送りながらスノーモービルと徒歩によりセール・ロンダーネ山地中央部地域の地質学的野外調査を実施した.また,ベルギー基地,インド基地等を訪問し,国際交流を実施した.今回の野外調査は,航空機を利用した南極内陸地域野外調査の初の試みであり,2007年度にスタートした国際極年(IPY)とも連動した国立極地研究所の一般プロジェクト研究(課題番号P-5-1:代表・本吉洋一)の初年度調査でもある.本報告では,設営面での計画の立案・準備から実施経過に至る過程について詳しく述べる.
著者
隈元 泰輔 國徳 裕二 入江 知恵子 平岡 知江子 中野 伸彦 村上 幸太郎 藤田 ミキ 加藤 清彦 原武 義和
出版者
日本循環制御医学会
雑誌
循環制御 (ISSN:03891844)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.85-88, 2022 (Released:2022-12-27)
参考文献数
8

Femoral arterial and venous cannulation during cardiopulmonary bypass (CPB) can cause restriction of blood flow to the lower limb. To avoid complications, monitoring tissue oxygen saturation (StO2) of the lower limb and ensuring adequate blood flow by distal perfusion (DP) are essential. A 78-year-old man underwent mitral valve replacement via a mini-right thoracotomy. During CPB, the StO2 of the ipsilateral cannulated lower limb was decreased. Although the DP catheter was inserted into the ipsilateral femoral artery, the effect on the lower limb StO2 was transient. Because the StO2 of the ipsilateral lower limb improved by replacing the catheter, it was thought that the DP catheter had migrated into the deep femoral artery where collateral circulation was not developed. Among cases in which the StO2 does not improve, even with the use of DP, it is important to confirm whether the DP is sufficiently effective.
著者
川嵜 智佑 足立 達朗 中野 伸彦 小山内 康人
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2015, 2015

アーマルコライトは,アポロ11号計画で1969年7月20日月面「静かの海」で発見され,搭乗員のアームストロング(ARMstrong),オルドリン(ALdrin),コリンズ(COLlins) 由来して命名された.この鉱物は低圧高温で低酸素分圧条件で安定であり,1000 &deg;C以下でIlm+Rtに分解する.Fe<sup>3+</sup>に富むアーマルコライトが東南極ナピア岩体リーセルラルセン山に産する珪長質片麻岩から報告された(Miyake Hokada 2013).我々(2013) はアーマルコライト仮像様組織をリュッツホルム岩体スカルビークスハルゼンのザクロ石珪線石片麻岩から見出した.これらは,アーマルコライトが超高温変成作用の新しい指標鉱物となり得ることを示唆している.Fe<sup>3+</sup>に富むアーマルコライトの安定性を超高温変成作用の温度圧力に相当する条件で予察的に調べたので報告する.
著者
中野 伸二
出版者
科学基礎論学会
雑誌
科学基礎論研究 (ISSN:00227668)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.57-62, 1995-03-31 (Released:2009-07-23)
参考文献数
8

ライプニッツの「可能性」概念には少なくとも2つの意味(1)を見出すことができる。そして, この2つの意味の差異は, とりわけ形而上学的著作と論理学的著作の間で顕在化してくるように思われる。それら2つの意味については, ライプニッツが, 混乱して使用したのだという解釈も見られるが, ライプニッツ自身は次のように述べている。「個体的なもの, もしくは偶然的真理の可能性は, それらの概念の中に, それらの原因の可能性, 即ち神の自由決定の可能性を含んでいるからである。この点で, それらのものの可能性は, 種や永久真理のような『神の意志を仮定しないで, 専ら神の悟性に依存しているもの』の可能性とは異なっている」(G. II. 51. アルノー宛書簡)。ここからも明らかなように, 彼は, その2つの可能性概念の差異について, 十分に意識していた。そして, このことは論理学的著作の中でも次のように言及されている。「現実に存在するものは, 存在するもの即ち可能なものであって, その上に何ものかである。しかし, すべてを考慮しても, 現実存在するものにおいて, 存在のある度合以外の何が考えられるか私には分からない。…しかし私は, 『あるものが現実に存在すること』が可能であるということ, 即ち, 可能的現実存在をいおうとは思わない。これは本質自体にほかならないからである。…従って私は, 現実存在するものは, 最も多くのものと両立する存在, 即ち最大に可能な存在であると考える」(C. 376. “Generales Inquisitiones de Analysi Notionum et Veritatum”.以下『一般的研究』と略す.§73).従って, これらの可能性概念は, それぞれの分野で異なった意味で用いられているばかりでなく, 後により詳細に検討するように, 非常に重要な哲学的役割を担わされていると考えられる。そこで, ここでは, こうした可能性概念の二重性の背後に彼がどのような問題意識を抱いていたのか, あるいはまた, このような二重性を認めることにどのような哲学的な意図が込められていたのかについて考えてみたいと思う。そのためにまず, 可能性という概念がそれぞれの分野でどの様な意味で用いられていたのかを見てみよう。
著者
中野 伸一 西野 勝 河井 孝文 村上 和秀
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.171-177, 2018 (Released:2018-06-30)
参考文献数
22
被引用文献数
1

