著者
伊藤 進 Susumu Ito
出版者
中京大学教養部
雑誌
中京大学教養論叢 (ISSN:02867982)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.577-612, 1997
著者
伊藤 進一郎 中村 宣子
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.66, no.7, pp.262-267, 1984-07-25
被引用文献数
3

1976〜1979年の4年間, 東京大学農学部小石川樹木実験圃場において樹木の白紋羽病被害の発生状況について調査を行った。ヤマナラシの生枝による菌の捕捉調査および被害木の分布状態から本圃場には白紋羽病菌(Rosellini anecatrix)が広く分布していることが判明した。調査期間中に45科158種の樹木で発病が観察されたが, そのうち135種が未記録の新宿主であった。発病樹種のなかでは, トチノキ, ブナ, ウメモドキ等では被害木の発生本数が多かった。一方, コウヨウザン, シュロ, クマザサ等では, 土壌中で本菌の生息が確認された位置にありながらまったく被害が発生しなかった。被害は根元直径2cm以下, 樹高1.5m以下の幼樹に集中してみられ, 夏期に発生が多かった。本圃場では, 1960年代に導入改良ポプラ類の系統保存が行われたが, その際本病に罹病した根が未処理のまま残された。このときのポプラ植栽位置と今回罹病個体が集中して認められた位置とがきわめてよく一致するところから, これら罹病ポプラの残根が本圃場での白紋羽病の発生源となり, さらにそこから若齢の植栽樹に被害が拡大したものと推測された。
著者
黒田 慶子 伊藤 進一郎
出版者
日本林學會
雑誌
日本林学会誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.p383-389, 1992-09
被引用文献数
5

マツノザイセンチュウ以外の微生物がマツの萎凋に関わる可能性があるかどうか, 接種した線虫の樹幹内分布や木部の通水阻害開始時期と糸状菌や細菌の検出状況とを比較しながら検討した。クロマツに接種した線虫は, 150cm/日と非常に速く接種枝から樹幹の上下方向に移動した。最初の病徴, つまり仮道管のキャビテーションによる通水阻害の出現は, 線虫接種の1週間後であった。それに対してマツ組織に分布する微生物は, 線虫接種後4週間は健全木と同様であり, Pestalotiopsis spp., Nigrospora spp., Cladosporium spp., Phomopsis spp., 細菌類がごく低率で検出された。発病に先立つ菌相の変化はなかった。また, 線虫の培養に用いたBotrytis cinereaは検出されなかった。接種5週後に, 青変菌Ceratocystis sp.が初めて検出され細菌類の検出率が上昇するなど, 菌相に変化が現われた。しかしこの時期以前に, すでに樹幹全体で通水阻害が進行し, 形成層の壊死が開始していた。これらの結果から, 接種したマツノザイセンチュウは単独でクロマツに萎凋を起こすことができ, クロマツ木部から検出されたCeratocystis sp.その他の糸状菌や細菌類はマツ材線虫病の発病および病徴進展に関与していないものと判断された。
著者
伊藤 進一郎 窪野 高徳 佐橋 憲生 山田 利博
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.170-175, 1998-08-16
被引用文献数
18

1980年以降, 日本海側の各地において, ナラ類(コナラとミズナラ)の集団的な枯死が発生して問題となっている。枯死木には, 例外なくカシノナガキクイムシの穿入が認められるのが共通した現象である。このナガキクイムシは, 一般的には衰弱木や枯死木に加害するとされており, 枯死原因は現在まだ明らかでない。この被害に菌類が関与している可能性を検討するため, 野外での菌害調査と被害木から病原微生物の分離試験を行った。被害発生地における調査では, 枯死木の樹皮上にCryphonectoria sp.の子実体が多数形成されているのが観察された。しかしながら, 日本海側の6県にわたる調査地に共通する他の病害, 例えばならたけ病や葉枯・枝枯性病害の発生は観察されなかった。そこで, 枯死木やカシノナガキクイムシが穿入している被害木から病原微生物の分離試験を行った。その結果, 変色材部, 壊死した内樹皮, 孔道壁から褐色の未同定菌(ナラ菌と仮称)が高率で分離されることが明らかとなった。この菌は, 各地の被害地から採集した枯死木からも優占的に分離されることがわかった。また本菌は, カシノナガキクイムシ幼虫, 成虫体表や雌成虫の胞子貯蔵器官からも分離された。分離菌を用いたミズナラに対する接種試験の結果, ナラ菌の接種において枯死したのに対し, 他の処理では枯死は認められなかった。これらの結果から, この未同定菌は, ナラ類集団枯損被害に深く関与しているものと判断した。本菌は, 母細胞に形成された孔口から出芽的(Blastic)に形成されるポロ(Polo)型分生子を持つことがわかったが, 現在その所属については検討中である。
著者
伊藤 進一郎
出版者
樹木医学会
雑誌
樹木医学研究 (ISSN:13440268)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.57-60, 2008-04-30
著者
松田 陽介 清水 瞳子 森 万菜実 伊藤 進一郎
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会大会講演要旨集 日本菌学会第53回大会
巻号頁・発行日
pp.32, 2009 (Released:2009-10-30)