夏から秋にかけて作付けする露地野菜においては,短時間強雨や台風に遭遇しやすく,圃場の冠水による被害は大きい.ここでは,レタスを冠水処理し,その時期と時間の影響や品種の違い,湛水後の液肥かん注による生育の回復効果について検討した.冠水処理の時期と時間の違いについて,レタスの生育ステージが結球前(葉齢13程度)までの生育前半の影響が大きく,12時間までの冠水処理では結球重が小さく,24時間の冠水処理ではすべて枯死した.一方,生育後半の結球初期(葉齢18程度)12時間までの冠水処理では,結球重への影響は小さかったが,収穫前(葉齢35程度) の冠水では,泥の付着により商品性が低下した.8月下旬播種作型における品種の違いについて,‘ハミングチャウ’は湛水処理による結球重の低下がなく,優れた耐湿性を示した.湛水後の対策として,実際の台風接近に合わせて,結球前(葉齢16程度) と結球初期(葉齢18程度) の2回の6時間湛水処理した区に対して,尿素の50倍液50 L・a–1を株元に施用すると,結球重が12%,球体積が33%大きく,無処理区と同等となり,事後対策として有効と考えられる.
著者
小山内 康人 中野 伸彦
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2012年度日本地球化学会第59回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.202, 2012 (Released:2012-09-01)

アジア大陸形成・成長過程は,シベリアクラトンから南方に向かい,約500 Maから約200 Maの間に起こった微小大陸の多重衝突に起因する.この過程は,衝突帯変成作用と変成年代の解析から明らかになる.
著者
杉山 裕子 Hatcher Patrick G. 三田村 緒佐武 片野 俊也 熊谷 哲 中野 伸一 DRUCKER Valentin V. FIALKOV Vladimir A. 杉山 雅人
出版者
日本地球化学会
雑誌
地球化学 (ISSN:03864073)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.165-177, 2008
被引用文献数
1

Lake Baikal, located on the north-eastern borders of Central Asia, is the deepest (maximum depth 1,700 m) and one of the largest lakes in the world. To elucidate the chemical composition of dissolved organic matter (DOM) in the Lake Baikal, we applied high resolution fourier transform ion cyclotron resonance mass spectrometry (FT-ICR-MS) to the lake water samples. Water samples were taken at the deepest point of Lake Baikal and its inflowing Barguzin River mouth on August 2005. The sample water was filtrated on board and DOM was extracted using C 18 solid-phase extraction disks (Kim et al., 2003^a). The extracted samples on the disks were analyzed by a 9.4-T FT-ICR mass spectrometer at the National High Magnetic Field Laboratory (Tallahassee, FL, USA) in negative ionization mode with a needle voltage of -2.0 kV. From the FT-ICR mass analysis, 3511, 2862 and 2191 peaks were detected (S/N>3) in river and 5 m- and 945 m- depth lake water samples, and more than 80% of the peaks were assigned within ± 1.0 ppm error. Using van Krevelen Diagrams (van Krevelen, 1950), we found that the main component of L. Baikal DOM was allochthonous lignin-like organic molecule, and that autochthonous lipid- and protein-like molecules were also found in surface water.