イチヤクソウ属植物は根に菌との共生体であるアーブトイド菌根を形成し,自らの光合成生産物に加え,根系に定着する菌根菌を通じて周囲の樹木から光合成産物を獲得すると示唆されている.イチヤクソウは日本の様々な森林生態系の林床に生育する常緑多年生草本であるが,上記のような栄養獲得様式に関する知見はない.そこで本研究では,イチヤクソウの栄養獲得様式を明らかにするための端緒として,異なる光環境下で生育する個体の菌根形成とその形成率の季節変化,定着する菌類を調べた.調査は,三重県津市のコナラ・クヌギ二次林で行った.2007年1月から11月にかけて,合計6回,イチヤクソウ3個体ずつを明所,暗所から採取した.採取個体の光環境は,各個体と林外の被陰されない場所における照度の比較にもとづき相対照度として算出した.各個体の根系は,基部,中央部,先端部の3つの部位に大別し,各部位から10~30枚の切片を作成してから,光学顕微鏡観察を行った.根の表皮細胞に貫入する菌根菌菌糸の侵入形態にもとづき6タイプ(コイル初期,コイル,分解初期,分解,コイルなし,デンプン)に大別し,その割合を測定した.上記調査のために採取した個体,さらにDNA解析用に採取した個体の菌根からDNA抽出をしてからITS領域のシークエンス解析を行った.得られたDNA塩基配列はBlast解析を行った.採取した全ての根で菌糸コイルが確認されたことから,イチヤクソウにおいてアーブトイド菌根の形成を明示した.明所,暗所における菌糸コイルの形成率は,それぞれ16.8%から46.2%,14.1%から58.1%と季節によって異なり,上層木により林冠が被覆される5月,7月の夏期において高くなる傾向を示した.菌糸コイルの形成割合は根の部位により異なり,根の先端部から基部にかけて減少する傾向にあった.根に定着する菌種として,現在までに,主としてベニタケ科が推定されている.以上より,イチヤクソウは林床の光環境が悪くなる条件下で菌根形成を,特に根の先端部で高頻度に行なうと考えられた.さらに,イチヤクソウに定着する菌根菌種はいずれも外生菌根菌種と分類学的に同一であるため,上層木のコナラ,クヌギに外生菌根を形成する菌と菌糸を介して繋がっている可能性がある.
著者
山田 利博 伊藤 進一郎
出版者
日本植物病理學會
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.666-672, 1993
被引用文献数
8 28

マツノザイセンチュウを感受性のクロマツ,抵抗性のテーダマツおよびストローブマツの枝に接種し,接種枝からのエタノール抽出物の分析を行った。線虫接種1週間後にストローブマツの皮層,師部および木部で抗菌性物質の集積が認められた。この活性は実験期間中維持された。木部から抽出された抗菌性物質にはpinosylvin, pinosylvin monomethylether, pinobanksin, pinocembrinが含まれていた。これらの物質は線虫を不動化すると考えられた。テーダマツとクロマツで接種5週間後に菌に対する阻害活性がわずかに認められたが,線虫に対する不動化活性は認められなかった。これらのことから,ストローブマツ接種枝では線虫感染に対する抵抗性反応として,エタノール可溶性の阻害物質が生産されることが示唆された。

1 0 0 0 OA 左利の遺傳

著者
西川 正男 伊藤 進
出版者
日本民族衛生学会
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.11, no.5, pp.416-426, 1943-11-20 (Released:2010-11-19)
参考文献数
13
著者
犬尾 武彦 伊藤 進 長谷川 英之 後藤 隆人
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.135-136, 1974-06-25

患者は63才,男.昭和47年2月頃より咳嗽,5月11日38℃に発熱,咳嗽,喀痰と共に喘鳴,呼吸困難,チアノーゼ出現、18日に緊急入院した.入院時頸部,前胸部に皮下気腫を認め,白血球14,800,血沈72/60,胸部レ線で右下肺に円形陰影と縦隔洞並び頸部に気腫を認め,動脈血ガス分析で低O_2血症,呼吸性アシドージスあり.気管切開,O_2吸入,抗生剤等の治療にて呼吸困難改善せず入院第4病日に死亡した.剖検にて右肺S_10。に原発した腺癌で,気管分岐部リンパ節に7.5.×5×5cm大の大きな乾移巣あり,一部は連続性に右主気管支に突出,強い狭窄をおこしていた.縦隔洞気腫の発生経路については肉眼的に穿孔部は不明でヨ右主気管支の癌転移巣の壊死部よりもれたか,または右肺の問質性肺気腫が原因がと推定される.
著者
山本 福壽 伊藤 進一郎 板井 章浩 小谷 二郎 伊藤 進一郎 板井 章浩 小谷 二郎
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

ヒノキ科樹木の漏脂現象(ヒノキ漏脂病など)に関連した傷害樹脂道の形成機構を検討した。樹幹の連続的な漏脂現象には傷害刺激の伝達物質であるエチレン、ジャスモン酸、およびサリチル酸の濃度バランスが関与しているようであった。またエチレンの前駆物質であるACC合成酵素の遺伝子発現も確認した。さらにタイ王国においてAquilaria crassnaを用いて樹幹内の沈香成分沈着に関する刺激伝達物質の役割についても検討し、生産促進処理技術を開発した。
著者
河田 興 伊藤 進 磯部 健一 日下 隆 大久保 賢介 安田 真之
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

2004年10-12月に香川大学医学部附属病院で出産した新生児33名およびその母親32名について、カフェイン及びメチルキサンチン血中濃度測定を行った。分娩時の母体血、娩出時の臍帯から得られた臍帯静脈、日齢2、日齢5に新生児血を採取し高速液体クロマトグラフィーで測定した。臍帯静脈血中カフェイン濃度が4mg/L以上の12名、臍帯静脈血中カフェイン濃度が4mg/L未満の21名の2群について日齢2、日齢5に行ったブラゼルトン新生児行動評価法について比較検討した。母体血と臍帯静脈血のカフェイン濃度の比較はWilcoxon順位検定で行った。母体血と膀帯静脈血のカフェイン/カフェイン及びその代謝物の和の比を比較した。その比較はpaired t検定で行った。母体血と臍帯静脈血のカフェイン及び代謝物濃度比(カフェイン/総メチルキサンチン)はそれぞれ0.68±0.13、0.69±0.14(平均±標準偏差)で差を認めなかった(p=0.469)。母体血カフェイン濃度と臍帯静脈血カフェイン濃度は対数変換後の換算値の平均値及び標準偏差値で1.47±1.87mg/L、1.73±1.76mg/Lであった(P=0.078)。更に、臍帯血濃度、日齢2血中濃度、日齢5血中濃度を測定し、新生児カフェイン消失半減期を求めた。新生児カフェイン消失半減期が14日以上は10名とで14日未満は23名であった。分娩前に母体に摂取されたカフェインを臍帯血カフェイン濃度の高低で検討すると、そのカフェイン濃度が日齢2と5の新生児行動の方位反応に影響することが示された(p=0.076)。
著者
菊池 雅彦 坪井 明人 岩松 正明 玉澤 佳純 木之村 重男 下西 充 高津 匡樹 伊藤 進太郎 駒井 伸也
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

脳MAI検査による画像から得られた大脳虚血性病変に関するFazekasスコアと口腔内状況との偏相関分析(年齢調整)を行ったところ、上顎歯数および上下顎合計歯数と、一部の病変のFazekasスコアとの間に有意(p< 0.05)な負の相関が認められた。大脳虚血性病変は認知機能障害と関連することが報告されており、今回の結果から、歯の保有数、とりわけ上顎の歯数が少ないほど、認知症のリスクが高くなる可能性があることが示唆された。
著者
澤田 三郎 山神 敏行 伊藤 進 林 英治
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.38, pp.1245-1246, 1989-03-15

ソフトウェアの開発期間の短縮を狙いとして、品質管理方法を改善した。バグは、机上デバッグ,単体テスト等で前倒し摘出するように諸施策を実施しているが、それでも複数プログラム,複数システムとの結合テストの段階でバグが摘出される。本報告では、結合テスト/検査工程において、品質をビジュアル化(可視化)し適切な対応策を打つことによりソフトウェアの品質を早期に高める管理技法について述べる。